「アパート相続・経営 建築・建て替え」内の、「老朽化アパート建て替え大百科」を基礎から解説したページです。老朽化アパート建て替えの効果や流れ、時期の目安、建て替え費用の目安、立ち退きなどを知ることができます。老朽化アパートの建て替えを安心して任せられる会社を選ぶポイントも紹介します。

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更新日
2023.12.20
カテゴリ
アパート経営

【基礎から解説】老朽化アパート建て替え大百科

【基礎から解説】老朽化アパート建て替え大百科

今回の記事では、「アパート建て替えの効果や流れ」、「時期の目安」、「建て替え費用の目安」、「立ち退きについて」わかりやすく解説いたします。

アパートの建て替えの最大のネックは立ち退きです。
立ち退きについては法律的な知識が必要ですので、詳しくお伝えします。

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アパートを建て替えるメリット・デメリットは?

アパートの建て替えのメリット・デメリットとして、以下があげられます。

メリット

  • 家賃を上げられる=収益向上が可能
  • 火災や地震に強い建物にすることができる
  • 相続税対策の効果が高まる

デメリット

  • 立ち退き交渉が必要
  • 建て替えには解体費用や建設費用がかかる

アパートを建て替える時期の目安は?

アパートを建て替えるタイミングを判断する基準として「築年数」「空室率」「収益状況」「修繕費・リフォーム費用」という4つの目安があります。

築年数については、木造アパートなら30年、鉄骨造のアパートなら35年が目安です。
空室率については、空いている部屋の割合が80~90%が目安となります。

その他、収益状況や修繕費も判断の基準となります。

アパートの建て替えの流れや費用は?

アパートの建て替えは、以下の8つのステップで進んでいくのが一般的です。

  1. 建て替え後のプラン検討
  2. 立ち退き着手
  3. 立ち退き完了
  4. 取壊し
  5. 新築工事請負契約
  6. 新築アパート着工
  7. 新築アパート竣工

  

また、アパート建て替えの費用には「取壊し費用」「立ち退き費用」「建て替え費用」の3種類があります。

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詳しい解説は以下

1. アパートの建て替え目安

アパートはどれくらいを目安に建て替えるべきなのでしょうか。

結論から言うと、「稼げなくなったら」行うというのが目安です。稼げなくなる時期は、立地や規模、構造によっても異なります。
もう少し具体的な基準として、「築年数」「空室率」「収益状況」「修繕費用」という4つの目安についてご紹介します。

以下に紹介するのは、あくまでも一つの目安にしか過ぎません。目安は、物件ごとに照らし合わせて考えることが重要です。

1-1. アパートの築年数

建て替えの目安は、木造アパートなら築30年、鉄骨造のアパートなら築35年といったところです。
会計上の法定耐用年数とは関係ありません。

築年数が30年を過ぎた頃から、仕様が時代に合わなくなってきます。
例えば30年前はバス・洗面所・トイレが一体型となった3点ユニットが一般的でしたが、今では時代遅れの仕様です。
また、和室も最近のアパートでは不必要になっています。

実際に建物自体は限界ではなかったとしても、仕様が時代に合わなくなってくることで、アパートはだんだんと空室が増えてきます。
築年数については、仕様のズレを中心に考えるようにして下さい。

また、建て替えにあたっては、借入金は当然に完済している状態が必須です。
もしも、借入金が残っていてアパート経営に失敗している状態であれば、建て替えではなく売却を選択するようにして下さい。

1-2. アパートの空室率

空室率の目安としては、80~90%が空室となっていれば、建て替えの目安です。
10戸のアパートなら、入居が1~2世帯というイメージです。

立ち退きの相手が多いとその分、リスクは高まりますので、場合によっては、全戸空室になってから建て替えを考えても遅くありません。

仮に5~6割、入居者が入っているような状態で立ち退きに着手するのは、とてもハードです。
立ち退きは、「ほとんど空(カラ)」の状態になってから始めるようにしてください。

1-3.アパートの収益状況

収益状況も大切な目安です。空室率や家賃収入の見通しをもとに、今後の収益予想に問題があるなら建て替えの検討が必要です。

一般的に、築年数が進むにつれて入居状況は悪化するため収入は減り、その一方で修繕やメンテナンスにかかる費用は増えていきます。想定している所得を大きく割り込むようなら、新築物件に建て替えることで状況が改善するのか比較してみるとよいでしょう。

1-4.アパートの修繕費・リフォーム費用

構造による違いはありますが、アパートの耐用年数はマンションほど長くはありません。築年数が経つと修繕費やリフォーム費用も高額になっていきます。

ただし、高額な修繕費やリフォーム費用をかけたとしても、外観や設備の古さが劇的に改善するわけではなく、賃料アップが期待できるわけでもありません。10~15年に一度の大規模修繕では大きな費用もかかるため、リフォーム費用が高額になってきたら建て替えを検討することも一つでしょう。

築年数が30年を過ぎたら、修繕に高額の費用を投資するより建て替えたほうが効率のよいこともあります。どちらがよいか見極めるには、建て替えの費用や収支予想を確認し、リフォームした場合の収支予想と比較することが近道となるでしょう。

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2.アパートを建て替えるメリットは?

老朽化したアパートを建て替えるメリットを3つご説明します。

  • 家賃を上げられる=収益向上が可能
  • 火災や地震に強い建物にすることができる
  • 相続税対策の効果が高まる

2-1.家賃を上げられる=収益向上が可能

アパートが古くなってくると、家賃を下げざるを得ないことが多くなってきます。
一度下げた家賃を再び上げるのは困難ですから、ひとたび家賃を下げてしまうと収益を回復するのも難しくなってしまいます。

しかし、建て替えによって、現代のニーズにマッチした付加価値のある物件にすることで、以前の古い物件より高めの家賃設定にすることや、空室率を下げることができ、多くの家賃収入が見込めます。

リフォームでは限界があったことも、建て替えなら、一から作り直すことができます。

(例)

  • 最近人気がある、収納スペースを十分にとった間取りにする
  • 洗面所や浴室を広くゆったりする

また、デザイン性にこだわったおしゃれな物件を用意して差別化を図ることも可能です。

新しく使いやすい間取りのアパートや、デザイン性の高いおしゃれなアパートには、入居希望者が集まりやすくなります。

建て替え時には屋根や外壁を寿命の長いものにすれば、修繕費の負担も軽減します。
このように、建て替えによりコストも減らせるため、収益が大幅に向上する可能性があるでしょう。

2-2.火災や地震に強い建物にすることができる

アパートは入居者にとって生活の拠点なので、安全性は最優先で考えるべきです。
建て替えれば、火災や地震が起こった際の不安を軽減できます。

旧耐震基準で建てられていた古い建物は、建て替えによって現在の新耐震基準を満たすことができます。
耐火性能に優れた素材を用いるなどして、火災に強いアパートを売りにした建築仕様にすることも可能です。

近年は大きな震災も複数起きており、世間一般に防災意識が高まっているため、災害に強い建物であることは入居希望者への大きなアピールポイントになります。

2-3.相続税対策の効果が高まる

相続税対策のためにアパートを経営している方も多いでしょう。
老朽化したアパートを建て替えることで、相続税の負担を軽減できる可能性があります

これは、建て替えによりアパートの空室率が下がった場合、相続税評価額を下げることができるからです。

もう少し詳しく説明します。以下、相続税評価額の計算例です。
賃貸アパートの敷地及び建物の相続税評価額は、通常の土地・建物の評価額から、賃借人である入居者の権利を差し引いて計算します。
具体的には、次のような計算式になります。

土地:(貸家建付地) 自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
建物:(貸付用建物) 自用家屋評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

賃貸割合とは、「賃貸されている部屋」の割合のことです。
「空室が増える」すなわち「賃貸割合が下がる」ということなので、土地や建物の評価額が上がってしまうことがお分かりいただけるでしょう。

逆に、空室が減ると賃貸割合が上がる=相続税評価額は下がります。このように、アパートの建て替えは相続税を抑えることにつながります。

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3.アパート建て替えを検討するならデメリットも知っておこう

アパート建て替えのデメリットについても確認しておいてください。

3-1.立ち退き交渉が必要

アパートを建て替えるときに入居者がいれば、立ち退きをしてもらわなければなりません。
スムーズに立ち退いてもらえなければ、建て替えの予定が狂ってしまうこともあります。

3-1-1.立ち退きには正当な理由が求められる

賃貸アパートでは、賃借人(入居者)の権利は借地借家法という法律で保護されています。
借地借家法では、賃貸人(オーナー)が賃貸借の解約を希望する場合には、6カ月以上前に申し入れなければならないとされています。

また、オーナー側から解約を申し入れる場合には正当な理由も必要です。
アパートの建て替えは、必ずしも解約の正当な理由となるわけではありません。

もし争いになった場合には、建物老朽化による危険性といった要素のほか、オーナー・入居者双方の事情を比較して総合的に判断されることになります。入居者を保護する観点から、正当な理由については厳しく判断されることが多いです。

3-1-2.了承してもらうためには立ち退き料を払う

立ち退きをしてもらう際に裁判で争うようなことになれば、予定通り建て替えが進みません。そこで、オーナーから入居者に対し、相当の立ち退き料を払うことで了承を得るのが現実的な解決法です。

立ち退きの際に、オーナー側に立ち退き料を払う義務があるわけではありません。
しかし、不満を持つ入居者が裁判を起こすようなことになれば、時間もお金もかかってしまいます。
立ち退き料を払う前提で入居者と交渉することは、一般的にとられている方法なのです。

立ち退き料の金額としては、引っ越し費用と3~6カ月分の家賃程度が相場になります。
状況によって支払額は変わってきますので、心配な場合には弁護士と話し合いながら進めてください。

3-2.建て替えには解体費用や建設費用がかかる

アパートを建て替えるとなると、建て替え資金が必要です。建物の解体費用と新しいアパートの建設費用などがかかります。

例えば、木造アパートの解体費用は1坪あたり3~5万円が相場ですが、立地等によっても変わってきます。
建設費用については、どんなアパートを建てたいかによって上下するでしょう。いずれにしろ、アパート建て替えには大きなコストがかかります。

3-3.借金が増える

建て替え費用をすべて自己資金で賄うのは大変です。
資金調達のためにローンが増えてしまい、月々の利息返済額が増えるリスクもあります。
当初のローンを返済し終わったのに、再び借金しなければならないことはデメリットといえます。

これらのデメリットを抑えつつ建て替えを検討するには、まずは建て替えのプランを熟考することが必要です。相談には「HOME4U オーナーズ」をご利用ください。

4.アパート建て替えの流れ

アパートを建て替える場合の具体的な流れは以下のとおりです。

アパートの建て替えの流れ
  1. 建て替え後のプラン検討
  2. 建て替えの決定
  3. 立ち退き着手
  4. 立ち退き完了
  5. 取壊し
  6. 新築工事請負契約
  7. 新築アパート着工
  8. 新築アパート竣工

まず建て替え後のプランを検証し、良いプランがあれば建て替えを決定します。
複数のプランを検証してみて、良いプランがあれば建て替えを決定します。

建て替えが決定したら、具体的に着手することは立ち退きです。
立ち退きに関しては「6.立ち退きの手順と注意点」で詳しく解説します。

立ち退きを全て完了したら、取壊して更地にします。
同時並行で新築プランを詰め、請負工事会社との請負金額を確定していきます。

請負工事会社と金額が決まれば、請負工事契約を行い、新築工事の着工です。
新築工事が竣工すれば、建て替えは完了となります。

このように、建て替えには取壊し費用や立ち退き費用が発生してするため、やみくもに建て替えに着手するのではなく、建て替え後のプランがどのようなものになるか、はっきりさせた上で取り掛かることが重要です。

最初の段階では、幅広く可能性を検証し、会社は絞らず、複数の会社へ相談することがポイントです。

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5. アパート建て替えの費用と注意点

建て替えには「取壊し費用」「立ち退き費用」「建て替え費用」の3つの費用がかかります。

5-1. 取り壊し費用(解体費用)

木造アパートなら坪4~5万円、鉄骨造アパートなら坪6~7万円が目安です。

例えば、2階建で延床面積が100坪の木造アパートがあったとします。
この木造アパートの取壊し費用は400~500万円といったところです。
ただし、取壊し費用は新築工事費とは異なり、施工条件によって金額が大きく上下します

例えば、周囲が広く、重機が入りやすいような物件であれば取壊し費用は安めです。
一方で、狭い道路をクネクネ曲がった団地の奥にあるような敷地のアパートは、ガードマンも複数用意しなければならないため、解体工事費が高くなります。

施工条件の悪い物件では、木造アパートの取壊し費用でも坪7~8万円してしまう場合があります。
取壊し費用を下げるためには、必ず複数の解体会社から相見積を取り、交渉して価格を落とすという努力が必要になります。

「取壊し費用」で押さえておかなくてはならないのは、銀行からの融資を受けることができないという注意点です。現金で負担するにはかなりの高額となりますので、あらかじめ計画立てて用意しておく必要があるでしょう。

5-2. 立ち退き費用

立ち退き費用の相場は、賃貸アパートの場合、1戸あたり40万円~80万円程度が相場となります。

立ち退き費用は戸数が多いほど高くなっていくため、立ち退きの相手が多いとその分、金額もリスクも高まります。逆に言えば、建て替え費用の総額を抑えるためには、立ち退き戸数を可能な限り減らすことが対策となります。

また、立ち退き費用も取り壊し費用と同様に、銀行からの融資の対象とならないことにも注意が必要です。

立ち退きについて、詳しくは「6.立ち退きの手順と注意点」で詳しく解説します。

5-3. 建て替え費用

建て替え費用は、プランや着工時期により、費用が異なります。「HOME4U オーナーズ」を使ってプランを確認してみましょう。

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6. アパート立ち退きの手順と注意点

アパートの建て替えで最大のボトルネックとなるのは立ち退きです。
そこで次に立ち退きの手順と注意点について解説します。

立ち退きについては、こちらの記事でより詳しく説明しています。

6-1. 法律(借地借家法)における立ち退きとは

アパート等の賃貸物件で入居者との賃貸借契約を解除することを一般的に「立ち退き」と呼びます。
賃貸借契約における契約解除と立ち退きは同義と理解してください。

賃貸借契約には、普通借家契約と定期借家契約の2種類があります。

普通借家契約は、期間の定めのある建物の賃貸借契約で、契約の更新があるという特徴の賃貸借契約です。
それに対し、定期借家契約とは、期間の定めのある建物の賃貸借契約で、かつ契約の更新がない賃貸借契約のことを言います。

普通借家契約は、契約期間が満了すると借家人(借手)が契約を更新したいと言えば、契約を更新することができます。
それに対し、定期借家契約では、契約期間が満了する際、借家人(借手)が契約を更新したいと希望してもできない契約です。

アパートのような住宅の賃貸借契約の場合、普通借家契約で契約をしていることが多いです。
普通借家契約では、借主の立場が強力に守られているため、賃貸人から契約を解除したいといっても、簡単にすることはできません。

借地借家法では、借手の立場が強力に守られており、賃貸人からは契約を簡単には解除できないようになっています。

具体的には、普通借家契約における立ち退きに関する規定は、以下のように定められています。

借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

少し長い条文ですが、ポイントは「財産上の給付」と「正当の事由」という点です。
財産上の給付とは、いわゆる立退料のことを指します。
正当の事由とは、退去を申し出るにあたっての正当な理由のことです。

平たく言うと、「賃貸人から立ち退きを申し出る場合は、ちゃんとした理由があることと、立退料を払わないとダメですよ」という意味です。

6-2. 正当事由とは

では、どのような理由が正当事由として認められるのでしょうか。「古くなったアパートを建て替えたいから出ていってください」という理由だけでは正当事由にはなりません。

正式には借家契約の存続期間が満了する1年から6ヶ月前における更新拒絶の通知または解約の申入れに必要な要件を指します。

賃貸人(貸主)は、正当事由が具備されていなければ、更新拒絶の通知または解約の申入れをすることができません。
つまり、正当事由がなければ、「退去してください」と言うことができないというのが借地借家法の規定です。

正当事由の判断要素として、借地借家法第28条は以下の4つの条件を掲げています。

  1. 建物の使用を必要とする事情
  2. 建物の賃貸借に関する従前の経過
  3. 建物の利用状況及び建物の現況
  4. 財産上の給付

まずこの中で最も重要視されるのが「建物の使用を必要とする事情」です。
賃貸人(貸主)が自分で使う必要性があるかどうかという点が大きなポイントとなります。

このように貸主が自分で使う必要性を「自己使用の都合性」と呼んでいます。
正当事由があるかどうかは、まず、自己使用の都合性があるかどうかを軸に判断されます。

アパートを建て替えたいという理由は、自分で建物の使用を必要とする事情ではありません。
つまり単純にアパートを建て替えたいという理由は、自己使用の都合性が低いため、正当事由としてはとても弱いことになります。

ただし、正当事由の判断要素に「建物の利用状況及び建物の現況」というものがあります。
これは「建物の使用を必要とする事情」くらいには重要視されませんが、正当事由があるかどうかの判断基準の一つになります。

「建物の利用状況及び建物の現況」のなかで、「建物の現況」という言葉があります。
これは、例えば建物が耐用年数を過ぎており、腐朽、破損が甚だしく、早晩朽廃を免れない場合には、「建物の現況」に照らし、正当事由が認められると解されています。
つまり、今にも壊れそうな建物であれば、借主に対し「退去してください」と言えるということです。

しかしながら、実際には「今にも壊れそうなアパート」というのは少ないと思われます。
現実的には、今にも壊れそうというわけではないけれども、古いから建替えたいというレベルの建物がほとんどです。
日本の建築技術は高いため、木造アパートでも築30年を超えてもボロボロにはなりません。
このような建物は、朽廃にやや遠い建物と表現されます。

建物が朽廃にやや遠い場合には、正当事由として認めるために立退料の提供が考慮されます。
つまり、古くなったアパートを建て替えたい」というだけでは理由として弱いため、「立退料も提供したら正当事由として認めてあげますよ」と解釈されています。

立退料は、不足した正当事由を補完するための材料と言うことになります。

6-3. 立ち退きの流れ

立ち退きは原則、賃貸人本人がやらなければいけない業務です。
もし、自分以外に頼むとしたら、弁護士に依頼するしかありません
(弁護士以外の業者による代行は「非弁行為」として法律で禁じられています。)

立ち退きの方法には2つの方法があります。

【立ち退きの方法1】ストレートに賃借人に立ち退きを打診する

必ず契約解除を通知する旨の書面を合わせて提出することがポイントです。

立ち退きに際しては、後々裁判になる可能性もあります。
そのため、きちんと申し入れた証拠を残しておくことが重要です。
書面には日付を記入し、コピーを取って控えておきましょう。
書面で申し入れをした後は、「ざっくばらん」に賃借人(借主)と話すことが重要です。

賃借人(借主)との関係が良好であれば、多くの場合、すんなりと退去を了承してもらえることが多いです。

了承を得るポイント
  • 退去まで十分な時間を設けること
  • 立退料を支払う意思はあることをきちんと示すこと

退去までの時間は、最低でも半年以上は確保してあげましょう。
基本的には、なるべく揉めないように「お願い」のスタンスで臨みます。

古いアパートには、一人暮らしの高齢者が残っていることが多いです。
高齢者は、周辺のアパートの賃貸情報を知りません。
高齢者が引越しやすいように、近くのアパートで今よりも家賃の安い物件等の情報を提供してあげると話が進みやすくなります。

このようにストレートに立ち退きを打診する方法は、立退料は発生しますが、合意を得られれば解決の時間が最も早い方法です。
多くのアパートの建て替え現場では、このような賃貸人自らによる立ち退きを打診する方法が採用されています。

【立ち退きの方法2】普通借家契約を定期借家契約に切り替える

アパートのような居住用の建物では、普通借家契約が平成12年3月1日よりも後に締結されたものに関しては、定期借家に更改することができるとされています。

平成12年3月1日以前に締結した普通借家契約であれば、定期借家契約には切り替えられないため、話し合いによる立ち退きしかありません。

普通借家から定期借家に切り替えることができれば、立退料は発生しません
定期借家への切り替えは、店舗のような立退料が法外となるような物件の場合に良く用いられる手法です。
アパートの場合、話し合って解決してしまう方が早いため、使われるケースは少ないです。

定期借家に切り替える場合には、定期借家の契約期間の分だけ建て替えを先延ばしにすることになります。
定期借家の期間としても1~2年が目安になります。

立退料は支払わなくて済みますが、立ち退き完了までの期間が長くなるというデメリットがあります。
定期借家に切り替える交渉期間も必要となりますので、まずはストレートに立ち退きを打診する方法を優先的に考えることをおすすめします。

6-4. 立ち退きの注意点

立ち退きを実施するにあたり、注意したいことは「裁判は避ける」ということです。
立ち退きでは、賃借人と揉めてしまうと、最悪裁判に発展しかねません。裁判は、時間もお金もかかりますが、裁判を避けるべき理由はそれだけではありません。

裁判というのは、法律に照らし合わせて判断を下します。照らし合わせるのは「世間の常識」ではなく「法律」です。
ここで注意したいのが、立ち退きの裁判で、司法が判断の根拠とする法令は借地借家法という点です。

借地借家法は立法趣旨が「借家人保護」のための法律であり、守られるべきは賃借人(借主)であるという考えに基づいています。
そのため、例えば賃貸人(貸主)から裁判を起こしたとしても、司法は賃借人を擁護する立場になって判断します。
立ち退きの裁判においては、争点となるのは立退料の多寡です。

例えば、賃貸人が立退料は50万円と希望して、賃借人が立退料は300万円と要求した場合、立退料の判断は賃借人の主張である300万円に近い額で判決されるような傾向があります。

つまり、賃借人と賃貸人で裁判をした場合、賃貸人の立場は弱いということを理解しておく必要があります。

裁判をしたとしても、賃貸人にはほとんどメリットがありません。
そのため、立ち退きをする場合は、可能な限り話し合いで解決するように心がけるということがポイントです。

7.アパート建て替えを成功させるための3つのポイント

ここでは、アパートの建て替えを成功させるためのポイントをご紹介していきます。

7-1.事前のリサーチが重要

アパートの建て替えを計画する前に、周辺地域のリサーチが必要です。
地域で求められている入居者層はどのような世帯なのか、周辺のライバル物件はどのような間取りでどれくらいの家賃設定をしているか、入居率は高いか、入居者が入れ替わる平均的な期間はどれくらいかなど、建て替えたアパートでしっかり収益がでるように、ターゲットをしぼった計画につなげていきます。

7-2.収益が見込める建て替えを実行する

上述した通り、アパートの建て替えは地域のニーズに合っているか、ターゲット層が満足する物件かどうかが、その収益に大きく影響します。
ターゲットが求める設備を充実させるなど、空室対策を万全にして収益が見込める物件へと建て替えましょう。

例えば無料Wi-Fiの設置や宅配ボックスの設置などが挙げられます。
近年は、防犯対策やIT設備などの充実も物件の比較ポイントになる傾向があります。

防犯カメラの設置やオートロック、ディンプルキーなど、予算とのバランスを図りながら選択するとよいでしょう。

7-3.信頼できる会社に依頼する

信頼できる会社を見つけるためには、まずは複数の会社からアパート建築プランを取り寄せ、各メーカーが提示する建築プランをランニングコストや収支計画まで含めて比較することをおすすめします。

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経営プランを、複数取り寄せる

老朽化したアパートの建て替え以外にも、多くのオーナーの方々が知りたがっているアパート経営関連の情報について『アパート経営に関する記事一覧』にまとめています。

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