事業用定期借地権の特徴・メリット・デメリットを解説!契約期間の違いやネットで調べても出てこない地代・保証金の設定額・中途解約の取り扱い等も紹介します。

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公開日
2021年02月25日
変更日
2021/02/25
カテゴリ
記事, これから始める人向け, 収益改善

【土地活用】事業用定期借地権とは?メリットや注意点を解説

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【土地活用】事業用定期借地権とは?メリットや注意点を解説

土地オーナーとして提案を受け入れやすい活用方法の中に、「事業用定期借地権」があります。
事業用定期借地権は、地主側にメリットが多く、提案があれば是非とも前向きに検討したいところです。

一方で、せっかくの土地が長期間、借地事業で留まってしまうという見方もあり、事業用定期借地権を始めるにあたっては、しっかりとデメリットも認識しておくことが必要となります。

そこでこの記事では、「事業用定期借地権」の利用を検討している方に向け、活用例・デメリット・知っておくべき基本知識について紹介していきます。
ぜひ最後までおつきあいいただき、この記事の情報を有益な土地活用のためにお役立てください。

1.事業用定期借地権とは

最初に、「事業用定期借地権の概要」について解説します。

1-1.他の定期借地権との違い

定期借地権とは、期限が到来すれば確実に借地契約が終了する借地権のことです。
反対の概念として、普通借地権がありますが、普通借地は借地人(借りている人)の権利が強く守られており、更新拒絶をすることが難しい契約になります。

普通借地だと一旦土地を貸してしまうと半永久的に土地を取り戻せないという問題がありますが、定期借地であれば契約期間満了時に確実に土地を取り戻せるため、地主としては安心して土地を貸すことができます。

定期借地権には、「一般定期借地権」、「建物譲渡特約付借地権」、「事業用定期借地権」の3種類があります。
事業用定期借地権は、定期借地権の中の1つの分類という位置付けです。

事業用定期借地権と他の定期借地権との違いをまとめると下表のようになります。

項目 一般定期借地権
(法第22条)
建物譲渡特約付借地権
(法第24条)
事業用定期借地権
(法第23条)
存続期間 50年以上 30年以上 10年以上
30年未満
30年以上
50年未満
利用目的 限定なし 限定なし 事業用建物
(居住用は不可)
契約書式 公正証書の書面により契約 書面化は不要 必ず公正証書で契約する
借地関係の終了 期間満了により終了 建物譲渡の時点で終了 期間満了により終了
契約更新、終了時の建物とその利用関係等 以下の特約が可能
・更新しない
・建物再築に伴う存続期間の延長をしない
・建物買取請求権を行使しない
・建物所有権は、譲渡により土地所有者に移転
・借地権者が使用していれば借家関係に移行
・更新不可
・建物再築に伴う存続期間の延長不可
・建物買取請求は不可
以下の特約が可能
・更新しない
・建物再築に伴う存続期間の延長をしない
・建物買取請求権を行使しない

※「事業用定期借地権」には2つの期間があり、契約の更新などで相違点がありますが、「1-3.契約期間」で違いを詳しく解説します。

1-2.用途は事業用に限られる

事業用定期借地権の特徴は、用途が事業用に限られるという点です。
事業用定期借地権が利用できる建物用途は、店舗や事務所、工場、倉庫、ホテル等の居住用以外の建物になります。

例えば、借地上の建物がアパートや賃貸マンションのような居住用建物の場合、事業用定期借地権は利用できないということです。

居住用建物で借地事業を行う場合には、一般定期借地権、または建物譲渡特約付借地権を選択することになります。

ただし、居住用のような形に見えても「特定人が継続的に居住するものではない保養所」や「旅館」、「ホテル」などは一時的な居住のため、事業用定期借地権が利用できる建物となります。

一方で、「老人ホーム」や「グループホーム」、「従業員の寮」などは特定人が継続的に居住する施設となるため、事業用定期借地権は利用できないことになります。

老人ホームなどは、土地活用の世界では事業系の土地活用と認識されますが、事業用定期借地権ではできないということです。
老人ホームを借地事業で行う場合には、一般定期借地権、または建物譲渡特約付借地権のいずれかを選択することになります。

1-3.契約期間

事業用定期借地権の契約期間は、10年以上50年未満で契約することが可能です。
元々は、事業用定期借地権の契約期間は10年以上20年以下とされていましたが、2007年の借地借家法の改正により10年以上50年未満の期間設定が可能となりました。

2007年の改正によって、契約期間が「10年以上30年未満」の事業用定期借地権を「2項事業用定期借地権」、「30年以上50年未満」の事業用定期借地権を「1項事業用定期借地権」、と呼ぶようになっています。

「2項事業用定期借地権(10年以上30年未満)」は、次の規定が適用されないことが特徴です。

契約期間が10年以上30年未満の場合は以下の規定が適用されない。

  • 更新に関する定め
  • 建物再築およびこれによる存続期間延長の定め
  • 建物買取請求権に関する定め

一方で、1項事業用定期借地権(30年以上50年未満)であれば、次の特約を設けた場合は有効とするという点が特徴です。

契約期間が30年以上50年未満の場合は以下の特約が有効となる。

  • 契約の更新をしない
  • 建物の再築に伴う存続期間の延長をしない
  • 建物買取請求権を行使しない

1項事業用定期借地権は、ベースが普通借地権であって、契約の中で事業用定期借地権となる要素の特約を結ぶことではじめて事業用定期借地権のようになるという点が2項事業用定期借地権との違いです。

例えば、契約期間が30年未満の場合には、「事業用定期借地権」とだけ明記しておけば自動的に更新不可になりますが、契約期間が30年以上の場合には、契約条項に「更新不可」との特約がなければ普通借地権の規定が適用されてしまうことになります。

契約期間が30年以上50年未満の場合には、「法定更新の排除」、「築造による期間延長の排除」、「建物買取請求権の不行使」の全ての特約を定めることが必要です。

1-4.公正証書で契約することが必要

事業用定期借地権の大きな特徴は、契約書を必ず公正証書で契約しなければならないという点です。

まず、建物譲渡特約付借地権は書面化すら義務化されていないため、公正証書でなくても契約ができます。
次に、一般定期借地権は「公正証書の書面により契約」という表現で「等」が含まれていることから、公正証書でなくても契約が可能です。

一方で、事業用定期借地権だけは「公正証書で契約しなければならない」と定められているため、必ず公正証書で契約する必要があります。
公正証書によらない覚書や当事者の契約書では、事業用定期借地権の効力は認められません。

事業用定期借地権が公正証書でなければならない理由は、定期借地制度の濫用を防ぐことが目的です。

公証役場では、公証人による契約書の要件のチェックが行われます。
例えば建物が居住用と判断された場合には契約ができないこともあります。

2.事業用定期借地権の活用例

事業用定期借地権の活用例 街のミニチュア風イメージ

事業用定期借地権は、商業施設、倉庫、工場、ビジネスホテル等で利用されています。
特に、ロードサイド型の店舗で利用されることが多いです。

ロードサイド型店舗では、ホームセンターやドラッグストア、ファミレスあたりの業種で良く利用されています。

ホームセンターが多い理由としては、建物規模が大きいため、敷地が複数地権者にまたがることが多く、借地の方が出店しやすいという点が挙げられます。

コンビニでも事業用定期借地権の例はありますが、コンビニはロードサイド型店舗としては敷地が小さく、単独地権者が多いことから事業用定期借地権ではなく建設協力金方式で出店する方が多くなっています。

建設協力金方式とは、テナントが建物資金を地主に融資して、地主が建物を建てる方式の土地活用です。

3.事業用定期借地権のメリット

この章では、事業用定期借地権のメリットについて解説します。

主なメリットは以下の3つとなります。

(1)撤退リスクが低く収益が安定している
(2)建物投資が不要である
(3)建物修繕も不要で管理の手間もかからない

それぞれ順番に見ていきましょう。

3-1.撤退リスクが低く収益が安定している

事業用定期借地権のメリットは、撤退リスクが低く収益が安定しているという点です。
借地人(借主)は自ら建物投資を行ってまで土地を借りるため、そう簡単には撤退をしません。
また、事業用定期借地権の地代は、他の借地事業と比べて高い傾向にあり、収益も安定しています。
地代は家賃よりも変動は少ない傾向にあります。

3-2.建物投資が不要である

建物投資が不要である点も事業用定期借地権のメリットです。
借地事業ですので、地主は投資を伴わず、いきなり地代収入が得られます。
また、特に建物投資のための借入金も発生しないことから、借入金の返済リスクもありません。

3-3.建物修繕も不要で管理の手間もかからない

借地事業では、地主は建物所有者ではないため、建物修繕も不要で管理の手間もかからないという点がメリットです。
建物修繕対応は、建物所有者である借地人(借主)が行います。
必要な管理もほとんどないことから、管理会社も不要であり、維持費としては土地の固定資産税および都市計画税が発生する程度です。

4.事業用定期借地権のデメリット

この章では、事業用定期借地権のデメリットについて解説します。
主なデメリットは、以下の3つです。

(1)借家事業よりも収入は低い
(2)用途が事業用に限られている
(3)事業者が倒産したときの対応がしにくい

それぞれ順番に見ていきましょう。

4-1.借家事業よりも収入は低い

一般的に、地代は家賃よりも低い水準にあるため、建物を貸す借家事業よりも収入は低いという点が事業用定期借地権のデメリットです。
事業用定期借地が行われるような土地は、立地の良い土地が多いため、借家事業も十分にできるケースがよくあります。
借家事業で大きな収入を得られるチャンスを捨てているという見方もでき、判断には迷うところです。

4-2.用途が事業用に限られている

用途が事業用に限られているという点が事業用定期借地権のデメリットです。
住宅用途ができないため、例えば借地人の事業が途中で上手く行かなくなった際、建物用途を住宅に変更するようなことができません。
また、一部に条例で住宅が付加されたようなホテルなども、住宅があるがゆえに事業用定期借地権が利用できないことがあります。

4-3.事業者が倒産したときの対応がしにくい

事業用定期借地権は、契約期間中に事業者が倒産したときの対応がしにくい点がデメリットです。
事業者が倒産した場合、土地の上に倒産した会社の建物が残ることになります。
勝手に処分することができないため、法的な手続きも必要であり、取り壊し費用も事実上地主が負担することが多いです。
事業用定期借地契約を締結する場合には、借地人(借主)の経済的な与信を十分に確認することがポイントとなります。

5.事業用定期借地権の地代

事業用定期借地権の地代は、「相当地代」を目安にして決まることが一般的となっています。
相当地代とは、地代の定価のような意味の言葉です。

相当地代は、年間地代の額が「更地価格の6%程度」とされています。
更地価格には、時価や地価公示価格、相続税路線価、固定資産税評価額等の様々な価格が存在しますが、何を更地価格とするのかの明確な定めはありません。

時価の6%でも構わないのですが、時価は求めるのが面倒なため、実務上は「相続税路線価で求めた更地価格の6%」とすることが多いです。

例えば、以下の条件で相当地代を計算してみます。

(条件)
相続税路線価:500千円/平米
土地の面積:1,500平米

(計算例)

更地価格 = 相続税路線価 × 土地の面積
     = 500千円/平米 × 1,500平米
     = 750百万円

相当地代 = 更地価格 × 6%
     = 45百万円

月額地代 = 45百万円 ÷ 12ヶ月
     = 375万円

事業用定期借地権の地代は必ずしも相当地代としなければならないものではなく、相当地代は一つの目安に過ぎないという点がポイントです。
最終的には、周辺の時代相場や事業の収益性を加味しながら決まることになります。

一方で、普通借地権の設定時に見られるような「固定資産税の3倍程度」といった地代は、定期借地権としては低過ぎる地代といえます。
固定資産税の3倍というのは、定価である相当地代に比べると、かなり低廉な地代に該当します。

定期借地権では、安く借りられる「借り得」は生じないことが一般的であることから、定価である相当地代が目安となるのです。

6.事業用定期借地権の保証金

事業用定期借地権では、慣行として借地人(借主)から保証金の差し入れがあることが一般的です。

保証金は預り金的性格を有する一時金であり、地代の不払い等がなければ契約満了時に借地人へ返還しなければならない金銭となります。

一方で、普通借地では借地権の設定時に慣行として権利金の差し入れがあります。
権利金は前払い的性格を有する一時金であり、契約が終了しても返還する必要のない金銭です。

事業用定期借地権は、権利金ではなく、保証金をもらうという点がポイントとなります。

保証金の相場は、地代の6ヶ月程度が多いです。
保証金の額に特に決まりはありませんが、地主が個人の場合、保証金を預かり過ぎると相続が発生した場合に相続人(引き継いだ人)が保証金を返せないという問題もあります。

事業用定期借地権は、契約期間が長いため、契約期間中で地主が代替わりしてしまうことがよくあります。

相続が発生すると、親は実際に保証金を預かっているのに、子は実際には保証金を預かっていない状況が発生します。

相続直後にすぐに契約期間が満了するようなことが生じると、子は自分の貯金を切り崩して保証金を返還しなければならないような事態となります。

そのため、契約期間が長い借地事業では、相続によって保証金を預り過ぎることのリスクが存在します。

保証金は借地人の債務不履行を担保するためのものであるため、本来的には建物取り壊し費用相当額程度は欲しいところです。

建物取り壊し費用を預かっておけば、仮に借地人が破たんしたとしても、保証金で残った建物を取り壊すことができます。

ただし、建物取り壊し費用相当額まで保証金を預かってしまうと、多額過ぎて将来相続人が返還できない恐れも生じます。

よって、実務上は、多額の保証金を預かっているケースは少なく、保証金の相場は一般的には地代の6ヶ月分、高くても12ヶ月分程度であることが多いのです。

7.事業用定期借地権の中途解約

事業用定期借地権の中途解約は、原則としてできないことになっています。
まず、地主からの中途解約権は無効です。

一方で、借地人(借主)からの中途解約は、特約があればできることになっています。
逆に、事業用定期借地契約の中で中途解約の特約がなければ、借地人からも中途解約はできないことになります。

中途解約の特約がない場合、借地人は理由の如何を問わず、定められた期限まで賃料の支払義務を負うということです。
経営不振で事業に行き詰ってしまった場合や、火災で建物が滅失した場合でも借地人からの申出はできないとなっています。

そのため、昨今におけるほとんどの事業用定期借地契約では、中途解約条項が盛り込まれているのが一般的です。

中途解約条項を設けた場合、ペナルティ(違約金)をいくらにするかが問題となります。
ペナルティは一般的には保証金を全額放棄するというのが多いです。

また、中途解約条項では、ペナルティだけでなく賃貸借の開始から中途解約を禁止する期間制限を設けることもよくあります。
期間制限は5年程度とすることが多いです。

まとめ

いかがでしたか。
「事業用定期借地権」を利用した土地活用を検討している方に向けて、基本知識や注意点などを解説してきました、

事業用定期借地権とは、事業専用の建物を所有することを目的とした定期借地権のことです。
事業用定期借地権だけは、他の定期借地権とは異なり、必ず公正証書で契約する必要があります。

事業用定期借地権は、「建物投資が不要である」等がメリットです。
一方で、「事業者が倒産したときの対応がしにくい」が主なデメリットとして挙げられます。
保証金については、相続の可能性や倒産および中途解約リスクを勘案して決定することが必要です。

事業用定期借地権は、特約がない限り、借地人からの中途解約はできません。
中途解約条項を設ける場合には、ペナルティや期間制限等を十分に考慮して契約を締結することがポイントです。

この記事で得た情報をしっかり踏まえて、どのような土地活用が自分に向いているのか、後悔のない判断をしてください。

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