ベリーベスト法律事務所の弁護士先生に立ち退き交渉について説明していただきました。

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更新日
2020.12.25
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テナントが家賃滞納!?立ち退き交渉の流れや注意点を弁護士が解説

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弁護士、税理士、弁理士、司法書士ベリーベスト法律事務所

当事務所は、不動産等それぞれ専門分野を有する弁護士と、タックスプランニングから資金調達まで経験豊富な税理士、弁理士、司法書士、社会保険労務士等の有能で活気ある専門家の集団です。

テナントが家賃滞納!?立ち退き交渉の流れや注意点を弁護士が解説

大家にとって空室の次に頭を悩ませる問題は、テナントの賃料未払いでしょう。テナントの家賃滞納が生じた際、未払い賃料を督促するのが通常です。

しかし、それでもテナントが支払いに応じてくれない場合、立ち退き交渉を進めることも考えなくてはなりません。本記事では立ち退き交渉を進める際の流れや注意点について詳しく解説していきます。

1.家賃滞納に悩む大家からの相談は増えている

テナント(賃借人)が家賃を滞納し、未払い家賃の回収や物件からの立ち退き(明け渡し)を求めたいという大家(賃貸人)からの弁護士への相談は、近年増加傾向にあるように感じます。

テナントが家賃を滞納する理由はさまざまですが、経済的な余裕がなくなり家賃滞納に至る場合がもっとも多いと考えられます。最近ではコロナウイルスの感染拡大の影響で、収入が減るなどして家賃滞納に至っているケースも多いようです。

また、相談が増加している理由としては、大家側の意識の変化も影響していると考えられます。家賃滞納を理由に立ち退きを求める場合、以前は無断で鍵を変えるなどの強硬的な手段に出る大家も少なくなかったようです。しかし、近年では、コンプライアンス意識が高まり、法的に問題のない形で立ち退きを求めたいという要望も増えていることも相談増加の理由として考えられます。

では、実際、家賃滞納を理由にテナントに物件からの立ち退きを求めることができるのか、どのような条件が整えば立ち退きの請求が認められるのか説明していきます。

2.家賃滞納を理由に立ち退きを求めることはできる?

2-1.結論:立ち退きの請求は可能

家賃の滞納が3か月程度となった段階で、未払い家賃を支払うよう督促をしても支払いがされない場合には、多くの場合、立ち退きが認められることになります。
詳細については以下で説明していきます。

2-2.賃貸借契約について

物件を貸している場合、大家には、テナントに物件を使わせる義務があります。そのため、その義務に反して立ち退きを求めるためには、元となっている賃貸借契約を解除する必要があります。
これは意外に簡単なことではありません。賃貸借契約には契約期間が定められていることが大半ですが、その期間内には原則として契約を解除することはできません。さらに、期間の満了の1年前から6か月前までの間に更新をしないことを通知しない限り、契約期間は自動的に延長されてしまいます

2-3.立ち退きの請求が可能な理由と基準となる家賃滞納期間

しかしながら、テナントが家賃を滞納した場合には、立ち退きを求めていくことが可能です。
そもそも、賃貸借契約は、テナントに対して、大家に家賃を払うという義務を課すものです。そして、その義務を果たさなければ、大家側は、賃貸借契約を解除することができ、立ち退きを求めることが可能なのです。この場合には、契約期間は問題となりません。

ただし、賃貸借契約は、生活の拠点となる家や仕事の拠点である事業所として利用されていることも多いため、立ち退きを強制されることによるテナントの負担が大きいのも事実です。家賃の支払いが1日でも遅れてしまえばその時点で賃貸借契約が解除されてしまい、立ち退きが認められるとすれば、さすがにテナントにも酷ではないでしょうか。

そのため、家賃滞納を理由とする賃貸借契約の解除は、滞納額やそれまでの滞納の状況などを踏まえ、大家とテナントとの信頼関係が破壊されてしまっていると認められる場合に認められます。そこで、滞納金額が少ない間は、信頼関係が破壊されていないため、賃貸借契約の解除ができず、立ち退きの請求が認められないという場合があります。一般的には、3か月程度の滞納が立ち退きを認める基準とされています

2-4.賃貸借契約解除するには?

実際に賃貸借契約を解除する場合には、未払いになっている家賃について、相当な期間を定めて督促(催告)した上で、それでも家賃が支払われない場合に初めて賃貸借契約を解除することができます。このルールは、契約書に、「1か月分の家賃が支払われなかったときは、何らの催告なしに契約を解除することができる」などと書かれている場合であっても、基本的には変わりません。

2-5.立ち退き交渉が難しい場合とは?

大家側の管理に不備があった場合に、それが原因で契約の解除や立ち退きが認められない場合があります。たとえば、大家側の問題で、物件に水漏れが生じてしまい部屋が使用できないような状態になった場合、家賃の減額や家賃の免除がされる場合があります。このような状態の場合、一見家賃の未払いがあるように思えても、法律的には家賃の滞納が認められず、立ち退きも認められない場合があります。
そのため、大家や管理会社としても、きちんとした物件の管理をしておく必要があります。

3.管理会社がいる場合、いない場合の立ち退き交渉の流れや留意すべき点

管理会社がいる場合、物件の管理や、家賃の管理、家賃滞納の場合の督促などを一手に任せることができます。管理会社がいない場合には、それらの管理をすべて大家自身が行う必要があります。
そういった意味では、管理会社が入ることで、大家の負担は大幅に軽減されることが多いでしょう。そのため、複数の物件やテナントを抱えている方や、他に本業のあるいわゆる兼業大家の方であれば、管理会社をいれることを検討することをおすすめします。

管理の仕方や方法については、管理会社によってさまざまです。実際にどのような形で管理を行ってくれるのかは、管理会社を選ぶ際の重要なポイントとなるでしょう。

ただし、立ち退きの交渉について、管理会社に行ってもらう場合には注意が必要です。法律上、報酬を得る目的で法律事件について法律事務を取り扱うことを業とすることは弁護士にしか許されないとされています。そのため、管理会社が家主の代理人として立ち退き交渉を行うことは、法律違反になってしまう危険があります(非弁行為といいます)。

4.テナントの家賃滞納トラブルについて弁護士に相談すべきケースとは?

家賃を長期間滞納しているテナントがあり、催促をしても支払ってくれず、かつ、出て行ってくれる様子もない。そのようなケースでは専門家である弁護士に相談するべきでしょう

弁護士であれば、テナントに対する立ち退きの交渉はもちろん、それでも解決しない場合には、裁判を起こし、最終的には強制執行手続きによってテナントを強制的に立ち退かせる手続きまで対応することが可能です。

テナントが家賃を滞納しているからといって、無断で鍵を交換して物件を使用できないようにしたり、勝手に物件内の荷物を処分してしまったりということ(自力救済といいます)をすると、きっかけが家賃滞納というテナントの責任であっても、逆に大家の方が損害賠償請求をされてしまう危険もあります。そのため、テナントが立ち退きに応じない状況で、専門家のアドバイスなしに自分の判断で動いてしまうことにはリスクがあります。

家賃を滞納したまま、真摯(しんし)な対応をしてくれないテナントに対しては、専門家に相談し、法律的に正しい対処をすることが必要です。

5.まとめ

テナントの家賃滞納があった場合に、滞納家賃の督促や立ち退きの交渉をしたいと考えたときには、本記事を参考にしていただければと思います。その上で、必要に応じて、専門家である弁護士に相談しましょう。

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所属 
職業 弁護士、税理士、弁理士、司法書士

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