木造の減価償却は間違った知識がネット上に蔓延しています。耐用年数は実は居住用と業務用で違います!それぞれの相違点や、誤解の多い中古物件の計算方法などを正しく紹介します。

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更新日
2023.09.29
カテゴリ
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木造の減価償却や耐用年数を解説!居住用と業務用の違いに注意!

木造の減価償却や耐用年数を解説!居住用と業務用の違いに注意!

「木造アパートの経営」や「一戸建ての売却」において、「木造の減価償却」の知識が求められることがあります。

耐用年数と減価償却の計算方法は、居住用(非業務用)と業務用では異なるため、まずは自分が知るべき知識を把握した上で情報を調べる必要があります。

そこでこの記事では、「木造の減価償却」に関する基礎知識をわかりやすく紹介していきます。

法定耐用年数や、居住用と業務用の減価償却の計算方法の違い、木造の中古物件を購入したときの減価償却の計算方法などがわかるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。

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STEP1
STEP2

1.木造建物の減価償却と法定耐用年数

最初に、木造建物の減価償却と法定耐用年数の基礎知識について解説します。

1-1.減価償却とは

減価償却とは、土地以外の取得原価をその使用する各期間に費用として計上し、固定資産の価値を減少させていく計算手続きのことです。
減価償却の計算手続によって生じる費用のことを減価償却費と呼びます。

減価償却は、現実の建物価値とは異なり、あくまでも会計上の考えに基づき機械的に行う計算です。

まず、会計上、土地は年数が経過しても価値が下がらないと考えます。
現実には、土地は景気が悪くなると値下がりしますが、会計上は土地の価値はずっと変わらないという考え方を採用しています。
よって、土地の減価償却計算は不要です。

一方で、会計上、建物は年数が経過すると価値が下がると考えます。
実際には十分使える建物であっても、会計上は建物の価値は少しずつ目減りしていくという考え方を採用しています。
よって、購入した建物の資産価値を下げるために、建物は減価償却計算を行う必要があるのです。

減価償却とは

減価償却費は、建物資産を減らすために発生する会計上の「つじつま合わせの費用」となります。

例えば、100万円の現金を持っている人が、毎年10万円ずつのお金を費用として使うと、現金という資産が10万円ずつ減っていきます。
つまり、「費用を計上すると資産が減る」という法則があります。

一方で、100万円の資産価値がある建物を、毎年10万円ずつ減らしたいとします。
建物価値を減らす理由は、建物は会計上、年数が経過すると価値が下がると考えているためです。

「費用を計上すると資産が減る」という法則があることから、つじつま合わせで10万円という費用を計上すれば建物価値を減らすことができます。
このつじつま合わせの費用が減価償却費に該当します。

減価償却費は、あくまでも建物価値を減らすという会計上の考え方を実現するために生じた計算上の費用です。
費用という名称は付いていますが、実際に支出が伴うわけではなく、計算上生じているだけの数字である点がポイントです。

1-2.居住用と業務用の法定耐用年数の違い

木造の法定耐用年数は、居住用(非業務用)が「33年」、業務用が「22年」です。
木造およびその他の構造の居住用と業務用の法定耐用年数は下表の通りです。

構造 居住用 業務用
木造 33年 22年
木造モルタル 30年 20年
鉄骨造(3mm以下) 28年 19年
鉄骨造(4mm超) 40年 27年
鉄筋コンクリート造 51年 34年
鉄骨鉄筋コンクリート造 70年 47年

 

居住用(非業務用)とは、マイホームや別荘、相続した実家等の事業の用に供していない建物のことを指します。

一方で、業務用(事業用)とは、木造アパートや戸建て賃貸、店舗、事務所等の事業の用に供している建物のことです。

居住用の法定耐用年数は、業務用の法定耐用年数の1.5倍に設定されており、居住用建物はゆっくりと時間をかけて償却できるようになっています。

居住用と業務用の法定耐用年数の違い

居住用の法定耐用年数が長いのは、政策的な配慮によります。
居住用の法定耐用年数を長くすることで、個人がマイホーム等を売却したときになるべく税金を発生させないようにすることが理由です。

個人が不動産を売却したときは、譲渡所得が生じると税金が発生します。
譲渡所得とは、以下の計算式で求められるものです。

譲渡所得 = 譲渡価額※1 - 取得費※2 - 譲渡費用※3

※1譲渡価額とは売却価額です。
※2取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費など、売却に要した費用のことを指します。

土地は購入額ですが、建物は購入額から減価償却費を控除した価額となるため、以下のような計算式で求められます。

取得費 = 土地購入価額 + (建物購入価額 - 減価償却費)

居住用の不動産は耐用年数が長いことで、時間が経っても建物の資産価値が減りにくくなっています。
同じ築年数でも事業用よりも居住用の方が取得費は大きく残るため、居住用の方が譲渡所得は小さくなります。

税金は譲渡所得に税率を乗じて求めることから、譲渡所得が小さくなる居住用の方が税金も少なくなるという仕組みです。

個人がマイホームを売却した際、多額の税金が生じてしまうと負担が大きいため、政策的配慮によって居住用は業務用よりも耐用年数が1.5倍長く設定されています。

1-3.物理的耐用年数と経済的耐用年数との違い

耐用年数には、法定耐用年数以外に「物理的耐用年数」と「経済的耐用年数」と呼ばれるものがあります。
それぞれの意味は下表の通りです。

耐用年数の種類 意味
法定耐用年数 減価償却費を計上できる会計上の期間のことです。建物構造によって法律で年数が定められています。
物理的耐用年数 経年劣化や自然損耗等により、物理的に建物が利用できなくなる年数のことを指します。建築技術の向上により物理的耐用年数は長期化しています。
経済的耐用年数 経済的価値が生じている期間の年数になります。物理的に利用できても、デザイン性や仕様が古くなることで価値がなくなる年数のことを指します。

 

木造建物の法定耐用年数は業務用で22年ですが、物理的耐用年数は一般的には40~50年程度になります。
ただし、古民家が存在するように築100年以上であっても利用できる木造建築は多いです。

木造一戸建て住宅の経済的耐用年数は、一般的には25年となります。
不動産会社は築25年で建物価値をゼロ円と査定することが多いです。
銀行は、木造建物の担保価値を築20年でゼロ円と評価します。

また、木造住宅は、築20年を超えると購入者が住宅ローン控除や登録免許税の軽減等を利用できなくなることから、築20年で市場価値が大きく下がります。

2.減価償却方法には2種類ある

この章では、「減価償却方法」について解説します。

2-1.居住用建物の減価償却方法

居住用建物の減価償却は、以下の計算式を用います。

減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

木造の場合、償却率は耐用年数が33年に相当する「0.031」を用います。
経過年数は、築年数ではなく、所有期間のことです。
経過年数の計算ルールは、6ヶ月以上の端数が出た場合は1年と計算し、6ヶ月未満の端数が出た場合は切捨てとなります。

(償却期間の計算例)
1996年3月~2019年6月・・・23年3ヶ月は「23年」として計算
2001年2月~2019年10月・・・18年8ヶ月は「19年」として計算

経過年数は築年数ではなく所有期間であるため、例えば築15年の中古住宅を購入し、5年間保有した場合には経過年数は20年ではなく「5年」で計算するということです。

また、建物価値はゼロ円まで償却はされず、「建物購入額の5%」となる部分で減価償却計算は止めて良いことになっています。

居住用建物の減価償却方法

「0.031」の償却率を用いると、「建物購入額の5%」となるには「34年+α」の期間の償却が必要です。

居住用の場合、「建物購入額の5%」となるまで償却するため、法定耐用年数の「33年」よりも少し長い期間の間で減価償却を行うことになります。

建物取得費が「建物購入額の5%」まで達すると、後は何年経過しても建物取得費は「建物購入額の5%」のままであり、それ以上、減価償却によって建物取得費を減らす必要はありません。

居住用の場合、「建物購入額の5%」を残価として残すことで、古い建物でもなるべく税金を生じないように配慮がなされているのです。

2-2.業務用建物の減価償却方法

2007年(平成19年)4月1日以降に取得した業務用建物は「新定額法」と呼ばれる計算方法により減価償却計算が行われます。

また、2016年(平成28年) 4月1日以降に取得した建物付属設備および構築物については、定率法と呼ばれる償却方法が廃止され、定額法に一本化されています。
よって、この節では新定額法に絞って計算方法を解説します。

業務用建物の減価償却方法(新定額法)は以下の通りです。

減価償却費 = 建物購入価額 × 償却率 × 業務に供された月数 ÷ 12

新定額法では、耐用年数に応じて下表の償却率を利用することが定められています。
業務用の木造の新築建物の法定耐用年数は22年であったことから、新築建物であれば「0.046」を用います。

【新定額法の償却率】
耐用年数 償却率 耐用年数 償却率 耐用年数 償却率 耐用年数 償却率
16 0.063 31 0.033 46 0.022
2 0.500 17 0.059 32 0.032 47 0.022
3 0.334 18 0.056 33 0.031 48 0.021
4 0.250 19 0.053 34 0.030 49 0.021
5 0.200 20 0.050 35 0.029 50 0.020
6 0.167 21 0.048 36 0.028 51 0.020
7 0.143 22 0.046 37 0.028 52 0.020
8 0.125 23 0.044 38 0.027 53 0.019
9 0.112 24 0.042 39 0.026 54 0.019
10 0.100 25 0.040 40 0.025 55 0.019
11 0.091 26 0.039 41 0.025 56 0.018
12 0.084 27 0.038 42 0.024 57 0.018
13 0.077 28 0.036 43 0.024 58 0.018
14 0.072 29 0.035 44 0.023 59 0.017
15 0.067 30 0.034 45 0.023 60 0.017

 

業務用の不動産の場合、減価償却は建物価格が1円になるまで行われます。

業務用建物の減価償却方法

居住用には建物の残価を「建物購入額の5%」は残せるという政策的な配慮がありましたが、業務用建物に関しては政策的な配慮はなく1円まで償却することになります。

つまり、業務用建物の方が売却時の取得費が小さくなり、譲渡所得が大きく計算されて税金も高くなるということです。

同じ築年数であっても、例えば「マイホーム」よりも「戸建て賃貸」を売却した方が、売却時の税金は高くなる傾向にあります。

~物理的・経済的耐用年数の長い木造アパートを建てる方法~

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3.木造の中古物件を購入したときの減価償却方法

木造の中古物件を購入したときの減価償却方法 積み上げたコインとミニチュア住宅模型この章では、木造の中古物件を購入したときの減価償却方法について解説します。

3-1.居住用建物の計算方法

居住用建物の場合には、新築を購入しても中古を購入しても減価償却は同じ計算方法を用います。

計算式は以下のものを用い、木造の場合、償却率は新築であっても中古であっても「0.031」を用います。

減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

居住用建物では、購入時に築何年目であろうと関係なく、購入した時点から法定耐用年数33年に相当する償却率の「0.031」を用いて「建物購入額の5%」となるまで償却できることになっています。

居住用建物の計算方法

居住用建物の場合は「税金をなるべく生じさせない」という配慮があることから、本来の会計上の減価償却の概念とは異なる計算方法となっています。

本来の会計上の減価償却は、「築年数」が古くなるほど価値が下がるという概念がベースとなっていますが、居住用建物の場合、過去の築年数は全く考慮がなされずに新築と同じ計算方法が行われます。

居住用建物の経過年数は築年数ではなく所有期間ですので、築何年の中古建物であっても、木造であれば「0.031」の償却率を用いて単純に所有期間で減価償却計算を行うことになります。

3-2.業務用建物の計算方法

中古アパートのような中古の業務用建物は、一定の築年数が経過しているため、あと何年の耐用年数が残っているか残存する耐用年数を求めることが必要です。
残っている耐用年数のことを残存耐用年数と呼びます。

残存耐用年数の求め方には、「法定耐用年数を満了しているケース」と「法定耐用年数を満了していないケース」で異なる計算方法を用います。

それぞれの耐用年数の求め方は下表のとおりです。
業務用建物の木造は法定耐用年数が22年ですので、22年が計算の基準となります。

経過年数の状況 求め方
法定耐用年数を満了しているケース 法定耐用年数 × 0.2
法定耐用年数を満了していないケース 法定耐用年数-経過年数+経過年数×0.2

 

例えば築25年の中古木造アパートを購入したときは、「法定耐用年数を満了しているケース」に該当します。
それに対して、築15年の中古木造アパートを購入したときは、「法定耐用年数を満了していないケース」に該当するということです。

築25年の木造物件を購入したときの耐用年数は以下のようになります。

木造中古物件の耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2
            = 22年 × 0.2
            ≒ 4年(端数は切り捨て)

また、築15年の木造物件を購入したときの耐用年数は以下のとおりです。

木造中古物件の耐用年数 = 法定耐用年数 - 経過年数 + 経過年数 × 0.2
            = 22年 - 15年 + 15年 × 0.2
            = 22年 - 15年 + 3年
            = 10年

耐用年数を求めたら、以下の償却率表に基づき、耐用年数に対応する償却率を用います。

【新定額法の償却率】
耐用年数 償却率 耐用年数 償却率 耐用年数 償却率 耐用年数 償却率
16 0.063 31 0.033 46 0.022
2 0.500 17 0.059 32 0.032 47 0.022
3 0.334 18 0.056 33 0.031 48 0.021
4 0.250 19 0.053 34 0.030 49 0.021
5 0.200 20 0.050 35 0.029 50 0.020
6 0.167 21 0.048 36 0.028 51 0.020
7 0.143 22 0.046 37 0.028 52 0.020
8 0.125 23 0.044 38 0.027 53 0.019
9 0.112 24 0.042 39 0.026 54 0.019
10 0.100 25 0.040 40 0.025 55 0.019
11 0.091 26 0.039 41 0.025 56 0.018
12 0.084 27 0.038 42 0.024 57 0.018
13 0.077 28 0.036 43 0.024 58 0.018
14 0.072 29 0.035 44 0.023 59 0.017
15 0.067 30 0.034 45 0.023 60 0.017

 

築25年の物件の残存耐用年数は4年でしたので「0.250」を用います。
また、築15年の物件の残存耐用年数は10年でしたので「0.100」を用いるということです。

それぞれの償却率を求めたら、以下の業務用建物の減価償却計算の式で減価償却費を計算します。

減価償却費 = 建物購入価額 × 償却率 × 業務に供された月数 ÷ 12

業務用建物は、居住用建物とは異なり、過去の築年数を引きずるという点がポイントです。
業務用建物の減価償却方法は、築年数が経過すると価値が下がるという本来の会計上の減価償却の概念と近いといえます。

まとめ

いかがでしたか。
「木造の減価償却」について、基本的な知識を解説してきました。

木造の法定耐用年数は、業務用が22年、居住用(非業務用)が33年です。
減価償却の計算方法は、居住用建物と業務用建物では異なります。
居住用建物は、売却時になるべく税金を発生させないとする政策的な配慮から、耐用年数も長く、残価も5%残せるようになっている点が特徴です。

中古物件を購入した場合、居住用不動産は新築物件と計算方法が同じですが、業務用建物は耐用年数を求めることから始めます。

「居住用」と「業務用」の違いを、しっかり押さえて理解することがポイントとなります。

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