アパートを新築する際、利回りをできるだけアップするにはどうしたら良いか、手順を解説します。収益性の高いアパート経営を実現したい方はぜひお読みください!

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更新日
2024.07.29
カテゴリ
アパート経営, 記事

新築アパート経営の利回りは?相場と上げる方法を解説!

新築アパート経営の利回りは?相場と上げる方法を解説!

土地をお持ちの方でも、アパートを新築するとなると「利回り」は気になるもの。

利回りが低くなっていくと、「この利回りで本当に大丈夫なのか」と不安になってしまうことも正直なところです。

この記事では、「土地活用でアパートを新築しようか迷っている方」に向けて、

  • 新築アパートの利回りの相場
  • 新築アパートの利回りを上げる方法

について解説していきます。

少しでも収益性の高いアパート経営を実現するための足掛かりにしてください。

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STEP1
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1.新築アパートの利回り相場

アパート経営の「利回り」とは、 「アパート経営をするために投資したお金に対して、どのくらいの利益が得られるかを数値化したもの」 です。
つまり利回りが高いほうが収益力のあるアパートということになります。
新築アパートの実質利回りは一般的に2%~5%程度になる傾向 があります。

実質利回りとは、家賃収入から固定資産税や保険料、修繕費等の支出を差し引いた純収益を投資額で割って求めた利回りのことです。
実質利回りのメリットは、物件の収益力の実態がわかるという点で、デメリットは簡単に計算できない点となります。
利回りには「実質利回り」のほかに「表面利回り」という種類があります。以下で土地持ちの人が新築アパートを建てた場合を例に表面利回りについて解説します。

2.【土地持ちの人】新築アパートの表面利回り

「土地持ちの人が新築アパートを建てて経営する場合」の表面利回りの相場を説明します。

表面利回りとは、年間家賃収入を投資額で割って求めた利回りのことです。

アパート経営は元々土地を持っている人が行うことが多いです。そのためここでは投資額に土地価格を含めないことを基本とします。

表面利回りの求め方は以下の通りです。

表面利回り = 年間賃料収入 ÷ 建物投資額

表面利回りのメリットは、計算が簡単で分かりやすいという点です。
一方で、デメリットは、年間支出が全く考慮されておらず、実態がわからないという点になります。

表面利回りの相場は下表の通りです。

なお、この記事では以降の解説をわかりやすくするため、表面利回りの相場を記載しています。実際にアパート経営をする際は、ここから経費を引いて、実質利回りで計算しましょう。

都道府県 ワンルーム 2DK 3LDK
月額平均家賃(円) 年額賃料単価(円/坪・年) 利回り(%) 月額平均家賃(円) 年額賃料単価(円/坪・年) 利回り(%) 月額平均家賃(円) 年額賃料単価(円/坪・年) 利回り(%)
北海道 43,730 69,390 6.9% 53,121 52,682 5.9% 65,101 39,731 4.4%
青森県 44,310 70,310 7.0% 49,445 49,036 5.4% 55,744 34,020 3.8%
秋田県 41,078 65,182 6.5% 49,682 49,271 5.5% 61,974 37,823 4.2%
岩手県 47,812 75,867 7.6% 52,070 51,640 5.7% 57,055 34,821 3.9%
山形県 40,541 64,330 6.4% 53,551 53,108 5.9% 59,123 36,083 4.0%
宮城県 48,876 77,555 7.8% 56,754 56,285 6.3% 66,796 40,766 4.5%
福島県 44,958 71,338 7.1% 52,294 51,862 5.8% 58,069 35,439 3.9%
群馬県 41,758 66,261 6.6% 48,592 48,190 5.4% 55,044 33,593 3.7%
栃木県 40,327 63,990 6.4% 48,191 47,793 5.3% 57,117 34,858 3.9%
埼玉県 53,272 84,531 8.5% 62,744 62,225 6.9% 73,510 44,863 5.0%
茨城県 42,537 67,497 6.7% 47,343 46,952 5.2% 55,119 33,639 3.7%
千葉県 52,868 83,890 8.4% 60,189 59,692 6.6% 71,672 43,741 4.9%
東京都 69,228 109,849 11.0% 84,712 84,012 9.3% 91,940 56,111 6.2%
神奈川県 59,626 94,613 9.5% 76,033 75,405 8.4% 85,359 52,094 5.8%
山梨県 40,418 64,134 6.4% 53,170 52,731 5.9% 58,843 35,912 4.0%
長野県 42,785 67,890 6.8% 51,614 51,187 5.7% 57,753 35,247 3.9%
新潟県 47,773 75,805 7.6% 54,310 53,861 6.0% 59,633 36,394 4.0%
富山県 43,661 69,280 6.9% 50,136 49,722 5.5% 59,939 36,581 4.1%
石川県 44,079 69,944 7.0% 49,362 48,954 5.4% 63,888 38,991 4.3%
福井県 42,161 66,900 6.7% 56,006 55,543 6.2% 60,993 37,224 4.1%
静岡県 49,234 78,123 7.8% 59,047 58,559 6.5% 66,656 40,680 4.5%
愛知県 50,472 80,088 8.0% 56,804 56,335 6.3% 61,681 37,644 4.2%
岐阜県 44,113 69,997 7.0% 48,357 47,957 5.3% 57,053 34,819 3.9%
三重県 44,430 70,500 7.1% 52,967 52,529 5.8% 59,180 36,117 4.0%
滋賀県 48,592 77,105 7.7% 57,650 57,174 6.4% 72,833 44,450 4.9%
奈良県 45,329 71,927 7.2% 59,523 59,031 6.6% 61,565 37,573 4.2%
和歌山 41,162 65,315 6.5% 50,494 50,077 5.6% 54,330 33,158 3.7%
京都府 53,022 84,134 8.4% 70,711 70,127 7.8% 77,533 47,318 5.3%
大阪府 56,778 90,094 9.0% 66,561 66,011 7.3% 77,179 47,102 5.2%
兵庫県 51,259 81,337 8.1% 59,806 59,312 6.6% 67,066 40,930 4.5%
鳥取県 38,050 60,377 6.0% 45,357 44,982 5.0% 58,775 35,870 4.0%
岡山県 44,379 70,420 7.0% 55,612 55,152 6.1% 64,378 39,290 4.4%
島根県 43,876 69,621 7.0% 55,317 54,860 6.1% 58,897 35,945 4.0%
広島県 48,165 76,427 7.6% 59,919 59,424 6.6% 67,327 41,090 4.6%
山口県 39,833 63,206 6.3% 50,353 49,937 5.5% 57,904 35,339 3.9%
徳島県 41,664 66,111 6.6% 48,607 48,205 5.4% 67,722 41,331 4.6%
香川県 41,635 66,065 6.6% 50,007 49,594 5.5% 56,548 34,511 3.8%
愛媛県 39,202 62,205 6.2% 50,043 49,629 5.5% 51,401 31,370 3.5%
高知県 42,625 67,636 6.8% 52,182 51,751 5.8% 60,977 37,214 4.1%
福岡県 47,761 75,786 7.6% 60,505 60,005 6.7% 68,378 41,731 4.6%
佐賀県 43,309 68,722 6.9% 48,709 48,306 5.4% 55,332 33,769 3.8%
長崎県 48,632 77,168 7.7% 58,396 57,913 6.4% 64,915 39,618 4.4%
大分県 40,760 64,677 6.5% 50,406 49,989 5.6% 56,559 34,518 3.8%
熊本県 45,081 71,533 7.2% 55,793 55,332 6.1% 57,882 35,325 3.9%
宮城県 44,007 69,829 7.0% 50,776 50,356 5.6% 53,557 32,686 3.6%
鹿児島県 45,681 72,486 7.2% 55,612 55,152 6.1% 59,598 36,373 4.0%
沖縄県 44,579 70,373 7.1% 55,187 54,731 6.1% 64,456 39,337 4.4%
全国 51,011 80,943 8.1% 58,260 57,779 6.4% 66,540 40,609 4.5%

家賃の出典:全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」2024年3月調査

利回りは以下の条件で求めています。

部屋の種類 ワンルーム 2DK 3LDK
広さの想定 25平米 40平米 65平米
建築費の想定 坪100万円 坪90万円 坪90万円

表面利回りの求め方は以下の通りです。

(ワンルーム)
新築アパートの利回り = 年額賃料坪単価 ÷ 建築費相場(坪100万円)

(2DK・3LDK)
新築アパートの利回り = 年額賃料坪単価 ÷ 建築費相場(坪90万円)

全国の平均で見ると、新築アパートの利回りはワンルームなら8.1%。2DKなら6.4%、3LDKなら4.5%程度となります。

2-1.利回りの最低ラインは「実質利回りで3%」

アパート経営で最低限確保すべき 利回りの最低ラインは、「実質利回りで3%」 と言われています。
立地条件や投資額などによっては利回りの目安は異なりますが、一般的な基準値となります。

2-2.利回りの理想的ラインは「実質利回りで5%~」

アパートローンの金利は2%〜4.5%が相場のため、5%を上回る実質利回りがあれば、借入金の返済を進めている期間中も手元にキャッシュを積み上げることができるでしょう。

2-3.土地なしでアパート経営を始めることはできる?

現在土地がなしでアパート経営を始めることはできます。方法は以下になります。

  • 中古アパートを購入する
  • 建売の新築アパートを購入する
  • 土地を購入し新築アパートを建築する

この3つの中でも「土地を購入し新築アパートを建築する」は購入資金が多く必要になります。

2-4.土地なしの人が新築アパートを建築する場合の利回り

「土地あり」と「土地なし」では利回りも異なります。

土地なしでアパート経営をする場合、利回りの相場が始める方法で変わってきます。そのため〇%と出すことが難しいです。

また、土地なしで利回りの計算をする場合は「表面利回り」ではなく「実質利回り」で計画することが重要になります。こうすることで物件の正確な収益性を把握できます。

3.経費や家賃によって利回りも変動する

気を付けたいこととして、利回りは変動します。長い目で見て変動リスクを把握しておくこともお忘れなく。大きく分けて2つのケースに分けられます。

3-1.経費による変動

経費による変動では以下のようなものが挙げられます。

  • ローン返済額
  • 退去時の原状回復費用
  • 管理委託手数料
  • 火災保険料や地震保険料
  • 共用部の修繕費用
  • 固定資産税や都市計画税

など

3-1-1.ローン返済額

ローン返済額の変動リスクがあるのは「変動金利」と「一定期間固定金利」のどちらかです。

一定期間固定金利の場合は借り入れから一定期間の利率は固定されていますが固定期間が経過後に金利変動リスクがあります。例えば5年固定であれば5年経過後に金利変動リスクがあるということです。

3-1-2.退去時の原状回復費用

退去時の原状回復費用は過去の実績があれば見込み金額をだすことができます。

部屋ごとに2~4年で2~5万円の原状回復費用は発生するという想定で、収支シミュレーションを組んでおくと現実的な収支になります。

3-1-3.管理委託手数料

管理委託手数料は、現在支払っている手数料を収支シミュレーションに組み込んでおくことである程度は予測できることはできます。

もし、管理内容に不満がある場合は管理会社の見直しも考えてみましょう。

3-1-4.火災保険料や地震保険料

火災保険はローンを組んでいれば必須加入で、地震保険は任意加入となっています。

仮に、アパートを相続したのであれば、保険もそのまま引き継いでいるでしょう。内容を確認し、場合によっては解約するなど見直すことで支出を抑えることにつながるかもしれません。

3-1-5.共用部の修繕費用

アパート経営の場合は共用部の修繕費用はオーナーが支払います。将来的にどれくらい必要なのか修繕計画を作成することやシュミレーションを組んでおくとよいでしょう。

アパート経営では修繕計画やシュミレーションなど不慣れなことやわからないことも多くでてくると思います。

相続したアパートの場合は管理会社もそのまま引き継いでいることもあります。サービス内容がしっくりこないなど、気になる点があるならば一度内容を確認し他の管理会社と比較検討してみるのもよいでしょう。

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上記のほかにも固定資産税や都市計画税や税理士への報酬などもあります。アパート経営の経費の種類は下記で紹介しています。参考にしてください。

3-2.収入による変動

家賃収入による変動リスクとして考えられるのが 「空室リスク」と「家賃下落」です。空室になるということは家賃収入がゼロということになります。

また、築年数に応じて建物部分は経年劣化していくため、家賃は下落していきます。

空室リスクと下落リスクはどちらも完全に先読みすることはできません。しかし、過去の実績や家賃の下落率などから予測をすることはできます。管理会社や不動産会社にヒアリングするのもひとつの手段です。

空室リスクと家賃変動リスクの予測方法についてはこちら下記関連記事で解説しています。あわせてご覧ください。

4.新築アパートの利回りを上げる方法

せっかくアパートを建てるなら、できるだけ利回りを上げたいと思う方が多いのではないでしょうか。

ここでは「新築アパートの利回りをアップする7つの手順」を解説します。

  1. 絶対不可欠!複数のハウスメーカーを比較する
  2. ワンルームを主体とする
  3. 建築費の減額提案を受ける
  4. 収益性の高い管理方式を選択する
  5. 企画段階で1階の空室対策を取り入れる
  6. 付加価値を付けて賃料をアップする
  7. 店舗を誘導できないか検討する

皆さんが着実に実践できるよう、ひとつずつ説明していきます。

4-1.絶対不可欠!複数のハウスメーカーを比較する

利回りを上げるには、 複数のハウスメーカーを比較して建築コストを適正化することが不可欠です。

アパートに関しては、 建築コストは工務店よりもハウスメーカーの方が安いという業界構造になっています。

理由としては、ハウスメーカーは「大量生産しているため資材を安く調達できる」、「工業化工法が進んでいる」という2つの理由があるためです。

アパートは、ハウスメーカーにとって規格化された一つの商品となっており、大量生産の体制を整えています。
同じ建築資材を大量に購入していることから、 資材の調達能力が高く、コストを安く実現できている状況です。

また、ハウスメーカーは工業化工法を採用しています。
工業化工法は、簡単にいうと工場でほとんどの部材を作り上げ、現場で組み立てるだけの工法のことです。

いわゆる大工さんが現場で金槌(かなづち)を叩きながら建物を作り上げていくのではなく、あらかじめ工場で作ったものを一気に現場で組み立てるような工法になります。

工業化工法は工期が非常に短くなることが特徴であり、2階建てアパートであれば3ヶ月程度で建てることが可能です。
工期が短いと、その間に発生する人件費も抑制できるため、建築コストはさらに安くなります。

以上のことから、 工業化工法によって大量にアパートを建てることができるハウスメーカーは、コストパフォーマンスが非常に高いのです。

ただ、ハウスメーカーが有利だからといて、1社からしか見積りを取らないと、そのコストが適正なのか、もっと利回りを良くできるのかどうかも判断が難しくなります。

より良いコストパフォーマンスを目指すなら、複数社の比較は不可欠なのです。

ただ、そうは言っても、ハウスメーカーには対応できるエリア等が決まっている場合もあり、一社ずつ問い合わせて確認をするのはかなり手間がかかります。

4-1-1.コストパフォーマンスの良いハウスメーカーを見つける方法

数あるハウスメーカーの中から自分にあった一社を探すのにおすすめのサービスがあります。

NTTデータグループが運営する「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」です。

アパート建築プラン請求サイトHOME4U
アパート建築プラン請求サイトHOME4U

お持ちの土地の所在地などを入力するだけで、対応可能なハウスメーカーが瞬時にピックアップされ、最大10社から「間取り」「建築費」「将来の収益」「見込まれる節税効果」など、どのハウスメーカーが良いのかを判断するために必要な情報がまとめられた「アパート建築プラン」の提示を受けることができます。

様々な構造を得意とするハウスメーカーがありますので、「木造が良いのか、鉄骨造が良いのか…」と悩んでいる方でも、簡単に幅広い構造で建築プランを比較できる点も便利です。

簡単に幅広い構造の比較が可能

様々なハウスメーカーをしっかり比べることが、利回りアップへの一番の近道になりますので、ぜひ「HOME4U オーナーズ」を上手に活用し、一番コストパフォーマンスの良いハウスメーカーを見逃さないようにしてください。

4-2.ワンルームを主体とする

利回りを上げるには、間取りはファミリータイプではな ワンルームを主体とすることが基本となります。

理由としては、ファミリータイプよりも ワンルームの方が賃料単価は高いからです。
【土地持ちの人】新築アパートの表面利回り」でも示したようにワンルームの方が利回りは高くなっています。

ワンルームを借りる単身者は、基本的に買うよりも借りることを選択するため、賃貸需要が強いです。

ワンルームは部屋の面積が狭いため、賃料単価を上げても家賃の総額を抑えることができます。
元々賃貸需要も強いこともあり、賃料単価を上げても十分に貸すことが可能です。

それに対して、ファミリータイプを借りる家族世帯は、基本的に借りるよりも買うことを選択するため、賃貸需要は弱くなります。

さらにファミリータイプは部屋の面積が広いため、賃料単価を下げて家賃の総額を抑えないと貸すことが難しくなります。

元々賃貸需要が弱いこともあり、賃料単価を上げて総額も上げてしまうと貸すことが難しくなってしまうのです。

そのため、 ワンルームはファミリータイプよりも賃料単価を上げることができ、その結果、利回りも上げることができます

また、竣工後の空室リスクも賃貸需要の強いワンルームの方が低く、安全な投資ができることもワンルームの特徴です。

ただし、 建築費に関しては、ワンルームの方がファミリータイプよりも割高となります。
理由としては、面積当たりの戸数はワンルームの方が多くなるからです。

1戸の部屋には、バスやトイレ、キッチンといった住宅設備が存在します。
例えば、75平米で3LDKのファミリータイプなら、バスやトイレ、キッチンは1セットだけです。

それに対して25平米のワンルームなら75平米に3戸できるため、バスやトイレ、キッチンの数が3つになります。

同じ延床面積でもワンルームの方が住宅設備の数が増えることから、建築費はファミリータイプよりもワンルームの方が高くなることが一般的です。

しかしながら、建築費のアップよりも賃料単価のアップの方が効果は大きく、結果的にはワンルームを選択した方が利回りは高くなります。

もし ハウスメーカーからファミリータイプの提案が出てきたら、ワンルームも提案してもらうとよいでしょう。

4-3.建築費の減額提案を受ける

利回りを上げるには、 建築費の減額提案を受けることも重要なステップです。
ハウスメーカーから受け取った見積もりを減額するには、かなりの専門知識が必要となります。

見積書の中身を見て、高い部分を指摘しながら建築費を削っていくのは非現実的です。
そこで、おすすめなのが ハウスメーカー自身に頭をひねってもらい、ハウスメーカーから減額提案をしてもらう方法となります。

減額提案は、VE(ヴイイー)やCD(シーディー)と呼ばれるものです。
VEとは「バリュー・エンジニアリング」の略であり、「質を落とさずに価格を下げる技術的な減額提案」のことを指します。
CDとは「コスト・ダウン」の略であり、「部材そのものを取りやめる減額提案」のことです。

VEやCDはハウスメーカーからの提案ですので、依頼者がその提案内容を採用すれば提案通りの金額を下げることができます。

金額交渉ではないため、ハウスメーカーが渋々応諾するようなものでもなく、あっさりと金額を下げてくれます。

金額交渉のような駆け引きが苦手な方でも紳士的に建築費を下げることができるため、おすすめの方法です。

減額提案はハウスメーカーを決定する前に依頼するのがコツとなります。
交渉力はハウスメーカーを決定する前が一番高いので、決定前に減額提案を依頼すると各社が知恵を振り絞って減額提案を出してくれます。
利回りを上げるためには外せないステップですので、ぜひ行うようにしてください。

4-4.収益性の高い管理方式を選択する

利回りを上げるには、 収益性の高い管理方式を選択することがポイントです。
アパートの管理方式には、主に「管理委託方式」と「パススルー型サブリース」、「家賃保証型サブリース」の3種類があります。

収益性は管理委託方式とパススルー型サブリースは同じであり、両者とも家賃保証型サブリースよりは高いです。

管理委託方式とは、管理会社に管理を委託し、所有者は各入居者と直接賃貸借契約を締結するタイプの管理方式になります。
管理委託方式の管理料の相場は5%程度です。

管理委託方式は、所有者が各入居者と直接賃貸借契約を締結するため、空室リスクを直接負います。

それに対して、サブリースとは、サブリース会社が一棟全体を借り上げ、各入居者へはサブリース会社が転貸するタイプの管理方式のことです。

サブリースは、「パススルー型サブリース」と「家賃保証型サブリース」の2つに分かれます。

「パススルー型サブリース」とは空室状況に応じてサブリース会社から振り込まれる賃料が変動するタイプの管理方式です。

「家賃保証型サブリース」は、空室状況に関わらずサブリース会社から振り込まれる賃料が固定となるタイプの管理方式となります。

管理料に関しては、パススルー型サブリースは入居中の家賃から5%程度が差し引かれ、家賃保証型サブリースは満室想定の家賃から15%程度が差し引かれます。

パススルー型サブリースは管理委託と同様の空室リスクを負っており、管理料に関しても管理委託方式と同じです。
つまり、パススルー型サブリースと管理委託の収益性は同じになります。
両者の違いは委託契約か賃貸借契約かの違いだけです。

家賃保証型サブリースは、空室リスクを直接負っているわけではありませんが、管理料が高いため、収益性はパススルー型サブリースと管理委託よりも劣ります。

また、家賃保証型サブリースでも、空室が増えればサブリース会社からの賃料減額要請があるため、空室リスクは間接的に負っています。

3つの管理方式の特徴を示すと下表の通りです。

管理の種類 管理委託 パススルー型サブリース 家賃保証型サブリース
収益性 高い 低い
管理費の相場 5%程度 15%程度
空室リスク 直接負う 間接的に負う
契約形態 委託契約 賃貸借契約

利回りを上げるには、収益性の高い「管理委託方式」または「パススルー型サブリース」を積極的に選ぶことがポイントとなります。

4-5.企画段階で1階の空室対策を取り入れる

シミュレーションではなく、竣工後の実質的な利回りを上げるには 企画で1階の空室対策を取り入れることも重要になってきます。

アパートは、セキュリティ面から2階よりも1階の方が空室は発生しやすい傾向があります。

シミュレーションの段階では、1階の決まりにくさというのを数字になかなか反映できないため、企画の段階では1階の空室対策はおろそかになりがちです。

しかしながら、 企画の段階で1階の空室対策を盛り込んでおくと、竣工してから実際の空室が少なくなり、実質的な利回りは向上していきます。

1階の空室対策としては、例えば以下のようなものがあります。

  • ガーデニングやバーベキューができる専用庭を設ける
  • 1階の入居者が利用できる物置き(トランクルーム)を設置する
  • 泥棒の浸入に備えて、ホームセキュリティーを導入する
  • 植栽等の配置で歩行者からの視線を遮る
  • 窓面は道路から少し高いところに設け、歩行者からの視線を外す

竣工してからでは対応できないことも多いため、できる限り検討段階で1階の空室対策を盛り込んでおくことをおすすめします。

4-6.付加価値を付けて賃料をアップする

利回りを上げるには、 付加価値を付けて賃料をアップすることも方法の一つです。
付加価値の例としては、例えば以下のようなものがあります。

【賃料アップに繋がる付加価値の例】

  • 無料で高速インターネットを利用できるようにする
  • オートロックを設置する
  • バイク置き場を作る
  • 1階に専用庭を作る
  • ガスコンロの数を多めにする
  • 床下収納やトランクルームを設置する
  • 特定の外国人専用のアパートとする
  • 単身高齢者も入居可とする
  • ペット可能とする

企画に関しても、設計者に知恵を絞ってもらうのも一つです。
大手ハウスメーカーの設計者は優秀な人が多いので、新しくて価値のある企画を取り入れたいと希望すれば、一生懸命アイディアを出してくれます。

4-7.店舗を誘導できないか検討する

利回りを上げるには、 1階に店舗を誘導できないか検討することもポイントとなります。
店舗は住宅よりも賃料単価が高いため、店舗を誘致できるようなアパートだと利回りを上げることが可能です。
郊外では3階建てのアパートで1階がコンビニといった物件も見かけます。

また、店舗ではありませんが、1階が保育園といったアパートもあります。
都内では住宅よりも保育園の方が賃料単価は低いところも多いですが、郊外になると保育園の方が住宅よりも賃料単価が高くなるエリアが出始めます。
保育園の方が賃料単価の高いエリアであれば、1階に保育園を入れた方が利回りは高いです。

大手ハウスメーカーであれば、事業系のテナントを引っ張ってくる力があります。

事業系の土地活用はできるところが限定されていますが、立地条件の良いところであれば念のため1階に店舗等を誘致できないかをハウスメーカーに検討してもらうことをおすすめします。

まとめ

新築アパートの利回りについて解説してきました。

新築アパートの表面利回りの相場は、全国平均でワンルームなら8.1%程度、2DKなら6.4%程度となります。

アパートを建築するにあたっては、建築費の5%程度の初期費用も発生します。

新築アパートの利回りをアップするステップの中では、「複数のハウスメーカーを比較する」ことが不可欠です。
HOME4U オーナーズ」を上手に活用し、様々なハウスメーカーをじっくり比較し、一番コスパが良く、知恵を絞ってくれる企業がどこなのかを的確に判断してください。

高収益のアパート建築が叶うよう、心から祈っています。

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竹内英二

この記事を書いた専門家

(株)グロープロフィット 竹内 英二

不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。

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