この記事の執筆者
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藤井健太郎
所属 株式会社UN 代表取締役
祖父母の代から続く三代目大家。
14棟200戸を自主管理と委託管理で運営し、自ら原状回復工事やリフォームも行う。
数年前より物件分析、市場分析、月次、年次分析などを取り入れた賃貸経営にシフトし、キャッシュフローが改善し現在に至る
入居者に長期間住んでもらうことは、大家さんにとって安定した収益を得るだけでなく、空室リスクや頻繁な入居者入れ替えによる手間やコストを軽減する重要なポイントです。
入居者の満足度を向上させ、長期的な居住を促進するための努力や工夫をすることを「テナントリテンション」と呼びます。自主管理大家さんの手間やコストを抑えられるテナントリテンションを積極的に実践してみましょう。
ひと昔前の賃貸経営では、入居時には敷金・礼金が取れて、退去時には入居者が原状回復費用を負担して、次の入居者からまた礼金をもらえる。こんな感じで、退去があっても大家さんの費用負担は少なく、礼金収入もあり、入居者の入れ替わりは大家さんにとって喜ばしいことでもあったはずです。
しかし、昨今の賃貸経営では、競争が激しくなり敷金や礼金を設定しないことも多く、退去時も「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」により、大家さんの負担する費用割合が多くなり、入退去のたびに支出する費用が増えていている現状です。
また、単身やファミリー問わず、以前のように平均入居期間は短くなってきているので、一か月でも、半年でも長く住んでもらえるような施策を大家さんは考えていく必要があります。
また、退去理由の一つとして、物件や設備、近隣トラブル、大家・管理会社への不満を理由とした退去があります。
これは非常にもったいないので、下記のような退去理由の不満を満足に変える対策もテナントリテンションとして効果的であります。
テナントリテンションの施策例は多くありますが、自主管理の大家さんが実施しやすいテナントリテンションをご紹介します。
テナントリテンションを考える際、入居者へのサービス向上に目が向きがちですが、建物自体の魅力向上も重要です。建物の外観や共用スペースの清掃、植栽の手入れなどは、入居者の印象を大きく左右します。
外壁塗装や防犯対策なども物件の魅力を上げる対策としてはもちろん効果的ですが、日頃から物件に足を運び、大家の目線で定期清掃が行き届いているか、随時確認することでも十分物件の魅力を維持させる方法です。
(対応例)
以前の私は、入居者とのコミュニケーションを避けていました。それは、共用部の清掃中に「網戸の修理をお願いしたい、エアコンが冷えない」といった修繕依頼や、「最近203号室の〇〇さんが夜間うるさい」などの近隣住民のトラブルの相談を受けることが多く、それらの対応に追われることに負担を感じていたからです。
自主管理の大家としては、これらの問題をできるだけ避けたいと考えていました。しかし、それらの不満を迅速に対応し、快適な住環境を提供することで、住み替えや退去になることを避けることができます。
現在は、共用部の清掃などで入居者と会った時には積極的に「困りごとありませんか?」など声掛けをするようにしています。
自主管理の大家さんは定期的に入居者の意見を聞くことで、潜在的な問題を早期に把握し、改善することができるので、できるだけコミュニケーションをとることを心掛けてみてください。
また、アンケートや個別面談をすることで、入居者が抱える不満や希望を正確に把握できます。修繕などで費用は発生しますが、箇所事の対応となるため、退去時の原状回復工事よりも費用は抑えられます。
設備の更新や修繕は空室を対象にやることが多いですが、長期間住んでいる入居者に対し、壁紙の一部変更やエアコンや水道設備等の修繕を提案することで、この部屋に住み続けたい思う意欲を高めることができます。
特に単身の場合は、3~4年ほどで入れ替わるのでその都度、部屋の内装はリフレッシュしますが、ファミリー物件の場合は、平均入居期間が5年ほどですが入居期間が10年を超えるケースも多いので、ファミリー物件の方が対象になりやすいです。
私の事例では、洗面台の更新をしてあげると大変喜ばれます。ただし、対象入居者に家賃滞納がないか、近隣からクレームがないかなども考慮して実施の判断をします。また、何年で長期にするか決める必要があります。
上記の簡易リフォーム以外でも、カタログギフトやテーマパークチケットなどの景品をプレゼントするのも良いかと思います。何をプレゼントすると喜ばれるか、入居者の属性や家族構成などをもとに色々と考えてみてください。
入居者に長く住んでもらうためには、物件の魅力を保つだけでなく、入居者一人ひとりのニーズに応える取り組みが重要です。信頼関係を構築し、快適で安全な住環境を提供することが、長期入居につながります。
これらの施策を継続的に行い、入居者にとって「住み続けたい物件」であり続けることを目指していきましょう。
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所属 株式会社UN 代表取締役
祖父母の代から続く三代目大家。
14棟200戸を自主管理と委託管理で運営し、自ら原状回復工事やリフォームも行う。
数年前より物件分析、市場分析、月次、年次分析などを取り入れた賃貸経営にシフトし、キャッシュフローが改善し現在に至る