自宅で賃貸経営する賃貸併用住宅の成功の秘訣はずばり「間取り」です。間取り次第で、快適性、収益性に違いが出るため、建築プランを検討する際は、何を重視した間取りにするかをしっかり考えておかなければなりません。
本記事では、賃貸併用住宅の間取りの取り方のコツを紹介します。
目的別、広さ別の事例も集めました。注意したいポイントを踏まえた上で、所有地にあった賃貸併用住宅の間取りの検討材料にしてください。
なお、賃貸併用住宅の基本については、こちらの記事をご覧ください。
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賃貸併用住宅経営を成功させる間取りは?
賃貸併用住宅経営にあたっては、以下の4点の問題を解消する間取りにすると成功率が格段に上がります。
- プライバシーの問題を解消する間取り
- 騒音対策を意識した間取り
- 外観の問題を解消する間取り
- 住宅ローンを利用するための間取り
詳しくは「賃貸併用住宅経営を成功させる間取りとは」をご一読ください。
賃貸併用住宅の間取りのタイプは?
賃貸併用住宅の間取りのタイプは大きく分けて「横割り」と「縦割り」の2種類があります。
それぞれ強みと弱みがあります。詳しくは「【目的別】賃貸併用住宅の間取りタイプ」で解説しています。
賃貸併用住宅の間取りの注意点?
賃貸併用住宅の間取りを検討する際には注意したい点があります。
- 賃貸需要を踏まえて部屋のサイズを検討する
- 自宅の大きさは将来性も考慮して検討する
- エレベーターの有無を検討する
- 屋上利用も検討する
それぞれの注意点については「賃貸併用住宅の間取りの注意点」で詳しく解説しています。
目次
1.賃貸併用住宅経営を成功させる間取りとは
賃貸併用住宅を建築するにあたって、間取りは賃貸部分の需要と自宅部分の快適性を両方かなえるものにしなければなりません。ここでは、賃貸併用住宅の成功例にはどのような間取りの特徴があるかを解説します。
1-1.プライバシーの問題を解消する間取り
賃貸併用住宅の場合、間取りの取り方によってはオーナーの生活空間と入居者の動線や生活空間が隣接してしまいます。
プライバシーの問題が表面化しやすい条件としては、「オーナーと賃貸利用者で入り口が共通している」「共有部分が多い」などが挙げられます。
最近はプライバシーを重視する傾向が強く、オーナーも入居者もプライベート空間を確保したがる傾向です。
したがって、自宅と賃貸部分の入り口に関しては、動線を共通にしない間取りが重視されます。プライバシー重視の間取りは需要にも大きな影響を及ぼすでしょう。
1-2.騒音対策を意識した間取り
賃貸物件では防音に配慮した構造や建材の使用が求められます。賃貸併用住宅でも例外ではありません。
特に賃貸併用住宅ではオーナーと入居者の生活時間に違いがあることが多く、騒音対策を意識した間取りが不可欠です。
騒音問題が露呈しやすい間取りの特徴には、「外階段とオーナーのリビングなどの生活空間が隣接」「オーナーの寝室と賃貸部分の水回り(風呂・トイレ・炊事場など)が隣接」などが挙げられます。
騒音の問題を防ぐためには設備の配置も重要なポイントです。防音効果のある建材の使用だけでなく、間取りでも騒音対策を意識することが重要になってきます。
1-3.外観の問題を解消する間取り
一般的にアパート・マンションの入居者は、戸建一般住宅に近い外観よりもアパート・マンションのような集合住宅に近い外観を好みます。
自宅部分も含まれるからといって戸建住宅の外観で統一してしまうと、思うように入居者が集まらず、収益化に失敗するかもしれません。
多くの集合住宅の外観は、いわゆるようかん型と言われる形状をしています。これは各戸の間取りが長方形で、それが組み合わさることから生まれる形状です。
したがって、賃貸併用住宅の間取りを検討する際は長方形を意識すると、集合住宅然したデザインを採用しやすくなるでしょう。
1-4.住宅ローンを利用するための間取り
アパートローンに比べ、住宅ローンは金利面などの各種条件が有利です。賃貸併用住宅を建てるにあたっては可能な限り住宅ローンを活用したいところですが、住宅ローンの利用にあたっては様々な条件があります。
条件の一つは、「自宅部分が全体の50%以上であること」です。
この条件を踏まえた間取りの設計にしないと、住宅ローンを借りることができなくなってしまいます。
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2.【目的別】賃貸併用住宅の間取りタイプ
賃貸併用住宅の間取りは大きく分けて「横割り」の間取りと「縦割り」の間取りに区別されます。
「横割り」の間取りは主に「広めの空間を確保する」点で優れており、「縦割り」の間取りは主に「防音対策」の点で優れています。
ここでは目的別に「横割り」を選ぶべきか「縦割り」を選ぶべきかを解説します。
2-1.収益性を第一に考えた間取り
横割りの間取りは、「オーナーの自宅と賃貸部分を“階数”で分けている」ことが最大の特徴です。
つまり、ワンフロアの面積を最大限使えることから、場合によっては賃貸部分の戸数を増やせ、収益性を上げられます。
さらに収益性を重視するなら、上層階に賃貸部分を設けることです。賃貸住宅では1階よりも2階以上のほうが人気で、場合によっては賃料も高く設定できます。
住宅ローンを最大限利用するとなると、賃貸用に割ける面積は限られ収益性は下がりがちです。限られたスペースで収益性を確保するためには、賃貸需要のある間取りを重視する必要があります。
2-2.騒音対策に強い間取り
縦割りの間取りは「建物を縦に切り分ける」ようにしてオーナーの自宅と賃貸部分とを区別するパターンです。
縦割りタイプの最大のメリットは騒音やプライバシー対策に強いという点です。
縦割りでは上下の部屋で生じがちな騒音のストレスが生じません。また、オーナーの自宅と賃貸の入り口を完全に分ける間取りも取りやすくなります。
オーナーの自宅に上層階と下層階の両方が含まれるので、上層階からの眺めも確保でき、屋上の使用も可能です。
2-3.いずれ二世帯住宅にするときの間取り
賃貸併用住宅と類似の建物に二世帯住宅があります。
賃貸併用住宅はライフスタイルの変化に適応しやすい住宅です。二世帯住宅への変換、もしくは二世帯住宅からの変換はよくあるパターンと言えます。
二世帯住宅への変換を見据えた間取りのポイントは、当初の自宅部分を50%確保しておくこと、賃貸部分もファミリーに対応した間取りにしておくことです。
二世帯になるということは、いずれ収益性を落とすことになります。その際、高い金利でのローン返済は負担になりかねません。自宅部分を50%として住宅ローンを組めていれば、収益性が落ちても給与所得などから補てんもしやすいでしょう。
賃貸併用住宅の二世帯住宅型を選択する際には注意したいことがあります。二世帯住宅では区分所有登記を行って、親と子が別の区分所有の部屋に住んでしまうと、相続時に小規模宅地等の特例が利用できなくなることです。
小規模宅地等の特例は、宅地の相続税評価額を一定の面積までは最大80%減額してくれる特例です。
小規模宅地等の特例を利用するには、「同じ1棟の建物に、親と子が住んでいる」等の要件があります。
区分所有で分けてしまうと、二世帯住宅でも同居しているとはみなされなくなるため、小規模宅地等の特例を利用できません。
二世帯住宅型賃貸併用住宅を建てる際は、小規模宅地等の特例と住宅ローン控除のどちらを取るか十分に検討した上で区分所有登記の判断が必要です。
2-4.初期費用を抑えたいときの間取り
賃貸併用住宅はアパート・マンションより収益性は劣る一方で、一般の戸建て住宅よりも建築費用がかかります。
あまりリスクを負いたくない場合には初期費用を抑えられる間取りを検討するとよいでしょう。ポイントは、3階建てまでにして住居部分を50%以上とする、上層階に自宅を設ける、です。
自宅部分を50%以上とすることで住宅ローンを有効活用でき、返済負担を減らせます。
2階、3階建てにすれば木造建築や軽量鉄骨造が可能になり、建築坪単価が低くなる傾向です。また、規模的にも大きくならないため初期費用も抑えられるでしょう。
さらに、上層階に自宅を設けることで屋上を活用でき、専有面積の狭さをカバーできます。1階を賃貸とすることで、複数戸設ける場合には壁面も増えることから建物の強度も増すこともメリットといえるでしょう。
3.【坪数別】賃貸併用住宅の間取り事例集
この章では具体的な間取り事例を広さ別に紹介します。
賃貸併用住宅では、30坪以下の狭小地に建てることもあるでしょう。狭小地でも有効活用できる間取りの例を集めた内容です。
3-1.20坪の賃貸併用住宅
20坪程度の狭小地の場合、賃貸部分はワンルームタイプとすることが増えます。ワンルームタイプであれば賃料単価も上がるため、狭小地の賃貸併用住宅でも収益の確保が可能です。
- 木造3階建て
- 賃貸住戸3戸
- オーナー専有面積50%
- 軽量鉄骨造3階建て
- 賃貸住戸2戸
- オーナー専有面積63%
3-2.30坪の賃貸併用住宅
30坪の賃貸併用住宅の間取りは、縦割りタイプも一般的です。ファミリータイプの需要があるエリアでは、縦割りタイプでの間取りも検討するとよいでしょう。
- 軽量鉄骨造2階建て
- 賃貸住戸1戸
- オーナー専有面積56%
- 木造2階建て
- 賃貸住戸1戸
- オーナー専有面積50%
3-3.40坪の賃貸併用住宅
40坪の場合、バリエーションも豊富です。ファミリータイプの賃貸住戸でも複数戸設けられます。
また、ライフスタイルの変化に対応しやすくなり、二世帯住宅をいずれ賃貸併用に、もしくはその逆のパターンも考えられるでしょう。
- 軽量鉄骨造3階建て
- 賃貸住戸1戸
- オーナー専有面積66%(二世帯住宅)
- 鉄筋コンクリート造3階建て
- 賃貸住戸3戸(1K:1、1DK:2)
- オーナー専有面積66%(二世帯住宅)
3-4.50坪の賃貸併用住宅
50坪以上あれば、自宅部分に余裕を持たせつつ、本格的な賃貸経営も可能な賃貸併用住宅を建てられるでしょう。
賃貸住戸は、エリアニーズによってファミリータイプを複数作ることも、ワンルームアパートで収益性を挙げることも可能です。
- 木造3階建て
- 賃貸住戸5戸
- オーナー専有面積75%
- 重量鉄骨造3階建て
- 賃貸住戸6戸
- オーナー専有面積27%
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階数・坪数別の賃貸併用住宅の間取り例は以下をご参考ください。
4.賃貸併用住宅の間取りの注意点
賃貸併用住宅の間取りは、その後の収益性や居住空間の快適性を大きく左右する要素のため、ある意味失敗は許されません。ここでは間取りを検討する際に注意しておきたいポイントを解説します。注意点は以下の4つです。
- 賃貸需要を踏まえて部屋のサイズを検討する
- 自宅の大きさは将来性も考慮して検討する
- エレベーターの有無を検討する
- 屋上利用も検討する
4-1.賃貸需要を踏まえて部屋のサイズを検討する
賃貸部分は、地域の賃貸需要にあわせた部屋のサイズを採用することが重要です。
駅から近く、単身世帯の賃貸需要が高ければ1K(1R)や2DKなどの狭めの間取りをおすすめします。小さな間取りは戸数を増やすことができるため、空室リスクを小さくできます。
一方で、単身世帯の賃貸需要が弱いエリアでは、2LDK以上のファミリータイプを選択することになります。ファミリータイプの賃貸は、賃料が高くなってしまうため、総じて賃貸需要が弱めです。
しかし、エリアに需要がなければ経営は安定しません。経営の最大の敵は空室リスクです。需要に見合った間取りを検討するのが第一だという認識が大切になってきます。
4-2.自宅の大きさは将来性も考慮して検討する
あまりにも大きな自宅は、将来家族が減ったときに不要となることがあります。家が大き過ぎると、掃除も大変となり、水道光熱費も余分に生じます。
賃貸部分の面積だけにこだわらず、自宅部分は将来的なことを考えて面積を決めるようにしてください。
また、最初の段階より3LDKサイズにしておくと、後から貸しやすいですし、通常の賃貸物件として売却しやすくなります。
もしくは、将来的な分割を視野に入れた間取りを検討しておくのも手です。間取りがその部分だけ間仕切りできる設計や配水管を通しやすくしておけば、リフォームも安く済みます。
4-3.エレベーターの有無を検討する
3階建て以上の賃貸併用住宅ではエレベーターの設置の有無を十分に検討してください。
エレベーターはメンテナンスコストや将来の交換に多額の費用がかかります。
しかし、エレベーター無しの4階以上は空室が埋まりにくくなります。近年、5階建て以上の集合住宅でエレベーター無しの物件はほとんどありません。
3階建てエレベーターなしの物件で3階を自宅とした場合、1~2階は普通に貸せるものの、老後に3階建てに暮らすのは自分たちが住みにくくなるリスクがあります。しかし、賃貸経営としては借り手を見つけやすくなるでしょう。
エレベーターを設置したくない場合は、割り切って3階に留めるという選択肢もあります。
また、建物全体をサービス付き高齢者向け住宅とする場合には、3階以上になるとエレベーターの設置義務が生じます。
4-4.屋上利用も検討する
3階建て以上の賃貸併用住宅では、屋上が陸屋根(傾斜の無い平面状の屋根のこと)となることが多く、屋上を有効利用できる可能性があります。
最上階に自宅を設ける場合、自宅から直接屋上に出られるようにし、屋上を有効利用できるように検討しておくこともおすすめします。
ペットと遊ぶ空間や、喫煙スペース、物干しスペース、ウッドデッキテラス、屋上家庭菜園等、遊び心を加えて企画すると住む楽しみも生まれます。
5.土地に合った間取りを安心して相談できるハウスメーカーを選ぶ為のポイント
賃貸併用住宅を建設するにあたっては、間取りに対する知見に加えて、土地の法規制や賃貸需要などの要素に十分配慮する必要があります。とはいえ、これらの要素はオーナーにとっては情報収集や選択が難しい部分です。
したがって、一級建築士が在籍し、市場調査専門部署をもつ「賃貸住宅建築に強いハウスメーカーの力」が必要となってきます。
以下、「安心して相談できるハウスメーカー」を選ぶために必要不可欠なポイントについて解説します。
5-1.ハウスメーカーの提示する「経営プラン」
賃貸併用住宅は自宅の一部分を収益物件とする性質上、ほかの賃貸経営と比べて収益性は低くなりがちです。経営を安定させるには、綿密な経営プランが非常に重要になってきます。
しかし、収支についての見通しはオーナー独自で立てられるものではありません。実績豊富なハウスメーカーから提示される経営プランを元に計画を進めるのが賢明です。経営プランは複数のメーカーから取り寄せ、検討すると最適な経営プランを見つけやすくなるでしょう。
各メーカーが提示しているランニングコストや収支計画をチェックすることによって「より具体的で現実性が高い計画」を掲げている会社を選ぶことが重要です。
5-2.ハウスメーカーの規模
大手ハウスメーカーは実績が豊富で、経営が安定しているだけではありません。賃貸併用住宅の規格商品を持っており、規格に基づく耐久性抜群の建材と安定の施工の質で、劣化のスピードが遅いのが特徴です。
また、手厚いアフターサービスが付いていることが多く、長年に渡り建物のコンディションを維持することができます。
5-3.評判・口コミ
インターネット上のユーザーブログやSNS、バックボーンの見えるサイトに掲載されている口コミなどから、依頼先を判断する方法もあります。
口コミにはその後談が寄せられることが多く、こうした評判は将来の姿を思い描くのに向いている情報です。
ただし、この手の情報には偏った見方が掲載されることもあります。自身のケースに近い口コミをいくつか探し、比較して情報を取捨選択することが重要です。
5-4.問い合わせへの対応
問い合わせへの応対はその後の付き合いを判断する重要なポイントです。しっかりとした応対であれば、実際に契約を結んだ後のフォローの質にも期待できるでしょう。
しかし、ハウスメーカー一つ一つに問い合わせをするのは非常に手間です。きっかけとして、一括プラン請求サービスを利用するのをおススメします。
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