親から任されるようになり、金融機関との窓口になれると、自他共に認められた後継者になります。子世代の皆さんは、ココを目指しましょう。
今回は自分の経験を交えて、後継者になるまでのステップを紹介します。
1.「わからん」は大チャンス

「コイツに任せられるな」の判断基準は様々あると思いますが、まずは、話す機会を継続的に持つこと(数字を共通言語として)が必要です。
私の場合は振り返るとこんな事を継続していました。
- 仕事をひとつひとつ父から貰っていく
- 一緒に賃貸経営の判断をする
- CF(キャッシュフロー)改善する(成果を作る)
『仕事ちょうだい』と言っても簡単にはいきません。そこで私は、父のある言葉に注目しました。何かというと「分からん」です。
例えば、
私「新しいテナントの賃貸借契約書のひな形出来てきたけど、どうかな?」
父「ん~、俺はよく分からん…」
私「じゃあ、弁護士さんに見せてアドバイス貰うね」
私「特約に○○入れた方が良いかもだって。理由は、△△なリスクがあるから」
父「じゃあそれで進めよう」
「分からん」=チャンス なんです。
なぜかというと、”分からない”は父の一定の結論です。そこからは自分の出番。
調べて、複数の選択肢を提示して、理由、リスクを説明して、一緒に経営判断する。こうすることで、徐々に私の話を聞いてもらえるようになってきました。
これには、自分なりに作った協力してくれる人たち(後に”経営のチーム”と呼びます)がいてくれたので出来ました。後継者に任せたいと考えている方は、敢えて『分からないな~』といって後継者がどう動くか試しても良いかもしれませんね。
2.時には譲ることも大事

後継者としては、次のことも覚えておく必要があると思います。
「任せてくれる」は、勝手に一人で決定ではない。
任せてはくれるけど、口を出したい時はあります。しっかりと話して、後継者として親世代を立てる、親世代に譲る事も必要です。
ただし、明らかに親世代がこの世にいないであろう時期に起きうる影響がある事柄については、十分話をした上で、「この責任をとるのは多分私(子世代)のタイミングなので、コレは私の選択を優先させてくれない?」と伝えるべき事もあります。
こうしたことを続けた結果、私の場合はキャッシュフローの改善という成果を作る事が出来ました。
3.親ではなく自分に直接連絡が来るためには

「お金が無い」が口癖の父でしたが、コロナ渦前までには毎年海外旅行に夫婦で行けるようになりました。
伝え忘れましたが、後継者目線で話すと親世代には旅行に行って貰って家を不在にして貰うことも、親から任せられるキッカケのひとつです。親世代はその間どうしても仕事を手放す必要があり、子世代はその間きっちり仕事をすることで信頼が積み重なります。
「分からん」=チャンスと捉え仕事を貰う
旅行等で家を不在にしてもらう
親子世代で一緒になって成果を作りそれを積み重ねる
これを繰り返すと、気づいたらお付き合いのある金融機関から親世代では無く、子世代に連絡が来るようになります。これは、他人から客観的に子世代が認められたという事を意味すると思います。
子世代の皆様はぜひここをひとつの目標として頂けると良いと思います。
しかし、これは短期間では難しく、且つ一人では成し得ないと考えます。数十年もの間第一線でやってきた親世代を簡単に超えることは出来ないからです。
じゃあどうするの?
次回のコラムでは、協力者を作る→”チームで経営する”についてお話したいと思います。
この記事の執筆者
この記事の執筆者
永谷直也
所属 株式会社永⾕エステート代表取締役
職業 宅建士・賃貸不動産経営管理士
二代目大家。10年間異業種で働いたのち家業に携わる。住人同士が仲良く安心して子育てできることを目指した、子育て応援マンションをはじめ、資産50億を目指し、10棟約170戸(賃収約1.2億円)を運営中。
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