「キャッシュフロー改善」については、大家さん共通の課題だと思います。
今回は、私がどのような手段でどこから手を付けたのか? どの手法を継続しているのか? についてお話しさせて頂きます。
手段:数字で経営せよ

まずは手段についてお話しします。手段としては“数字で経営”することです。
経験と勘に頼らず、現状や未来を数字で可視化することで、家族内(社内)、金融機関等とも経営状況を共有することができます。
具体的に言うと、
年間を通して物件では税引き後のキャッシュフローを○○万円出すと計画立てて、期中にこのまま期末を迎えると○○円になる見込みという数字を把握できる状態
です。これをするには、
- (1)年間の空室率は何%に設定するのか? それに基づいて、A物件であれば何部屋空いている状態まで許容できるのか? を把握している状態
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- (2)年間の賃料の値下げ率を設定して、それに基づいて、A物件であれば現在いくらの値下げは許容できるのか? を常に把握している状態
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- (3)各費用項目(固都税、原状回復工事、修繕費、広告宣伝費など)の年間予算を設定して、現時点でいくら消化したのか数字を把握できる状態
これらを分かるようにしました。自分一人では出来ないのでプロのサポートを得て実行しました。
“数字で経営”することは「現在地の把握」からです。
現在の経営状況を数字で表すとどうなるのか?
A物件では年間どれだけ税引き後のキャッシュフローを生んでいるのか?
個人、法人それぞれで年間どれだけ税引き後のキャッシュフローを生んでいるのか?
相続税の評価額はいくらになって納税はどれくらい必要なのか?
など。
どんな優秀なカーナビも、Googleマップも現在地が分からなければ、行き先(ゴール)へのルート、所要時間を教えてくれません。
「現在地」がわかったら改善点を見つけやすい

現在地が分かったら、次は何が課題になっているのかという改善点の把握です。
私の当時の「現在地」は、個人所有で満室でも赤字の物件が複数ありました。しかし、中身を調べると、相続で受けた土地にある駐車場の賃料で何とかなっていたことがわかったのです。
そして、個人に所得が集中していること、相続税の評価額が高いことを課題として捉えて改善していきました。
特に所得が個人に集中しており、同時にせっかく設立した法人を上手く活用できていなかったため、同族法人を活かした所得分散に取り組みました。
ひとつの事例ですが、個人所有の物件の建物のみを法人に売却しました。
これにより、個人の目線で1,200万円のキャッシュフロー改善をしました。これを実現するには様々な要因が絡んでいるのでこの場で全てご説明することは割愛しますが、不動産のプロ、税理士をはじめとするチームで取り組んだ結果です。決して独断でなく、プロのサポートを受けて大きい判断をしてくださいね。
目を引くキャッシュフロー改善の手法と成果をお伝えしましたが、大きく売上の構造を変えるようなことは初期の段階で終了して現在は地道な活動をしています。
継続していることは2つ

普段のキャッシュフロー改善の為にやっている手法は、大きく2つあります。
(1)“月次分析書”で収支を把握して支出のコントロール
複数年の長期事業計画を立案し、それを単年、単月に細分化した事業計画を“月次分析書“と呼んでいます。やっていることは予算と実績の管理です。1円単位までキッチリ把握して毎月の物件収支を把握し期末の着地予測を行っています。
(2)“市場調査“で家賃アップを狙う
自分の物件所在地の賃貸物件の需要と供給のバランスを調査したり、新築物件の着工戸数を専有面積毎に調査しています。また物件毎のライバルを調査してリスト化し自分の物件の市場でのポジションを把握しています。
これを毎月実施することで、家賃アップを簡単に実現できています。
まとめ:次世代も生き残る大家になるために
まとめは「キャッシュフロー改善の為には“数字で経営”しましょう!」です。
その1:スタートラインは「現在地を把握」。現状どの物件がいくら儲かっているのか?
相続税はいくらになるのか? を把握すること。
その2:「現在地を把握」して改善すべき課題をプロのサポートを受けてチームで解決すること。
そして毎月の経営状況を把握して税引き後のキャッシュフローの管理を行うことが次世代へ賃貸経営をつなげる秘訣です。
”数字で経営”を実践して、次世代も生き残る大家さんになりましょう。
次回は、中古物件購入、建て替え、新築などの事業拡大についてお話をさせて頂きます。