更新日
2025.02.19
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太田垣章子

太田垣章子の賃貸トラブル110番 #2繁忙期を終えた今こそ考えたい空室対策

皆さま、3~4月の繁忙期お疲れ様でした! 空室は全部埋まりましたか? もし大きな声で「はいっ!」と言えない場合には、ぜひこのコラムを読んで工夫してみてくださいね。今回は空室対策について語ってみたいと思います。

1.退去理由は必ず確認しましょう

人は「何となく」引っ越しはしません。何らかの理由がある訳です。たとえば宅配ボックスがなくて困ったからとか、上階の人が干す布団がリビングから見えるのが嫌だったとか、共有部分が汚いから退去したとか。

誰しもが、不満を口にできるとは限りません。伝えるストレスを感じるくらいなら、これを機会に引っ越ししようと思う人も意外と多いものです。

空室が続くということは、その間の収入が途絶えるということ。大家さんからすると、死活問題ですよね。そのためどこをどうリフォームするかとか、どうして管理会社が客付けしてくれないのかと悩むと思います。

でも悩む前に、『引っ越しの理由』の確認です! これは工夫すべき生きたアドバイスです。しっかりチェックしましょう。もし退去の際にこの『引っ越しの理由』を聞いていないなら、それほどもったいなことはありません。必ず確認するようにしましょう。

2.退去理由が人的被害だった場合

Wi-Fiを導入するとか、防犯カメラを設置するとか、物件を掃除するとか、大家さん側だけで工夫できる場合には、精一杯やりましょう。でも一方で、「これが嫌だった」と他の入居者の行動が理由なら、次の入居者も同じように思って退去してしまうかもしれません。ここは知った以上、調査をして事実なら改善するように促しておかねばなりません。

たとえば先の「布団の干し方」が理由なら、全戸にその旨を伝えましょう。この時のポイントは、該当部屋だけでなく全戸にお知らせすることです。該当部屋だけに告知してしまうと「そんなことはない!」と反論されかねません。それよりも全戸への注意喚起なら、予防にもなるので効果的なんですよ。

内容的には「布団を干す際には、階下の方への配慮をお願いします。少しでも陽に当てたいと、落ちないぎりぎりまで垂らしてしまいがちですが、それでは階下の人の視界を遮ることにもなりかねません。こまめに布団を移動させながら、工夫していきましょう」といった注意書きで、改善を促しておきましょう。

3.特定の入居者が原因なら必ず書面をもらいましょう

特定の入居者が理由で、周りの賃借人が退去してしまうこともあります。騒音が我慢できないレベルとか、クレームをつけてくるとか、嫌がらせをされるとか、対応するのも怖いから黙って退去を選択するのでしょう。

でも大家さんからすると、特定人物が原因で良い入居者が退去してしまうのは本当に辛いですよね。新しく入居しても、同じ理由で退去してしまう可能性があります。また「知っていたら契約しなかった」と、退去費用を請求されることだってあるかもしれません。

最終的に、この特定の困った入居者に退去してもらいたくても、実際に出てもらうことは至難の業。仮に裁判にするとしても、勝つためにはその材料が必要です。それが何かと言うと、退去していく人からの書面です。退去の理由をしっかり書いてもらえば、裁判官も「これじゃ大家もかわいそうだな」と明け渡しの判決を言い渡すはずです。使うかどうか分からなくても、まずは書面いただいておきましょう。

4.理にかなった工夫をすること

空室対策には、工夫が必要です。最大限に効果を出すためには、理にかなっていることが必要です。

たとえば働く人たちを対象にした物件なら、宅配ボックスは効果的でしょうが、高齢者ばかりの物件には必要ありません。若い人や海外の人が多いなら、高速のWi-Fiは必須ですが、これまた高齢者には不要でしょう。

要は、ご自身の物件のターゲットはどのような入居者で、その人たちに好まれるように工夫することが必要なのです。

5.空室は空気の入れ替えを

 

※写真はイメージです

空室期間が長いと、室内の空気がこもりがち。まして水回りをつかっていなければ、排水の嫌な臭いが漂ってしまいます。ここは定期的に水を流し、空気も入れ替えましょう。内覧の時間が分かれば、その前に空調を整えておくことも喜ばれますよ。

たとえば夏の盛りの内覧なら、予めエアコンを作動させておけば、ゆっくり物件を見てもらえます。でも暑いままなら、さっと見るだけですぐ退室しまいたくなりますね。ゆっくり検討してもらうためにも、空調は大切です。

6.物件の間取り図に採寸した寸法を記載しておきましょう

内覧をする人からすると、家具が入るかは重要なポイント。物件の図面に予め寸法が記載されていると、家具を入れた際のイメージがしやすくなります。一度計ればいいだけなので、ぜひ空室の間にしておいてください。特にカーテンの寸法とか明記しておくと、喜ばれますよ。

数多くの物件の中から、選んでいただくのです。ぜひ工夫をして、良い賃借人に入居してもらい、長く住んでいただく工夫をしていきましょう!

この記事の執筆者

この記事の執筆者

太田垣章子

職業 司法書士・賃貸不動産経営管理士

家主側の訴訟代理人として、延べ3000件近くの悪質賃借人明け渡しの訴訟手続きを受託してきた、賃貸トラブル解決のパイオニア的存在。
住まいのトラブル解決だけでなく、終活・相続サポートにも従事。実務だけでなく、講演や執筆等で積極的に発信もしている。
通称:あやちゃん先生

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