これからアパートメントを建てる人・建て替える人は、アフターコロナの生活様式を考慮した土地活用の計画が必要となります。空室リスクコンサルタントの石川龍明先生に、具体的に、どういった考えで進めるべきか語っていただきました。

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【大家さん必見!】コロナ禍で生じた5つの問題点とニューノーマル時代を生き抜く秘訣とは?

石川 龍明

この記事を書いた専門家

空室リスクコンサルタント石川 龍明

土地活用プレーイングマネージャー、賃貸に特価した上級コンサルを通して、資産の有効活用を多数手がけたノウハウを活かし、個人の資産形成に関する相談業務やセミナー等を全国で開催している。新賃貸の預言者HPにて情報発信中。

【大家さん必見!】コロナ禍で生じた5つの問題点とニューノーマル時代を生き抜く秘訣とは?

【New Normal】という時代、世界は新型コロナウイルス危機という今までになかった経験をし、沢山の人たちが不安を抱えている。

見えない明日をどう生きていくか…こんなテーマを投げかけられているような気がする。

いろいろなコラムで少しずつ話してきたが、ニューヨークでは今【New Normal】というキーワードが話題になっている。

新型コロナ騒動が終わったら昔のような平穏な生活が戻ってくるのか?
いや、もう昔には戻れない。
過去と今は、もう繋がることはなく、覚悟を決めて新しい常識・新しい道をつくっていかなければならない時代となった。

生活様式の変化に伴い、今後アパートメント事情も変化していく事が考えられる。
これからアパートメントを建てる人・建て替える人は、アフターコロナの生活様式に併せた考えが必要となる。
まずは、現状のアパートメント事情を知る事が、その一歩ではないだろうか。
具体的に、どういった考えで進めるべきか語っていこうと思う。

オーナーに聞いた、コロナ禍で生じた5つの問題点

30世帯以上を運営している5人のオーナー達と会ったり電話をしたりして、色々とインタビューしていると、5つの問題点がでてきた。

今回のコラムでは、この問題点をもとに、僕なりのメソッドも含めて、【New Normal】時代に次の一手をどの様に打つのか、お話ししよう。

コロナ禍で生じた5つの問題点は、以下の通りだ。

  1. 空室問題
  2. 家賃交渉問題
  3. 入居者同士のトラブル問題
  4. 修繕クレーム問題
  5. カラス問題

1.空室問題

東京や横濱のアパートメントオーナーたちは、エリア的にもレジデンス系だけではなくテナント系やオフィス系も所有し運営していることが多い。

順番で行くと、一番厳しくなったのが飲食店や美容室などを抱えているテナント関係だったと言う。
緊急事態宣言でしばらく店を休業し、やっと開けたとしてもソーシャルディスタンスで通常の来店数の50%くらいの状況で運営をしていくという、非常に厳しい状態で経営が始まった。

また、この事態では経営は成り立たないとあきらめて、退去する店も出始めている。
今後テナントの空室率は上がるだろう。

また、飲食店で退去したテナントに次の入居希望者が入るのには少し時間がかかる可能性もある。

そして、既存テナントは、

と、最初に動きがあったという。

次にオフィス系はいろいろな会社が緊急事態宣言の時、リモートワークと言う方法で新たな舵取りが必要になってきた。

満員電車に揺られながら、長い時間会社まで通勤する必要はあるのか?
緊急事態宣言が解除された時点でも、私のクライアント会社のうち2社はまだリモートワークを続けている。
その会社の社長は新型コロナに関係なく、このままリモートワークでよいと言っている。

そうなると、大きなフロアを持ってたくさんの人が仕事するオフィス、人気のある駅からアクセスが良く、家賃も相当高いオフィスを所有する必要があるのか?
先行き不安定なこの新型コロナの時代、やはり経費を考えた時にオフィスにも問題が起きてくる。

駅前の大きなテナントは空く可能性があり、次の一手は業種転換等も視野に入れてリーシング活動をするようになる。

そして、少し時間は空くが、次に、アパートメントオーナーたちのレジデンス系の市場、ここにも問題がやってくる。

2.家賃交渉問題

今後、更に新型コロナの感染拡大がやって来た時、更新料の交渉や家賃の交渉が始まってくる案件も出てくるかもしれない。

こんな事例がある。
横濱には私どもでお手伝いしている物件がいくつかあるのだが、その物件の一つに住む入居者の一人はウエディングプランナー会社を経営ししている。
その方の話によると、1年間で一番の稼ぎ時であるジューンブライド前後に緊急事態宣言となり、ブライダル業界は相当なダメージを受けた。

そこで、この入居者からアパートメントオーナーにこのような時期なので家賃を少し待って貰いたいとの直接交渉が入った。

今後はこのような問題が多くなってくるだろう。

大事なことは、アパートメントオーナーは、入居者から、

と言われた時に、順序が違っていると言う意思表示をしっかりするべきだ。

なぜなら、行政がいろいろな補助の制度を打ち出しているので、まずはそちらと相談することを促すべきだ。

厚生労働省では住居確保給付金(家賃)なるものを発表している。

厚生労働省住居確保給付金(家賃)

この給付金は条件さえ合えば、最長9か月の家賃を補助してくれるということになっている。

アパートメントオーナー達は、入居者からこのような話があった場合は、「一度行政を調べてみてください」と言うことをしっかり伝えることだ。

3.入居者同士のトラブル問題

緊急事態宣言が発令され、会社のほとんどがリモートワークとなり、家にいることが多くなった。
そういった生活様式の変化の中で、共同住宅での入居者同士の生活音のトラブルが増加している。

いろいろクレームが後を絶たないアパートメントもある。
基本的には集合住宅なので、お互い様という気持ちで暮らしていけるようなコミュニケーションがないと、このような問題はこれから多くなってくる。

RCマンションでも鉄骨マンションでも木造アパートメントでも、最近の建物はそれなりの遮音性を保っている。

あとは人間一人一人の感覚的な問題となってくるので、

という人はNGにするといった具合に、入居審査を以前より一層はっきりさせておくことが重要だ。

4.修繕クレーム問題

普段、職場勤務だった入居者があまり気にしていなかった「いずれ伝えて直してもらおう」と思っていたことが気になりだす。

等々

入居者が放っておいたコトが、この時期に不動産屋さん経由やオーナーに直接クレームとして入ってくることが多くなっているという。

直す必要があれば修繕費を使って直すべきだが、リモートワークが続くのであれば、こんな問題は後を絶たないのかもしれない。

5.カラス問題

最後に、あるアパートメントオーナーから聞いた話だが、ここのところ、ゴミステーションに集まってくるカラスが、かなり増えていると言う。
これは大きく二つの要因があり、一つはリモートワークになり自宅で三食ごはんを作るようになり生ゴミの量が増えているということ。

もう一つは、外食を行う機会が減少した事により、飲食店が出す美味しいゴミ(餌)が望めなくなり、カラス達は繁華街から住宅街に集まってきてしまっているということだ。

ネットでできているゴミステーションなどは、カラスたちは簡単にネットを開け中のゴミをあさっているという。

こうなると、

などを考えなくてはいけない。

ポストコロナ時代に備える3つのキーワード

このようなアパートメントオーナー達のヒアリングから今後3つのキーワードが見えてくる。

このキーワードに備えていくために、まずハード部分としてアパートメントは、以下のような事を考える必要が出てきた。

  1. リモートワークなどで家にいることが多いので、居心地がよいものでなくてはいけない
  2. リモートワークなどで自炊が増えるので、充実したキッチンが必要
  3. 新型コロナ時代でのライフシフトに伴い、今まで満員電車に乗っていた人たちが自転車を使うようになるので、駐輪場の充実
  4. 家を仕事の場として使う人が増えてくるので、仕事のできるスペースやWi-Fiなどの設備をより充実させる

新型コロナの感染拡大に備える3つのファイナンス見直し

今後、先ほどの3つのキーワードから、入ってくるお金が少なくなる可能性があるため、出ていくものを抑えていかなくてはいけない。

支出の一部、家賃総額の半分くらいを占める銀行への融資返済は3つの見直しが必要になってくる。

  1. 金利の見直し
  2. ローンの一部繰り上げ返済
  3. ローンの借り換え

このようなことを行った場合に、どうなるかはイメージしておくべきだと思う。

新型コロナ問題で必要な定規(基準)

そして3つのファイナンスの見直しを考えた後、今度は自分の所有しているアパートメントにおける体力の改善を考える。

一つの定規(基準)DSCR
不動産から得られる収益によって借入金をどの程度返済できるかを示した数値で、最低でも1.2以上、1.6以上あれば理想的と言われている。

これは、年間の家賃収入を年間の純収益(NOI)で割った値、この数値を意識してもらいたいと思う。

例えば、300万円(A)の年間家賃収入があり、年間の純収益が210万円(B)だったとするとDSCRは、1.42(C)となる。…式(a)

この場合、DSCRは、1.2以上あるから今までは良かった。
ただ、今後新型コロナ問題が長引くなら1.6くらいは欲しい。

DSCRが1.62(D)としてシミュレーションすると、純収益(NOI)は185万円(E)となる。…式(b)

従って、現在の純収益(NOI)毎年かかる経費の中から25万円(F)のダイエットをして、ウィズコロナ、ポストコロナ時代に備えることだ…式(c)。

式(a):300万円(A)÷210万円(B)=1.42(C)
式(b):300万円(A)÷1.62(D)=185万円(E)
式(c):210万円(B)-185万円(E)=25万円(F)

ダイエットする経費は以下のとおりである。

等々

これらの経費は、通常、家賃総額の15%~30%と言われている。
一度、この経費関係のダイエットを、おすすめする。

もし、あなたがお持ちのマンション・アパートの収益改善を考えているなら、複数の管理会社や不動産会社に、一括で相談できるサービス「賃貸経営HOME4U(ホームフォーユー)」を使って見ることをおすすめする。

変わりゆく時代とオーナーメンタル

ある人が語っていた。
「今回の新型コロナは線香花火のように新しい時代に変わる最後のあがきだと」

新しい時代とは、
勝ったor負けた
儲けたor損した
という『外の世界』ではなく

自分が本当に何をしたいのか?
という『内の世界』が広がるという。

情報洪水は相変わらず限りなく発信されてくるが、その情報の生かし方や今後の生き方を、全部自分でやるという覚悟が必要になるのだ。

いろいろな人の意見を聞き、いろいろなリサーチを今後もしていくが、
信じられるのは自分だけ
判断するのも自分だけ
という『内の世界』が大切になる時代が来る。

マイナス面ネガティブ面、それぞれたくさんあると思う。

今回の件では、亡くなった方もたくさんいらっしゃるので、あまり語ることではないのかもしれないが、新しい世界を迎える準備が必要なので、今回はあえて言わせていただく。

国々が
街が
会社が
そして個人が
ゲートを閉めざる得ない状態になっている。

そして、その結果『自分の時間』というモノがたくさん生まれる。
これはアパートメントオーナーも一緒だろう。

このように、自分に向き合う時間が出来た時に
どんな人生を送りたいのか?
どんな賃貸経営をしていきたいのか?

いろいろ考え、智慧を出す時期だ。
そしてわかっているのは【New Normal】時代
それは今までと同じコトをやっていては通用しない時代が来るコトだ。

これからいろいろなものが淘汰され、閉ざされたゲートは次の新しいドアを開く時期を迎えるだろう。

新型コロナウイルスは、自分の前に立ちはだかる壁だ。
今はとても辛い時期であるが明けない夜はない。
次の新しい朝がやってくる。

その時までに本気でやることは、それぞれたくさんあると思う。
夜明け前が一番暗い。

再び、新型コロナの感染拡大が来る前に色々と備え、今、本気でいろいろと智慧を出し、行動しておけば、壁がなくなる前に、その壁が扉(ドア)に変わる人も出てくるかもしれない。
先んずれば人を制すということだ。

この差はとても大きいものとなる。
これからやってくる、新しい時代では「思ったことは何でもできる」と思って行動することだ。

大変な時代だが明るい未来は必ず来る。
今、いろいろなことを考え整理(クリーニング)をしておこう。

今時点で出来るコトがあるということは大変幸せなことだ。
これを今年の秋の終わりまでにはやっておくといい。

こんな時代だからという考えは整理して「自分発信」を大切に。
やれることからやっていこう。
希望を持ち続け経営していこう。



この記事を書いた専門家

この記事を書いた専門家

石川 龍明

所属 横濱快適住環境研究所
職業 空室リスクコンサルタント

建設会社で土地活用プレーイングマネージャーとして、販売戸数を300戸から1800戸に伸ばす。その後、コンサルティング会社で賃貸に特価した上級コンサルを務め、賃貸市場を実践の現場で体感する。その期間を通して、長期にわたり資産の有効活用を多数手がけ、そこで蓄積されたノウハウを活かし、個人の資産形成に関する相談業務やセミナー等を全国で開催している。新賃貸の預言者HPにて情報発信中。

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