認知症の高齢者や障がい者の方が共同生活を送るグループホームの経営は、収益性や安定性の高い土地活用方法といえます。賃貸ニーズの少ないエリアでもグループホームには向いているケースもあるため、土地の条件によっては検討したい方法の一つです。
この記事では、グループホーム経営の収益の目安やメリット、デメリットを詳しく解説します。
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グループホームは儲かるの?
グループホームは、大きく分けて「認知症の高齢者向け」の施設と「障がい者向け」の施設があり、経営の方式には「借地方式」「サブリース方式」「自主運営方式」の3つがあります。
グループホームの収入は、利用者からの利用料と、国や自治体からの給付金となります。以下はグループホームを建築して事業者に貸し出した際の土地オーナーの年収例です。
<収入>
- 家賃収入:300万円
<支出>
- 土地管理費:12万円
- 保険料:15万円
- 税金:20万円
- ローン利息:95万円
<年収目安>
- 158万円=300万円ー142万円
グループホームのメリット・デメリット
グループホームのメリットは以下のとおりです。
- 補助金が得られる
- 競争が起こりにくい
- 安定した収益が期待できる
- 節税効果が得られる
- 必ずしも立地の良さは必要ない
- 経営の手間を省くこともできる
- 社会貢献になる
グループホームのデメリットは以下のとおりです。
- 初期費用が高額になる
- 施設の転用が難しい
- 良い福祉事業者を探す必要がある
- 将来的な需要減の可能性がある
1. グループホームの経営とは?
グループホームと一口に言っても、どのような種類があるのか、経営はどうするのか、一般にはあまり知られていないかもしれません。まずは、グループホームの種類や経営方式についてご紹介します。
1-1. グループホームは2種類
グループホームは主に2種類に分かれます。グループホーム施設の多いエリアで経営を始める場合、どちらのグループホームとするかは自治体との協議が必要な場合があります。
1-1-1. 認知症の高齢者向けグループホーム
軽度の認知症を患った高齢者を対象としたグループホームです。認知症は単調な生活が続くと進行が早まるとされているため、少人数のグループでの集団生活を通して症状の進行を緩和させ、スタッフのサポートを受けながら生活します。
規模は建物1棟(ユニット)ごとに5~9人程度の少人数となります。
1-1-2. 知的障がい者や精神障がい者向けの施設
知的障がい者や精神障がい者の自立的生活を支援するためのグループホームです。規模は建物1棟(ユニット)ごとに10人以下の少人数であることが多く、職員のサポートを受けながら共同生活を送ります。
他の施設利用者との食事や交流というコミュニケーションをとりながら共同生活を送ることで、日常生活を問題なく送れる状態を目指す施設です。
1-2. グループホームの経営方法
土地活用でグループホーム経営を行う場合、主に3種類の経営方式から選ぶのが一般的です。それぞれの違いについて説明します。
1-2-1. 借地方式
グループホームの事業者に土地を貸し出し、借地料を収益とする方式です。グループホームの建築や運営はすべて事業者が行うため、土地オーナーが行うことは基本的にありません。手間を省いて土地活用したいオーナーにおすすめの方法です。
手がかからない一方で、オーナーは土地を貸しているだけになるため、収益は限定的な点がデメリットです。
1-2-2. サブリース方式
土地オーナーがグループホームを建築し、事業者に施設一棟を貸与して運営してもらう方式がサブリースです。土地オーナーは建物を建築する際の負担がありますが、建物一棟分の賃料が収益となり、借地方式と比較すると高い収益が期待できます。
1-2-3. 自主経営方式
土地オーナーが自らグループホームの経営を行う方式です。グループホームの建築費から、職員にかかる人件費や食費、光熱費などのランニングコストすべてを負担し、利用者からの利用料や国からの給付金がすべて収入となります。
収益はもっとも高くできる可能性がありますが、事業者としての資格が必要なうえ、一定のノウハウも必要とされますので、経験のない状態から取り組むのは現実的とはいいがたいのが実情です。
2. グループホーム経営は儲かる?
グループホームは社会的貢献度の高い事業です。そのため、国としても事業者が収益性を確保できるような制度にしています。また、安定性の面でも他の福祉サービスと比較して高い状態となっています。
2-1. グループホームの初期費用
グループホーム経営は、経営方式によって初期費用が変わってきます。
一例として、土地活用としてグループホーム経営を行うときに一般的なサブリース方式(建物を建てて運営は事業者に任せる)方式の初期費用は以下のとおりです。
- 5~9人が入居する施設
- 木造2階建て・延床面積100坪
- 坪単価95万円、諸費用は建築費の10%と想定
- 建築費:9,500万円=95万円×100坪
- 諸費用:950万円=9,500万円×10%
- 初期費用合計:1億450万円=9,500万円+450万円
ここではサブリース方式でご紹介しましたが、借地方式の場合は初期費用がほぼかからず、そのまま土地を事業者へ貸し出す形となり、自己運営方式の場合は建築費以外に入居者募集費用や求人費用などさまざまな費用がかかります。
また、グループホームは福祉施設で行政からの補助金や給付金を利用できるため、実際の負担額はこれより軽くなります。
2-2. グループホームの収支
グループホームの収益は、利用者からの利用料と、国からの給付金です。定員8名のグループホームで月間の収支例を見てみましょう。
- 入居者:8名
- 給付金:利用者一人あたり15万円/月
- 利用料:利用者一人あたり6万円/月
- 食費・光熱費:利用者実費負担
- 168万円=15万円×8名(給付金)+6万円×8名(利用料)
- 合計:168万円
- 人件費:70万円
- 施設管理費:10万円
- サービス事業費:30万円
- 税金:1.5万円
- ローン利息:8万円
- 合計:119.5万円
- 48.5万円=168万円―119.5万円
収支は施設の規模によって異なりますが、棟数や利用者が増えるたびに給付金は増加し、一棟あたりのサービス事業費は減少するため、収益性の高い土地活用が可能となることはお分かりいただけるのではないでしょうか。
2-3. グループホーム経営の年収は?
続いて、土地活用としてグループホーム経営に取り組むと、どれくらいの年収が得られるかをシミュレーションしてみましょう。
ここでは、建物を建築してグループホームの事業者へ貸し出す方式で計算してみます。
- グループホーム一棟を事業者へ賃貸
- 家賃収入:300万円
- 土地管理費:12万円
- 保険料:15万円
- 税金:20万円
- ローン利息:95万円
- 158万円=300万円ー142万円
ここでは1棟のみのケースをご紹介しましたが、複数棟を建てる場合は年収も上がります。グループホームは需要が高く、一度入居すると比較的退去が出づらい特徴がありますので、安定した収入が見込めます。
3. グループホーム経営のメリット
3-1. 補助金・減税措置がある
グループホームの経営では、補助金や減税措置が受けられる点が大きなメリットです。主に次の3つが挙げられます。
- グループホーム施設整備費補助金
- グループホーム運営費補助金
- グループホーム入居者家賃補助金
3-1-1.グループホーム施設整備費補助金
グループホームを建てる時に使える補助金制度です。国から補助があるほか、多くの自治体でグループホームのような福祉施設を建てるときには補助があります。
具体的には、整備費の2分の1を国が、4分の1を自治体が補助し、全体で整備に要する経費の4分の3が補助されます。建築する以外にも、活用予定地にある古屋を解体する費用にも基本的に補助金の適用があります。
また、グループホームの建築をするために借り入れるお金に関しても、国や地方公共団体による助成があります。自治体によって予算が異なるので、まずは管轄の自治体に問い合わせてみるのがよいでしょう。
3-1-2.グループホーム経営時に使える補助金と減税措置
グループホーム経営時にはさまざまな費用が発生します。受けられる補助金や助成金はグループホームの種類や設置する自治体によっても異なりますが、運営に必要な費用を補助する制度があることが一般的です。
また、グループホーム経営時に建物のリフォームを行う場合にも、その整備に対する補助が行われます。
そのほか、グループホームを対象とした税制の優遇措置もあります。運営する社会福祉法人に対しては、固定資産は非課税となります。また、管轄の自治体によってはグループホームの運営が社会福祉法人でなくとも減免措置を受けられる場合があります。
【参照:厚生労働省「社会福祉施設の整備・運営」】
3-2. 競争が起こりにくい
グループホームは、地域包括ケアシステムという国の政策によって、管轄の自治体ごとにエリア配分と建設管理がされています。つまり、エリアごとに必要十分な施設を配置することを目標としているため、競争が起こりにくい背景があります。
グループホームの経営は長期で取り組む土地活用となるため、将来的な変化にアンテナをはっておく必要はありますが、基本的には安定した需要が見込める土地活用といえるでしょう。
【参照:厚生労働省「地域包括ケアシステム」】
3-3. 安定した収益が期待できる
土地や建物をグループホームの事業者へ貸して収益を得る方式の場合、契約期間は30年や50年など長期にわたるのが一般的です。そして、グループホームの入居者は賃貸住宅の入居者と比べて長期の入居になる場合がほとんどです。
また、入居者が確保できている限り、国からの補助金も確保できます。これらのことから、グループホームの経営は安定した収入が長期にわたって得られる傾向にあります。
3-4. 節税効果が得られる
グループホーム経営のために土地や建物を貸していると、貸付をしている状態となるため相続財産の評価額の軽減ができ、相続税の節税効果が得られます。また、土地を放置せずに建物を建てて活用することで、土地の固定資産税の減額にもつながります。
さらに、グループホーム建築のためにローンを組んだ場合、相続税におけるマイナスの資産として課税対象額から差し引かれます。また、グループホーム経営で公共性が高いと判断された場合、収入は課税対象外となります。
このように、グループホーム経営を行うことでさまざまな節税効果が期待できます。グループホーム経営をした際の具体的な節税額を知りたい方は「HOME4U オーナーズ」をご利用ください。
3-5. 必ずしも立地の良さは必要ない
アパートやマンションなどの賃貸経営は立地がとても大切な要素となりますが、グループホームは必ずしも立地の良さは必要とされません。
利用者のケアが行き届き、サポートが受けられることが必要な条件となるため、環境がよく安全なエリアであることが好まれます。特に、駅から遠いなど交通利便性の高くない場所であっても問題ないため、賃貸経営に向いていない土地でもニーズが存在する場合があります。
3-6. 経営の手間を省くこともできる
グループホーム経営といえば、専門的な知識や人材育成、入居者の募集などさまざまなノウハウが必要とされます。土地オーナーとしては難しく感じられるかもしれませんが、それらの運営はグループホーム事業者に任せることで手間を省くことができます。
土地のみ貸し出す方法と、グループホームの基準に合った建物を建てて土地と建物を貸し出す方法があり、どちらも運営は事業者に任せることができます。
3-7. 社会貢献になる
グループホームは、障がいや認知症により一人暮らしが難しい方の生活を支援し、自立をサポートする社会貢献性の高い事業です。
国や自治体にとっても、障がい者や認知症患者が安全に地域で生活できる基盤を整備する取り組みは重要と位置付けられています。地域社会に貢献する土地活用をしたい方は、まずはご所有の土地がグループホームに合った立地かどうかを確認してみるとよいでしょう。
4. グループホーム経営のデメリット
グループホーム経営にはデメリットもあります。以下の代表的なものをご紹介しましょう。
4-1. 初期費用が高額になる
グループホームは設備基準・設置基準に合わせた設計をする必要があります。そのため、建築費用など初期にかかる費用は高額になる傾向があります。
ただし、社会福祉法人等がグループホームを設置する場合、整備に必要な費用を国や自治体が補助する制度もあるため、条件に合えば土地オーナーの負担は小さくグループホーム経営を始められます。まずは管轄の自治体の窓口に相談してみるのが近道でしょう。
4-2. 施設の転用が難しい
グループホームは複数人で共同生活を送る前提で設計される建物です。そのため、間取りや設備はアパートやマンションというよりも「寮」に近いものとなっているのが一般的です。
そのため、将来的にグループホームから撤退したいと考えたときでも、一般の賃貸住宅などに転用するには配管や間取りを全体的に変更する必要があるため、現実的に難しい点がデメリットです。
基本的には建物の転用は想定せず、あくまでグループホームとして長期的な経営を目指してプランを考えるのがおすすめです。
4-3. 良い福祉事業者を探す必要がある
グループホーム経営のために最も大切なのが、良い福祉事業者を探すことといっても過言ではありません。
グループホームは福祉事業であるため、補助金や減税制度があり、事業者と入居者の双方が長く安定して続けられることを前提として制度設計がされています。ただし、福祉事業者の報酬体系は保険診療のような形で行政に管理されているため、改定の方向性によっては経営に大きな影響が出てしまう可能性があります。
良い福祉事業者はこのような報酬体系の変化にも適切に対応しながら事業として成立させてくれますが、実績とノウハウのない企業であれば、制度が変化するたびに経営が悪化してしまうリスクもあります。
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4-4. 将来的な需要減の可能性がある
2024年現在、グループホームの利用希望者は増加しており、需要はあることに対して供給は不足しているのが現状です。そのため、国や自治体が積極的にグループホームを増やそうとしています。
今後も需要は高まる見通しではありますが、この需要が将来的にわたって続くかはわかりません。また、社会全体での需要があっても、グループホームを経営するエリアで競合が増えて競争が激化する可能性がある点にも注意が必要です。
上記のようなリスクも想定したうえで、エリアのニーズとご所有の土地の条件のバランスを見て判断することが必要です。
5. グループホーム経営を始めるには
5-1. 経営までの基本的な流れ
グループホーム経営までの基本的な流れは、経営方式により異なります。以下の流れは土地活用でグループホーム経営をする際に一般的な「建物一棟をグループホーム事業者に貸し出し、運営は委託する」パターンです。
グループホームの運営開始まではさまざまな工程がありますが、実際に土地オーナーが行うべきなのは一括プラン請求をしてハウスメーカーと契約し、福祉事業者を選定するところまでです。
選定ができれば、あとは事業者の主導で運営開始まで進んでいきます。
5-2. グループホーム経営は複数のプラン比較からスタート
土地活用でグループホーム経営を検討するなら、まずは複数の土地活用業者に問い合わせて、プラン比較からスタートすることをおすすめします。実際にグループホーム経営が向いている土地なのか、収支計画や資金計画はどうなるのか、プランをもとに検討をすすめましょう。
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