土地活用でビル建設を考えている方に向け、建設費の坪単価や「稼げるビル」にするために意識すべき10のセオリーを紹介していきます。

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更新日
2023.08.17
カテゴリ
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ビル建設費はいくら?稼げるビルを建てる10のセオリーとは?

ビル建設費はいくら?稼げるビルを建てる10のセオリーとは?

ビル経営は賃貸経営と異なり、入居者トラブルなどが少なく、場所によっては土地活用の中でもっとも高収益が期待できる活用方法です。

一方、初期費用も高額となる傾向にありますが、ビルは少なくとも50年以上は賃料を稼ぎ続ける資産となるため、安さだけを追求するのではなく、貸しやすいビルを建てることも重要となります。

この記事では、これからビルを建設しようと考えている方に向けて、建設費の相場、適切な建設費でビルを建てる方法、稼げるビルにするために知っておくべきポイントなどについて、わかりやすく解説していきます。

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詳しい解説は以下

1.ビル建設費の坪単価相場

オフィスビルは、比較的大きな室内空間を作ることが多いことから、鉄骨造で建てられることが主流となっています。

一部に、室内空間がそれほど大きくないケースや住宅も併存しているビル等では、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のオフィスもあります。

それぞれの構造における坪単価の目安は、以下の通りです。国土交通省の統計「建築着工統計調査(2020年)」をもとに算出しています。

構造 坪単価
鉄骨造 坪106万円程度
鉄筋コンクリート造 坪125万円程度
鉄骨鉄筋コンクリート造 坪125万円強

※出典:国土交通省 統計表名「(表番号3)用途別、構造別/建築物の数、床面積、工事費予定額」の用途「事務所」より算出

ビルを建てようとする土地の前面道路の幅、周辺環境、間取りといった複合的な要素により、実際の坪単価は変動し、上記以上にかかるケースもあります。

鉄骨造では、広い室内空間のオフィスビルほど、梁(柱と柱を繋ぐ横架材)が太くなるため、建築費が高くなる傾向にあります。

鉄筋コンクリート造は、広い室内空間のオフィスビルを建てるには向いていませんが、狭い土地に建てる5階程度のビルであれば、採用されることもあります。

適切な構造は、建てるオフィスの規模や室内空間の広さによっておのずと決まっていきますので、設計者や施工者から最適な構造を提案してもらうようにしてください。

2.ビル建設費の内訳

ビル建設とマンション建築とではかかる費用が少し異なります。ここでビル建設にかかる費用の内訳しておけば、どのような部分にコストをかけるべきなのかわかるため安心です。建設にかかる費用と諸費用に分けて、それぞれの特徴的な部分をピックアップします。

2-1.ビル建設にかかる費用

構造別の坪単価にプラスして、内装費用や設備費用なども考慮に入れなければいけないのがビル建設です。オフィスビルの場合、内装にはあまり費用をかけずに済むこともありますが、空調設備や大型のエレベーター設置などビル建設独自の設備費用を想定しておかなければなりません。

また、一戸ごとにお風呂など水回り設備一式を設置しなければならないマンションと違い、配管だけ設置しておけばよいケースがあることもビル建設での特徴です。

2-2.ビル建設時にかかる諸費用

ビルを賃貸目的で建てる場合の諸費用には以下のようなものがかかります。

調査費・設計費 契約・手続きにかかる費用
現況測量費
ボーリング調査費用
設計料
印紙代
水道分担金
新築建物登録免許税
抵当権設定登録免許税
新築建物不動産取得税
司法書士手数料
火災・地震保険料
融資関連費用

上記の費用はそれぞれ支払うタイミングも異なります。登録には煩雑な手続きが必要なので建設会社と密に連携を取りながら進めることが必要です。これら諸費用はおおよそ建築費の3~8%程度かかるといわれています。

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3.ビル建設費の算出方法

ビル建設費 =(ア)延べ床面積(坪数)×(イ)坪単価

ビルの建設費を概算するには上記の式を使って算出します。例えば、ワンフロア50坪の7階建てビルを鉄骨造で建設する想定では、以下のような計算式です。

3億7,100万円= 350坪 × 106万円

このほか、建設予定地の環境によって人件費が加算されたり、資材の調達費に変動があったりすると建設費も大きく影響を受けます。

ビル建築に向いている土地や建築費用について詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。

【徹底解説】ビル建築費の目安と、土地条件別のおすすめビル建築タイプ

4.適切な建築費でビルを建てる方法

適切な建築費でビルを建てるには、複数の施工会社で相見積もりを取り、建築費の比較検証をすることが成功への第一歩です。

1社の見積もりだけだと、それが適切な建設費なのか判断するのは難しいですが、他社の見積もりと比較することで、高いのか安いのかが分かるようになります。

ビル建設はほとんどの方が経験はありませんし、専門的な知識がないと内容もわからないことから、他社との比較なしで適正額を判断することは困難です。
相見積もりを取ることは、ぜひとも励行してください。

複数の施工会社から相見積もりを簡単にとるなら、「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」の一括プラン請求サービスがおススメです。

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5.稼げるビルを建てるには?意識すべき10のセオリー

できるだけ稼げるビルにするためには、施主が意識しておくべきセオリーが存在します。
この章では、稼げるビル建設の10個のセオリーについて解説します。
順番に見ていきましょう。

5-1.整形な貸室形状にする

貸しやすいビルにするには、整形な貸室形状にすることが大切になります。
ビルは、上から見た平面図で表すと、コアと貸室の2つに分かれます。
コアとは、エレベーターや廊下、階段、トイレ、給湯室等の共用空間のことです。

白抜きをコア、青い部分を貸室とすると、貸室形状には主に以下のようなものが登場してくることが多いです。
整形な貸室形状にする

貸室形状の中で、最も貸しやすい形状は長方形型になります。
長方形は一番レイアウトがしやすいので、正方形よりも長方形の方が良いです。

L字型は大型ビルであればあまり問題にはなりませんが、中小ビルの場合はLを2分割したときに生まれる小さいほうの長方形部分が使いにくい小部屋になることが多いため、貸しにくくなります。また、台形型やコの字型は明らかに貸しにくくなることから、避けるべきです。

貸室形状は非常に重要ですので、間口の広い長方形型を最優先に検討するようにしてください。

5-2.貸室は無柱空間にする

貸しやすいビルにするには、貸室は無柱空間にすることが鉄則です。
無柱空間とは、柱が出てこない室内空間のことを指します。

貸室は無柱空間にする

貸室内に柱が飛び出ていると、机や書棚、会議室等のレイアウトがしにくくなります。
テナントにレイアウトの自由度を与えるためにも、柱はない方が良いのです。

柱の本数を減らすと、梁で床荷重を支えていかなければならなくなるため、梁を太くする必要が出てきますが、梁を太くすると、鉄骨量が増えるため、その分、建設費は上がってしまうという点がデメリットです。

ただし、中小ビルは元々の貸室空間が狭いことから、割と古くから無柱空間がスタンダードとなっています。

中小ビルで無中空間を断念すると、かなり競争力が下がってしまいますので、無中空間はこだわりをもって死守することをおススメします。

5-3.個別空調にする

これから建てるビルは、個別空調にすることが貸しやすくするポイントとなります。
個別空調とは、テナントが自由に空調の入り切りや温度設定ができる空調のことです。
それに対して、ビル側で制御されてしまう空調のことセントラル空調と呼びます。

個別空調なら、深夜残業や土日出勤が生じても、自由に室内温度を設定できますので、快適に働くことができます。

新しいビルに入ってくるテナントは、以前のビルの空調システムに不満を抱いて転居してくる事業者も多いものです。
個別空調はビルの一つのウリとなりますので、こだわりをもって設置することをおススメします。

5-4.天井高を高めにする

中小ビルは、なるべく天井高を高めにするのが貸しやすくするコツです。
天井高とは、床から天井までの高さのことを指します。

天井高が高いと、室内空間が広く見えますので、面積以上に広く感じさせることが可能です。
オフィスで確保したい天井高は、最低でも2.8mとなります。

3.0mくらいにすると高い部類に属しますので、設計上、高くできる余地がある場合には高めの天井高を意識するようにしてください。

5-5.トイレを綺麗に作る

近年のオフィスビルは、トイレを綺麗に作ることが重要視されてきています。
共用部のトイレが決め手になって入居が決まることもありますので、最近の新築ビルはちょっとしたトイレ合戦となっています。

過剰にお金をかける必要はありませんが、ある程度、おしゃれに作ることは意識することがポイントです。

また、古い中小ビルでは専有部内にトイレを作り、トイレ部分も含めて貸すケースのビルが存在します。
専有部内にトイレのあるビルは、テナント側でトイレ掃除をしなければなりません。また社員がトイレに立つところを目撃されることから行きにくい環境となるため大変不評です。

トイレは必ず共用部に作るようにしてください。

5-6.エントランスの仕上げを豪華にする

エントランスの仕上げを豪華にする

貸しやすいオフィスビルにするには、エントランスの仕上げを豪華にすることがポイントです。

ビル建設では、お金をかけるべきところと、かけなくても良いところがあり、メリハリを意識することが稼げるビルを建てるコツになります。

お金をかけるべきところとして、最も重要な部分はエントランスの内装仕上げです。
床と壁の仕上げ材を石とし、敷地の入口から自動扉、エレベーターホールへと高級感を演出しながら人を誘導していくイメージとなります。

内装の仕上げ材として石は最も高いので、建設費の中で削りたいと思う方は多いです。
しかしながら、エントランスの仕上げを安価なものにしてしまうと、ビル全体の印象を下げてしまうことになります

入居希望者にビルを案内する際、まずは1階のエントランスに目が行きますので、エントランスの雰囲気でビル全体の良否が判断されるケースが多くあります。

エントランスはビル全体の品格を上げる部分になることから、しっかりとお金をかけて豪華に仕上げることをおススメします。

5-7.喫煙室を作る

これから新築ビルを建設する場合には、共用部に喫煙室を作ることは必須です。
2020年4月から改正健康増進法が施行されたことにより、オフィスでも分煙が義務化されました。

共用部に喫煙室のない中小ビルは、今後は競争力がかなり落ちるものと予想されます。
中小ビルは元々、テナントが借りる専有面積が狭いため、専有部内で喫煙ブースを設けようとすると、かなり無理が生じます。

専有部内であれば、喫煙ブースにも賃料が発生しますので、テナントにとってはかなり無駄な空間に感じます。

共用部に喫煙所がないことに不満を持っているテナントは多いため、新築ビルで共用部に喫煙室があると、テナント受けが非常に良いです。

喫煙室は自動販売機とも相性が良いので、喫煙室の手前に自動販売機置場もレイアウトすると自動販売機の設置料も収入として得ることができます。

喫煙室の中に作ってしまうと、非喫煙者が飲み物を買いにくくなるため、自動販売機は喫煙ブースの手前に配置するようなレイアウトがベストです。

喫煙室や自動販売機スペースは、後から作ろうとするとスペースがなくできないことがよくあります。
新築時にしっかりと作り込むことが重要なので、設計を検討する際は、喫煙室を作ることを忘れないようにしてください。

5-8.利用しやすいセキュリティシステムにする

ビル建設では、テナントが利用しやすいセキュリティシステムにすることがポイントとなります。

中小ビルは、24時間の有人管理となることが少ないため、夜間や土日は閉館となることが一般的です。

従業員が残業や土日出勤をする場合には、ビルの裏口を開錠して入退館することになります。

この際、セキュリティシステムを使いにくいものにしてしまうと、テナントからの評価が下がってしまいます。

例えば、セキュリティカードをテナントに2~3枚しか渡さないような体制にすると、限られた人しか夜間や土日に入館できないため、セキュリティ面は向上するものの、テナントは使いにくくなります。

セキュリティ面と利便性は、相反する部分があり、バランスを取ることが重要です。
あまりビルオーナー側の主張を押し付け過ぎると、かえって使いにくいビルとなってしまいます。

セキュリティは、「厳重性」よりも「存在する」ことの方が重要ですので、ある程度緩やかにしてテナントが使いやすいビルとすることを心掛けてください。

5-9.省エネビルで付加使用料を下げる

貸しやすいビルにするには、省エネビルで付加使用料を下げることもポイントです。
付加使用料とは、ビルオーナーがテナントから徴収する専有部の水道光熱費のことを指します。

付加使用料はテナントが直接電力会社から請求されるわけではなく、ビルオーナーから徴収されるものなので、テナントにとっては透明性が低い費用です。
そのため、付加使用料に対して不満を持っているテナントは多く、付加使用料が安いビルはテナントに大きな関心を持ってもらうことができます。

省エネビルとは、例えば全館LED照明を採用しているビルや、ガラス面にLow-Eガラス(太陽の放射熱を低減する働きを強化した特殊なガラス)を採用して遮熱性を高めているビルが該当します。
貸室内の遮熱性が高まると、空調効率が高まり消費電力を抑えることができます。

省エネビルは、一見すると環境に優しいだけのビルのような気がしますが、テナントにとっては付加使用料が安くなることが期待されるため、思いのほか入居を希望する事業者は増えてきます。

5-10.バランスの取れたサイン計画とする

貸しやすいビルとするには、バランスの取れたサイン計画とすることがポイントです。
サインとは、具体的にテナント名を出す看板のことを指します。

一般的なビルは、1階の館銘板やエレベーター内にテナント表示をあらかじめ用意していることが良くあります。

一方で、ビル側で用意がなく、かつ、テナント自身が看板を出したがる場所に、専有部の入口があります。

バランスの取れたサイン計画とする

しかしながら、専有部の入口部分は、厳密には共用部であるため、ビル側で看板掲出を許可しない物件も実際には多いです。

そこで、あらかじめ専有部の入口にも看板を出せるように壁の下地等を計画しておくと、テナントからの評価が高くなり喜ばれます。

ビル経営のメリットやリスクについてはこちらで詳しくご確認ください。

【基礎から解説】ビル経営のメリット・リスク・収入の基礎知識と、賃貸住宅経営との5つの違い

まとめ

それではおさらいです。

ビル建設費の坪単価相場は、鉄骨造で坪106万円程度です。
建設費は前面道路、周辺環境、間取り等により変動することを押さえておいてください。

また、適切な建築費で質の高いビルを建てるには、「HOME4U オーナーズ」を使って複数の施工会社の見積もりを比較することがおススメでした。

稼げるビルにするためのセオリーは、以下の10点となります。

  • 整形な貸室形状にする
  • 貸室は無柱空間にする
  • 個別空調にする
  • 天井高を高めにする
  • トイレを綺麗に作る
  • エントランスの仕上げを豪華にする
  • 喫煙室を作る
  • 利用しやすいセキュリティ計画にする
  • 省エネビルで付加使用料を下げる
  • バランスの取れたサイン計画とする

建設費と貸しやすさのバランスを取りながら、ぜひ優良な資産となるビルを建ててください。

ビル経営は建築プランが成功のカギです。以下のボタンから建築・収支プランを取り寄せて、最適なプランを見つけ出してください。

この記事のポイント まとめ

ビル建設費はいくらかかる?
ビル建設の構造別の坪単価は以下の通りです。

  • 鉄骨造:約106万円(坪)
  • 鉄筋コンクリート造:約125万円(坪)
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造:125万円強(坪)

付帯設備や資材調達費の変動もビル建設費用に影響します。詳しくは「1.ビル建設費の坪単価相場」でご確認ください。

ビル建設費の内訳は?
ビル建設費は建設にかかる費用と諸費用に分けられます。
建設費用には本体建設工事費用、付帯設備費用などがかかる一方、諸費用は以下のようなカテゴリに大きく分けられます。

  • 調査費
  • 設計費
  • 契約・手続きにかかる費用

詳しい諸費用の項目やビル建設費の内訳については「2.ビル建設費の内訳」で解説しています。

ビル建設費の算出方法は?
ビル建設費を算出する計算式は以下の通りです。

  • ビル建設費 =(ア)延べ床面積(坪数)×(イ)坪単価

上記の計算式で構造別のおおまかな建設費が算出できます。詳しくは「3.ビル建設費の算出方法」でもご確認ください。

ビル建設費を適切な金額にする方法は?
ビル建設は信頼できるパートナーを見つけることで成功への第一歩が踏み出せます。建設費もさまざまなプランを見比べることで、適正価格が把握できるでしょう。ビル施工会社のプラン比較には「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求サービスのご利用がおすすめです。


竹内英二

この記事を書いた専門家

(株)グロープロフィット 竹内 英二

不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。

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