本記事では、立ち退き料の相場がいくらか?また、どうやって決まるのかなど、実際の事例をもとに解説しています。
アパートの立ち退き料は家賃の5~6ヶ月相当+引っ越し費用で、通常40万円〜80万円の範囲内に収まるのが一般的です。
詳しくは「1.アパート立ち退き料の相場は40万円〜80万円」をご覧ください。
下記のケース毎に立ち退き料の想定シミュレーションを算出しました。
- 老朽アパートの建て替え
- 介護が必要な入居者の退去依頼
- 貸主の借入金返済のための退去依頼
- 貸主がすでに使っていない物件の立退料
詳しくは「3.【パターン別】立ち退き料の想定事例」にてご確認ください。
立ち退きに正当事由が認められる場合は、立ち退き料の支払いが不要になります。
例えば以下のようなケースです。
- 老朽化による倒壊や健康被害のリスクがあり、緊急で建て替えが必要
- 定期借家契約での契約期間満了時
- 賃借人が契約違反を起こしている場合
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1.アパート立ち退き料の相場は40万円〜80万円
アパート立ち退き料の一般的な相場は以下の通りです。
おおよその項目 | 家賃の5~6ヶ月相当+引っ越し費用 |
---|---|
相場 | 40万円~80万円ほど |
引っ越し費用は時期や業者によって異なるものの、家賃が高いとそれだけ立ち退き料も高額になります。
ただしあくまでも目安であり、話し合いの結果や、裁判所の制定などによっては数百万円以上かかるケースがあることも想定しておきましょう。
2. 立ち退き料の計算方法
アパート立ち退き料の合計金額は、以下のような計算式を用いて算出できます。
「家賃増加分等」の項目には家賃増加分のほか、礼金や敷金の不足分などが含まれます。
2-1.実際の立ち退き料の想定試算例
実際の数値を用いて立ち退き料の試算をしてみましょう。
計算は、下記の流れで行います。
- 引っ越し料金を出す
- 仲介手数料を出す
- 家賃増加分等を出す
- 1~3の値の合計を出す
- 現在の家賃は9万円
- 引っ越し料金は8.5万円
- 周辺における標準家賃の1ヶ月分は11万円
- 周辺における標準敷金月数は2カ月
- 周辺における標準礼金月数は1カ月
- 現在の物件からの返還敷金額は9万円
(敷金は家賃2ヶ月分18万円。原状回復費9万円)
項目 | 詳細 | 金額 |
---|---|---|
引っ越し 料金 |
単身者引っ越し(通常期)の相場価格 | 8.5万円 |
項目 | 詳細 | 金額 |
---|---|---|
仲介 手数料 |
周辺における標準家賃の1ヶ月分 | 11万円 |
項目 | 詳細 | 金額 |
---|---|---|
家賃 増加分 |
(周辺における標準家賃 ― 現在の家賃) × 12ヶ月 | 24万円 |
礼金 | 周辺における標準家賃 × 周辺における標準礼金月数 | 11万円 |
敷金の 不足分 |
周辺における標準家賃 × 周辺における標準敷金月数 ― 現在の物件からの返還敷金額 | 13万円 |
合計 | – | 48万円 |
①~③の値を合計すると
8.5万円 + 11万円 + 48万円となり、この場合の立ち退き料は67.5万円となります。
3.【パターン別】立ち退き料の想定事例
この項では立ち退き料として、相場を超えた費用負担額を支払うことになった4つのパターンを紹介し、実際の立ち退き料をイメージできるようにします。
3-1.老朽アパートの建て替えで90万円の立ち退き料と決まった事例
築年数45年ほどが経過した物件で老朽化が進行しており、修繕費用が約2,000万円ほどかかるとされたケースです。
このままだと倒壊の可能性もあり、早期の耐震工事が必要とされたものの、賃貸人の費用負担があまりにも大きいことから、修繕ではなく取り壊しの妥当性が認められました。
その結果、賃貸人の賃貸借契約解約申入れについて正当事由の補完として、月額賃料45,000円の20カ月に相当する金額である、立ち退き料90万円をもって認められました。
老朽化した物件では、必ずしもすぐに取り壊す必要がない場合でも、修繕より取り壊しが妥当と判断されれば、立ち退きが認められることがあります。
ただ正当事由を補完することになったため、立ち退き料が高額になったケースです。
3-2.介護が必要な入居者の退去依頼で200万円の立ち退き料と決まった事例
賃貸人は90歳と高齢で介護が必要となり、長男夫婦との同居が決まったため、貸している建物に自身が居住する必要性が生じます。
そこで、貸借人に退去を依頼したものの、貸借人側もがんの治療中のため引っ越しに大きな負担が生じることや、近隣で同程度の条件の物件では現状よりも家賃が高くなるとのことで、立ち退きが困難である旨の主張をしました。
こうして両者で主張がぶつかったことで、賃貸人は高額な立ち退き料を請求されることとなります。
最終的には裁判所の決定により、引っ越し費用+家賃2年分となる合計200万円が立ち退き料として認められ、立ち退きの正当事由が成立しました。
このケースでは賃借人自身も引っ越しが難しい点や、近隣で同様の物件を借りると家賃が上がってしまう点などが考慮されたことで立ち退き料が高額となったと考えています。
3-3.貸主の借入金返済のための退去依頼で150万円の立ち退き料と決まった事例
賃貸人は相続後の借入金の返済や債務などを賄うため、月額賃料70,000円の物件を売却したいと考えました。
賃貸人が住人の求める条件を満たした転居先を確保したものの、住人の1人に「高齢のため引っ越せない」と言われ、民事裁判に発展した事例です。
賃貸人の資金難を理由として物件売却の必要性が認められることや、加えて賃貸人が住人の求める条件を満たした転居先を確保した事も考慮され、立ち退き料150万円をもって、立ち退きの正当事由を補完できることが認められました。
上記のケースでは、賃貸人の資金難などを考慮にいれた上で、立ち退き料金が決まりました。
3-4.貸主がすでに使っていない物件だったため立ち退き料が0円だった事例
賃貸人はマンションに住んでいました。
しかし家族とともに暮らすには手狭になったことから、貸していた物件の賃借人に対して立ち退きを求めました。
賃借人側がその時すでに該当の居宅を使用していなかったことや、以前に何度か貸借人へ明け渡しの約束をしていたことから立ち退きの正当事由が認められ、立ち退き料の支払いも不要となりました。
賃借人がすでに使用しておらず、明け渡しを了承していたなど、物件の使用を必要としていない場合には立ち退き料を払わなくても良くなるケースがあります。
4.立ち退き料が不要なケースもある
たとえ交渉の場で貸借人から立ち退き料を要求されたとしても、裁判でその立ち退きが正当事由であると認められた場合には、賃貸人は立ち退き料を支払う必要はなくなります。
立ち退きが正当事由となるのは主に以下のようなケースです。
- 老朽化による倒壊や健康被害のリスクがあり、緊急で建て替えが必要
- 定期借家契約での契約期間満了時
- 賃借人が契約違反をしている場合
- 賃貸人自身が物件を使う場合
- 競売などで賃貸人が変わった場合
なお、老朽化が進んでいても、程度により正当事由が認められない場合や、賃貸人自身が物件を使う場合も、状況によっては立ち退き料を支払う必要が生じるケースもあるので、専門家と一度ご相談なさることをお勧めします。
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