
アパートの価値を保ち、長きにわたり経営を成功させるには、計画的なアパートの修繕が必須です。オーナーが行うべき修繕内容や実施時期はもちろんのこと「アパートの修繕費」の目安や積み立て方についても把握しておきましょう。
土地に合った建築計画から建てたあとの修繕計画、修繕費の積立など将来にわたってサポートを受けたい方は、「HOME4U オーナーズ」をご活用ください。複数社から経営プランの取り寄せが可能です。
オーナーが行う修繕の内容
- 退去時に原状回復
- 古くなった設備の交換
- 予防修繕
- 大規模修繕
中~大規模修繕費の目安
毎月一定額を積み立てる方法が一般的。以下のような想定であれば、修繕費は家賃に対して10%~20%程度の割合で生じる。
- 1~10年目:建築費の0.3%程度
- 10年~20年目:建築費の0.5%程度
- 21年目以降:建築費の1.0%程度
1.アパート経営で大家が行う修繕の種類
まずはオーナーが負担すべき修繕の種類と考え方について解説します。
1-1.退去時の原状回復
入居者が退居した際には、入居当時の状態に直してまた貸せる状態にする「原状回復」が必要です。この原状回復において、室内の経年劣化や自然損耗は、アパートオーナーが修繕の負担をします。
経年劣化とは畳の日焼けのようなもの、自然損耗とは画鋲の穴跡のような通常使用による劣化のこと。常識的に住んでいれば生じる劣化はオーナーの負担で原状回復します。
ただし、借主が行う原状回復もあります。国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に考えると、借主による原状回復とは、故意(わざと)・過失(うっかり)等によって壊したものを元に戻す修繕をさします。
たとえば、「タバコの不始末による焼け焦げ」「結露放置によるカビ」など。
貸主と借主、それぞれの修繕負担をまとめました。
貸主が修繕すべきもの | 借主が修繕すべきもの |
---|---|
・壁に貼ったポスターや絵画の後 ・家具の設置によるカーペットのへこみ ・日照等のよる畳やクロスの変色 |
・タバコによる畳の焼け焦げ ・引越作業で生じた傷 ・結露を放置したために生じたシミやカビ |
1-2.古くなった設備の交換
古くなった設備の交換は、アパートオーナーが行うべき修繕です。建築当初から設置されていた給湯器やウォシュレット、エアコン等はオーナーの資産ですので、オーナーの費用負担が必要です。
1-3.予防修繕
予防修繕とは建物の劣化や損傷を防ぐためにあらかじめ行う修繕のことで、定期的に行う予防的なメンテナンスや点検を含みます。
<予防修繕の具体例>
- シロアリの検査
- 薬の散布
- 外壁の状態検査
- 屋根の状態検査
予防修繕を適切に行うことにより、建物の安全確保や資産価値の保持に役立ちます。
1-4.大規模修繕
大規模修繕とは、予防修繕やメンテナンスでは対応しきれない大規模な工事や修繕を指します。具体的には外壁塗装や屋上の防水等の工事があり、建物価値を維持するためにも重要です。以下の記事を参考にしてください。
「将来の修繕」もふまえたプラン
2.修繕の時期と修繕費の相場・目安

では次に、主な修繕費の相場と実施の目安についてみていきましょう。
修繕箇所 | 費用の目安 | 実施の時期 |
---|---|---|
クロス | 1,000円~1,500円/平米 | 6年~8年 |
クッションフロア | 3,000円~5,000円/平米 | 8年~12年 |
ウォシュレット | 2万円~4万円/台 | 7年~10年 |
エアコン | 3万円~6万円/台 | 10年~15年 |
外壁塗装 | 5,000円~10,000円/平米 | 10年~15年 |
給湯器 | 10万円~15万円/台 | 10年~12年 |
屋上防水工事 | 8,000円~10,000円/平米 | 10年~15年 |
2-1.クロスや床の貼り替え
クロスや床材は経年劣化するため、定期的な貼り替えが必要です。
クロスなら平米あたり1,000円~1,500円程度、クッションフロアは平米あたり3,000円~5,000円程度です。実施の目安はクロスなら6年~8年、クッションフロアなら8年~12年に1度です。
2-2.ウォシュレットやエアコンの交換
部屋の設備にオーナー側でウォシュレットやエアコンをつけている場合、入居者がわざと壊したものでなければ、オーナー側での交換が必要です。
ウォシュレットなら1台あたり2万円~4万円程度、エアコンの1台あたり3万円~6万円程度が目安。実施の目安はウォシュレットなら7年~10年、エアコンなら10年~15年に1度のペースです。
2-3.外壁塗装
外壁塗装はアパートオーナーが行うべき大規模修繕の1つ。外観が綺麗になると入居者募集効果もアップします。
外壁塗装の費用目安は平米あたり5,000円~10,000円程度。実施の時期は10年~15年に1度のペースです。
2-4.給湯器の交換
アパートで各室に設置されている給湯器は、壊れる前に定期的に交換するのが一般的です。
給湯器の交換は1台あたり10万円~15万円、実施の目安は10年~12年に1度のペース。交換するときは全部屋分を一度に行うのが効率的です。
2-5.屋根
鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造でアパートを建てた場合、屋根が陸屋根(傾斜のない平坦な屋根)になると定期的な屋上防水工事が発生します。
相場は平米あたり8,000円~10,000円程度。実施の目安は10年~15年に1度のペースです。
3.計画的にアパート修繕を進めるには?
「急に言われても困る……!」とならないように、修繕費を計画的に準備することは、オーナーの使命ともいえるでしょう。修繕費準備のコツをご紹介します。
3-1.修繕費は積立がおすすめ
修繕計画に基づき、修繕費を確保するのにおすすめなのが「積立」です。例えば分譲マンションの場合、大規模修繕に備えて管理組合が毎月、修繕積立金を徴収しています。
特に大規模修繕の資金は、アパートの場合でもオーナーが毎月一定額を積み立てて用意することをおすすめします。
3-2.家賃の何パーセントが理想?
積立額の目安は、一般的に「家賃」の何パーセントというより「建築費」の何パーセントという割合で見込むのが一般的。築年数と建築費に応じて以下の割合が目安です。
築年数 | 割合 |
---|---|
1~10年目 | 建築費の0.3%程度 |
10年~20年目 | 建築費の0.5%程度 |
21年目以降 | 建築費の1.0%程度 |
上記のような想定で計算すると、修繕費は家賃に対して10%~20%程度の割合で生じることがわかると思います。
修繕費も含めたアパート経営を提案
4.修繕費の負担を抑える方法
最後に、大切なポイント。修繕費の負担を軽くする方法について解説します。
4-1.修繕費も含めて建築プランを検討する
修繕費を抑えるには、あらかじめ建築費だけでなく「将来の修繕費も含めてどのようなアパートにするのか」プランを検討することが重要です。
将来の修繕費も含めて比較するなら複数のハウスメーカーの建築プランを比較することが効果的です。
「積み立て」も含めた提案
4-2.定期的に修繕を実施する
大規模修繕のようなメンテナンスは、激しい損傷がなくても建物を維持するために行います。定期的な修繕を実施しないと、後でもっと大きな修繕費用が生じてしまうからです。
例えば、外壁塗装をせずに放っておくと、将来、下地補修工事まで必要となってしまい倍額に近い工事費用が発生することもあります。
また、定期的に大規模修繕を実施してきた物件は売却時にも買主に高く評価してもらえるため、資産価値の維持に繋がるのです。
4-3.入居審査をしっかり行う
入居審査を行うことも、修繕費を抑える重要なコツです。
マナーの良い真面目な入居者は、退去時もきれいな状態で部屋を返してくれるため自然と修繕費の発生を抑えることができます。
5.計画的な修繕まで踏まえて相談できる建築会社の選び方

アパートオーナーが対応すべき修繕はさまざまです。特に大規模修繕については、計画的に修繕費を積み立てることが大切です。
計画的な修繕まで見越したプランニングや収支計画、資金計画を立てるには、信頼できるパートナーのサポートが重要です。パートナー選びには「HOME4U オーナーズ」をぜひご利用ください。

この記事を書いた専門家
(株)グロープロフィット 竹内 英二不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
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