アパート経営には大きなお金がかかるため、建設・経営とも、補助金のサポートがあればオーナー負担が軽くなります。土地活用におけるアパート経営でも利用できる制度をまとめました。

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更新日
2024.08.14
カテゴリ
アパート経営

【2024年最新】アパート経営で使える補助金一覧と申請方法

【2024年最新】アパート経営で使える補助金一覧と申請方法

アパート経営は、補助金をうまく使うことができれば、全体のコストを抑えることができ、相対的に利回りを向上させることができます。新築からリフォームなどを含め、長いアパート経営期間の中で補助金を使えるシーンは実は数多くあります。

今回は、アパート経営で使える補助金とその内容、適切な補助金の探し方などをまとめています。

補助金をうまく使ってアパート建築をしたい方は、まずは建築会社などのプロに相談してみましょう。以下のボタンから最大10社の建築会社にアパート建築のプランを相談することができます。

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序 1分で分かる!記事の要約

アパート経営で使える補助金とは?

アパート経営で使える補助金の一例は以下のとおりです。

  • 長期優良住宅の補助金1「地域型住宅グリーン化事業」
  • 長期優良住宅の補助金2「長期優良住宅化リフォーム」
  • LCCM住宅 脱カーボンの住宅補助金
  • 子育て支援型共同住宅推進事業
  • 住宅セーフティネット
  • 自治体の補助金全般

それぞれの補助金には、新築の場合、リフォームの場合など、使えるタイミングが限られているものもあります。詳しくは「アパート経営で使える補助金の一覧」をご確認ください。

また、自治体で交付される補助金の実例については「自治体で交付される補助金の例」を、すでに経営中のアパートにも使える補助金については「現在経営中のアパートにも使える補助金」をご確認ください。

補助金の申請方法は?

補助金の申請は、補助金制度や自治体によって違いはあるものの、おおむね以下のような流れで進みます。

  1. 申請書の提出
  2. 交付決定通知
  3. 交付確定通知
  4. 実績報告書
  5. 補助金交付請求書
  6. 自治体から入金

アパートの場合、申請手続きの多くは建築会社の担当者が行い、土地オーナーは申請書や送られてくる書類を確認するのが主な作業となります。

詳しくは「補助金の申請方法」をご確認ください。

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詳しい解説は以下

1.アパート経営で使える補助金の一覧

アパート経営における補助金にはさまざまな種類がありますが、年度や制度変更により、補助してもらえる内容が変わることがあります。

以下は、多くの地域で使うことができる、アパート経営に関した補助金の一覧です。

補助金名 補助対象 新築 リフォーム
長期優良住宅の補助金1 木造アパート建築で使える「地域型住宅グリーン化事業」
長期優良住宅の補助金2 リフォームに使える「長期優良住宅化リフォーム」
LCCM住宅 長期の脱カーボン住宅への取り組み
子育て支援型共同住宅推進事業 共同住宅を対象に、事故や防犯対策などの子どもの安全に関した取り組みや設備
住宅セーフティネット 登録をした建物のリフォームに適用
自治体の補助金全般 アパートの新築・改修などに対する、自治体からのサポート。内容は自治体ごとに違いがある。

補助金は新築やリフォームなどの内容がある程度決まってから、工費に対しての補助額を試算するので、どのような補助金を使う場合でも、まずは建築プランが必要です。建築プランをもとに、補助金を使える部分があるか、設備を付加することで当初の予定よりも良質なアパートが手に入るかなど、シミュレーション計算をしながら、慎重に決めていく必要があります。

ご自身でも時間をかければできますが、建築プランを作成してくれるハウスメーカーや建築会社の担当者と一緒に考える方が、補助金に関した知見や正しいデータの見方などのアドバイスがもらえます。

建築プランは、NTTデータグループが運営する「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご活用ください。

一回の入力で最大10社の建築会社にまとめて請求することができます。なるべく多くの建築プランを比較し、気に入ったプランをもとに補助金を検討するようにすると、理想に近いアパートに近づきます。

1-1.長期優良住宅の補助金1「地域型住宅グリーン化事業」

省エネルギー性や耐久性などに優れた、新築の木造住宅に対する補助金で、木造アパートも対象になります。大きくわけて以下の3タイプがあり、単体での申請・全部の申請もできます。

事業タイプ 補助の内容 補助金額めやす
長寿命型 多世代一住宅の実現に必要な、新築住宅に関したもの全般 100~140万円
ゼロ・エネルギー住宅型 大幅なゼロ・エネルギー化のために必要な設備全般 125~150万円
高度省エネ型 家で使うエネルギーを極度に小さくするための設備全般 70~90万円

どれも、これからの世界と日本の課題である、「消費エネルギーを小さくして、地球資源を含めたモノを大切に使う」というテーマに則ったものです。

長期優良住宅の補助金を使うと、これからの時代に合った質の良いアパート建築ができるだけではなく、新築時に必ずかかる固定資産税・不動産取得税・登録免許税などの、税制面での優遇もあります。

また、自治体によっては、3世代同居が可能なケース、全室バリアフリー対応、地域住文化などに対しても、それぞれ50万円以下の補助金が加算されるエリアもあります

申請には、補助金を得るためにクリアしなければならない細則があるため、国土交通省の認可を受けた、大手ハウスメーカーや工務店、またはその傘下の建設会社などに建築依頼をする必要があります。
【参照::国税庁「No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)」

1-2.長期優良住宅の補助金2 「長期優良住宅化リフォーム」

すでに建っているアパートに対して、建物の長寿命化や省エネ化など、建物自体の性能をアップさせるリフォームのための補助金です。経営中のアパート建物の状態を事前調査し、その調査結果から、どのようなリフォームを入れるかを検討する必要があります。

補助金額の上限は、リフォーム代金の1/3までです。原則、一つの住居に対して申請は1回ですので、アパートのような複数戸ある建物の場合は、一度にリフォームをする方がオトクです。

ただし、補助金申請のための細則が多く、工事完了後に調査に入ってから、実際に補助金が下りるかどうかが決まりますので、事前調査で必要だとみなされた改修部分には、必ず手を加える必要があります。

アパートの老朽化によるリフォームを検討する場合は、想定される補助金額とのバランスを考え、新築建替えによる補助金申請も、あわせて比較検討したほうが良いと言えます。

1-3.LCCM住宅 脱カーボンの住宅補助金

日本が掲げている「2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)」の目標達成に向けた取り組みを、バックアップするための補助金です。

「アパート建築~運営~解体」までをひとつのライフサイクルとみなし、建物の一生の中で、排出する二酸化炭素(CO2)の排出を減らすことを目指します。

例えば、アパートの屋根には太陽光発電パネルを設置し、自家消費電力をゼロに近づけます。各戸に給湯システムとして太陽熱給湯集熱パネルを設置し、風呂やシャワーに使うお湯などは、日中の太陽光で温めたものを利用してもらいます。

室内は、LED照明を細かく配置して明るさを確保し、大きな照明器具を使わないでも、夜間でも十分な明るさが確保できるようにします。さらに、太陽光パネルからの電気を蓄電した燃料電池を利用することにより、夜間に電気を使う時にも、電気の購入なしで暮らせる部屋にします。

アパートを建てるための木材は、近隣エリアでとれるものを利用して、国産木材の利用と生産のサイクルを強化します。夏場はエアコンを使わないでも温度調整が可能なように、強い日射を遮蔽する木製のルーバー(鎧戸)を使って、自然な風によるエアコン効果を作り出します。

このように、賃貸アパートであっても、各部屋が自室で使う電力は太陽光から作り出し、電力購入をしないでも生活できるようなあり方に協力してくれる工事に対して、原則として1戸当たり最大125万円の補助金が支給されます

このような省エネ型の住宅は、個人の戸建てには増えてきましたが、アパート経営ではまだまだ少数派です。しかし、これから先の時代にアパートを借りる方は、省エネ効果への取り組みをしている賃貸住宅であることを、ひとつのブランド力とみなして、積極的に選択する可能性が高くなります。

特に、最近は一般の家に対しても新築の場合は太陽光発電パネルをつけることを推奨する傾向がありますので、時代の方向性としては、省エネ型の賃貸住宅がスタンダードになっていく可能性はかなり高いと言えます。

1-4.子育て支援型共同住宅推進事業

令和4年に創設されたばかりの、安心安全な子育てができるようにするための、新築・中古の両方に使える補助金です。

アパート、マンション、長屋タイプの戸建て賃貸に対し、子供の事故防止や防犯対策など、その建物に住む子どもたちが、安心安全に暮らせるような建物の建築・改修に対して、最大100万円までが支給されます

室内の子供が使う部分だけではなく、その住宅と近隣エリアの子供たちが使う可能性のある、アパート敷地内の施設と、子育て期の親同士が使う交流の場を作る目的にも適用できます。

例えば、敷地内の遊び場としての遊具・水遊び場・砂場の設置や、親が集まるための多目的室やキッズルームを作る目的、または家庭菜園や交流用ベンチの設置などにも使えます。

一部屋の広さが40平米以上の部屋が対象なので、ファミリー向け賃貸を想定している方は検討してみてください。また、補助金を受けてから一定期間はファミリー向けで運営する条件がありますが、指定された期間以後は、広めの単身向けアパートとしての経営も可能です。

1-5.住宅セーフティネット

住宅セーフティネットとは、セーフティ登録住宅として住宅情報提供システムに登録すると、その建物のリフォーム費用を一部負担してもらえる制度です。新築以外は中古に該当します。

アパートやマンションのオーナーであれば誰でも登録できますが、被災者・高齢者・子育て世帯などの、入居審査が通りにくくなる可能性がある方の入居を、基本的には拒否しないことが登録条件になります。ただし、経営する建物を、例えば「ひとり親世帯にする」場合は、その他の条件の方の入居を断わるなど、オーナーサイドにも選択ができます。

補助金の適用範囲は広く、工費の1/3、一戸あたり最高50万円まで使えます。部屋ごとの申請も可能なので、空室の部屋のみをリフォームするなど、必要に応じて、柔軟な使い方ができます。
【参照:国土交通省「住宅セーフティネット制度について」

1-6.自治体の補助金全般

自治体によって、大小さまざまな補助金が用意されています。補助内容は、一般的なリフォームに対する補助に加え、地域にとって必要なことが補助対象になっています。

市区町村レベルで個別に判断して補助金枠を作っていますので、アパート経営を検討する場合は、土地活用をするエリアでどのような制度があるのかを先に調べておくと、補助金を使ってアパート建築費を節約しながら、より良い建物が建てられます。

このように、アパート経営で使える補助金はたくさんありますが、補助金の額が合計でいくらくらいになり、補助金を使った場合と、使わないで建てた場合にどのくらいの差があるのかなどは、建築プランがないと試算ができません。

プラン請求には、NTTデータグループの「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご活用ください。請求の際には、備考欄に「補助金を利用したい」ことを記載していただければ、各会社の担当者が利用できる補助金を調べたうえで、建築プランを作成してくれます。

気になるプランが見つかったら、現地調査をしてもらうことで、よりプランが具体的になり、使える補助金の枠が広がる可能性も出てきます。まずは、一度の入力で最大10社にまで請求ができる「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求で、なるべく多くの建築プランを請求してみてください。

2.自治体で交付される補助金の例

自治体単位で交付される補助金には、一般的なバリアフリー対策・耐震対策以外にも、行政が独自に判断した「エリアで必要とされるタイプの住宅に対する補助」があります。

エリアでの補助が必要な部分をカバーしたアパート経営を計画すれば、長期的に安定収入が期待できるアパート経営計画の参考にもなります。以下は、自治体交付の補助金例です。

  1. 東京都 千代田区 都心共同住宅供給事業、建築物共同化住宅整備促進事業
  2. 千葉県 木更津市街なか居住マンション建設補助事業
  3. 大阪府 大阪市 建替建設費補助制度
  4. 群馬県 前橋市 まちなか遊休不動産リビルド支援事業補助金
  5. 滋賀県 滋賀県充電インフラ整備事業補助金
  6. 自治体の補助金情報の見つけ方

2-1.東京都千代田区 「都心共同住宅供給事業、建築物共同化住宅整備促進事業」

千代田区は、東京23区の中でも、もともと区民が少ないうえに高齢化が懸念されています。これらの問題解決のために、アパートやマンション経営をしたいオーナーが、コーポラティブハウス事業という形で千代田区に事業登録をすることを提案しており、共用部分工費の最大2/3までの補助をしています

コーポラティブハウスとは、マイホームを取得しようとする人たちが集まって組合を作り、組合員が事業主となって建てる集合住宅です。土地オーナーは組合員の一人としてアパート建築に参画し、アパートの設計・建築業者の選定、建設まで工程を組合員と相談しながら進めていきます。

このような入居者参画型のアパート経営をすることにより、組合員はアパートに愛着を感じ、大切なマイホームとして、転居することなく住み続けてくれます。

組合員の相互サポート機能により、居室部分の清掃・整理・修繕修理は適切に行われ、経年リスク・修繕費リスク・空室リスクの起きにくいアパート経営が期待できます。千代田区はこの事業に適宜な補助をしていくことにより、区民の減少を防ぎ、同時に、高齢化する区民の相互サポート機能としても活用する予定です。

コーポラティブハウスは10年間の運営後は、組合を解散することができますので、空室となった部屋は賃貸経営やその他の目的で利用することもできます。建設事業者は組合員でもあるオーナーの希望で決めることもできるため、幅広い選択肢の中から、任意の会社に発注できます。
【参照:千代田区「都心共同住宅供給事業、建築物共同化住宅整備促進事業(ミニ優良)」

2-2.千葉県木更津市「街なか居住マンション建設補助事業」

木更津市と住宅金融支援機構が共同開発した補助金事業です。木更津市内にアパートやマンションの共同住宅を建てる際に、建築に関わるかなり広い範囲の内容に対して補助金が設定されています。

補助金額は補助金対象項目の総額の2/3、または事業計画の総工費に対し、一戸あたり最高500万円、限度額は5億円まで支給されます。補助金申請には、先に事業計画書を作って木更津市に提出する必要があります。書類はかなり煩雑ですので、建築プランを請求したハウスメーカーや建設会社の担当者と共同で進めたほうがスムーズです。
【参照:木更津市「木更津市街なか居住マンション建設補助事業」

2-3.大阪府大阪市「建替建設費補助制度」

大阪市内の住宅が密集したエリアで、古い家屋をアパート・マンション・長屋式アパートに新築で建替える場合に、設計費・解体費・共同施設整備費の一部を、それぞれ2/3まで補助してもらえます。対象地区は年度によって変更があります。

建て替えに対する制度なので、土地活用の場合はご所有の土地になんらかの建物が建っている必要があります。現在、古い家屋などがある場合は、取り壊しをしない状態のままで検討してください。
【参照:大阪市「建替建設費補助制度(集合住宅への建替え)」

2-4.群馬県前橋市「まちなか遊休不動産リビルド支援事業補助金」

群馬県前橋市にある、空き店舗や空き家などの遊休不動産を所有するオーナーを対象に、建物のリノベーション費用の一部を補助します。補助金額は1/2で最高50万円までが支給されます。1事業者は最高3回まで申請できますので、最高支給額は150万円です。

この補助金は、土地オーナーだけではなく、古くなったアパートやマンションを運営してくれるサブリース事業者も対象になっているので、土地や建物を手放す予定はないが、リフォーム後の経営管理は誰かに任せたいとお考えの方にも向いています。
【参照:前橋市「【受付中】まちなか遊休不動産リビルド支援事業補助金」

2-5.滋賀県「滋賀県充電インフラ整備事業補助金」

アパートやマンションの施設内に、電気自動車の充電施設を設置することに対しての補助金です。滋賀県ではCO₂ネットゼロ社会を目指す一環として、電気自動車の普及を促進しており、工場・商店街・オフィスビル以外にも、アパートやマンションでの充電施設拡充が急務となっています。

補助額は経費の1/2、最高30万円までですが、設置する設備の内容によって上限が上がる可能性があります。アパート敷地内に電気自動車の充電設備があると、太陽光パネルから発生する電気の売電も可能になり、さらに、アパート施設内に複数台の電気自動車を確保することで、蓄電池として災害時に利用することもできます。
【参照:滋賀県「『次世代自動車(EV・PHV・FCV)の購入』および『電気自動車等用の充電設備の設置』への補助を開始!」

2-6.自治体の補助金情報の見つけ方

土地活用予定地の補助金制度は、年度によって申請期間や条件に違いがあるので、土地活用の予定がだいたい決まった時点から、使える補助金を探すようにしてください。探し方は、インターネットで「〇〇市 補助金」などのように自治体名を入れて探すか、自治体のホームページの補助金情報を確認する、または役所に直接電話をして確認します。

アパートの建築プランを請求する際に、「補助金を使いたい」という要旨を伝えれば、建築プランを作るときにハウスメーカーや建設会社の担当者が調べてくれますので、補助金のリストがある建築プランを入手することができます。

ただし、「町村」レベルの小さなエリアの補助金制度の場合、予算枠が小さいため、ネット公開されずに地元広報での告知だけのこともありますので、必ず、ご自分でも調べておくようにしてください。

3.現在経営中のアパートにも使える補助金

経営中のアパートに使える補助金をまとめました。多くの自治体で通年で公募しています。主に自治体のホームページ、または広報誌での告知があります。

  1. 耐震診断などに使える補助金
  2. 建物の解体・建替えに使える補助金
  3. リフォーム・改修に利用できる補助金
  4. 断熱リフォーム支援の補助金
  5. リモートワーク化に関した補助金

3-1.耐震診断などに使える補助金

すでに経営しているアパートの耐震診断に使える補助金です。簡易診断と詳細診断があり、どちらも自治体に登録をした一級建築士が診断をしてくれます。

簡易診断は無料、その先の、詳細な診断には3~5万円の費用が発生しますが、この費用を補助金でカバーできます。診断結果による工事の義務はありません。

3-2.建物の解体・建替えに使える補助金

解体の補助金は、活用予定地にある建物を取り壊すときに使える補助金です。建替えは、解体した後に建てる建物が、従前と同じ目的(住居⇒住居)の場合に適用される補助金です。

どちらも、今ある建造物を壊して、同じ場所に新しく建物を建てる時に使えます。

補助金額は自治体によって違いがありますが、一般的に工事費の1/2程度、最高額は50万円くらいが相場です。補助金申請をする際に解体工事会社のあっせんはしていないことが多いので、先に工事会社をみつけて、見積もりをとっておく必要があります。

3-3.リフォーム・改修に利用できる補助金

経営中のアパートのリフォームや改修に適用できる補助金です。

自治体によって補助率が違いますが、工費の5~10%くらいがめやすです。工事内容は、屋根の改修・外壁の改修(塗装含む)、床の改修・内壁や天井の改修・間取りの変更・防音断熱工事・水回りの改修など、室内に関することが対象になります。

一般的にエクステリアと呼ばれる、家の外側の工事は含まれていないことが多いのですが、これも自治体によって違いがありますので確認が必要です。どの自治体でも、着工後の申請は無効になりますので、必ず工事計画の段階で申請をしてください。

3-4.断熱リフォーム支援の補助金

アパートを省エネルギー化するための補助金です。外壁・屋根・天井の断熱材の改修以外にも、窓を二重窓にする工事、温熱給湯器・節水型トイレ・高断熱浴槽・高効率給湯器・節湯水栓など、比較的、対象範囲の広い補助金です。

補助金額のめやすは、最高30~50万円くらいで、他のリフォーム補助金との併用ができることが多い傾向にあります。例えば、お風呂のリフォームをするときに、バスタブを断熱浴槽にするなどができます。

自治体によって工事別の補助金枠があるケースと、断熱や省エネという枠で、太陽光パネル設置などとまとめているところがあります。土地活用を予定している自治体で確認をしてください。

3-5.リモートワーク化に関した補助金

コロナ禍以降、リモートワークが一般的になったため、都心部から郊外や田舎に移動・移住する方が増えています。このような方は、移動・移住先にリモートワーク用のオフィスや住居が必要になりますが、都心部以外ではそのような設備の整った環境は少ないため、地方のリモート化が進まない事情を解決することが目的の補助金です。

自社のリモートワークの普及をしたい企業にとっても、社員を派遣する地方エリアに、リモートワークができる機能が整った、手ごろな賃貸物件が少ないという事情があります。このようなことから、郊外と地域のアパートやマンションには、リモートワークができる環境が整っている賃貸住宅の需要が今後も増えていきます。

経営中のアパート全部または一部を、リモートオフィス利用ができるように改修する費用に対して、補助金を出す自治体があります。地域によって使う単語が違いますが、「リモート」「ワ―ケーション」「リモートオフィス」「サテライトオフィス」などの単語を、土地活用をするエリア名と一緒に入れると補助金や助成金の情報が出てきます。

4.いざというときに頼れる補助金

さまざまな理由で、アパート経営が順調にはいかなくなった時に、頼れる補助金があります。これらはアパートの「経営」に対するサポートです。

使わないで済むのが最良ですが、アパート経営は期間が20年以上と長いので、社会情勢の変化などにより経営リスクが上がる可能性はゼロにはなりません。

アパート経営に対して不安がある場合は、このような経営ピンチの時に頼りに出来る制度があることも、情報として知っておくと良いといえます。

  1. 住宅セーフティネットによる補助金
  2. その他の補助金利用

4-1.住宅セーフティネットによる補助金

本記事の2章でも出てきた住宅セーフティネットです。セーフティネットにアパート登録をしておくと、経営リスクを下げながらの経営が可能になります。

セーフティネットは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など、個人でアパートやマンションの入居をしにくい立場の方を、国がバックアップすることにより、住まいを提供するシステムです。

入居者に対してはセーフティネットからの経済的支援がありますので、家賃滞納リスクが起きる可能性が極めて低くなります。オーナーに対しては建物の改修工事などへの補助金支給以外にも、入居者のバックグラウンドの審査をセーフティネットが行い、身元保証をしてくれた入居者を確保できます。

アパートのように複数戸ある住宅は、セーフティネット登録する部屋を個別に指定できますので、空室になりやすい部屋や、古くなった居室や設備をリフォームして貸し出したい部屋などにも適用できます。
【参照:国土交通省「住宅セーフティネット制度について」

4-2.その他の補助金利用

アパート経営が難航する一番の理由は、空室リスクです。家賃を下げても入居候補者からの反応が変わらない場合は、リノベーションや建て替えをする前に、補助金を使った新しいアパート経営の取り組み方法も検討してみてください。

例えば、アパートの1階部分はすべて店舗として貸し出すようにし、そこに入る事業者は自治体の補助金を使って開業してもらう方法があります。入居者は開業資金のハードルが下がり、オーナーは居室を店舗向けにリフォームするための資金を補助金で賄います。

商店街から遠くないエリアにアパートがある場合、エリアを過疎化させないために行政が積極的に開業支援策を設けています。「住居」というスタイルにこだわらなければ、土地活用の選択肢は広がります。

アパートのローンが残っている間は住居でしか貸せませんが、ローン完済後の空室問題であれば、どのような使い方をしてもオーナーの自由です。地域活性化と賃貸経営の正常化という意味においても、補助金情報と、補助金の使い方を知っておくことで、長期安定収入を継続させることができます。

5.補助金の申請方法

自治体や制度により補助金の申請方法は少しずつ違いがありますが、おおむね、以下のようなフローで進みます。各フローが、次の段階に進むまでにかかる期間は、審査制度や申込数などによって変わります。

補助金申請フローチャート

申込方法は、各補助金案内のホームページからの電子申請、または郵送による申請があります。補助金によって申し込み方法にも違いがありますので、利用予定の補助金情報は事前にチェックしておいてください。

アパート建築の場合、ほとんどの申請手続きは、ハウスメーカーや建設会社の担当者が行います。土地オーナーは申請書に必要なサインと、郵送されてくる書類などの確認が主な作業になり、基本的には担当者からの指示と説明を待つスタイルになります。

振込先は、企業が受け取るタイプのものは企業に振り込まれ、施主が受け取るタイプのものはオーナーの口座へと振り込まれます。

6.アパート経営で補助金を利用する際の注意点

補助金を利用すると、節約したアパート経営が可能ですが、次の4つのポイントに注意をしながら判断するようにしてください。

6-1.補助金を利用する必要性があるか

補助金は自治体でアパート経営をする人にとって必要であり、なおかつ、その補助をすることで公益性の高い結果を生むものに対して支払われます。

高齢化社会に対応するためのバリアフリー化や、老朽化設備の更新などの場合は、必要なリフォームの補助をしたほうがアパート経営にも、入居者にもプラスだと言えます。しかし、あまりにも最先端なIT化や、ハイグレードな省エネハウス化が、果たして自分のアパート経営に必要かどうかは、よく検討したほうが良いと言えます。

例えば、太陽光発電パネル設置をするからと言って、室内の設備をあれもこれも省エネ住宅製品で埋める必要は、本来ならばありません。しかし、補助金がもらえるとなると「つけておこうかな」と思うのも人の心理です。

しかし、ほとんどの補助金は工費の満額が支払われるわけではありませんので、あまりにもプラスアルファの部分が増えれば、総工費は予算を超えたものになってしまいます。ご所有の土地とエリアにとって必要で、なおかつ、アパート経営上にも無理のないものだけを選ぶようにしてください。

6-2.経営計画とのバランスが良いか

補助金を使う場合は、アパートの経営計画とのバランスにも注意してください。補助金を使ってプラスアルファの部分を付加する場合は、その工事をした結果をもとに、アパート家賃を従前よりも高くすることが前提です。

しかし、その想定家賃が周辺エリアの相場と離れてしまえば、空室リスクが上がり、アパート経営に影響が生じます。周辺の家賃相場や、ライバル物件をよく調査して「ライバル物件よりちょっと良い」くらいのものを、補助金を使って付加するくらいのバランスの良い経営計画を立てて下さい。

6-3.複数のハウスメーカーや建築会社の資料を比較する

アパート経営で補助金を使う予定の場合は、まずは工費の算出が必要です。どの工事でいくらかかるかがわかってはじめて、補助金額も想定できます。

総工費などを含め、予算をたてるために、まずは建築プランを複数社分揃えるようにしてください。はじめから1~2社に決め打ちをしてしまうと、本当にご所有の土地に最適なアパートプランであるかがわかりません。

複数のプランを申請する際には「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご利用ください。活用予定地のエリアと広さなどのカンタンな質問に答えるだけで、日本全国のハウスメーカーや建築会社の中から、今回のアパート経営にぴったりな会社を最大10社にまで絞ってご案内しています。

土地からの利益を最大化し、適切な補助金の支給を受けて節約をするためにも、なるべく数多くのハウスメーカーや建築会社からの建築プランを、じっくり比較するようにしてください。

6-4.相談できるハウスメーカーの担当者がいるか

建築プランを請求した際、いくつか気になるプランのすべてに、現地調査を依頼してください。その時には、オーナーも現地に足を運び、各ハウスメーカーや建設会社の担当者と会い、補助金の利用を希望していることなどを含め、正直に伝えてください。

同じことを相談しても、ハウスメーカーや建設会社の担当者によって対応や回答は異なります。その場合はなぜその回答なのか質問し、それぞれの会社のアパート経営や建築に対する考え方を知るようにします。多くの建築プランを精査することで、どこの会社にお願いすべきかの判断材料がそろっていきます。

オーナーの意見を十分にくみ取って、適切なプラン提案をした会社を選ぶようにすれば、今後のアパート建築と補助金申請などに関しても、安心して任せることができます。

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