
アパート経営を検討する際、建築費がどの程度かかるのかは、最も気になることのひとつではないでしょうか。
この記事では土地活用をご検討中の土地オーナー様に向けて、
- アパートの建築費はどれくらいかかるのか
- 建築費以外にはどのようなコストがかかるのか
- コストを抑える方法や建築会社の選び方
を、相場やシミュレーションを交えながら分かりやすく解説します。
アパート経営をご検討中の方は、以下のボタンから簡単に最大10社渾身のアパート建築プランの比較検討が可能です。ぜひご利用ください。
アパート建築費はいくらかかる?
仮に70坪のアパートを建てる場合、構造別の建築費の目安は以下の通りです。
- 木造:5,929万円~7,700万円
- 軽量鉄骨造:6,160万円~7,700万円
- 重量鉄骨造:6,930万円~9,240万円
- 鉄筋コンクリート造:6,930万円~9,240万円
「アパート建築費の内訳と相場」と「【構造別】アパート建築費シミュレーション」では、目安となる坪単価を基準にして、木造・鉄骨造などの構造別に建築工事費の詳細を確認できます。
また、アパートの建築費別にどのようなアパートが建つのかは「【アパート建築費別】建てられるアパートは?」にて事例を紹介しています。
アパート建築費を支払う時期はいつ?
アパートの建築費は何回かのタイミングで分納するのが一般的です。
- 契約時、基本設計完了時、実施設計完了時
- 工事請負契約時
- 着工時
- 上棟前後
- 竣工引き渡し時
アパート建築費支払いについては「アパート建築費用の支払いタイミング」でフローチャート化しています。ぜひご確認ください。
目次
1.アパート建築費の内訳と相場
アパートを建築する際には、以下のような費用が発生します。
- ■建築工事費
-
建物の建築に必要な材料費や工賃で、人件費などの経費も管理費として計上。
- ■設計料
-
建物設計にかかる費用。構造計算料や確認申請手数料が別途発生する場合も。
- ■諸費用
-
税金や登記費用、住宅ローン関連費用など、必要に応じて発生。

1-1.建築工事費
アパートの建築工事費は坪単価を目安に算定できます。
木造アパートの場合、坪単価を87万円と想定するとワンルーム8戸規模で6,264万円です。
アパート建築費は、構造によって大きく変わります。鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造は強度や耐震性が高い分コストも高く、木造や軽量鉄骨造はコスト・建物性能ともに標準的なバランスのよさがポイントです。
構造が異なる建築プランの請求も「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」なら可能です。最大10社の建築プランを無料で取り寄せて比較検討にご活用ください。
1-1-1.坪単価相場
下の表は、国土交通省の『住宅着工統計』から、共同住宅・工事費予定額の全国平均です。
木造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨造 | |
---|---|---|---|
1戸あたり工事費予定額(万円) | 597 | 1,434 | 1,188 |
1平米あたり工事費予定額(万円) | 17 | 26 | 24 |
出典:国土交通省 「建築着工統計調査 / 住宅着工統計(2020年調査)」より作成
ただし、これはあくまでも「予定額」であり、通常は仕様変更などでもう少し単価が上がります。以下の坪単価を目安としてください。
木造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨造 | |
---|---|---|---|
坪単価 | 77~100万円 | 90~120万円 | 80~120万円 (軽量)80~100万円 (重量)90~120万円 |
坪単価の相場について詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。
1-1-2.本体工事費の内訳と付帯工事費
建築工事費の大部分を占めるのが「本体工事費」ですが、内訳は以下のグラフのようになります。

付帯工事費は、敷地の現況によって金額が大きく増減する部分です。
建築工事費の20%程度を付帯工事費の目安とし、本体工事費が予算額の80%を超えないように計画することで、大幅な予算オーバーを防げます。
1-2.設計料
ハウスメーカーでアパートを建てる場合は、だいたい工事費の1~3%程度といわれています。設計のみ設計事務所に任せる「設計施工分離方式」の場合、設計事務所へ支払う業務報酬(設計料)は、国土交通省によって以下のように定められています。
業務報酬=直接人件費+経費+技術料+特別経費+消費税に相当する額
参考:国土交通省「設計、工事監理等に係る業務報酬基準について」
ただし、実際には工事費に設計事務所が独自で設定した設計料率を掛けた額を設計監理料とする場合が多く、一般的には戸建住宅で10%前後です。
工事費が高くなるほど設計料率は下がります。
工事費1億円ほどのアパートなら7~8%(700~800万円)が目安です。
1-3.諸費用
建物の本体工事費や付帯工事費以外にも、以下のような諸費用がかかります。
- 「不動産取得税」「登録免許税」「印紙税」などの税金
- 司法書士に払う報酬
- 火災保険料
銀行融資を利用する場合
- 抵当権設定費用
-
ローンを利用する際に、銀行が土地建物に抵当権を設定します。その際に登録免許税が原則借入金額の0.4%課せられます。(軽減措置適用の場合は0.1%)
- 事務手数料
-
銀行に支払う事務手数料で、おおむね3万円~5万円程度となっています。
- 保証料
-
「アパートローン」を利用する際には原則として保証会社の保証を受ける必要があります。保証料は借入期間と借入金額によって計算されます。(保証会社を利用せず直接銀行からお金を借りる場合は保証料不要)
これら諸費用は、物件の規模や融資利用の有無などで金額は変わってきますが、おおむね建築費用の10%程度は見ておく必要があります。
ちなみにこれらの必要経費についても融資対象です(銀行による)。自己資金で必要経費を支払えない場合や、手持ち資金を減らしたくないような場合には必要経費を含めて融資相談をするとよいでしょう。
諸費用の正確な金額を、個人で正確に把握するのはとても難しいため、建築プランを固める前にしっかりとプロのアドバイスも受けておきたいところです。
諸費用については、契約を取り付けるのを優先して、あまり詳しく提示してくれないハウスメーカーも中には存在しますが、逆にしっかりと提示して説明してくれる会社は信頼でき、安心してアパート建築を任せられるでしょう。そういった信頼できるハウスメーカーを見つけるために、複数の会社の建築プランを比較できる無料の一括プラン請求システム「HOME4U オーナーズ」をご活用ください。
2.【構造別】アパート建築費シミュレーション
アパート建築費は構造や広さによって大きく金額が増減します。ここでは50坪の建坪と仮定し、構造別にそれぞれ建築費をシミュレーションしてみます。
2-1.木造アパート建築費シミュレーション
まずは木造アパートの建築費です。建坪50坪(延床面積100坪/150坪)の建築費は以下のとおりシミュレーションできます。
<設定条件>
- 軽量鉄骨造2階建て
- 2DK×4戸
- 坪単価85万円
- 大手ハウスメーカーに設計施工一括方式で発注
<建築費シミュレーション>
50坪×2階×850,000円=85,000,000円(本体工事費等)
85,000,000円×0.01=850,000円(設計費)
85,000,000円×0.1=8,500,000円(諸費用)
85,000,000円+850,000円+8,500,000円=94,350,000円(総計)
<設定条件>
- 軽量鉄骨造3階建て
- 1DKタイプ
- 坪単価90万円
- 大手ハウスメーカーに設計施工一括方式で発注
<建築費シミュレーション>
50坪×3階×900,000円=135,000,000円(本体工事費等)
135,000,000円×0.01=1,350,000円(設計費)
135,000,000円×0.1=13,500,000円(諸費用)
135,000,000円+1,350,000円+13,500,000円=149,850,000円(総計)
2-2.軽量鉄骨造アパート建築費シミュレーション
続いて、軽量鉄骨造のアパートの建築費シミュレーションは以下のとおりです。広さは木造と同じく、建坪50坪(延床面積100坪/150坪)と仮定しています。
<設定条件>
- 軽量鉄骨造2階建て
- 2DK×4戸
- 坪単価85万円
- 大手ハウスメーカーに設計施工一括方式で発注
<建築費シミュレーション>
50坪×2階×850,000円=85,000,000円(本体工事費等)
85,000,000円×0.01=850,000円(設計費)
85,000,000円×0.1=8,500,000円(諸費用)
85,000,000円+850,000円+8,500,000円=94,350,000円(総計)
<設定条件>
- 軽量鉄骨造3階建て
- 1DKタイプ
- 坪単価90万円
- 大手ハウスメーカーに設計施工一括方式で発注
<建築費シミュレーション>
50坪×3階×900,000円=135,000,000円(本体工事費等)
135,000,000円×0.01=1,350,000円(設計費)
135,000,000円×0.1=13,500,000円(諸費用)
135,000,000円+1,350,000円+13,500,000円=149,850,000円(総計)
坪数(延床面積)ごとの建築費用の相場については、以下の表をご確認ください。
坪数 | 木造 | 軽量鉄骨造 | 重量鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 |
---|---|---|---|---|
30坪アパート建築費 | 2,541万円~3,300万円 | 2,640万円~3,300万円 | 2,970万円~3,960万円 | 2,970万円~3,960万円 |
50坪アパート建築費 | 4,235万円~5,500万円 | 4,400万円~5,500万円 | 4,950万円~6,600万円 | 4,950万円~6,600万円 |
60坪アパート建築費 | 5,082万円~6,600万円 | 5,280万円~6,600万円 | 5,940万円~7,920万円 | 5,940万円~7,920万円 |
70坪アパート建築費 | 5,929万円~7,700万円 | 6,160万円~7,700万円 | 6,930万円~9,240万円 | 6,930万円~9,240万円 |
100坪アパート建築費 | 8,470万円~1億1,000万円 | 8,800万円~1億1,000万円 | 9,900万円~1億3,200万円 | 9,900万円~1億3,200万円 |
より具体的な建築費用のシミュレーションをしたい方は「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」を使えば、ひと手間で最大10社から建築費見積もりを含む建築プランが手に入れられます。
3.【アパート建築費別】建てられるアパートは?
アパートの建築費ごとに「実際どんなアパートが建てられるのか」は気になるポイントではないでしょうか。ここでは、建築費別に事例をご紹介します。
3-1.アパート建築費2000万円の場合
アパート建築費2000万円では、一例として以下のような規模での経営が想定できます。
- 木造2階建て
- ワンルーム3~4部屋(延床面積28坪)


建築費:2,381万円=77万円(坪単価)×28坪×1.1(諸費用10%を含む)
他の事例や注意点については、アパート建築費 2000万円の記事でも詳しく紹介していますので、そちらもご確認ください。
3-2.アパート建築費5000万円の場合
続いて、アパート建築費5000万円での建築例は以下のとおりです。
- 木造2階建て
- 1DK3室、1LDK3室(延床面積58坪)


建築費:4,913万円=77万円(坪単価)×58坪×1.1(諸費用10%を含む)
他の事例や注意点については、アパート建築費 5000万円の記事でも詳しく紹介していますので、そちらもご確認ください。
3-3.アパート建築費9000万円の場合
アパート建築費9000万円での例は以下のとおりです。戸数は10戸確保し、本格的な賃貸経営が可能な規模となっています。
- 軽量鉄骨造3階建て
- 1~2階:4室、3階:2室(延床面積80坪)



建築費:8,800万円=100万円(坪単価)×80坪×1.1(諸費用10%を含む)
ご所有の土地に建てられる具体的な間取り・建築費を知りたい場合は、「HOME4U オーナーズ」から土地の情報を入力すると、複数のメーカーから建築費を含めたご自身の土地で最適なアパート経営プランの提案を受けることができます。
4.アパート建築費の適正予算の決め方
アパート建築費の適正予算は、ローンの返済プランと相互関係にあります。
毎月の返済額が大きくなると、経営が苦しくなる可能性がある点に注意が必要です。
例えば、借入期間20年、金利2%で5,000万円のアパートを新築する場合、自己資金1割と3割とでは、毎月の返済額は以下のように異なります。
自己資金 | 借入額 | 毎月の返済額 |
---|---|---|
1割 | 4,500万円 | 22万7,647円 |
3割 | 3,500万円 | 17万7,059円 |
性能にこだわり、良い材料を使って高価な設備を導入すれば、アパートはそれだけ価値の高いものになります。ただし、家賃にも相場がありますし、建物は家賃額に見合ったものでなければなりません。
そこで、まずは近隣アパートの家賃相場を調べ、表面利回りが10%くらいになるように計画します。
- 表面利回り(%)=年間家賃収入÷建築費
例えば、年間家賃収入が720万円と想定したアパートとして、表面利回り10%で建築費を逆算します。
- 720万円÷10%=7,200万円
総額7,200万円までの借り入れを想定して、アパート建築費の上限を見積もることが可能です。
しかし、表面利回りは空室リスクなどを組み込まない簡易的なものです。建築費の適正金額は、精度の高い収支プランに基づいて割り出すとよいでしょう。
5.アパート建築の資金調達方法(アパートローン)

多くの場合、アパートの建築費は自己資金のみで賄うわけではなく、アパートローンという事業用のローンを利用します。アパートローンは、以下の点が住宅ローンと異なります。
- 審査基準:物件の収益性や担保価値も審査の基準となる
- 金利:住宅ローンより高い
- 借入期間:建物構造ごとの法定耐用年数が上限
ここでは、アパートローンを利用するにあたって知っておきたい基礎知識をご紹介します。
5-1.アパートローンの借り方
アパートローンを借りる流れは以下のとおりです。
アパートローンの審査が住宅ローンと比較して特徴的なのは、物件の収益性や担保価値が基準となることです。建築プランや事業計画書をもとに仮審査が行われ、その結果を受けて申し込みを行います。
審査の期間は1か月ほどかかるため、アパート建築を考え始めたら早めに金融機関へ相談を始めましょう。
5-2.アパートローンの金利相場
アパートローンの金利は金融機関によって異なります。以下に金融機関のタイプ別の金利の目安をまとめました。
金融機関 | 金利の目安 |
---|---|
都市銀行 | 1~2% |
地方銀行 | 1~4.5% |
信用金庫・信用組合 | 2%台 |
日本政策金融公庫 | 1.2~2% |
ノンバンク | 3~4.5% |
同じタイプの金融機関であってもローンや条件によって金利が変わってくるため、アパートの建築を検討し始めたらまずは金融機関に相談してみるとよいでしょう。基本的には、金利が安く設定されているローンほど条件が厳しく、審査も厳密に行われる傾向にあります。
アパート建築の資金調達にローンを利用する場合の詳細はアパートローンの記事でも紹介していますので、そちらもご確認ください。
6.アパート建築費の支払いタイミング
設計料や工事費は、竣工までの数回に分けて支払います。
諸費用も随時発生しますので、どのようなタイミングで支払いが発生するのか把握しておくと、資金計画が立てやすくなります。
建築工程と支払いスケジュールを一覧にまとめました。

7.アパート建築費を安く抑えるには?
アパート建築費は、ちょっとした工夫やコツを知ることで安く抑えることが可能です。コストダウンのコツは、以下10のポイントを参考にしてみてください。
それぞれの方法について詳細は、アパート建築をローコストにする手法の記事でもご紹介していますので、ぜひご確認ください。
8.アパート建築会社を選ぶ際のポイント
アパート経営をするためには、その土地に対していかに最適なプランと出会えるかがカギとなります。そのための建築会社選びのポイントは以下のとおりです。
- 提案は1つの会社からだけでなく、複数社から受けて比べる
- 木造や鉄骨造など異なる工法の提案も受けてみる
- 納得できる建築プランになるまで、提案を改修してもらう
- 建築費の見積もりの不明点はわかるまで確認する
建築会社選びのポイントの詳細や、アパート経営で特に評判の良い建築会社については、アパート建築会社・ハウスメーカーの記事でもご紹介していますので、ぜひご確認ください。
信頼できる建築会社を見極めるには、複数の企業にアプローチし、比較することが大切です。比較には一括プラン請求ができるサービス「HOME4U オーナーズ」をご利用ください。土地の情報など簡単な入力をするだけで、建築費や間取り、収支計画などが含まれたプランを最大10社から取り寄せることができます。
この記事のカテゴリトップへ