
アパート経営をはじめるにあたり、まず考えなければならないのは初期費用がどれだけかかるのかということでしょう。
土地活用をご検討中の土地オーナーへ、アパートの建築にはどのような費用がかかるのか、建築費はどれくらいかかるのか、コストを抑える方法や建築会社の選び方もあわせて説明します。
これを読めば、アパートの建築費の目安と構造別坪単価、工事費の計算方法がすべてわかります。

アパート・賃貸マンション・賃貸併用住宅・戸建て賃貸住宅など、賃貸物件の建築費の見積もりを取るなら、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」が便利です。
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1.土地活用のひとつ「アパート経営」とは
所有している土地にアパートを建て、オーナーとして第三者と賃貸借契約を結びます。これが、土地活用のひとつであるアパート経営です。
アパート経営には以下のようなメリットがあります。
- 比較的少ない初期投資で始めることができる
- 適切な管理と空室対策を行うことで長期的に安定した家賃収入を得られる
- 相続時には節税対策にもなる
しかし、初期投資が少なめとはいえ高額なローンを組むことには変わりなく、維持管理にもコストがかかりますので、しっかりとした資金計画を立てておくことが重要です。
費用の問題以外にも空室や家賃滞納、入居者トラブルといったリスクが考えられますので、アパート経営は信頼できる管理会社に相談しながら行うことをおすすめします。
2.アパート建築にかかる建築費用
アパートを建築する際には、以下のような費用が発生します。
- ■設計料
-
建物の設計にかかる費用です。構造計算料や確認申請料が別途発生する場合もあります。
- ■建築工事費
-
建物の建築に必要な材料費や工賃で、人件費などの経費も管理費として計上されます。
- ■諸費用
-
税金や登記費用、住宅ローン関連費用など、必要に応じて発生します。
- ■土地代
-
土地を購入してアパートを建てる場合には、土地代も含めて計画します。
全体の予算配分としては以下のようになります。
2-1.設計料について
ハウスメーカーでアパートを建てる場合は、設計施工一貫方式となるため見積書に「設計料」という項目がない場合もありますが、だいたい工事費の1~3%程度といわれています。
設計施工分離方式の場合は設計事務所に設計監理を委託するため、正確には「設計監理料」といいます。
設計監理の業務報酬は、国土交通省の告示で以下のように算定基準を定めています。
業務報酬=直接人件費+経費+技術料+特別経費+消費税に相当する額
参考:国土交通省「設計、工事監理等に係る業務報酬基準について」
実際には、工事費に設計事務所が独自で設定した設計料率を掛けた額を設計監理料とする場合が多く、一般的には戸建住宅で10%前後です。工事費が高くなるほど設計料率は下がります。工事費1億円ほどのアパートなら7~8%(700~800万円)が目安です。
2-2.アパートの工事費について
建築工事費には「本体工事費」と「付帯工事費」があり、本体工事には躯体や内外装仕上げ、設備工事が含まれます。本体工事に付随して発生するのが付帯工事で、解体工事や地盤改良工事、電気・ガス・水道の引き込み工事などがあります。
アパートの建築工事費は坪単価を目安に算定します。
下の表は、国土交通省の住宅着工統計から、共同住宅の工事費予定額をまとめたものです。
木造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨造 | |
---|---|---|---|
工事費予定額(万円) | 30,950,345 | 104,337,320 | 80,582,416 |
1戸あたり工事費予定額(万円) | 592 | 1,096 | 1,129 |
1平米あたり工事費予定額(万円) | 17 | 24 | 23 |
出典:国土交通省 「建築着工統計調査 / 住宅着工統計(2019年調査)」より作成
1平米を坪に換算するには0.3025を乗じます。したがって、1平米あたりの工事費予定額を0.3025で除すると1坪あたりの工事費予定額が出ます。
例えば、木造なら平米単価は17万円ですから「17万円÷0.3025」で坪単価は約56万円になります。
ただし、これはあくまでも「予定額」であり、通常は仕様変更などでもう少し単価は上がります。以下の坪単価を目安としてください。
木造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨造 | |
---|---|---|---|
坪単価 | 77~97万円 | 84~104万円 | 92~120万円 (軽量)74~94万円 (重量)103~123万円 |
2-2-1.構造別の建築工事費
工事費の目安を知るためには、前述した坪単価をアパートの延べ床面積に乗じます。
実際に例を挙げて計算してみましょう。
(1)木造アパート:単身者向け 1K×8戸(9坪/戸) 坪単価87万円の場合
◆72坪×87万円=6,264万円
(2)鉄筋コンクリート造:混在タイプ 2LDK×10戸(18坪/戸)+1K×10戸(9坪/戸) 坪単価92万円の場合
◆270坪×92万円=2億4,840万円
(3)重量鉄骨造:ファミリー向け2LDK×16戸(18坪/戸) 坪単価113万円の場合
◆288坪×113万円=3億2,544万円
(4)軽量鉄骨造:単身者向け 1K×16戸(9坪/戸) 坪単価84万円の場合
◆144坪×84万円=1億2,096万円
工事費の計算方法はおわかりいただけたでしょうか。
廊下や階段を建物内部に設けたい、ホールを広くとりたいという場合には、床面積をもう少し余分にみておくとよいでしょう。
このように、鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造は強度や耐震性が高い分コストも高く、木造や軽量鉄骨造はコスト・建物性能ともに標準的なバランスのよさがポイントです。各構造の特徴については、4章で詳しくお伝えします。
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2-2-2.本体工事費の内訳と付帯工事費
建築工事費の大部分を占める「本体工事費」ですが、内訳は以下のグラフのようになります。
「本体工事費」については、建築会社のこれまでのアパート建築実績からだいたいの金額を想定することができますが、「付帯工事費」は敷地の現況によって金額が大きく増減する部分です。
建築工事費の20%程度を「付帯工事費」の目安とし、「本体工事費」が予算額の80%を超えないように計画することで、大幅な予算オーバーを防ぐことができます。
2-3.諸費用について
工事と直接関わりのないものも含め、建物を取得するにあたり発生する費用のことをまとめて「諸費用」といいます。具体的には、以下のようなものがあります。
- ■地盤調査費
- ■測量費
-
境界画定が必要な場合は、土地家屋調査士への報酬も発生します。
- ■税金関係
-
- 印紙税(各種契約書に貼付)
- 不動産取得税
- 固定資産税、都市計画税(翌年以降)
- ■ローン関係
-
- 事務手数料
- 保証料
- 火災保険料(必要に応じて地震保険料)
つなぎ融資を利用する場合は、別途つなぎ融資の諸費用と金利が発生します。
- ■印紙代
-
- 確認申請手数料
- 中間、完了検査手数料
- ■登記費用
-
- 抵当権設定登記
- 所有権保存登記
別途、司法書士報酬が必要です。
- ■給排水関係の費用
-
- 給水装置引込費
- 下水道分担金(または浄化槽管理費)
- ■式典費用
-
地鎮祭のほか、上棟式や竣工式を行うのであればそれらの費用も必要です。
1つ1つは小さな金額であってもトータルでは相当額となりますので、全体の1割程度を予算取りしておくようにしてください。
3.アパート建築費用の支払いタイミング
設計料や工事費は、竣工までの数回に分けて支払います。
諸費用も随時発生しますので、どのようなタイミングで支払いが発生するのか把握しておくと、資金計画が立てやすくなります。
建築工程と支払いスケジュールを一覧にまとめましたので、参考にしてください。
4.アパートの建築費を抑える方法
性能にこだわり、よい材料を使って高価な設備を導入すれば、アパートはそれだけ価値の高いものになります。しかし、ただ費用をかければよいというものでもありません。
家賃にも相場がありますし、建物は家賃額に見合ったものでなければなりません。
そこで、まずは近隣アパートの家賃相場を調べ、表面利回りが10%くらいになるように計画します。
表面利回り(%)=年間家賃収入÷建築費
例えば、全室1Kのアパート建築を検討するとします。
近隣の家賃相場は6万円。10戸のアパートを建てると「6万円×10戸×12カ月」で、年間家賃収入は720万円です。
この年間家賃収入から、表面利回り10%で建築費を逆算します。
720万円÷10%=7,200万円
さらに、算定した建築費から坪単価を逆算します。1Kですので、1戸9坪と仮定します。
7,200万円÷90坪=80万円
坪単価が80万円ですので、木造か軽量鉄骨であれば安定した利回りのアパートを建築できるでしょう。
それでは、少しでもコストを抑えてアパートを建てるための方法をいくつかご紹介します。
4-1.構造を選ぶ
2章でお伝えしたように、同じ規模の建物であっても構造によって建築費は数千万円単位で違ってくるものです。
例えば、鉄骨造でも重量と軽量では坪単価に30万円ほどの差があります。同じ150坪のアパートでも、重量鉄骨造のアパートと軽量鉄骨造のアパートでは4,500万円のコスト差があります。
このように、鉄筋コンクリートや重量鉄骨では初期費用が高くなりすぎるため、最近では軽量鉄骨を選択するオーナーが増えているようです。
木造も工事費は安いのですが、耐震性や耐久性といった面で不安を感じるオーナーや入居者も少なくないため、同じようなコストでプラスアルファの性能を備えた軽量鉄骨に人気が集まっているのでしょう。
また、初期費用だけでなくアパート経営する上ではランニングコストも非常に重要です。維持管理や将来的なリノベーション、建て替えのことも含め、長期的な視点から構造を選択してください。
建築会社によっても得意な構造、対応していない構造がありますから、どの建築会社を選ぶかによって構造も変わります。
4-2.「仕上げ」「設備」の費用を抑える
建築費が当初の予定額よりも増額する原因として、内外装の仕上げ・設備機器のグレードアップやオプション追加が挙げられます。通常、計画段階では標準的な仕様が選択されているため、よいものを取り入れたいと思うとどうしてもコストアップしてしまうのです。
近隣物件との差別化も含めて、どこに費用をかけ、どこを抑えるか、よく考えて計画してください。
4-3.形状をシンプルにする
躯体部分は比較的工事費の増減がしにくい部分ではありますが、形状によっては工事費が大幅にアップする場合もあります。
例えば、中庭を配したコの字型や、不整形な敷地形状を活かして凹凸の多い建物、アール(曲面や曲線)を多用したデザインなど、形状が複雑であるほど工事費は高くなります。
あまりコストをかけたくないのであれば、できるだけシンプルな形状の建物で計画してください。
4-4.建物の規模を縮小する
規模の大きな建物になると、1千万円単位で予算オーバーすることもめずらしくありません。
しかし、それだけオーバーすると仕様のグレードを下げただけでは予算に合わせることが難しいため、仕上げや設備にこだわりたいのであれば、思い切って計画を縮小する(戸数を減らす)ことを検討します。
単身者向け16戸(4階建て)の軽量鉄骨アパートを計画するとします。家賃は6万円です。
9坪×16戸×84万円/坪=144坪×84万円/坪=1億2,096万円
この物件の表面利回りを計算してみましょう。
6万円×16戸×12カ月/1億2,096万円=1,152万円/1億2,096万円=9.52%
建築費を1億円以内に収めたいのであれば、3階建てに計画を修正します。
9坪×12戸×84万円/坪=108坪×84万円/坪=9,072万円
表面利回りは以下のとおりです。
6万円×12戸×12カ月/9,072万円=864万円/9,072万円=9.52%
このように、階数を減らすことで3,000万円の減額ができます。利回りにも影響はありません。規模の縮小は、減額方法としてはもっとも手っ取り早く効果的です。
4-5.建築会社は数社で比較する
建築会社は最初から1社に決めてしまうのではなく、できるだけ複数の会社からプランの提案を受けるようにしてください。
1社だけではその金額が適切かどうか判断できませんが、数社で比較すれば平均的な金額が見えてきます。
建築会社側としても、比較されるとわかっていれば他社とかけ離れた金額を提示するわけにはいきませんので、極端に高額なプランが出てくる心配もなくなります。
5.建築会社を選ぶ際のポイントとは
より収益性の高いアパート経営には、その土地に対していかに最適なプランと出会えるかが鍵となります。
そのためにも、建築会社は慎重に選びたいものです。建築会社選びのポイントについて、順にご説明します。
5-1.大手企業か地域密着型か
技術力が高く品質の安定した大手企業なら、アパート建築のノウハウも豊富なので計画から設計・施工まで安心して任せることができるでしょう。
対して地域密着企業には、地元ならではの安心感があります。ただし、アパート建築には大規模建築物にも対応できる技術力が必要です。住宅の経験しかない工務店ではなく、公共施設や商業施設を建てているような建設会社が適しています。
設計事務所に設計監理を委託する場合は、アパートやマンションの実績が豊富な設計事務所を探してください。
5-2.どのような構造を得意としているか
地元密着型の小規模な工務店の中には、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の施工に慣れていない会社もあるでしょう。大手ハウスメーカーの場合は自社独自の工法があり、軽量鉄骨しか取り扱っていないという会社もめずらしくありません。
それぞれの構造・工法の良し悪しを知った上で幅広い選択肢の中から選びたいという方は、いろいろな会社に相談した上で、最終的にどの構造を選ぶか、どの会社に依頼するかを検討するとよいでしょう。
5-3.プランの内容が地域の需要に適しているか
アパートのような収益物件は、オーナーの好みだけで建てるものではありません。
ファミリー向けか単身者向けか。単身者向けなら、女性向けか男性向けか。騒音はないか、駐車場は必要か。
このように、周辺環境や土地の条件・特徴をしっかりと生かしたプランであることが大切です。
そのためにも、リサーチからしっかりと行ってくれる、アパート建築の経験やノウハウを備えた建築会社を選択することをおすすめします。
5-4.信頼のできる建築会社であるか
建てたあとのフォローも含め、納得のいくアパートを建築できるかどうかは、建築会社の経験や実績、今後のオーナーとの関係性にかかっています。つまり、いかに信頼できる建築会社であるかということが重要です。
「HOME4U(HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」をご利用いただくと、大手企業や地域に精通した地元企業など、信頼のできる企業をマッチングします。
スマートフォンやタブレット、PCから、いつでもどこでも完全無料でご利用可能。最大7社までプラン請求できるので、効率よく複数プランを比較できるのもポイントです。
アパートの建築のノウハウと実績を生かし、土地活用のプロがお持ちの土地の収益を最大化するプランを提案します。
まとめ

アパートの建築にはどれくらいの工事費が必要なのか、また工事費以外にどのような費用がかかるのか、またアパート経営に必要な初期費用や支払いの発生するタイミングなど、ご理解いただけたでしょうか。
費用の割合を見ながら、自身に合った予算配分を考えてみてください。最初から予算どおりの金額に収まることは少ないと思いますので、建築費を抑える方法についても覚えておいてください。
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