60坪の土地活用を考えるなら、アパート経営はスタンダードな選択肢として検討することも多いでしょう。ですが、実際にアパート建築を考える段階になると、
「60坪の土地にはどんなアパートが建つのか」
「そのアパートで建築費はいくらになるのか」
「建築費とともにかかる諸費用の相場は?」
など、さまざまな疑問が出てくるのではないでしょうか。
この記事では、このような疑問をお持ちの方に、60坪の土地にはどんなアパートが建てられるのか、その場合の建築費の相場はどのくらいかを徹底解説します。押さえておくべき建築規制や収益性の高いアパートを建てるコツについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
また、「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」を使えば、あなたの土地に合った、建築費の見積もり、収支計画の無料診断が可能です。
「うちの土地にアパートが建つの?」「いくら儲かるのか知りたい」という方はご活用ください。
60坪の土地に建てるアパートの建築費用は?
60坪の土地に建てるアパートの初期費用の例は以下のとおりです。
- 木造2階建て:5,940万円(建築費用5,400万円+諸費用540万円)
- 鉄骨3階建て:8,250万円(建築費用7,500万円+諸費用750万円)
- 鉄筋コンクリート造4階建て:1億3,860万円(建築費用1億2,600万円+諸費用1,260万円)
アパート経営の初期費用は、主に建築費と諸費用となります。建築費は、以下の式で求められます。
アパート建築費用=坪単価×坪数(延床面積の広さ)
また、諸費用は建築費用の10%程度となるため、以下の式で概算ができます。
諸費用=アパート建築費用×10%
構造別の坪単価や諸費用の詳細など、詳しくは「60坪の土地に建てるアパートの建築費の目安」をご確認ください。
また、それぞれの事例における間取りや条件に関しては「60坪の土地に建てられるアパートの部屋数・間取り・収益」をご一読ください。
60坪の土地に建てられるアパートを決定する建築規制
60坪の土地に建てられるアパートの規模は、その土地の持つ建築規制や制約によって決まります。どんなアパートが建てられるかを知るには、以下の規制について押さえる必要があります。
- 建ぺい率
- 容積率
- 接道義務
- 用途地域
- その他の規制・制約
詳しくは「アパートを建てる前に知っておくべき建築規制」をご確認ください。
60坪の土地で収益性の高いアパートを建築する5つのコツ
60坪の土地で収益性の高いアパートを建築するには、以下のコツを押さえておきましょう。
- エリアのニーズに合った間取りを選択する
- 構造は絞らずに検討する
- 過剰な設備を盛り込まない
- 競合物件との差別化を考える
- 建築会社・管理会社を比較して選ぶ
詳しくは、「60坪の土地で収益性の高いアパートを建築する5つのコツ」をご確認ください。
「HOME4U オーナーズ」なら、パソコンやスマートフォンから1分程度の簡単な入力をするだけで、最大10社からその土地に合ったアパートの建築費・予想収益などが含まれた「アパート建築プラン」を取り寄せることができます。
目次
1.60坪の土地に建てるアパートの建築費用の目安
60坪の土地にアパートを建てる場合、必要な初期費用は大きく分けて以下の2つとなります。
- アパート建築費用
- 諸費用
アパート建築費は以下の式で求められます。建築費は構造によって大きく変わりますので、概算する際は使用する構造による坪単価を用いるのがポイントです。
アパート建築費用=坪単価×坪数(延床面積の広さ)
また、諸費用は建築費用の10%程度となるため、以下の式で概算ができます。
諸費用=アパート建築費用×10%
上記の概算方法を踏まえて、60坪の土地に建てられる建築事例と初期費用の例を表にまとめました。
構造 | 60坪の土地に建てられる例 | 初期費用の例 |
---|---|---|
木造 | 4室×2階 延床面積60坪 |
建築費用:5,400万円 諸費用:540万円 合計:5,940万円 |
鉄骨造 | 4室×2階+2室×1階 延床面積75坪 |
建築費用:7,500万円 諸費用:750万円 合計:8,250万円 |
鉄筋コンクリート造 | 4室×4階 延床面積120坪 |
建築費用:1億2,600万円 諸費用:1,260万円 合計:1億3,860万円 |
それぞれの事例の計算方法については「60坪の土地に建てられるアパートの部屋数・間取り・収益」をご確認ください。
それぞれの構造で具体的な建築費用を知りたい場合は、「HOME4U オーナーズ」から土地の情報を入力すると、最大10社から建築プランの提案を受けることができます。
1-1.構造別坪単価
アパート建築費用の概算は、構造別の坪単価をもとに行います。
一般的に鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造は強度や耐震性が高いためコストが高くなるのが特徴です。木造や軽量鉄骨造はこれらと比べると比較的リーズナブルに建築が可能です。
下の表は、国土交通省の「住宅着工統計」から抜粋した、共同住宅・工事費予定額の全国平均です。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 | |
---|---|---|---|
1戸あたり工事費予定額 (万円) |
591 | 1,216 | 4,508 |
1平米あたり工事費予定額 (万円) |
17 | 25 | 29 |
出典:e-Stat 「国土交通省 建築着工統計調査 / 住宅着工統計」(2021年調査)」より作成
ただし、これはあくまで「予定額」であり、実際にはもう少し坪単価が上がることがほとんどです。HOME4Uの提携企業の請負工事金額から算出した坪単価が以下の表となります。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 | |
---|---|---|---|
坪単価の平均 | 77~100万円 | 80~120万円 (軽量)80~100万円 (重量)90~120万円 |
90~120万円 |
建築工事費の大部分を占めるのが「本体工事費」ですが、そのほかに電気工事費や給排水工事費などの「付帯工事費」や「設計料」などが含まれます。それぞれの内訳は以下が目安となります。
- 付帯工事費:建築費全体の20%程度
- 設計料:建築費全体の1~3%程度
建築会社によっては、これらの項目が坪単価に含まれない場合(別途必要になる場合)がありますので、見積もりを確認する際にはご注意ください。
地域別・構造別の坪単価について、詳しくは下記のアパート建築の坪単価の記事でもご紹介していますので、そちらもご確認ください。
1-2.諸費用
アパート建築にかかる初期費用としては、建築費用のほかに諸費用があります。諸費用の項目として代表的な例は以下のとおりです。
- ローン手数料
- 火災保険料
- 印紙税
- 不動産取得税
- 登記費用(登録免許税、司法書士報酬) など
金額の目安は、建築費のおよそ10%程度が相場となります。
諸費用の項目やそれぞれの金額の目安など、詳しくはアパート経営の初期費用と維持費用の記事でも紹介しています。
2.60坪の土地に建てられるアパートの部屋数・間取り・収益
アパートの建築費用は、その土地にどんな規模のアパートを建てられるかによって変わってきます。
同じ60坪の土地でもアパートの広さや構造が異なれば、その分、建築費用や収益も異なります。この章では、60坪の土地に建てられるアパートの建築事例を3つご紹介します。
2-1.木造 2階建て
まずは60坪の土地に木造2階建てのアパートを建てる場合の事例を紹介します。木造はアパート建築に用いられる構造の中では比較的リーズナブルです。
- 木造
- 4室×2階(延床面積60坪)
この場合の建築費の例は以下となります。
建築費用=90万円(坪単価)×60坪(延床面積)=5,400万円
諸費用=5,400万円(建築費用)×10%=540万円
合計:5,940万円
ワンルームが8室の間取りとなりますので、家賃が7万円/月とすると、収入の目安は以下のようになります。
家賃収入:56万円=1室7万円×8室
2-2.鉄骨造 3階建て
次に、鉄骨造です。鉄骨造の場合は使う鋼材の厚さが6mm未満の場合「軽量鉄骨」、6mm以上の場合は「重量鉄骨」として区分されています。以下の例は、3階建てのものです。
- 鉄骨造
- 1~2階:4室、3階:2室(延床面積75坪)
この場合の建築費の例は以下となります。
建築費用=100万円(坪単価)×75坪(延床面積)=7,500万円
諸費用=7,500万円(建築費用)×10%=750万円
合計:8,250万円
ワンルームが10室の間取りとなりますので、家賃が7万円/月とすると、収入の目安は以下のようになります。
家賃収入:70万円=1室7万円×10室
2-3.鉄筋コンクリート造 4階建て
鉄筋コンクリート造の場合、コストは高額になりますが、遮音性や耐久性に優れ、法定耐用年数も長いといった特徴があります。比較的小規模なアパートでは木造や鉄骨造が選択されることが多く、高層階のアパートを建築する場合に鉄筋コンクリート造が選択されるのが一般的です。
- 鉄筋コンクリート造
- 1~2階:2室、3~4階:4室(延床面積120坪)
この場合の建築費の例は以下となります。
建築費用=105万円(坪単価)×120坪(延床面積)=1億2,600万円
諸費用=1億2,600万円(建築費用)×10%=1,260万円
合計:1億3,860万円
ファミリー向けが4室とワンルーム8室の間取りとなりますので、ファミリー向けの家賃が10万円/月、ワンルームの家賃が7万円/月とすると、収入の目安は以下のようになります。
家賃収入:96万円=1室10万円×4室+1室7万円×8室
いずれの構造の場合でも、具体的な建築費を知りたい場合は、「HOME4U オーナーズ」から土地の情報を入力すると、複数のメーカーから建築費を含めた土地活用プランの提案を受けることができます。
3.アパートを建てる前に知っておくべき建築規制
60坪の土地にアパートを建てるには、その土地にかかる建築規制について知っておく必要があります。以下に、押さえておくべき規制について紹介します。
3-1.建ぺい率
建ぺい率とは「土地に対して、何%まで建物を建てられるか」を定めたもので、用途地域ごとに30~80%の範囲で定められています。
60坪の土地でも、60坪ぎりぎりに建物を建てられるわけではありません。例えば、建ぺい率60%で60坪の土地があれば、敷地のうち36坪を建物に使って良いこととなります。所有している土地にめいっぱい建物を建てることはできませんので、計画時には注意しましょう。
3-2.容積率
容積率は、「土地に対して何%の延床面積の建物を建てられるか」を定めたもので、用途地域ごとに50~500%の範囲で制限が決められています。延床面積は建物の全フロアの床面積を足したものです。
例えば、容積率100%で60坪の土地があれば、延床面積60坪までの建物が建てることができ、ワンフロア30坪の2階建てなどが候補となります。容積率200%であれば、ワンフロア30坪の4階建てでも建てられます。つまり、容積率が高ければ高いほど、建物を縦に伸ばすことができるのです。
建ぺい率と容積率は建物のサイズに直接関わる制限となるため、アパートを建てる予定なら必ず確認しておきましょう。
3-3.接道義務
接道義務とは、建築物の敷地が幅員4m以上の道路に2m~3m以上接しなければならないという規制ことをいいます。アパート建築においては、この接道義務を守る必要があります。
土地の前面道路が4m未満の場合には、原則としてアパートを建てることはできず、もし建てるならセットバック(道路と土地の境界線から間口を後退させ、道路の中心から2m離れた位置を間口とする方法)を行う必要があります。
また、前面道路の幅員が12m未満の場合、道路幅員に一定率を乗じて容積率を求めます。例えば容積率200%の土地であっても、この結果が200%より低い場合は低い方の数値が適用されるため、実質的に高い建物を建てることが難しくなってしまいますので注意しましょう。
3-4.用途地域
用途地域とは、都市計画法により建築できる建物の用途等を定めた規制です。用途地域には、住居系8種類、商業系2種類、工業系3種類の計13種類の区分があります。
アパートは工業専用地域以外なら建設することができます。ただし、低層のアパートを除いて、第一種・第二種低層住居専用地域でも建てないことが一般的です。
3-5.その他の規制・制約
その他の規制として、エリアや自治体ごとのルールも存在します。例えば東京23区は各区が独自のワンルーム条例を定めており、一定規模以上のマンションを建てるとファミリータイプを設けなければならない、1戸あたり一定の広さ以上を確保しなくてはならない、などの制約があります。
上記のような規制以外にも、土地の形状が実質的な制約となる場合もあります。前面道路に対して間口の広い長方形であれば比較的建築プランは立てやすいですが、旗竿状の土地や、三角の土地、間口の狭い細長い土地などの形状ではうまくアパートが配置しづらいこともるでしょう。
4.60坪の土地で収益性の高いアパートを建築する5つのコツ
最後に、60坪の土地で収益性の高いアパートを建築するコツを5つご紹介します。
4-1.エリアのニーズに合った間取りを選択する
アパート経営においては、エリアのニーズの見極めが重要となります。所有する土地が駅に近く利便性の良い立地なのか、閑静な住宅街なのかで適した間取りや設備は変わります。
一般的に、収益性の高いアパート経営を考えるとワンルームが選択されやすい傾向にあります。ですが、住環境が整っている、学区が良いなどの特徴があるエリアなら、多少収益性は下がってもファミリー向けの間取りを選択する方が賢明なケースも多いでしょう。
また、繁華街など人通りの多い場所に建てるならオートロック付にするなど、セキュリティを重視した物件にすると地域のニーズに合うでしょう。
4-2.構造は絞らずに検討する
60坪の土地にアパートを建築する場合、最初から建物の構造を絞らずに幅広く検討することがポイントとなります。その理由は、アパートの建築費用は構造によって大きく変わってくるからです。
同じ60坪の土地でも、その土地が持つ制約によって建てられるアパートの規模は変わります。例えば2~3階建ての規模の小さなアパートであれば、比較的コストのかからない木造や軽量鉄骨での建築が選択できるため、建築費用を安く抑えることができます。
建築会社にはそれぞれ得意とする構造や工法があり、例えば重量鉄骨造を得意とする会社に木造での提案を依頼しても最適な提案は難しく、かえってコストがかかってしまうことも少なくありません。幅広い構造で検討し、各社の見積もりを比べると、その土地で最適な構造が見えてきます。
4-3.過剰な設備を盛り込まない
入居者の絶えない魅力あるアパートを建築しようと思うと、どうしても設備に予算がかかりがちです。ですが、収益性の高いアパート経営を考えるなら、過剰な設備は盛り込まず、できるだけシンプルな機能にとどめるという視点も必要となるでしょう。
- ワンルームのバスなら追い焚き機能はカットする
- 内装のクロスや床材はなるべくオーソドックスなものを選ぶ
- 空調やウォシュレットはシンプルな機能のものを選ぶ
など、しっかりと選択していけば、収益化に貢献しないコストがかさむのを防ぐことができます。
また、建てるアパートの規模にもよりますが、4階くらいまでのアパートであれば、エレベーターなしを検討するのが良いでしょう。エレベーターを設置すると建築費だけでなく、将来のメンテナンス費用も必然的に高額となってしまうからです。
4-4.競合物件との差別化を考える
アパートの持つ競争力は、間取りや設備によって変わります。長く収益を生み出すマンションを建てるなら、競合物件との差別化を考えることが大切です。
限られた予算ですべてをグレードアップすることは現実的ではありませんが、女性をメインの入居者と考えるならセキュリティを充実させる、ファミリー向けの物件ならキッチンだけはいいものにするなど、メリハリを持たせるのがおすすめです。
また、昨今のリモートワークの普及により、共働き世代がそれぞれ仕事に集中できるスペースを設けた間取りに人気が集まっています。こうした社会状況やトレンドを押さえていくことも、競合物件との差別化につながるでしょう。
4-5.建築会社・管理会社を比較して選ぶ
アパートを建築する際は、どの建築会社をパートナーとして選ぶかが非常に重要です。建築会社によって得意とする構造や提案力は異なるため、良いプランを選択するには複数の建築会社に相談しプランを比較検討することが重要となるのです。また、建築後のフォローや入居率を上げることを考えるなら、良い管理会社を選ぶことも大切です。
建築会社や管理会社など、信頼できるパートナーを選ぶには、まずはプランの一括請求をして、その土地に対して各社が提案してくれるプランを比較するのがおすすめです。
「HOME4U オーナーズ」なら、最大10社からその土地に合ったアパート建築プランを、建築費や収益プランもあわせて提案してもらうことができます。
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