100坪の土地を所有していれば、土地活用方法として人気のアパートやマンション経営から医療施設の経営まで広く考えることができます。ただ、アパート経営にチャレンジしてみようと思っても、実際にどれくらいの建築費用でどんなアパートが建つのか、想像するのは難しいかもしれません。
この記事では、そんなオーナーの方向けに、
- 100坪の土地で建てられるアパートの建築事例
- そのアパートの建築にかかる建築費用の相場
- 建築費用とともにかかる諸費用の相場
などを詳しく解説します。100坪の土地は所有しているだけで固定資産税などのコストがかかってしまうため、積極的に土地活用を考えるのがおすすめです。アパート経営をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
また、「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」を使えば、あなたの土地に合った、建築費の見積もり、収支計画の無料診断が可能です。
「うちの土地にアパートが建つの?」「いくら儲かるのか知りたい」という方はご活用ください。
100坪の土地に建てるアパートの建築費用は?
100坪の土地に建てるアパートの初期費用の例は以下のとおりです。
- 木造2階建て:9,900万円(建築費用9,000万円+諸費用900万円)
- 鉄骨3階建て:1億6,500万円(建築費用1億5,000万円+諸費用1,500万円)
- 鉄筋コンクリート造4階建て:2億3,100万円(建築費用2億1,000万円+諸費用2,100万円)
アパート経営の初期費用は、主に建築費と諸費用となります。建築費は、以下の式で求められます。
アパート建築費用=坪単価×坪数(延床面積の広さ)
また、諸費用は建築費用の10%程度となるため、以下の式で概算ができます。
諸費用=アパート建築費用×10%
構造別の坪単価や諸費用の詳細など、詳しくは「100坪の土地に建てるアパートの建築費の目安」をご確認ください。
また、それぞれの事例における間取りや条件に関しては「100坪の土地に建てられるアパートの部屋数・間取り・収益」をご確認ください。
アパートを建てる前に知っておくべき建築規制
100坪の土地にどんなアパートが建てられるのかは、その土地にかかる規制や制約によって決まります。具体的には、以下の規制を確認しておきましょう。
- 建ぺい率
- 容積率
- 接道義務
- 用途地域
- その他の規制・制約
詳しくは「アパートを建てる前に知っておくべき建築規制」をご確認ください。
100坪の土地でアパート経営を成功させる6つのコツ
100坪の土地でアパート経営を成功させるために、押さえておきたいコツは以下の6つです。
- 本当にアパートが最適か考える
- 収支計画を厳密にチェックする
- エリアのニーズに合った間取りを選択する
- 構造は絞らずに検討する
- 入居者に最適な設備を検討する
- 建築会社・管理会社を比較して選ぶ
詳しくは、「100坪の土地でアパート経営を成功させる6つのコツ」をご確認ください。
「HOME4U オーナーズ」なら、パソコンやスマートフォンから1分程度の簡単な入力をするだけで、最大10社からその土地に合ったアパートの建築費・予想収益などが含まれた「アパート建築プラン」を取り寄せることができます。
目次
1.100坪の土地に建てるアパートの建築費用の目安
100坪の土地にアパートを建てる場合に必要な初期費用は、大きく分けて「アパート建築費用」と「諸費用」の2つとなります。
アパート建築費用を求めるには、以下の式で概算します。建築費用は構造によって大きく変わるため、採用する構造による坪単価で計算することがポイントです。
アパート建築費用=坪単価×坪数(延床面積の広さ)
また、諸費用は建築費用の10%程度が目安となり、以下の式で概算ができます。
諸費用=アパート建築費用×10%
上記の方法をもとに、100坪の土地に建てられる建築事例と初期費用を概算した例が以下の表となります。
構造 | 6100坪の土地に建てられる例 | 初期費用の例 |
---|---|---|
木造 | 6室×2階 延床面積100坪 |
建築費用:9,000万円 諸費用:900万円 合計:9,900万円 |
鉄骨造 | 8室×2階+4室×1階 延床面積150坪 |
建築費用:1億5,000万円 諸費用:1,500万円 合計:1億6,500万円 |
鉄筋コンクリート造 | 6室×4階 延床面積200坪 |
建築費用:2億1000万円 諸費用:2,100万円 合計:2億3,100万円 |
それぞれの事例の詳細と計算方法については「100坪の土地に建てられるアパートの部屋数・間取り・収益」をご確認ください。
1-1.構造別坪単価
アパート建築費用の概算は、構造別の坪単価をもとに行います。比較的小規模なアパートでは木造や鉄骨造が選択されることが多く、高層階のアパートを建築する場合に鉄筋コンクリート造が選択されるのが一般的です。
下の表は、国土交通省の「住宅着工統計」から抜粋した、共同住宅・工事費予定額の全国平均です。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 | |
---|---|---|---|
1戸あたり工事費予定額 (万円) |
591 | 1,216 | 4,508 |
1平米あたり工事費予定額 (万円) |
17 | 25 | 29 |
出典:e-Stat 「国土交通省 建築着工統計調査 / 住宅着工統計」(2021年調査)」より作成
ただし、これはあくまで「予定額」であり、実際にはもう少し坪単価が上がることがほとんどです。HOME4Uの提携企業の請負工事金額から算出した坪単価が以下の表となります。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 | |
---|---|---|---|
坪単価の平均 | 77~100万円 | 80~120万円 (軽量)80~100万円 (重量)90~120万円 |
90~120万円 |
建築費用の大部分を占めるのが「本体工事費」ですが、建築費用には電気工事費や給排水工事費などの「付帯工事費」や「設計料」なども含まれます。建築会社によって、付帯工事費や設計料が坪単価に含まれる場合と含まれない場合(別途必要になる場合)がありますので、見積もりを確認する際にはご注意ください。
それぞれの内訳は、付帯工事費が建築費用全体の20%程度、設計料が建築費用全体の1~3%程度となります。地域別・構造別の坪単価について、詳しくは下記のアパート建築の坪単価の記事でもご紹介していますので、そちらもご確認ください。
1-2.諸費用
アパート建築の初期費用には、建築費用のほかに諸費用がかかります。諸費用とはさまざまな手数料や税金を指すもので、代表的な項目は以下のとおりです。
- ローン手数料
- 火災保険料
- 印紙税
- 不動産取得税
- 登記費用(登録免許税、司法書士報酬) など
諸費用の目安は、建築費用のおよそ10%程度となるため、建築費用から概算することができます。
諸費用の項目やそれぞれの金額の目安など、詳しくはアパート経営の初期費用と維持費用の記事でも紹介しています。
2.100坪の土地に建てられるアパートの部屋数・間取り・収益
アパートの建築費用は、同じ土地でも「どんな規模のアパートを建てるか」「どの構造で建てるか」によって変化します。
同じ100坪の土地でもアパートの広さや構造が異なれば、その分、建築費用も異なります。この章では、100坪の土地に建てられるアパートの部屋数や間取りと、その際の建築費用の事例を3つご紹介します。
2-1.木造 2階建て
まずは100坪の土地に木造2階建てのアパートを建てる場合の部屋数と間取りの例を紹介します。一般的に鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造は強度や耐震性が高いためコストが高くなりますが、木造や軽量鉄骨造はこれらと比べると比較的リーズナブルに建築が可能です。
建築費用の計算は、木造の場合の坪単価を90万円と仮定して概算します。
- 木造
- 6室×2階(延床面積100坪)
この場合の建築費用の例は以下となります。
建築費用=90万円(坪単価)×100坪(延床面積)=9,000万円
諸費用=9,000万円(建築費用)×10%=900万円
合計:9,900万円
合計12室の間取りとなりますので、家賃が8万円/月とすると、収入の目安は以下のようになります。
家賃収入:96万円=1室8万円×12室
2-2.鉄骨造 3階建て
次に、鉄骨造です。ここでは、鉄骨造の坪単価を100万円と仮定して概算します。以下の例は、3階建てのものです。
- 鉄骨造
- 1~2階:8室、3階:4室(延床面積150坪)
この場合の建築費の例は以下となります。
建築費用=100万円(坪単価)×150坪(延床面積)=1億5,000万円
諸費用=1億5,000万円(建築費用)×10%=1,500万円
合計:1億6,500万円
全20室の間取りとなりますので、家賃が7万円/月とすると、収入の目安は以下のようになります。
家賃収入:140万円=1室7万円×20室
2-3.鉄筋コンクリート造 4階建て
鉄筋コンクリート造の場合、コストは高額になりますが、遮音性や耐久性に優れ、法定耐用年数も長いといった特徴があります。ここでは、鉄筋コンクリート造の坪単価を105万円と仮定して建築費用を概算します。
- 鉄筋コンクリート造
- 1~4階:6室(延床面積200坪)
この場合の建築費の例は以下となります。
建築費用=105万円(坪単価)×200坪(延床面積)=2億1,000万円
諸費用=2億1,000万円(建築費用)×10%=2,100万円
合計:2億3,100万円
24室の間取りとなり、16室の家賃が8万円/月、8室の家賃が10万円/月とすると、収入の目安は以下のようになります。
家賃収入:208万円=1室8万円×16室+1室10万円×8室
なお、具体的なアパート建築費用を知りたい方は、「HOME4U オーナーズ」から土地の情報を入力すると、複数のメーカーから建築費を含めた土地活用プランの提案を受けることができます。
3.アパートを建てる前に知っておくべき建築規制
100坪の土地にどんなアパートが建てられるかは、その土地の持つ建築規制で決まることが多いです。以下に、知っておくべき規制について紹介します。
3-1.建ぺい率
建ぺい率とは「敷地面積に対して、何%まで建物を建てられるか」を定めたものです。例えば、建ぺい率60%で100坪の土地があれば、敷地のうち60坪までを建物に使うことができます。100坪の土地を所有しているからといって、100坪ギリギリの広さを建物に使えるわけではありませんので、注意しましょう。
建ぺい率は30~80%の範囲で上限が定められており、建物を建てる場合にはその上限値以下の面積で建てることになります。
3-2.容積率
容積率は、「敷地に対して何%の延床面積の建物を建てられるか」を定めたもので、用途地域ごとに50~500%の範囲で制限が決められています。延床面積とは建物の全フロアの床面積を足したもので、1階が50坪、2階が50坪の2階建ての場合、延床面積は100坪となります。
例えば、容積率100%で100坪の土地があれば、延床面積100坪までの建物が建てることができ、ワンフロア50坪の2階建てが建てられます。容積率が200%あれば、ワンフロア50坪の4階建ても可能です。つまり、容積率が高ければ高いほど、建物を縦に伸ばすことができ、それに伴って戸数も確保できるのです。
アパートの建築を検討する場合、100坪の土地だと、容積率の低いエリアでは十分な延床面積を持つ建物を建てられないことがあります。この場合、戸数が限られるため収益性が抑えられてしまうなど、思うような土地活用が難しくなってしまうケースがあることにも注意が必要です。
3-3.接道義務
アパート建築においては、接道義務を守る必要があります。接道義務とは、建築物の敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならないという規制のことです。これは災害時の避難経路や、消防車・救急車などの緊急車両のための経路を確保するために定められています。
土地の前面道路が4m未満の場合には、原則としてアパートを建てることはできず、もし建てるならセットバック(道路と土地の境界線から間口を後退させ、道路の中心から2m離れた位置を間口とする方法)を行うことで建築が可能となる場合もあります。
また、前面道路の状況は容積率に関わってきます。前面道路の幅員が12m未満の場合、道路幅員に一定率を乗じて容積率を求めます。土地には容積率が定められていますが、仮に容積率200%の土地であったとしても、上記の計算で200%より低い場合は低い方の数値が適用されます。
このように、前面道路が狭い場所にアパートやマンションを建てる場合にはさまざまな制約が生まれますので、注意しておきましょう。
3-4.用途地域
アパート建築を考えるなら、土地の用途地域も確認しておきましょう。用途地域とは、都市計画法により建築できる建物の用途等を定めた規制のことをいい、住居系8種類、商業系2種類、工業系3種類の計13種類の区分があります。
用途地域を調べておく理由は、用途ごとに建てられない種類の建物があったり、面積に制限がついたりすることがあるからです。アパートは工業専用地域以外なら建設することができますが、低層のアパートを除いて、第一種・第二種低層住居専用地域でも建てないことが一般的です。
3-5.その他の規制・制約
その他の制約としては、エリアや自治体ごとのルールや、その土地の形状や特徴が挙げられます。
自治体の持つルールでは、例えば東京23区は各区が独自のワンルーム条例を定めており、1戸あたり一定の広さ以上を確保しなくてはならないなどの制約があります。また、自治体によっては駐車場や駐輪場の設置義務が定められています。
上記のような規制以外にも、「三角形の土地」「間口の狭い細長い土地」「旗竿状の土地」など、土地の形状が実質的な制約となる場合もあります。このような場合、100坪の土地でも有効に利用することが難しくなる場合もあります。
4.100坪の土地でアパート経営を成功させる6つのコツ
最後に、100坪の土地でアパート経営を成功させるコツを6つご紹介します。
4-1.本当にアパートが最適か考える
100坪の土地活用方法を考える際に、アパート経営がスタンダードな方法と言えることは間違いありません。その一方で、100坪の土地があればさまざまな土地活用方法を選べることも確かですので、地域のニーズと照らし合わせて、本当にアパートが最適か熟考することが大切です。
例えば、賃貸ニーズに不安がある立地ならば、アパートを建てるより医療施設や介護施設を検討するという方法もあります。
土地活用はオーナーご自身のご要望はもちろんのこと、その土地の立地や広さ、条件による部分が大きいため、最初からアパートに絞りすぎず土地活用の提案を受けてみることも大切です。
土地に合った活用法を検討したいなら「HOME4U オーナーズ」を利用すると、最大10社からその土地に合った土地活用方法の提案を受けることができます。
4-2.収支計画を厳密にチェックする
100坪の土地にアパートを建築する場合、狭い土地と比較すると投資額が大きくなりがちです。そのため、キャッシュフロー含め収支計画を入念に確認することが必要となります。
アパート建築会社からの提案を確認する際、どうしても「どんな建物を建てるか」に意識が行ってしまいがちですが、建物の図面だけでなく、収支計画までしっかり確認しておきましょう。
特に確認しておきたいのは、借入金返済後に残るキャッシュフローです。手残りがわずかな収支計画となっている場合、空室の発生や修繕などですぐにマイナスに転落してしまう可能性があるからです。
不安な場合には自己資金を増やす、無理のない規模のアパートを建てて借入金を減らすなどの対応が考えられますので、建築会社に相談してみましょう。
4-3.エリアのニーズに合った間取りを選択する
収益性が高く、競争力のあるアパートを建築するなら、エリアのニーズに合った間取りを選択することは欠かせません。
一般的に、収益性の高いアパートといえばワンルームの間取りが有利となります。そのため、エリアのニーズにワンルームが合うなら、ワンルームを選択するのが無難です。
逆に、住環境が整っていて学区が良いなどファミリー向けに人気のあるエリアなら、収益性が下がってもファミリー向けを選択するのも一つの方法です。「収益性の高いアパート経営ならワンルーム」というのは定番の考え方となるため、あえてファミリー向けを選択することで競合が少なく価値が保てる、という考え方もあります。
4-4.構造は絞らずに検討する
アパートの建築費用は構造によって大きく変わってくるため、最初から建物の構造を絞らず、建てるアパートに合った方法を広く検討することが大切です。
同じ100坪の土地でも、その土地が持つ建築規制によって、2階建てとなる場合もあれば、4階建て以上となる場合もあります。そして、例えば2階建てなら比較的リーズナブルな木造での建築が可能であるなど、建物の規模によって最適な構造は変わってきます。
最初から構造を絞らずに検討し、各社の建築プランと見積もりのバランスを見ながら比較すると、その土地で最適な構造と建築費用が見えてくるはずです。
4-5.入居者に最適な設備を検討する
アパート経営を成功させるには、競争力のある魅力的な物件を建築したいものです。賃貸アパートは戸建て賃貸と比べて数が多いので、ただ建てるだけでは、競合物件に埋もれてしまう危険性もあります。
ただ、行き過ぎた設備投資は収支計画を圧迫してしまうため、まずは無駄な要素をなくし、入居者にとって最低限必要な設備を整えていきましょう。その後、予算の兼ね合いを考えながら、魅力的な物件となるよう差別化を図っていくのがおすすめです。
例えば、繁華街など人通りの多い場所に建てるならオートロック付にする、ファミリー向けの物件ならキッチンだけはいいものにするなど、ターゲットとなる入居者をイメージして差別化しましょう。
4-6.建築会社・管理会社を比較して選ぶ
オーナーご自身の要望や予算、所有する土地に合ったプランを選ぶには、複数の企業からアパート建築プランの提案を受けることが大切です。
建築会社によって、得意とする構造や提案力、建築費用は大きく異なります。そのため、複数の建築会社に相談しプランを比較検討することで、本当に自分に合ったプランが見えてきます。
また、建築後のフォローや管理体制については管理会社による部分が大きくなります。一般的に、ハウスメーカーにアパートの建築を依頼すると、その関連会社に管理を任せる場合が多いため、必ず管理会社の評判も確認しておきましょう。
建築会社や管理会社を比較検討するには、まずはプランの一括請求をして、その土地に対して各社が提案してくれるプランを比較するのがおすすめです。
「HOME4U オーナーズ」なら、最大10社から建築費や収益プランもあわせたアパート建築プランを提案してもらうことができます。
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