アパートの検討を始めると、必ず話に出てくるのが工法です。はじめてアパートを建築する人向けに、アパートの工法や失敗しないための工法の選び方について紹介します。

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更新日
2024.07.22
カテゴリ
アパート経営, 記事

【徹底解説】アパート工法一覧&メリット・デメリット比較

【徹底解説】アパート工法一覧&メリット・デメリット比較

ハウスメーカーは各社が得意とする工法や特許を有しているため、アパートの検討をすると様々な工法の説明を受けることになります。
その時にしっかり理解できるよう、この記事では「アパートの工法」について解説します。
主な工法や構造、材料のそれぞれの特徴、目的別に選ぶアパートの工法について紹介します。

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詳しい解説は以下

1.アパートの工法と構造・材料の違い

アパート建築を知るうえでは、「工法」と「構造」、「材料」の3つの違いを意識して内容を把握することがポイントです。

・工法とは、加工や工事の方法のことを指します。
・構造とは、建物を支える骨組みの形式や組立ての形式のことです。
・材料とは、主要構造部分の原料や資材になります。

工法と構造、材料は密接不可分の関係にあり、実際の打ち合わせの中では構造や材料のことも工法という言葉で語られることも多いです。

工法と構造、材料の関係をまとめると、下表のようになります。

木造 鉄骨造 鉄筋コンクリート造
軸組構造 在来工法
(軸組工法)
ラーメン構造 ラーメン構造
壁構造 ツーバイフォー工法
(枠組壁工法)
壁面ブレース構造 壁式PC工法

建物の構造は、大きく「軸組構造」と「壁式構造」の2つに分類されます。
軸組構造とは、柱と梁(はり:柱と柱をつなぐ横架材)で建物を支える構造のことです。
それに対して、壁構造とは壁面で建物を支える構造のことを指します。

軸組構造では、柱と梁の接合部を剛直に接合する剛接合と呼ばれる接合が必要となります。
鉄骨の中でも鋼材の太い重量鉄骨や、鉄筋コンクリート造では剛接合が可能です。

一方で、木造や鋼材の細い軽量鉄骨では完全な剛接合が不可能なため、軸組構造と壁式構造をミックスさせた構造形式を採用しています。

昨今のアパート建築では、柱と梁、壁の3つで建物を支えるミックス構造が主流です。

2.アパート建築の主な工法と特徴

アパート建築の主な工法と特徴について以下の3点を解説します。

  1. プレハブ工法(工業化工法)
  2. ツーバイフォー工法(枠組壁工法)
  3. 在来工法(木造軸組工法)

それではひとつずつ見ていきましょう。

2-1.プレハブ工法(工業化工法)

プレハブ工法とは、建物の部材をあらかじめ工場で生産と加工を行い、それらの部材を現場に搬入して組み立てる工法のことです。

プレハブとは、「pre-fabrication」の略であり、現場に入る前に工場で「事前に製作する」といった意味になります。

プレハブ工法は、工場である程度の部材を機械で生産することから、「品質が高い」です。
昔のように現場で大工さんが作るわけではないので、大工さんの力量に依存することなく、精度の高い施工を行うことができます。

また、工場で同じ部材を大量生産できることから、「コストが安い」ことも特徴です。
さらに、工場で組み立てた部材を現場で一気に組み上げるだけなので、「工期が短い」というメリットもあります。

品質(Quality)・コスト(Cost)・工期(Delivery)の全てが優れていることから、アパート建築ではプレハブ工法が多く採用されています。
昨今はアパートに限らず、一般の戸建住宅でもプレハブ工法が主流となってきています。

ただし、プレハブ工法は寸法等の規格があらかじめ決まってしまっているため、設計の自由度が低いというデメリットがあります。
狭小地にアパートを建てる場合等、特殊な設計をする場合にはプレハブ工法は不向きです。

プレハブ工法は、工業化の程度によってパネル工法やユニット工法に分かれます。

パネル工法とは、あらかじめ工場で製作された壁や床を現場で組み立てていく工法です。構造的には壁面で建物を支えていく工法となります。

ユニット工法とは、あらかじめ工場で直方体上の箱(ユニット)まで制作し、現場で組み立てていく工法です。

プレハブ工法の名称と材料、構成部材との関係をまとめると下表のようになります。

【プレハブ工法の詳細種類別 材料・部材一覧】
材料 名称 構成部材
木造 中型パネル工法 壁、床、天井、間仕切、屋根
大型パネル工法
ボックスユニット工法 ボックスユニット、屋根、間仕切、天井
鉄骨造 軸組工法 柱、梁、ブレース、壁、床、天井、間仕切、屋根
耐力パネル工法 耐力パネル、トラス、柱、梁、ブレース、壁、床、天井、間仕切、屋根
ボックスユニット工法 ボックスユニット、屋根、間仕切、天井
鉄筋コンクリート造 中型パネル工法 床板、壁板、屋根板、間仕切、天井
大型パネル工法

軽量鉄骨では完全な剛接合が不可能なため、軸組工法といっても軸組構造と壁式構造を併せた形をとっています。

プレハブ工法の軸組工法では、工場で壁面を作るパネル工法と、自由な設計を可能とする軸組工法をミックスさせており、設計の自由度を保ちながら高品質・低コスト・短工期も実現できるようになっています。

2-2.ツーバイフォー工法(枠組壁工法)

ツーバイフォー工法とは、木材で枠組みされた骨組みに構造用合板を貼ることで一体の壁として耐力を持たせて建てる工法です。

基本となる木材の断面寸法が2インチ×4インチ(1インチは2.54cm)であることからツーバイフォーと呼ばれています。壁構造の建物であり、木造固有の工法の呼称です。

ツーバイフォー工法は、品質が高く、コストが安く、工期が短いといった特徴を持っています。

壁で建物を支えているため、部屋の内側に柱と梁が飛び出てくるようなことがなく、室内をすっきりした空間にできるというメリットがあります。

ただし、壁面で建物を支えることから、後から室内の壁を取り壊して間仕切りを変更するようなことが難しいという点がデメリットです。

ツーバイフォーでもアパートを建てることはできますが、プレハブ工法で木質パネル工法という類似の工法があるため、昨今の木造アパートはプレハブ工法で建てることも多いです。

2-3.在来工法(木造軸組工法)

在来工法とは、昔からある日本の伝統的な工法のことです。
大工さんが現場で地道に建物を作り上げていく工法になります。

在来工法は、自由な設計に対応できるというメリットがあります。

柱と梁で建物を支えるため、将来、中の壁を壊して広い部屋を作るなどの改修も行いやすいという点もメリットです。
戸建ての注文住宅などでは、今でも在来工法がよく用いられます。

もちろんアパートも在来工法で建てることができますが、アパートでは在来工法はほとんど用いられることはありません。

理由としては、特にアパートでは自由設計のニーズは高くなく、プレハブ工法の高品質・低コスト・短工期の良さを享受した方がメリットはあるからです。

3.アパート建築の構造と特徴

アパート建築の構造と特徴について以下の2点を解説します。

  1. 軸組構造・ラーメン構造
  2. 壁構造

それではひとつずつ見ていきましょう。

3-1.軸組構造・ラーメン構造

軸組構造およびラーメン構造は、柱と梁で建物を支える構造です。
木造では軸組構造、鉄骨造または鉄筋コンクリート造ではラーメン構造と呼ぶことが多いです。

設計の自由度が高い点がメリットで、将来の間仕切りの変更も柔軟に行うことができます。
ただし、室内に柱と梁が飛び出てくる点がデメリットです。

3-2.壁構造

壁構造は、壁や床面で建物を支える構造です。
5階建て以下までの建物に適しており、アパートのような低層の建物に利用されています。

室内に柱と梁が飛び出てこない点がメリットとなります。
ただし、あまり広い空間ができないという点がデメリットです。
また構造的に壊せない壁があり、将来、間仕切りを大幅に変更できない点もデメリットとなります。

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4.アパート建築の材料と特徴

アパート建築の材料と特徴について以下の3点を解説します。

  1. 木造
  2. 鉄骨造
  3. 鉄筋コンクリート造

それではひとつずつ見ていきましょう。

4-1.木造

木造は軽くて加工が容易であり、コストも安い点がメリットです。
ただし可燃性があり、他の構造と比べると地震時の揺れが大きい点がデメリットです。

地震時の揺れが大きいため、剥落のリスクがあることから壁面にタイルや石といった重い仕上材を採用できないことが一般的となっています。

4-2.鉄骨造

鉄骨造は鉄筋コンクリート造に比べ自重が軽く、粘りがあるため、耐震性を有する建築物に利用されることが多いです。
アパートのような低層建築物から、オフィスビルのような高層建築物まで幅広く用いられています。

ただし、耐火性や耐食性に乏しいため、仕上には耐火被覆や防錆塗装等を行うことが必等です。

一般的には、鋼材の厚みが6mm以上のものを「重量鉄骨」、6mm未満のものを「軽量鉄骨」と呼びます。
軽量鉄骨の方が鉄骨量は少なくなることから、コストは安いです。

4-3.鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造とは、鉄筋とコンクリートにより骨組みを形成している材料のことです。
引っ張りに強く圧縮に弱い「鉄」と、圧縮に強く引っ張りに弱い「コンクリート」を組み合わせることで、強度の高い材料となっています。

鉄筋コンクリート造のアパートは、沖縄等の台風が頻繁に通過する地域で用いられることが多いです。

鉄筋コンクリート造の壁式構造は、「壁式PC工法」と呼ばれています。
PCはプレキャストコンクリート(precast concrete)の略で、あらかじめ成形されたコンクリート壁のことを指し、プレハブ工法の1つです。

5.実際にハウスメーカーの説明を受けることが重要

アパートの工法を検討する際は、実際にハウスメーカーの説明を受けることが重要です。
理由としては、ハウスメーカー各社は技術を切磋琢磨しており、各工法で知られる一般論のデメリットをかなり克服しているからです。

例えば、木造のプレハブ工法の一つに木質パネル工法と呼ばれる工法があります。
木質パネル工法は、木造なので地震時の揺れが大きいという一般的なデメリットが想起されます。
しかしながら、ハウスメーカーの中には、強固な木質パネル工法を実現している会社もあり、鉄筋コンクリート造と同等の強度を持つ技術を確立している会社もあります。

このような技術を持つハウスメーカーの木質パネル工法を採用すると、木造なのに外壁にタイルや石を貼るといった仕上げを選択することもできます。

各社の技術は、一般的に語られるデメリットを改善していることが多いので、決めつけずにハウスメーカーから「今の技術」を直接聞いて工法を選ぶことが適切です。

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6.目的別で選ぶアパートの工法

目的別で選ぶアパートの工法について以下の4点を解説します。

  1. コスト重視なら木造系工法
  2. バランス重視なら軽量鉄骨系工法
  3. 店舗兼アパートや3階建てアパートなら重量鉄骨系工法
  4. 高級感を出すなら重量鉄骨・鉄筋コンクリート系工法

それではひとつずつ見ていきましょう。

6-1.コスト重視なら木造系工法

コスト重視なら木造系工法がおススメです。

ただし、木造は耐震性や騒音面に関して、入居者からのイメージが悪い点は知っておく必要がります。
腐朽も早いため、外壁塗装や防虫対策等の定期的なメンテナンスはしっかり行っていくことが必要です。

6-2.バランス重視なら軽量鉄骨系工法

バランス重視なら軽量鉄骨系工法がおススメです。

軽量鉄骨はコストも比較的安く、木造よりも耐久性が高いことから、多くのアパートで用いられている構造です。

入居者からのイメージも悪くなく、長期間に渡って安定的に収益を稼ぐことができます。
コストは木造よりも高いですが重量鉄骨や鉄筋コンクリートよりは安く、また入居者の評価も低くないことからバランスの良い構造となっています。

6-3.店舗兼アパートや3階建てアパートなら重量鉄骨系工法

店舗兼アパートや3階建てアパートなら重量鉄骨系工法がおススメです。

重量鉄骨は梁が太いため、柱のない大きな空間を作ることができます。
無柱空間は中で自由なレイアウトがしやすいため、店舗区画に最適です。
1階を店舗にするアパートを建てるのであれば、重量鉄骨を選択することを強くおススメします。

また、軽量鉄骨や木造に比べると地震時の揺れを軽減できることから、3階建て以上のアパートは重量鉄骨造が適しています。

6-4.高級感を出すなら重量鉄骨・鉄筋コンクリート系工法

高級感を出すなら重量鉄骨・鉄筋コンクリート系工法がおススメです。

重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、地震時の揺れが少なく、外壁面にタイルや石といった重い建材で仕上げることができます。
アパートなのにマンションのような雰囲気を出せることから、高級感を出すには最適です。

立地の良い場所でも高層マンションを建てられない場合には、重量鉄骨造等でグレード感を出すことで、高い賃料が取れる高級アパートとすることができます。

まとめ

いかがでしたか。
アパートの工法について解説してきました。

アパートの工法は、主にプレハブ工法またはツーバイフォー工法の2つが用いられます。
構造については、柱と梁で建物を支える.軸組構造(ラーメン構造)と壁構造の2つがあります。
材料には木造と鉄骨造、鉄筋コンクリート造のいずれかが用いられることが多いです。

建物の工法や材料は、目的によって最適な選択肢があります。
アパートを建てるのであれば、ハウスメーカーからの説明を実際に聞くことが適切な工法を選ぶコツです。

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