「アパート相続・経営 収支・経費」内の、「アパート経営の経費 全27種。経費で落とせるもの・落とせないもの」を開設したページです。アパート経営に必要な費用と経費をまとめた“大百科”として活用できます。安心して相談できるアパートメーカー・建築会社を選ぶためのポイントも紹介します。

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更新日
2024.02.19
カテゴリ
アパート経営, 記事

【基礎から解説】アパート経営の経費 全27種。経費で落とせるもの・落とせないもの

【基礎から解説】アパート経営の経費 全27種。経費で落とせるもの・落とせないもの

アパート経営にかかるお金の中には税法上の経費として落とせるものも少なくありません。経費となる項目を熟知したうえで上手に活用すれば、所得税の節税効果も得られるでしょう。

そこで、この記事では全27種類の「アパート経営にかかる費用」をリストアップした上で、経費として落とせるものと落とせないものの具体例、各種費用について「それぞれどれぐらいの金額がかかるか」をまとめました。

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序 1分でわかる!この記事の要約

アパート経営における経費とは?

アパート経営の経費は、あくまでも「アパート経営で収益を生み出すために要した費用」だけです。

経費として計上できないものの特徴は以下の3つが挙げられます。

  • 会計上の損益でないもの
  • 資本的支出
  • 家事消費分

アパートの収益化につながらない、個人として消費した通信費や交通費などは「家事消費」にあたり、経費として認められません。

アパート経営上の出費で、経費として計上できるものは?

アパート経営に必要となる費用の中で、経費として計上できるものは、以下のとおりです。

  • 不動産取得税
  • 登記費用
  • 印紙税
  • 火災・地震保険料
  • (ローン関連の)事務手数料
  • (ローン関連の)保証料
  • 租税公課
  • 修繕費
  • 管理委託料
  • (入居者募集のための)仲介手数料
  • 広告宣伝費
  • 青色事業専従者給与
  • 給料・賃金
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 交通費
  • 接待交際費
  • 新聞図書費
  • 消耗品費
  • 地代・家賃
  • ローン金利
  • 減価償却費
  • 解体費・立ち退き料

一方で、アパート経営に必要な費用のうち、経費として計上できないものとしては具体的に以下が挙げられます。

  • 物件の購入代金
  • (不動産購入の際の)仲介手数料
  • 団体信用生命保険特約料
  • 固定資産税清算金

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詳しい解説は以下

1.アパート経営の経費で「落とせるもの/落とせないもの」一覧

アパート経営で認められる経費とは、「アパート経営で収益を生み出すために要した費用」に限られます。まずは以下に、経費にできるもの・できないものを一覧としてまとめました。

(経費計上できるもの・できないもの 費用項目一覧)
経費で落とせるもの 経費で落とせないもの
かかるお金 具体的使い道 かかるお金 具体的使い道
不動産取得税 土地や建物を取得した額に応じて課される地方税 物件の購入費用 アパート建築費用
土地購入費用
登記費用・印紙税 司法書士への報酬
登録免許税
契約書に貼る収入印紙
購入仲介手数料 不動産会社に仲介を依頼した場合
火災・地震保険料 地震保険などの特約も含む 団新信用生命保険特約料 ローンを組むときに加入する保険の特約
ローンの事務手数料 融資を受けた金融機関に払う 固定資産税清算金 前所有者が払いすぎた固定資産税を清算する
ローンの保証料 連帯保証人代わりとなる保証会社へ払う 資本的支出 物件工事で新設した、入れ替えた設備に20万円以上かかった場合
租税公課 固定資産税・都市計画税
事業税
修繕費 外壁補修
クロス張替え
管理委託料 自己管理はかからない
入居者募集の仲介手数料 仲介を請け負う会社に払う
広告宣伝費 入居者募集の広告
青色専業専従者給与 青色申告で10室以上の規模の経営の場合の家族への給与
給料・賃金 経営に従業員を雇っている場合
水道光熱費 共有部分の電灯
清掃時の水道使用
水道光熱費 アパートと住宅が統一請求の場合の家事消費分
通信費 管理会社とのやり取りに使用する電話代 通信費 電話代やプロバイダ使用料などの家事消費分
交通費 遠方の所有物件に出向く際にかかるガソリン代 交通費 事業用としても使用する車のガソリン代の家事消費分
接待交際費 オーナーの情報交換会参加費
新聞図書費 業界新聞の購読料
消耗品費 管理で使用するプリンターのインク代や用紙代
地代・家賃 管理事務所の賃料
ローン金利 アパートローン返済額のうちの金利部分のみ ローンの元本部分 金利に該当する部分以外のローン返済額
減価償却費 物件購入にかかったお金を耐用年数で配分して計上するお金
解体費・立ち退き料 建て替え時に発生する

アパート経営の経費にならないものには以下の3つの特徴があります。

  • 会計上の損益でないもの
  • 資本的支出
  • 家事消費分

会計上の損益とは、経営で出た儲けや損のことです。
例えば、アパートローンの借入金のうち、元本の返済は「損」には当たりません。一方、金利分は手数料と同等、経営上の「損」となるため経費計上ができます。

資本的支出は「新たに資産を構築したとみなされる支出」です。
1か所当たりの工事が20万円以上になると経費ではなく資本的支出とみなされます。
資本的支出は「新たな資産を作ったこと」と同じ扱いになるため、そのお金は一旦資産として計上され、減価償却の対象となります。
経費として落とせない代わり、減価償却費として耐用年数の期間中は経費計上をする形です。

・「家事按分」について

個人でアパート経営を行う場合、「家事消費」と「経費」を明確に分ける必要があります。家事消費とは、「事業とは無関係な個人的な支出」のことです。このように会計上で分けることを「家事按分」と言います。

勘定科目のうち、「接待交際費」「交通費」「通信費」「新聞図書費」「消耗品費」などは、「アパート経営に要した支出のみが費用である」ことを念頭に、経費とそうでないものを見極めなければなりません。

アパート経営の経費は自己申告制です。申告が通ればその通り費用となります。
しかし税務調査が入ったとき、家事消費と認定されてしまった場合は過去に遡って否認され、ペナルティを受けてしまう恐れがあります。経費として計上する分は、必要性を証明できるように準備をしておくことが大切です。

2.アパート経営で経費として落とせるもの

この章では、アパート経営で経費として落とせるものの詳細をご紹介します。

2-1.不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物を取得した際に課される税金です。
購入後、所有権移転の登記から3ヶ月~1年ほどしたタイミングで、行政から納付書が送られてきます。

不動産取得税の額は、以下のように計算します。

不動産取得税=固定資産税評価額×4%

上の式の「固定資産税評価額」は取得時の時価とは異なります。
一般的には時価よりも固定資産税評価額のほうが低く、土地の評価額は時価の7割、建物の評価額は時価の5~6割程度の水準です。

不動産取得税は経費として計上できます。

尚、アパートは床面積が50平米以上240平米以下であれば、不動産取得税の軽減措置を受けられます。
面積要件を満たす住戸は、建築時期に応じて定められた控除額を差し引くことが可能です。

また、2024年3月末までは、税率が3%となる減税措置がとられています。
不動産取得税の軽減措置の効果は大きく、面積要件を満たすと木造や軽量鉄骨造のアパートでは不動産取得税がゼロになることもあります。

2-2.登記費用

登記費用は、不動産の所有権を登記する際にかかるものです。
登記の手続きは司法書士に代行してもらうのが一般的です。
登記には、登記の手続きに課される「登録免許税」という税金と、代行手続きを代行してもらう司法書士へ払う報酬の2種類がかかります。

登録免許税・司法書士への報酬ともに、経費として計上できます。

◎登録免許税

登録免許税のかかる登記には以下の4種類があり、それぞれ税率が異なります。

【種類別 登録免許税率一覧】
登記の種類 税率(土地) 税率(建物)
所有権移転登記 評価額×税率2.0% 課税額×税率2.0%
所有権保存登記(新築建物) 評価額×税率0.4%
抵当権設定登記
(住宅ローン借り入れ)
借入額×税率0.4% 借入額×税率0.4%
◎司法書士報酬
土地の売買による所有権移転登記の場合は平均4万円~7万円、抵当権設定登記の場合は3万円〜5万円が報酬の相場となっています。

司法書士報酬の相場は、地域によっても異なるようです。

2-3.印紙税

アパートを売買する際に交わす契約書には、収入印紙を貼ることが義務付けられています。この収入印紙を購入する際の代金という形で徴収されるのが印紙税です。
印紙税は経費として計上できます。

不動産売買契約において、印紙税の額は以下の通りとなっています。

【契約金額別 印紙税額一覧】
契約金額 本則税率
100万円を超え、500万円以下のもの 2千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円
5千万円を超え1億円以下のもの 6万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円
5億円を超え10億円以下のもの 20万円

2-4.火災・地震保険料

災害の多い日本において火災や地震のリスクは高く、多くの大家さんがアパート取得時に火災・地震保険に加入しています。
地震保険料は火災保険のオプションとして用意されていることが一般的です。
火災・地震保険料は保険会社によって異なります。

例えば損害保険大手の三井住友海上が提供する「GK すまいの保険」の場合、火災保険の保険料は5年契約で212,100円、地震保険料をセットした場合では420,100円となります(2022年10月時点)。となります(2022年1月時点)。

火災・地震保険の保険料は、経費として計上できます。
ただし、複数年分の保険を一括契約した場合、一年度に全額経費計上できるわけではなく、一会計年度毎に一年分までの経費計上が認められている形です。

2-5.(ローン関連の)事務手数料

アパート取得において銀行から融資を受ける場合、銀行側に支払うことになるのが事務手数料です。

事務手数料の支払額は、定額制と定率制の2種類があります。
定額制の場合、金額は3万円~5万円前後が相場です。定率制はローンの金額に一定の率を掛けた金額を支払うもので、融資額の2.2%を手数料として設定している金融機関が多く、1%から3%が相場となっています。
事務手数料だけに関して言えば定額制を選んだほうが金額負担を減らせるケースが多いですが、定額制のほうがローンの金利が高い、保証料が別途かかるなど、他の条件で定率制を選んだほうが有利になる場合もあります。

事務手数料は、経費として計上できます。

2-6.(ローン関連の)保証料

保証料は、連帯保証人の代わりにローンを保証してくれる「保証会社」へ支払うものです。
多くの銀行や金融機関が、融資の条件として保証会社との契約を条件としています。

保証料の支払いには、「借入時に一括して支払う方法」と「毎月のローン返済時、返済額にローン保証料を含めて支払う方法」があります。
アパート経営の開始時に「借入時に一括して支払う方法」の場合は、借り入れるローンの額の2%程度が相場です。

ローン関連の保証料は経費として計上できます。

2-7.租税公課

租税公課とは税金のことです。
アパート経営では「固定資産税や都市計画税」「事業税」といった税金を経費として計上できます。

2-7-1.固定資産税及び都市計画税

固定資産税とは、毎年1月1日時点の不動産の所有者に対し課税される市区町村税です。

都市計画税とは、毎年1月1日時点における都市計画で指定されている「市街化区域内の不動産の所有者」に対し課税される市区町村税となります。
固定資産税の税率は1.4%、都市計画税の基本税率は0.3%です。

それぞれの計算方法は以下のようになります。

固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%
都市計画税 = 課税標準額 × 0.3%

出典:東京都主税局

課税標準は、建物は固定資産税評価額です。
土地は住宅用地の軽減措置が適用されるため、固定資産税評価額に一定の乗数を乗じたものが課税標準になります。
住宅用地の軽減措置が適用される土地は、「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」の2つに分かれ、それぞれ固定資産税評価額に以下の係数が乗じて課税標準額が求めます。

【土地区分別 固定資産・都市計画税率一覧】
区分 定義 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200平米までの部分 1/6 1/3
一般住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200平米を超え、家屋の床面積の10倍までの部分 1/3 2/3

※東京23区はさらに1/2
出典:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)【土地】2 住宅用地及びその特例措置について

2-7-2.事業税

個人が10室以上のアパートの貸付を行った場合、「事業税」という名目で都道府県から課税されます。
事業税は、不動産所得から事業主控除額(290万円)を控除した額に標準税率5%を乗じて求めます。

事業税の計算式は以下の通りです。

事業税 = (総収入金額 - 必要経費 - 事業主控除額) × 税率
    = (総収入金額 - 必要経費 - 290万円) × 5%

事業税の納付は、通常、8月と11月の年2回で、都道府県から届く納税通知書によって納付を行います。
所得税の申告内で事業税の記載欄がありますので、所得税を申告していれば事業税の申告を別途する必要はありません。

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2-8.修繕費

屋根や外壁、設備などの劣化を補うために支払った修繕費は、必要経費として計上できます。

ただし、その年に全額経費として落とせる修繕費は1ヵ所当たりの修繕費用が20万円未満の工事までです。
20万円以上の工事を行うと、新たに資産を作ったものとして扱われるので、資本的支出として見なされます。

2-9.管理委託料

管理委託料とは、所有するアパートの管理を不動産管理会社などへ委託形式で依頼する場合に発生する費用であり、経費としての計上が認められています。アパート経営の管理委託料は、家賃収入の5%程度が相場です。

アパートオーナーが自ら管理会社を設立している場合、経費として認められるには条件があります。
「管理料が相場の範囲であること」と「管理の実態があること」の2つです。
管理費を否認されないようにするには、通帳等で管理会社の入出金の履歴を残すことや業務日誌を付けておきます。

なお、サブリース形式で管理を行っている場合は管理委託料は発生しません。
サブリースとは転貸形式(所有する物件を不動産管理会社に貸し、不動産管理会社が入居者へ“又貸し”する形式)による管理です。
サブリース会社が入居者の賃料から一定の料率を差し引いたうえで、賃料としてアパートオーナーへお金を振り込むため、管理委託料は生じないことになります。

2-10.(入居者募集のための)仲介手数料

空室が生じた際は、不動産会社へ募集を任せることが一般的です。
入居者の募集を仲介してもらうために支払った仲介手数料は、経費として計上できます。

入居者募集の仲介手数料として不動産会社が受け取れる金額の上限は、宅建業法により賃料の1ヶ月分と決められています。

2-11.広告宣伝費

空室の入居者募集をする際、不動産会社に広告宣伝費を支払う場合もあります。
広告の内容や媒体、掲載期間などによって異なりますが、広告宣伝費についても、経費として計上可能です。

2-12.青色事業専従者給与

青色事業専従者給与とは、「青色申告者と生計を一にする15歳以上の配偶者その他の親族への給与」のことです。

青色申告していて、かつ10室以上のアパートである場合、「青色事業専従者給与」を経費とすることが可能です。

ただし、青色事業専従者給与は仕事に見合った給与でないと、否認されることがあります。
定期巡回や入出金管理等、実際に管理の仕事に従事することが必要です。

2-13.給料・賃金

アパート経営で従業員を雇っているケースでは、従業員への給料賃金も経費となります。

給料賃金も経費として計上できますが、経費として認められるには相応の労働が伴っていることが必要です。
したがって、家族親類などを「名目上の従業員」に据えて、労働の実態が伴わない状態で経費計上することはできません。

2-14.水道光熱費

アパートの水道光熱費は経費計上可能です。

防犯カメラの電気代など、アパートの共用部で生じている水道光熱費が該当します。
さらに、自宅を不動産賃貸業の事務所として使っている場合は、その事務所スペース部分の水道光熱費も経費として認められる可能性があります。

2-15.通信費

アパート経営に要した郵便・電話料等の通信費も経費として計上可能です。

例えば、不動産会社との連絡にかかった電話代が該当します。また、管理においてインターネットを活用している場合もプロバイダ代などを計上できます。

2-16.交通費

アパート経営のための視察などに支払ったに要した交通費は経費として計上できます。

例えば、遠方にアパートを保有しており、現地のアパートを確認するために出張した場合などに要したガソリン代や電車賃等は費用にあたります。

2-17.接待交際費

アパート経営のための情報収集に使用したに要した接待交際費はであれば経費として計上できます。

例えば、アパート経営の情報交換のために使った飲食費用やゴルフ代、管理会社に送ったお中元・お歳暮の費用が該当します。

2-18.新聞図書費

アパート経営のための情報収集用に購入した新聞や図書・資料などの購入代金は、費用として計上できます。

具体的には、不動産系の業界新聞の購読、アパート経営を学ぶために購入した本などが該当します。

2-19.消耗品費

アパート経営のために使用した消耗品費であれば、経費として計上できます。

消耗品費には、文房具代の他、耐用年数が1年未満もしくは取得価額が10万円未満の備品等の代金が該当します。
例えば、管理で使っているプリンターの用紙代やインク代は消耗品費にあたります。

2-20.地代・家賃

借地でアパート経営をしている場合は、地代も経費として計上できます。
また、他の人が所有するアパートを借りた上で転貸によってアパート経営をしている場合にも、支払っている家賃を経費として計上可能です。

ただし、地代及び家賃の支払いが経費として認められるためには、土地やアパートの所有者が家族などではなく、他人である必要があります。

生計を一にする親族(つまり日常的に同居している家族や親戚)から土地やアパートを借りている場合には、支払った地代や家賃は経費として計上することができませんのでご注意ください。

2-21.ローン金利

アパートローンを組んでいる場合、借入金ローンの金利に当たる部分の返済については経費として計上できます。

ただし、「元本」の返済分は経費にはできませんのでご注意ください。

2-22.減価償却費

減価償却費とは、建物や設備が経年劣化することによる価値の減少分を「会計上の費用」として計上することが認められているものです。

「実際のお金の出費が伴わない費用」という特殊な性質を持っています。

減価償却費は、固定資産の取得に要した金額(アパート経営の場合は建物の購入価格)を、耐用年数で按分し、それぞれの会計年度ごとに「その期の費用」として計上していきます。

平成27年(2016年)4月1日以後に取得したアパートは、定額法と呼ばれる計算方法で減価償却費を計上します。

定額法による減価償却費の計算方法は、以下のとおりです。

定額法による減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

定額法の償却率は、アパートの建物構造によって数値が定められています。

【構造別 耐用年数&新定額法償却率一覧】
構造 耐用年数 償却率
木造 22年 0.046
木造モルタル 20年 0.050
鉄骨造(3mm以下) 19年 0.053
鉄骨造(3mm超4mm以下) 27年 0.038
鉄骨造(4mm超) 34年 0.030
鉄筋コンクリート造 47年 0.022
鉄骨鉄筋コンクリート造 47年 0.022

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2-23.解体費・立ち退き料

老朽化したアパートを解体し、新しい投資用アパートを建て替えるために要した解体費や、入居者に出て行ってもらうために支払った立ち退き料は、経費として計上できます。

ただし、経費として認められるのはあくまでも「投資用のアパート建て替え」に限ります。
解体の目的が、投資用物件ではなくオーナー自身が住む自宅への転用である場合は、アパート経営により収益を生むという目的のための建て替えにあたらないため、経費として計上することは認められません。

具体的な解体費用の相場についてはこちらの記事をご確認ください。

立ち退きについてはこちらの記事をご確認ください。

3.アパート経営で経費として落とせないもの

この章では、アパート経営で経費として落とせないものを、その理由や注意点とあわせてご紹介します。

3-1.物件の購入代金

物件購入の代金は、頭金(自己資金から用意した分)、ローンで賄った分を問わず経費として計上できません。

物件の代金は、物件という貸借対照表上の「資産」そのものを得るためのものであり、「資本的支出」にあたるため、経費計上が不可能となります。

3-2.(不動産購入の際の)仲介手数料

不動産購入の際の仲介手数料は、不動産会社に物件購入を仲介してもらう際、手数料として支払うものです。
不動産会社を介さずに独力で物件を購入する場合、この仲介手数料はかかりません。

仲介手数料の上限は、宅建業法により「物件の売買価格×3%+6万円」と定められています(売買価格が400万円を超える場合)。
仲介手数料は、物件購入初期にかかる費用の中でも比較的高額です。

仲介手数料として支払った金額は「費用」ではなく、「アパートの購入費用の一部」として、アパートの売買金額と合算することになります。
つまり「資本的支出」として見なされるため、経費として計上することはできません。
経費計上できない一方で、資本的支出の一部として、以後の耐用年数にわたって減価償却される対象となります。

3-3.団体信用生命保険特約料

金融機関から融資を受けて不動産を購入する場合、「団体信用生命保険(団信)」への加入を条件としている場合があります。
団体信用生命保険は、ローンの契約者に万一の事故や病気が生じて残債を返済できなくなってしまった場合、返済義務を免除するというものです。
団体信用生命保険の掛け金は「特約料」という形で、金融機関への毎月のローン返済の際、金利に上乗せされる形で支払うことになります。

特約料の相場としては、年間の住宅ローン金利の0.2%~0.4%程度です。

個人として団体信用生命保険の特約に加入する場合、特約料は経費計上できません。

理由としては、団体信用生命保険への加入は「事業から収益を得る上で必要なもの」ではなく、「個人の身に万一のことがあった場合への備え」として見なされるので、アパート経営に必要な経費とは認められないためです。
一方で法人の場合、団体信用生命保険の保険料は経費計上することが認められます。

3-4.固定資産税清算金

固定資産税清算金とは、もともと不動産を所有していた売主が「払い過ぎてしまう税金」を売買価格に上乗せする形で、買主が負担するものです。

売主の側に「払い過ぎてしまう税金」が発生するのは、その年の1月1日時点で所有していた人(売主)がその年の固定資産税・都市計画税などを納める義務があるからです。
ゆえに、売主からしてみれば「払い過ぎ」となってしまう税金を買主との間で調整するために、「清算金」という形で売買価格に上乗せして取引する、という慣例があります。

固定資産税清算金は、内容としては「税金の調整のための金銭のやりとり」でありながら、「不動産の売買価格への上乗せ」という形をとるため、経費として計上することはできません。

アパート経営にまつわる「お金」の問題

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4.節税につながるアパート経営のポイント

4-1.経費はもれなく確定申告で計上する

アパート経営にかかる経費は、不動産所得税の申告時に必要となるものです。計上した分だけ収入から差し引けるため、経費をもれなく計上することが節税につながります。

不動産所得税の計算式は以下のとおりです。

不動産所得税 = 課税所得金額 × 税率 ― 税額控除額
課税所得金額 = 収入 ― 経費

税率と税額控除額は、課税所得金額によって変わります。不動産所得税が経費の計上の仕方でどの程度変わるのかを明確にするべく、以下に税額のシミュレーションをしてみます。

<設定条件>

  • 木造アパート(ワンルーム8室)
  • 年間不動産収入:700万円
  • 年間経費:250万円
  • 所得は不動産所得のみ

<税額シミュレーション>

  • 課税所得金額:
    4,500,000円=7,000,000円-2,500,000円
  • 所得税額:
    472,500円=4,500,000円×0.2-427,500円

もし、上記で計上した経費に火災保険やローンの保証料などを計上し忘れ、経費が230万円しか計上できなかったとします。
その場合の所得税額は51万2,500円です。経費計上のもれは少なからず税負担を重くします。
また、減価償却期間が終わると経費として計上できる額が激減するため、税負担が重くなることにも注意が必要です。

4-2.損益通算で所得税・住民税を節税する

アパート経営をしていくなかでは、家賃収入より必要経費が上回り、赤字となってしまうこともあります。このような場合には、給与所得などオーナーが不動産所得以外に持っている所得から赤字分を差し引くこと(損益通算)で、所得税や住民税の節税ができます。

損益通算をすることによって、すでに収めた所得税が還付されます。

4-3.法人化すると経費の範囲が広がる

一定の規模を超えるとアパート経営を法人化するメリットが多くなります。
経費面では、計上できる範囲が広がるため節税効果が期待できるでしょう。

具体的には、オーナーが会社から報酬を得るよう支出することなど、経費計上できる給与、報酬を会社の利益から支出できることによります。
家族を役員として在籍させれば、その分を役員報酬として支出することも可能です。

4-4.複数のアパートメーカー・建築会社に問い合わせする

アパート経営で節税対策をしていくには、どのようなものが経費計上できるかを事前に把握した上で、施作を打っていくことが重要です。とはいえ、オーナーの独力で全てを判断していくのは難しいでしょう。実際に、アパート経営で成功している大家さんの中にも、信頼できるアパートメーカーや建築会社へ相談して、経営を実践している方が多くいます。

安心して相談できるアパートメーカーや建築会社を選ぶには、まずは複数のアパートメーカー・建築会社に問い合わせをするのが近道です。

アパートメーカーが提示しているランニングコストや収支計画をチェック、比較することによって「より具体的で現実性が高い計画」を掲げている会社を選ぶとよいでしょう。

問い合わせへの応対が誠実な会社であれば、悩みへのアプローチもスムーズに進み、実際に契約を結んだ後のフォローの質にも期待できます。

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竹内英二

この記事を書いた専門家

(株)グロープロフィット 竹内 英二

不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。

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