この記事では、マンション経営を検討している人向けに、基礎知識を徹底解説します。
- マンション経営のメリット・デメリット
- マンション経営の収入と費用
- 失敗しないマンション経営のポイント
上記のようなポイントが気になる方は、ぜひ最後までご確認ください。
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「うちの土地にマンションが建つの?」「いくら儲かるのか知りたい」という方はご活用ください。
マンション経営のメリットとデメリット
マンション経営の代表的なメリットは以下のとおりです。
- 高収益が期待できる
- 長期間収入を生み出す資産になる
- 節税手段として役に立つ
- 自己資金が少なくても運用をスタートできる
また、マンション経営にはメリットだけでなくリスク・デメリットもあります。
- 投資額が大きい
- 修繕費用が高い
- 取り壊ししにくい
- 空室・家賃滞納のリスクがある
- 災害リスクがある
マンション経営の収入と費用
マンション経営における収入には、以下のものがあります。
- 家賃収入
- 敷金、礼金
- 共益費
- 更新料
- 敷地内に駐車場がある場合、駐車場代など
上記の収入以外にも、マンション経営を続ける中で、マンションを売却することになれば、まとまった収入が得られます。
また、マンション経営では、収入だけでなく費用に気を配ることも必要です。マンション経営の費用としては、まず初期に以下のものがかかります。
- マンション建築費
- 諸費用
次に、マンション建築後、経営していくには以下のような費用がかかります。
【定期的に発生するもの】
- 共用部の水道光熱費
- 火災・地震保険料
- 管理委託費(マンション管理会社に委託する場合)
- 各種税金(固定資産税、事業税など)
【必要に応じて発生するもの】
- 修繕費
- リフォーム費・原状回復費
- 仲介手数料
【老朽化して建て替える場合に発生するもの】
- 解体費用
- 新しいマンションを建築する費用
失敗しないマンション経営のポイント
失敗しないマンション経営のポイントとしては、以下が挙げられます。
- キャッシュフローを意識した資金計画を立てる
- マンションの立地と物件タイプを見極める
- マンションの建築プランを熟考する
- 自分に合った管理方式を選ぶ
- 信頼できるパートナーを選ぶ
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詳しい解説は以下
目次
1.マンション経営のメリット
マンション経営はご自身の持っている土地にマンションを建築(土地を持っていない人の場合はマンション1棟あるいは1室を購入)し、入居者に貸し出して家賃収入を得る運用方法です。
年金不安や預金の低金利により老後の生活や将来性に不透明さが増す中、大切な資産を効率よく運用できる方法として注目を集めています。
特に、「相続などで土地を所有することになった人」にとっては非常に適した運用方法です。
以下、マンション経営のメリットについて解説します。
1-1.高収益が期待できる
土地活用方法にはさまざまな種類がありますが、その中でも マンション経営は収益性の高い土地活用として知られています。
特に、相続などですでに土地を持っている方は高利回りが期待できます。
通常、マンション経営をスタートする際には、「土地購入の費用」と「マンション建築の費用」がそれぞれ別に必要となります。
また土地の購入には代金の他に、不動産会社へ支払う「仲介手数料」なども必要です。
仲介手数料の上限は以下のように法律で定められています。
(土地の価格 × 3% + 6万円)+ 消費税
例えば5,000万円の土地の場合は171万6千円なので、仲介手数料だけでもかなり高額であることがお分かり頂けるでしょう。
しかしすでに土地を持っている方であれば、土地の取得にかかるこうした費用を払う必要がなく、建物の建設分しか初期費用がかかりません。
以上のような背景から、 すでに土地を持っている人にとってはマンション経営スタート後に月々得られる家賃収入などに対する初期費用が低く抑えられるため、初期投資の金額を早い時期に回収できる可能性が高く有利です。
1-2.長期間収入を生み出す資産になる
マンションは住まいであり、人にとっての生活の基盤となるものなので、 株式などの金融資産と比べて景気の影響を受けにくく、不景気にも強いのです。
株式投資やFXなどと異なり、短期間で資産価値が大きく上下してしまう可能性が少なく、 空室対策や定期的な修繕さえ施せば安定的な収益を産み出してくれます。
マンションの法定耐用年数(法律上の“建物の寿命”のこと)は、例えば鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は「47年」です。
法定耐用年数は昭和40年に制定された古い法律ということもあり、最近の建物の寿命はさらに長くなっています。
また、建物の寿命は修繕などによって延ばすことができるので、 非常に長い期間にわたって利益をもたらしてくれる資産だといえます。
1-3.節税手段として役に立つ
マンション経営を行っていると「会計上の損失(現金ベースでは利益が出ていても、減価償却などとの兼ね合いで帳簿上は“赤字”となること)」が出る年度があります。
このような場合は「損益通算」、つまり「不動産所得がマイナスとなった分、事業所得や給与所得などの他の所得のプラス分と相殺して、かかる税額を安く抑えられる仕組み」を利用できるので、 マンション経営の他に会社から給与を貰っていたり事業を営んでいる人にとって税金を安く抑える手段となります。
また、相続によって得た土地を更地のままにしておくと、住宅を建てた土地と比べて高めの固定資産税がかかってきます。
したがって、マンションを建てることは家賃収入が得られるばかりでなく、 固定資産税を安く抑える手段としても役立ちます。
1-4.自己資金が少なくても運用をスタートできる
金融機関から 不動産投資用のローンなどを融資してもらうことで、マンション建築の費用に当てることができます。
したがって、現時点でのポケットマネーがそこまで多くなくともマンションを建てられます。
ローンの返済はマンション経営から得られた家賃収入の一部から支払う形になるので、手元の資金を減らすことなくマンション経営を営むことも十分可能です。
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2.マンション経営のリスク・デメリット
「マンション経営は儲からない」という人がいるように、マンション経営のリスクやデメリットを軽視しては失敗に終わってしまう可能性があります。
どのような投資方法であってもリスクはついてまわるもの。長期的な運用となる不動産投資の場合、リスクヘッジをとるためにも、起こり得る問題について十分に検討しておく必要があります。
この章では5つのリスクを解説します。
2-1.投資額が大きい
マンションは、アパートに比べて大規模です。
また、アパートは木造や軽量鉄骨という建築コストが安い構造で建てることができますが、 マンションは鉄筋コンクリートや重量鉄骨といった建築コストが高い構造で建てざるをえません。
規模も大きく構造的にもコストが高いため、マンションは投資額が大きくなります。
アパートなら1億円未満の投資も可能ですが、マンションなら数億円は当たり前です。
投資額が大きくなるということは、それだけリスクも大きくなるので、マンション経営を地獄にしないためにはアパート以上に慎重な判断が必要となります。
2-2.修繕費用が高い
マンションは規模も大きくなるため、必然的に 大規模修繕などの維持費も高くなっていきます。
特にマンションには、 屋上防水やエレベーター、給水ポンプ(または受水槽)といったアパートにはない設備があるため、油断は禁物です。
マンションを経営するにはしっかりと修繕計画を立て、修繕費用を積み立てておかなければなりません。
数千万円単位のお金を何年も使わずに積立てておくことになるので、口座を分けて定期預金で貯蓄を行うなどの対応を行う必要があります。
2-3.取り壊ししにくい
マンションも築40年近くとなると空室が目立ち始め、経営が苦しくなるような局面を迎えることがあります。
このような状況になると、取り壊して再建築することが有効です。
しかし、 マンションは戸数が多くて建物構造も堅固なため、将来的に取り壊しが必要となった際、より多くの手間と時間がかかります。
マンションを取り壊す場合、まず入居者の立退きを行います。
立退きは、入居者の納得が得られない場合、 立退料の支払いが必要となる可能性もあります。
時間もお金もかかるため、立退きを必要とする戸数はなるべく少ないことに越したことはありません。
マンションはアパートに比べると、お部屋を空の状態とするまでに時間がかかり、立退きに労力を要する傾向があります。
また、 鉄筋コンクリート造であれば、木造よりも解体費用が高額になります。
このように、マンションは取壊しがしにくい建物であることから、老朽化が進んだ時点で建て替えを行う際のハードルが高くなります。
2-4.空室・家賃滞納のリスクがある
マンション経営の主な収入は家賃収入です。
しかし、入居者が見つからず 空室が出た場合はその分の収入が途絶えることとなります。
空室が続くような場合は、家賃を下げたりリフォームしたりといった対応も必要になってきます。
また、家賃滞納をする入居者が出ると、督促の手間がかかる上、その期間の収入がストップしてしまいます。こうしたトラブル対応を行う可能性があることもリスクと言えるでしょう。
2-5.災害リスクがある
マンション経営では、水害や地震などの自然災害による損失を受けるリスクがあります。
これらの災害によってマンションが損傷や倒壊した場合は、不動産価値が下がったり、最悪の場合はなくなったりという可能性があります。
自然災害は予測することができません。そのため、保険で備える、ハザードマップなどを確認しリスクの少ない物件を選ぶ、などの対策を取る必要があります。
3.アパート経営よりもマンション経営をおすすめする理由
同じ住居系でもアパート経営とマンション経営では、どのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、賃貸マンションの賃貸アパートにはない3つのメリットについてご紹介します。
3-1.建物の耐久性がある
マンションとアパートの大きな違いは建物の躯体の構造です。
マンションは一般的に鉄筋コンクリート造で建築されます。
それに対し、アパートは木造または軽量鉄骨で建築されます。
鉄筋コンクリート造は木造よりも頑丈で、耐震性が明らかに強く、外壁の劣化も少ないのが特徴です。
また、 建物の法定耐用年数は、鉄筋コンクリート造の マンションなら築47年、 木造アパートなら築22年です。
マンションは少なくとも50年近くは利用できる建物であり、長期にわたって収入を生み出し続けることができます。
3-2.賃料が落ちにくい
マンションは、建物全体の陳腐化が少ないことから、 空室も少なく賃料も落ちにくい傾向にあります。
鉄筋コンクリート造では、外壁をタイルや石などで風合い良く仕上げることができますが、木造や軽量鉄骨では、タイルのような重い壁を付けて仕上げることができません。
木造アパートは築10年も経つと、だんだんと古臭さが目立ちますが、マンションは築10年程度なら、まだまだ新しい雰囲気を残します。
構造による頑丈さだけでなく、見た目の良さもマンションの方が上ということです。
3-3.収入が大きい場合が多い
マンションはアパートよりも大きな建物になることが多く、 結果的に収入が大きくなる傾向にあります。
マンションが建てられるような敷地は、駅に近い場所も多く、ワンルームマンションも作りやすい土地が多いです。ワンルームマンションは賃料単価が高く、また部屋数も多くできます。 高単価の部屋をたくさん作れば、その分、得られる家賃も高くなります。
また住宅は階数が高くなればなるほど、高い賃料を取ることができます。
2階にある部屋よりも、5階にある部屋の方が、家賃は高いです。2~3階程度のアパートに比べ、マンションの方が高い家賃を得られる部屋が多くなります。
結果的に、マンションの方が多くの収入を得ることができます。
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4.マンション経営の収入と利回り
一般的に、収益性が高いとされるマンション経営。この章では、マンション経営の収入と、押さえておきたい「利回り」の考え方について紹介します。
4-1.マンション経営の利回り
利回りとは投資額に対する利益を表したもので、マンション経営において投資判断をする際、指標の1つとなるものです。
マンション経営では家賃収入のすべてが利益になるわけではなく、ローンや税金、保険等の経費を差し引いた額が実質的な収入となります。
物件の収益性の指標となる利回りは、一般的に「表面利回り」が使われます。
表面利回り(%)=年間家賃÷物件価格×100
例として、5000万円で購入した物件で、満室時に年間500万円の家賃収入が見込めると仮定します。
この場合の計算式は、500万円÷5000万円×100=10となりますので、表面利回りは10%ということになります。
ただし、表面利回りはマンション運営のコストを考慮していないため、 実質的な収入目安をシミュレーションするには、年間家賃から運営コストを差し引いて計算する「実質利回り」 を確認しましょう。
実質利回り(%)=(年間賃料収入-年間経費)÷投資額×100
実質利回りでは空室率を考慮し、さらに運営コストや購入時の諸費用分を差し引くため、表面利回りよりも低い値となります。
新築マンションの平均的な利回りは4~5%といわれているため、比較して検討すると良いでしょう。
4-2.家賃収入
マンション経営では、家賃収入が収入のメインとなります。家賃を含めた収入には以下のものがあります。
- 礼金:入居者からオーナーに払われる謝礼金
- 敷金:退去時の原状回復などに使うための預かり金
- 家賃:入居者が毎月払う賃料
- 駐車場代:敷地内に駐車場がある場合、その賃料
- 更新料:契約更新時に入居者からオーナーに払われる料金
収入のメインとなる家賃の相場はマンションを建てるエリアや間取りにより異なりますので、建設予定地の周辺の物件を探してみると相場がわかります。
4-3.売却時の収入
マンション経営をしていく中で、最終的にマンションを売却して手放すこともあるでしょう。
マンション経営においては、月々の家賃収入と、最終的な売却益をまとめてマンション収入と考えます。
不動産の出口戦略まで考えるなら、月々の収益と売却益をあわせた利益が支出を上回っていれば投資は成功ということになります。
5.マンション経営の費用
マンション経営の収入と同時に、気になるのが費用です。
家賃収入がそのまますべて利益となるわけではありませんので、費用についてもしっかりと確認した上で収益計画を立てることが重要です。
5-1.初期費用(建築費・諸費用)の目安
まず、元々持っている土地で始める場合に必要なマンション経営の初期費用は、以下の式で求められます。
初期費用=マンション建築費用+諸費用
マンションの建築費は以下の計算で求められます。
建築費=構造ごとの坪単価 × 延床面積
構造ごとの坪単価の目安は以下のとおりです。
鉄筋コンクリート造 | 鉄骨造 | |
---|---|---|
坪単価 | 90~120万円 | 80~120万円 (軽量)80~100万円 (重量)90~120万円 |
例えば、鉄筋コンクリート造で50坪のマンションを建てる場合、
「マンションの建築費用 = 構造ごとの坪単価 × 延床面積」
の式に当てはめると、鉄筋コンクリート造の坪単価は90~120万円なので、マンションの建築費用は4,500万円~6,000万円となります。
諸費用について、新築物件の場合は購入価格の10%程度、中古物件の場合は購入価格の10~20%ほど必要となるといわれています。諸費用の内訳としては、以下のような費用がかかります。
- 仲介手数料
- 印紙代
- 登記費用
- 不動産取得税 など
マンション建築費用はフルローンで賄うことができますが、諸費用の中には契約以前から必要なものもあるため、事前に資金を準備しておく必要があります。
5-2.管理費用(ランニングコスト)
マンション経営の維持管理費用にかかるものとして、定期的に発生する費用としては以下のものがあります。
- 共用部の水道光熱費
- 火災・地震保険料
- 管理委託費(マンション管理会社に委託する場合)
- 各種税金(固定資産税、事業税など)
また、必要に応じて以下のような費用がかかります。
- 修繕費
- リフォーム費・原状回復費
- 仲介手数料
マンションは規模が大きいため、数十年に一度行う大規模修繕では多額の修繕費用がかかるのが一般的です。
そのため、月々の収入から定額を積み立てて備えておく必要があるでしょう。
それぞれの費用の詳細については、マンション経営の費用の記事でも詳しく解説しています。
5-3.建て替え費用
相続などで古いマンションを所有することになった際は、建て替えを行う必要が出てくることもあります。
マンションの建て替えを行う場合には、建築費だけでなく、今建っているマンションを解体する必要が出てきます。
解体にかかる費用の目安は以下をご確認ください。
鉄筋コンクリート造 | 鉄骨造 |
---|---|
8~9万円 | 3~7万円 |
また、建て替えには住民の理解を得る必要があることも押さえておかなくてはなりません。
マンションを取り壊す場合、まず 入居者の立退きを行います。立退きは、入居者の納得が得られない場合、立退料の支払いが必要となる可能性もあります。
マンションはアパートに比べると、 全室を空の状態とするまでに、時間もお金も手間もかかる傾向があります。
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6.マンション経営と節税
ここでは、マンション経営を活かして税金を節約するための方法を解説します。
6-1.マンション経営で経費計上できるもの
マンション経営関連の 出費の中には、「経費計上」することで帳簿上の利益額を圧縮できるものがあります。
利益額が減れば課税額も抑えられるので、何が経費として認められるのか把握しておきましょう。
必要経費として認められるのは以下の費用です。
- 不動産取得税
- 登記費用
- 印紙税
- 火災・地震保険料
- (ローン関連の)事務手数料
- (ローン関連の)保証料
- 固定資産税及び都市計画税
- 事業税
- 修繕費
- 管理委託料
- (入居者募集のための)仲介手数料
- 広告宣伝費
- 給料・賃金
- 水道光熱費
- 通信費
- 交通費
- 接待交際費
- 新聞図書費
- 消耗品費
- 地代・家賃
- ローン金利
- 減価償却費
- 解体費・立退料
必要経費の中で、借入金の元本返済部分は費用とはなりませんのでご注意ください。
費用となるのは利子部分だけです。
収入金額から必要経費を控除した結果、不動産所得がプラスであれば所得税および住民税、復興特別所得税が発生します。
6-2.事業的規模の不動産の貸付と節税
マンションなどで 10室以上の部屋を賃貸している場合、「事業的規模の不動産の貸付」と呼ばれます。
事業的規模の不動産の貸付において、 青色申告を行っている人は、青色申告による節税が認められています。
青色申告特別控除は正規の簿記の原則により記帳している場合は65万円、その他の場合は10万円の控除が認められています。
青色申告特別控除を適用すると、不動産所得の金額は以下の通りになります。
不動産所得の計算式
不動産所得=収入金額-必要経費-青色申告特別控除
さらに、事業的規模の不動産の貸付で青色申告をした場合、青色申告者と生計を一緒にする 親族がその貸付業務に専従しているときは、その給与や賞与は「青色事業専従者給与」 として費用とすることができます。
つまり配偶者にも給与を支払うことができ、その給与によって不動産所得を節税することができるのです。
6-3.損益通算による節税
個人の所得は10種類ありますが、このうち「不動産所得」と、「事業所得」「譲渡所得」「山林所得」に関しては、損益通算の手続きを取ることができます。
「1-3.節税手段として役に立つ」でご説明したように、不動産所得がマイナスとなった場合、確定申告でそのマイナスを他の所得と合算し、所得全体を小さくして課税額を抑えることができます。
所得税は所得が下がると税率も下がるため、損益通算による節税効果はとても大きいものと言えます。
しかしながら、不動産所得は本来黒字であることが健全な状態であるため、毎年不動産所得が赤字になるようであれば、そのようなマンション投資は避けるべきです。
ただし、「建築初年度」と「外壁塗装の大規模修繕」のタイミングでは、健全なマンション投資であっても不動産所得が赤字となる可能性はあります。
建築初年度には、マンションの不動産所得税や登録免許税、火災保険料、全戸分の仲介手数料等の特別に大きな費用が発生します。
また、大規模修繕の中で、外壁塗装だけは金額が20万円以上であっても一括費用処理が可能です。
このようなタイミングでは、大きな費用が発生するため、不動産所得が赤字となることがあります。
不動産所得が赤字となった場合には、損益通算の仕組みを上手く活用して節税するようにしましょう。
分かりづらいマンション経営の「費用・経費」「節税テクニック」
7.失敗しないマンション経営のポイント
ここでは、マンション経営を失敗しないためのポイントについて解説します。
7-1.キャッシュフローを意識した資金計画を立てる
キャッシュフローとは、家賃収入などのマンションから得る収入からローン返済額や管理費用、税金などを差し引いて手元に残る金額のことをいいます。
マンション経営では、見た目の収支が良くても実はキャッシュフローが良くないといったケースがあります。
ですが、建物や設備の修繕・リフォームなどの出費や、空室による収入減少のリスクに柔軟に対応するには、キャッシュフローをいかに多く残すかが重要となります。
健全なキャッシュフローを保つには以下のような対策が考えられます。
- 修繕費用は計画的に積み立てる
- 初期費用はなるべく多く用意し、借入額を増やしすぎない
- 金利や諸費用のバランスを考えてローンを選択する
マンションの築年数が経つにしたがって、家賃もどうしても下がってきます。
そのため、計画段階から現実的な数字を設定した資金計画を立てておくことをおすすめします。
7-2.マンションの立地と物件タイプを見極める
マンションの立地を踏まえたニーズを把握し、物件タイプを決定するのはマンション経営において非常に大切なことです。
空室リスクをうまくコントロールして一定の家賃水準を維持していくには、ある程度の年月が経過しても需要のある物件を建てる必要があります。
たとえば、マンションの収益性を上げるにはワンルームタイプを選択するのが王道ですが、ファミリーに需要のある立地で収益性だけを求めると、うまく埋まらずに空室リスクを抱えてしまうことが考えられます。
同様に、駅から近い立地の良い場所でファミリー向けの大きな部屋を作っても、賃料が高くなりすぎて借り手がなかなか見つからない部屋になってしまうかもしれません。
その他、賃貸住宅のトレンドを常に意識し、必要に応じてリフォームなどを行うことも大切です。
立地条件に応じたターゲット層を設定し、周辺環境の動向を絶えずリサーチし、対応していくことが重要なポイントです。
7-3.マンションの建築プランを熟考する
マンション経営は何十年にわたって取り組むものです。
そのスタートとなる建築プランは熟考を重ねることが大切です。なぜなら、その建築プランが後々に及ぼす影響も大きいからです。
マンション経営のやり方として、検討しておくべきポイントを以下に3つ紹介します。
7-3-1.1階をうまく活用する
マンションは中高層の建物であることから、建築するのに高い容積率が必要です。
容積率とは、延床面積に対する敷地面積の割合です。
容積率は、都市計画法によってエリアごとに定められています。
マンションが建つような商業繁華性の高い敷地は、概ね200%以上の容積率が定められていることが多いです。
つまり、マンションが建てられるようなエリアは、例えば1階にコンビニや弁当屋、歯科医、携帯ショップ、美容院、クリーニング店等の店舗の出店可能性が高い土地でもあります。
店舗は、賃貸マンションよりも賃料単価が高いため、マンションの1階に店舗を誘致できると収益性が向上します。
店舗は立地や前面道路の幅員、周辺人口等により、必ずしも出店するわけではありませんが、収益性を向上させる大きな要素となるため、店舗を誘致できないか検討することは重要です。
なお、よほど良い立地でない限り、2階以上は店舗の誘致が厳しくなります。店舗区画は、欲を出さずに1階部分だけに留めておくことをおすすめします。
7-3-2.エレベーター無しも検討する
建物にはエレベーターは無い方が工事費や維持費、大規模修繕費等々の全ての面で安くなります。
マンション経営をする際は、エレベーターの設置が必要かどうかもあらかじめ調査・検討しましょう。
エレベーターは定期的なメンテナンスや法定点検も必要であり、維持費のコストアップ要因となります。また、将来的に大規模修繕でエレベーターの入替工事も行う必要があり、エレベーター入替工事には莫大な費用がかかります。
エレベーターを設置する場合、概ね50戸に対して1台の設置が理想的です。
100戸近くの戸数になれば2台は必要ですが、60戸程度であれば、思い切って1台にしてしまうという判断も間違いではありません。
エレベーターはあらゆるコストアップにつながるため、建築計画時には特に注意をするようにしましょう。
7-3-3.分譲マンションの仕様を研究する
建物の仕様に関しては、賃貸マンションよりも分譲マンションの方が常に先を進んでいます。
分譲マンションで流行ったような仕様が、数年後、賃貸マンションにも浸透してくるというのが基本的な流れです。
そのため、現在の新築分譲マンションの最先端の仕様を1つでも取り入れると、他の新築マンションと比較して差別化することができます。
分譲マンションでは、水切りプレート付きのシンクや浄水器一体型水栓、内蔵型食洗器等々、キッチンの仕様がとても高いです。
キッチンはマンションのアピールポイントとすることもできるため、分譲マンションからアイディアを取り入れると効果的です。コストが高く、難しい場合は、例えば最上階の賃料が一番高く取れる住戸だけ、分譲マンション並の仕様とするなどの選択も有効です。
中長期的なことを考慮すると、コスト削減が最善の手とは限りません。
お金をかけるべき部分は、しっかりとお金をかけ、長く収益を生み続けるような賃貸マンションとすることが重要です。
7-4.自分に合った管理方式を選ぶ
失敗しないマンション経営のためには、管理方式の選び方も押さえておく必要があります。ここでは主な管理方式として以下の3つをご紹介します。
- 管理委託
- パススルー型サブリース
- 家賃保証型サブリース
結論から言えば、マンションのような立地の良いところに建てられ、かつ戸数が多い収益物件の管理は、パススルー型サブリースがおすすめです。
理由は以下のとおりです。
- マンションは立地の良いところに建つケースが多く空室リスクが低いため、わざわざ家賃保証にする必要がない
- マンションは戸数が多いことから、各入居者とのやりとりが煩雑である
以下に、それぞれの管理方式の違いについてご紹介します。
7-4-1.管理委託
管理委託とは、管理会社に管理業務を委託する形式です。
マンションオーナーは各入居者と、直接賃貸借契約を行い、賃貸人という立場になります。
管理委託の場合、空室は保証されません。管理委託料に関しては、賃料収入の3~5%が一般的です。
立地が良く戸数の多いマンションであれば、管理委託料は安くなる傾向にあります。収益性は家賃保証型サブリースよりは高いです。
管理委託はマンションオーナーが直接賃貸人となるため、立退き等の入居者トラブルが発生した場合、賃貸人として法的手段の対応をする必要があるなどのデメリットがあります。
7-4-2.パススルー型サブリース
パススルー型サブリースとは、管理会社が一度マンション一棟を借上げ、管理会社から各入居者へ転貸する形式の管理です。
通常の家賃保証型サブリースとは異なり、空室や家賃滞納を保証する機能はありませんが、管理会社にマンションを借上げてもらうことによって入居者の募集や家賃回収、クレーム対応などの管理業務を任せることができます。
その分、通常のサブリース契約に比べて管理会社の取り分が少なく、マンションオーナーに入る収入が多めになります。
管理会社が各入居者から受け取る賃料の3~5%が差し引かれた金額が、マンションオーナーへ賃料として支払われます。
収益性に関しては、管理委託と変わりません。
空室については保証されない形となります。
管理委託との違いは、マンションオーナーが直接の賃貸人とはならないという点です。
マンションオーナーの締結する賃貸借契約は管理会社との一本だけであり、入退去の度に毎回賃貸借契約を締結する必要はありません。
また、各入居者と直接の賃貸人ではないことから、立退き等の入居者トラブルが発生したとしても、手を煩わせることはないというメリットがあります。
7-4-3.家賃保証型サブリース
家賃保証型サブリースは、管理会社が一度マンション一棟を借上げ、オーナーへ支払われる賃料は空室が変動しても固定となる形式の管理です。
空室が変動しても賃料は変わらないため、空室による家賃減少を抑える役割があります。
賃料は満室想定時の83~87%の賃料が入金されるため、収益性は最も悪くなります。
転貸という形を取っているため、各入居者とは直接の賃貸人にならないという点はパススルー型サブリースと同様です。
なお、家賃保証型サブリースはずっと家賃が保証され続けるものではありません。
空室が多く発生すると、管理会社から毎年のように賃料減額要求が来ます。
結局のところ、空室は保証されないものと理解しておきましょう。
7-5.信頼できるパートナーを選ぶ
マンション経営は資産を効率よく増やしていくための有効な手段です。
とはいえ、オーナー自身がすべてを自力で判断していくのは難しいところです。
マンションの計画、建築、そして経営において大切なこと、やるべきことはわかっても、現実的にオーナーがひとりで考え、行動することは簡単ではありません。
そこで、今回の記事でご説明したマンション建築計画の策定や節税対策について、専門家からのサポートを受けながら進めていくことが、大きな失敗を避けつつマンション経営を成功させていく上でのカギになります。
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8.マンション経営に強いハウスメーカーを選ぶためのポイント
実際に、マンション経営で成果を挙げているオーナーの中にも、信頼できるハウスメーカーから効果的なアドバイスを受けている方が多くいます。
そこで、安心して相談できるハウスメーカーを選ぶためのポイントについてピックアップしました。
8-1.ハウスメーカーの提示する「経営プラン」
多くのオーナーの方々はマンションを建築するタイミングで、建築にかかる費用や工法、出来上がる物件などのことばかりを気にかけがちですが、出来上がった後の収益を左右する要素として「マンション完成前・完成後の経営プラン」も非常に重要です。
各ハウスメーカーが提示しているランニングコストや収支計画をチェックすることによって「より具体的で現実性が高い計画」を掲げている会社を選ぶことが重要です。
(各社ごとに、意外なほど内容の差があるのがお分かりいただけるはずです)
8-2.評判・口コミ
ハウスメーカーの評判や口コミについては、インターネットを活用することによって業者の立場から独立した中立な意見を拾うことができます。
特に近年では通常のGoogle検索の他に、SNS上で情報を探すことによって「生のユーザーの声」を見つけやすくなっているので、ぜひご活用ください。
8-3.問い合わせへの対応
問い合わせへの応対が手厚い会社であれば、実際に契約を結んだ後のフォローの質にも期待できるでしょう。気になるハウスメーカーがあれば、事前に相談してみて、担当者がどれぐらい丁寧に応対してくれるかを確かめるのも一手です。
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