「アパート相続・経営 建築・建て替え」内の、「アパート建て替え費用の試算と収支計画の立て方」を徹底解説したページです。アパート建て替え費用の内訳と相場、アパート建て替えの収支計画の立て方を理解し、費用や収支・利回りをシミュレーションできます。大規模リフォームとの比較についても説明しています。アパート建て替えの適切な費用も安心して相談できる建築会社を選ぶためのポイントも紹介しています。

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更新日
2024.07.08
カテゴリ
アパート経営, 記事

【徹底解説】アパート建て替え費用の試算と収支計画の立て方を解説

【徹底解説】アパート建て替え費用の試算と収支計画の立て方を解説

アパートの建て替えを思い立った時、気になるのは費用面です。この記事ではアパート建て替え費用の内訳と相場に加え、建て替えた後の収支計画の立て方や、大規模リフォームとの比較についても詳しく解説をしています。

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序 1分で分かる!記事の要約

アパート建て替え費用の内訳と相場

アパートの建て替えにかかる費用の内訳は以下の通りです。

  • 解体費用
  • 入居者の退去費用
  • 建築費用

解体費用の構造別坪単価は以下の通りです。

(解体費用 構造別坪単価 一覧)
構造 解体費用の坪単価の目安
木造 坪4~5万円
鉄骨造 坪6~7万円
鉄筋コンクリート造 坪7~8万円

入居者の退去費用は、おおよそ1部屋あたり家賃6か月分と引っ越し費用、合わせて50万円~100万円が相場です。

建築費用には、更に3つの内訳があります。

  • 本体建築費用
  • 付帯建築費用
  • 諸費用

このうち、本体建築費用の相場は以下の通りです。

(構造別 本体建築費用 坪単価 一覧)
構造 建築費用の坪単価
木造 坪あたり77~100万円
鉄骨造 坪あたり80~120万円
鉄筋コンクリート造 坪あたり90~120万円

※構造別の坪単価は、HOME4U調べです。

付帯建築費用の相場は、本体建築費用のおおよそ20%。
諸費用の相場は100~200万円程度です。

アパート建て替え時期の目安

アパートを建て替えるべきかどうかの判断の目安は以下の通りです。

  1. 法定耐用年数を過ぎている
  2. 築年数30年以上である
  3. 空室率が高まっている
  4. 維持費用が高額である
  5. 耐震性に不安がある

詳細は以下の記事をご覧ください。

アパート建て替えの収支計画の立て方

収支計画表に書く項目は、おおまかに以下の通りです。

(収支計画表 項目例)
収入
  • 家賃
  • 空室による家賃の減額
  • 駐車場賃料
  • 礼金など
支出
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 共益費
  • 管理委託料
  • 修繕積立金
  • 火災保険料
  • ローン返済額など
収支
  • 月額手取り収入
  • 年額手取り収入など

建て替えのときの収支計画は、収入と支出それぞれのお金の流れを想定して計画します。

建て替えとリフォーム、選ぶべきはどちらか?

リフォームはそれを施す面積の広さや、どのくらいの規模で行うかによって、金額にかなりの幅が生まれます。

どちらを選ぶべきかは空室率等、幾つかの切り口で総合的に判断して下さい。詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照下さい。

アパート建て替えの資金について

アパートの建て替え費用は、主に以下の2つの資金から準備します。

  • アパートローンの利用
  • 自己資金

また、アパートローンについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧になってみて下さい。

「アパート建て替え費用試算」「収支計画」

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詳しい解説は以下

1.アパート建て替え費用の内訳と相場

アパートの建て替えにかかる費用の内訳は以下の通りです。

  • 解体費用
  • 入居者の退去費用
  • 建築費用

1-1.解体費用

アパートを建て替えるにあたって既存の建物を解体するための費用で、以下のものが含まれます。

  • 建物本体の解体費用
  • 廃材の処分費
  • 駐車場など土間コンクリートの解体費用
  • 駐輪場や倉庫などの付属建物の解体費用

費用相場は以下の通りです。

(解体費用 構造別坪単価 一覧)
構造 解体費用の坪単価の目安
木造 坪4~5万円
鉄骨造 坪6~7万円
鉄筋コンクリート造 坪7~8万円

細かくは既存のアパートの構造や大きさによって違ってきます。

例えば木造に比べて鉄筋コンクリート造は解体費用が高いことが分かります。
そのわけは木造の方が容易に壊すことができ、期間も短く済む上に解体時に出る廃材も少ない一方で、鉄筋コンクリート造は専用の重機を使って壊す作業になり、その分時間がかかるからです。

1-2.入居者の退去費用(立ち退き料)

アパートの建て替えに従い、現在入居している人たちに退去してもらうために支払う費用です。
基本的に、オーナーから入居者への解約申し入れは期間満了の6ヶ月前までに行いましょう。

借地借家法に則り、入居者は「オーナー側に正当な理由がなければ解約に応じなくともよい」ことになっていますので、多くの場合オーナーは入居者に対し、退去費用として引っ越しにかかる費用相当を支払うことで承諾を得ます。

おおよそ1部屋あたり家賃6か月分と引っ越し費用、合わせて50万円~100万円が相場です。

1-3.建築費用

更地となった土地に、新たなアパートを建てる時にかかる費用です。

内訳はこのようになっています。

  • 本体建築費用
  • 付帯建築費用
  • 諸費用

1-3-1.本体建築費用

本体建築費用は、アパートの本体部分にかかる費用です。

以下のようなものが含まれます。

  • 仮設費用(敷地囲い、メッシュシート、仮設トイレ、養生費、発生材処分費など)
  • 基礎工事(基礎工事、土間工事、残土処分など)
  • 木工事(構造材、その他木材料、大工施工費など)
  • 屋根・外装工事(屋根施工費、外装施工費など)
  • 内外装工事(内装仕上げなど)
  • 外部・内部建具工事(玄関ドア、サッシ、室内建具など)
  • 塗装工事(塗装施工費など)
  • 左官工事(左官壁、タイル張り施工費)
  • 設備機器工事(住宅設備機器など)
  • 電気工事(配線引き込み、照明・コンセント取り付け工事など)
  • 給排水衛生工事(配管設備、衛生機器設置費など)

これらを含んだ本体建築費用の総額は、一般に「坪単価×延床面積」の計算式で概算されます。
坪単価は一坪に対してどれだけの建築費がかかっているかを表している価格、延べ床面積は、建物の各階の床面積を合計した値のことです。

自社調べによる本体建築費用に関わる坪単価の相場は、構造別に以下の通りです。(施工会社や諸条件で異なる)

(構造別 本体建築費用 坪単価 一覧)
構造 建築費用の坪単価
木造 坪あたり77~100万円
鉄骨造 坪あたり80~120万円
鉄筋コンクリート造 坪あたり90~120万円

※構造別の坪単価は、HOME4U調べです。

延床面積60坪のアパートを建てる場合を想定してシミュレーションすると、結果は以下の通りです。

■木造
60坪×77万円~100万円/坪=4620万円~6000万円

■鉄骨造
60坪×80万円~120万円/坪=4800万円~7200万円

■鉄筋コンクリート造
60坪×90万円~120万円/坪=5400万円~7200万円

このように見てみると、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造で、価格が大分違ってくることが分かるかと思います。

木造の場合、多く使われるのは杉の木で、調達が容易な上に工期も短くて済むのでその分坪単価は安めです。
鉄骨になると、全体的な工期が長くなり材料費も高くなるため、坪単価が高騰します。
鉄筋コンクリート造は建物の重みを支えるために地盤改良工事や杭工事が必要になり、更に工事にも手間がかかるため、最も坪単価が高くなっています。

1-3-2.付帯建築費用

アパート本体の建築費用の他にかかってくる費用で、内訳は次の通りです。

  • エクステリア工事(塀、駐車スペース、アプローチ土間など)
  • 造園工事(植栽施工費など)
  • 登記費用(所有権保存登記手数料)
  • 火災保険料
  • 設計料

相場としては、本体建築費用のおおよそ20%です。

1-3-3.諸費用

アパート本体の建築費用の他にかかってくる費用で、内訳は次の通りです。

アパート建築以外のところでかかってくる費用も含めて、不動産を取得するためにかかる費用です。
以下のようなものがあります。

  • 地盤調査費
  • 測量費
  • 税金関係費(不動産取得税、印紙税等)
  • ローン関係費(保証料、火災保険料等)
  • 印紙代
  • 登記費用
  • 給排水関係費
  • 式典費用

相場として、建築費用の10%程度かかります。

2.建て替え費用の総額 試算・シミュレーション

この章では、いくつかの条件にあわせて建て替え費用の総額をシミュレーションをした結果をご紹介します。

2-1. 築50年・木造60坪の場合

まずは、木造60坪(築50年)の建て替え費用についてのシミュレーションです。建て替え後は同じ延床面積と仮定します。

【前提条件:木造60坪を解体し建て替え】
解体費用:5万円/坪
入居者の退去費用:50万円/1部屋
建築費用:80万円/坪(付帯工事含む。諸費用は別途10%)

シミュレーションによる、建て替え費用の総額は以下のとおりです。

【建て替え費用総額】
解体費用:300万円=坪単価5万円×60坪
入居者の退去費用:150万円=50万円×3部屋
建築費用:5,280万円=80万円×60坪×1.1(諸費用分)

合計:5,730万円

2-2. 鉄骨造50坪を60坪に建て替える場合

次に、鉄骨造50坪の建物を解体し、60坪のアパートに建て替える場合のシミュレーションです。

【前提条件:鉄骨造50坪を解体し60坪に建て替え】
解体費用:7万円/坪
入居者の退去費用:60万円/1部屋
建築費用:90万円/坪(付帯工事含む。諸費用は別途10%)

シミュレーションによる、建て替え費用の総額は以下のとおりです。

【建て替え費用総額】
解体費用:350万円=坪単価7万円×50坪
入居者の退去費用:120万円=60万円×2部屋
建築費用:5,940万円=90万円×60坪×1.1(諸費用分)

合計:6,410万円

このように見ていくと、60坪ではメジャーな構造体である木造・鉄骨造のアパートはおおむね5,000~6,000万円台で建てられるということが分かります。

坪単価は建築を請け負う会社によっても費用に差がありますし、エリアや建物のグレードによっても大分違ってきます。

複数の会社に建築プランを出してもらい、比較することで、ご自身で思っていたよりも安価にアパートが建てられる可能性がありますので、構造体にもこだわって、是非ともご自身の理想を追い求めてみてください。

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3.アパート建て替えの判断基準

アパート建て替え費用について知りたいオーナーの方の中には「アパート建て替えをするか否か」の判断に迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、迷った際の判断基準についてご紹介します。

3-1.建て替え時期の目安

アパート建て替え時期の判断目安は、築30年以上であることが一つの明確な基準となっています。しかし実際は躯体の状態によって10年と少しでも建て替えを検討した方が良い場合や、反対に30年以上でも充分に現役で使い続けられるアパートもあります。
より詳しく判断できる目安は以下の通りです。

  • 法定耐用年数を過ぎている
  • 築年数30年以上である
  • 空室率が高まっている
  • 維持費用が高額である
  • 耐震性に不安がある

詳細は以下の記事をご覧ください。築30年という目安についても、どうしてそのように言われるのか、細かい理由を載せています。

3-2.建て替えとリフォームの比較

建て替えとリフォームの主なメリット・デメリットは以下の通りです。

【建て替えとリフォーム メリット・デメリット 比較表】
建て替え メリット デメリット
  • 空室率が改善する
  • 資産価値が高まる
  • 家賃を高く設定できる
  • 減価償却や相続税削減が可能
  • 費用が高額
  • かかる期間が長い
リフォーム メリット デメリット
  • コストが抑えられる
  • 一定の空室対策効果がある
  • 工期が建て替えに比べて短め
  • リフォーム後も修繕費が発生する
  • 収益性の改善は限定的
  • 新築同様のリニューアルは難しい

さらに詳しいメリット・デメリットや、迷った時の判断基準については、以下の記事で詳しく解説しています。

費用面で言えば、リフォームはそれを施す面積の広さや、どのくらいの規模で行うかによって、金額にかなりの幅が生まれますが、それでも一般的には建て替えに比べて安価です。
しかし大規模なリフォームの場合、建物の現状や築年数、構造などによって工事が難しい建物であったり、もとの床材でかかる費用が跳ね上がる例もあり、その後も引き続き修繕費などが発生して、長い目で見ると建て替えのほうが安くなる場合もあります。

また、内装など目に見える部分は気付きやすいですが、屋根裏や壁内部などで雨漏りが進行していたり、基礎部分に亀裂が増えていたりと、気付かない部分で劣化が進行していて、建て替えでないと対応しきれなくなっている場合もあるのです。
建物の現状をきちんと建築会社などで診断してもらい、最適な選択を進めてください。

4.アパート建て替えの収支計画の立て方

収支計画とは、物件購入の前に1年ごとの支出と収入を記録し、将来的にどのくらいの収益が生まれるかを試算・シミュレーションすることです。
アパートを建て替える時には、必ずこれを立てなければいけません。

書くべき項目は大きく、

  • 収入
  • 支出
  • 収支

の3つに分かれています。収入はアパート経営によって入ってくるお金、支出は出て行くお金、収支は利益のことです。

収支計画は書類に起こして、一覧で眺められるようにすることが大切です。それによって、お金の動きや予測できる収入が把握出来ます。
表で見た時、収支がプラスであれば黒字、マイナスであれば赤字ですので、この計画を立てている時にバランスが取れていなければ、もう一度戸数や建築のプラン、ローンの返済額を見直す必要があります。

4-1.収支計画書に項目を記載する

収支計画書は手書きでも良いですし、Excelのテンプレートやフリーソフトを活用してもいいでしょう。まず、「収入」「支出」の項目をそれぞれ計画し、数字を埋めていきます。

収支計画表に書く項目は、おおまかに以下の通りです。

【収支計画表 項目例】
収入
  • 家賃
  • 空室による家賃の減額
  • 駐車場賃料
  • 礼金など
支出
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 共益費
  • 管理委託料
  • 修繕積立金
  • 火災保険料
  • ローン返済額など
収支
  • 月額手取り収入
  • 年額手取り収入など

建て替えをする方ならば、各項目について、お金を支払ったり受け取ったりした実績があるはずなので、基本的にはそれを参考に埋められる項目をいれてください。

4-2.収支計画試算・シミュレーションを参考に表を埋める

例として、60坪2階建て6戸のアパートを想定して収支計画を立てました。家賃はひと月6万5000円とします。

【収支計画 シミュレーション 表】
費用項目 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
収入 家賃合計/年 4,680,000 4,680,000 4,680,000 4,680,000 4,680,000
空室による減額 -1,560,000 -780,000 -780,000 -780,000 -780,000
駐車場賃料合計 540,000 540,000 540,000 540,000 540,000
礼金 260,000 130,000 0 130,000 65,000
収入合計 3,920,000 4,570,000 4,440,000 4,570,000 4,505,000
支出 固定資産税・都市計画税 280,800 280,800 280,800 280,800 280,800
共益費 5000 5000 5000 5000 5000
管理委託料(5%) 196,000 228,500 222,000 228,500 225,250
修繕積立金(4%) 156,800 182,800 177,600 182,800 180,200
火災保険料 30,000 30,000 30,000 30,000 30,000
ローン返済額 2,106,000 2,106,000 2,106,000 2,106,000 2,106,000
支出合計 2,774,600 2,833,100 2,821,400 2,833,100 2,827,250
収支 月額手取り収入 95,450 144,741 134,883 144,741 139,812
年額手取り収入累計 1,145,400 1,736,900 1,618,600 1,736,900 1,677,750

それぞれの項目を記載するうえで注意すべきことや、目安となるべき費用について、上記の表を参考に上から一つ一つの項目について解説していきます。

4-2-1.家賃

家賃額は、同じエリアに建つ他の物件の賃料相場を目安に設定します。この時、出来る限り厳しめに、低めの額で考えておくことが重要です。
賃料の設定で失敗してしまうと、以降の全ての計画が狂ってしまいます。
また、10年15年と築年数が経ってくれば価格の値下げも検討する必要があります。

収支計画表に書く家賃合計は、「家賃×入居者数×賃貸する期間」の計算によって算出します。

4-2-2.空室による減額

家賃収入は常に満室になるという設定にはせずに、入居者の出入りがあって一定の空室があることを想定しましょう。

例えば、上の表では1年目は2部屋分を空室に、以降では1部屋分を空室に考えて数字を出しています。
更に計画の上で余裕を持つために、家賃滞納のリスクなどについて項目を設けるのも効果的かも知れません。

4-2-3.駐車場賃料

地域により大分差があります。都心であれば費用目安は4万円前後、東京郊外になると1万5000円前後のところが多いようです。

上記の表では、1万5000円の3台分、12ヶ月で数字を出しています。

4-2-4.礼金

入居者が賃貸借契約時にオーナーに対して支払う費用で、おおむね家賃の1~2ヶ月分が費用目安となります。

上記の表ではひと月分に設定し、入居者の入れ替わりを考えて1年目は4人分、2,4年目では2人分、5年目では1人分支払われることを想定しました。

4-2-5.固定資産税・都市計画税

固定資産税は土地や家屋、償却資産に対してかかる税金のこと。
都市計画税は市街化区域内に土地・家屋を所有している人が納める税金のことを指します。
2つ合わせて、ざっくり家賃収入の5~10%となります。

上記の表では年額家賃収入の6%として算出いたしました。

4-2-6.共益費

アパートの共有部分の維持にかかる費用のことを指し、3,000~5,000円の間で設定されることが多いようです。

上記表では5000円としました。

4-2-7.管理委託料

アパートの管理を管理会社に委託している場合に、会社に対して支払う手数料です。
おおむね家賃収入の5%が平均額となりますので、上記の表でも同じく設定しています。

4-2-8.修繕積立金

日常的に必要な維持管理費の他、退去時の原状回復費、経年劣化などによる修繕費なども考慮して、長期間にわたって計画することがポイントです。
家賃収入の5%があれば理想的と言われていますが、築浅物件という例をふまえ、ここでは4%で算出しています。

4-2-9.火災保険料

建物の構造や、専有面積、所在地や補償内容などによって大きく価格が変動するため、一概に相場を出すことは出来ません。

上記の表では仮に3万円としました。

必要に応じて地震保険をつけたいなど、オーナー様の希望に沿った保険を見つけて、価格を想定してみて下さい。

4-2-10.ローン返済額

ローンの返済額は、無理のない範囲で設定することが大切です。
将来の経営に響いて来る可能性があります。

理想的とされる返済比率は40~50%ほどと言われています。50%を超えると必然的に無理が生じる可能性が高いので、その比率は超えないよう、ご自身の支払える額を考えて調整してください。

なお、上記の表では45%としています。

収支計画は一度立てたら終わりではなく、数年ごとに見直しをする必要があります。
かかるお金は多めに収入は少なめに考え、安定した経営を目指しましょう。

4-3.実質利回りを計算し、収支計画が現実的かどうかを考える

あまり投資回収に長い期間がかかるのは危険です。
中途で何が起こるか分かりませんので、この計算はしっかりとしておく必要があります。

実質利回り計算を使って、収支計画を具体的に検討していきましょう。

計算式は以下の通りです。

実質利回り={1年間の満室家賃収入×(1-空室率)-1年間にかかる維持管理経費}÷(不動産の購入価格+不動産を購入するためにかかった諸経費)×100

この計算式を用いて、下記の条件でシミュレーションをしてみましょう。

4-3-1.実質利回り計算

木造アパート2階建て 60坪6戸の場合 家賃6万5000円
※土地はあるとする。(土地代は含めない)

【実質利回り 計算と条件 一覧】
項目 かかる費用
1年間の満室家賃収入 6万5000円×6戸×12ヶ月=468万円
物件の購入価格(木造2階建て60坪) 5644万円
物件の建築にかかる諸経費 約282万円
※建築費の5%(平均的なパーセンテージ)
空室率 5%
※新築物件の平均的な割合
1年間の物件の維持管理にかかる経費 約94万円
※家賃総収入に対して20%とする
実質利回り (468万円×0.95-94万円)÷(5644万円+282万円)×100
=約7.5%

アパートの利回りの全国平均は6.4%、理想的な実質利回りは5%と言われています。
この数字が大きければ大きいほど、建て替えにかけた資金が回収できる期間も短くて済みます。

実質利回りのパーセンテージが分かっていれば、1÷年間実質利回りの計算式によって回収までの期間を算出することが出来ます。
上記で試算した結果では、1÷0.07=約14.3となるので、物件取得のためにかけた初期投資はおおむね14~15年で資金回収できることになります。

ただし、社会情勢の変化や大きな災害にともなう景気の減退など、不測の事態も考慮しておかなければなりません。
そのためにも、建て替えは近隣の競合の実態などを綿密に調べ、ニーズに合わせてどのような物件に建て替えることが適切かなど事前にリサーチが必要です。

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5.アパート建て替え資金について

アパートの建て替え費用は、主に以下の2つの資金から準備します。

  • アパートローンの利用
  • 自己資金

5-1.アパートローンの利用

本人・家族が居住する目的の建物に対しては「住宅ローン」が使われますが、アパートのように不特定多数の方へ賃貸する場合は「アパートローン」を利用することになります。

一般的に、アパートローンは住宅ローンよりも審査が厳しいといわれています。住宅ローンの場合は、契約者が給与などの収入でローンの返済を行うためおおむねリスクが低いと認識されますが、アパートローンの場合該当のアパート経営に収益があるかどうかは不確実とされるからです。
とはいえ、過去にアパート経営の実績があり、返済も問題なく進めていたなら、金融機関からの評価は得られていると考えられ極端に厳しくなることはないでしょう。

5-2.自己資金

建て替えを自己資金で手当する範囲は、将来的に必要になる生活費も考慮してある程度の頭金を用意するにとどめ、現金は突発的な修繕費用などが起きる場合を考えて手元に残しておきましょう。

アパート建て替えのために必要となる費用は膨大なものですが、家賃収入で融資返済ができるところが収益物件の最大の利点です。
収支計画をしっかりと立て、無理のない経営を目指しましょう。

6.アパートは築年数何年で建て替えるべき?劣化度から適切なタイミング・目安を解説

建て替えの費用について安心して相談できるアパート建築会社を選ぶための基準・準備すべき項目について記します。

6-1.アパートの構造体に詳しい

木造のアパートをお持ちで、建て替えを機に鉄骨や鉄筋コンクリート造にしようと考えておられる方もいらっしゃることと思います。
オーナー様の予算で選べる構造体を提案し、もし費用が足りずに構造体のグレードアップが出来なくても、柱の数などによって建物の強度をより増すような建築プランを出して来るような会社であれば、心強いのではないでしょうか。

6-2.リフォームか建て替えか的確な判断をしてくれる

リフォームは建て替えに比べて費用面では安価ですが、躯体の根本的な劣化まで補修することは出来ません。

今ご自身がお持ちのアパートがどれだけ傷んでいるのか?リフォームと建て替えとで、どちらの方がより収益性をアップ出来るのか?
試算して目の前に見せてくれるような会社を選べば、今後の経営の成功度が大きく変わります。

6-3.収益性の高い計画を提案してくれる

管理会社のサポートの範囲や適正な家賃など、プロが判断することでご自身では気がつけなかったような「収益性をアップするポイント」にも目を向けることが出来るかもしれません。

そういう指摘をしてくれる会社なら尚安心といえるでしょう。

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