アパート建て替え時のマーケティングとプランニングに関して、不動産オーナーが注目すべき数字やデータを教えます。スゴ腕コンサルタントの解説動画と合わせて本記事を読めば、建て替え時の事業計画に必要な情報がわかります。

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アパート建て替えに失敗したくないオーナーさんへ!事業計画で必ず注目したい数字は何?

不動産オーナーがアパート建て替えを成功させるには、メーカーや不動産会社に任せきりではなく、自らがデータや数字を見て判断する力を身につけることが大切です。賃貸経営リスクコンサルタント石川龍明氏の解説動画をもとに、建て替え時のマーケティングとプランニングで注目すべきデータや数字を、記事でも解説いたします。

【この動画のポイント】
・アパート・マンション建て替え時にはマーケティングとプランニングが必須
・建て替え時のマーケティングでは市場環境調査として4つの情報を集める
・建て替え時の事業計画は「八策plus・one」を使って比較

以下、解説動画で紹介されているポイントを、記事でも詳しくご説明します。




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1.アパート・マンションの建て替えに必要なこととは?

アパート・マンションの建て替えの際には、マーケティングとプランニングをしっかり行わなければなりません。マーケティングやプランニングでは、データや数字を意識しておくことが大切です。

1-1. 市場環境調査を行う

建て替え事業計画を立てる上では、数字が大事になってきます。事業計画を立てる前にまずしなければならないのは、マーケティングです。市場環境調査を行って、数字の根拠を見つける必要があります。

アパートやマンションをどこにでも建てていい時代は終わりました。賃貸経営を成功させるためには、その土地がどんな土地かをしっかり把握することが肝心です。土地の状況を把握すれば、家賃をいくらに設定すればよいかもわかります。

1-2. 事業計画を練る

マーケティングを行って家賃の額を決めたら、建築費が決まります。建築費が決まると事業計画を立てることができます。建て替えの際には、事業計画を練ることが大切です。

2. 建て替えに必要な「市場環境調査」とは?

建て替え事業計画を立てる前提としてのマーケティングが市場環境調査です。市場環境調査の内容について、具体的に見ていきます。

2-1. 市場環境調査とは

市場環境調査とは、土地の様々な条件を調べ、どんなニーズがあるのかを掴むことです。駅からの距離、病院・学校・スーパーなどの施設の有無、家賃相場などを調べていくうちに、「ここに住みたがるのはどんな人なのか?」「家賃はいくらくらいとれるのか?」といったことがわかってきます。

市場環境調査では、4つのカテゴリに沿って行います。オーナーさん個人で調査をしようとすると時間がかかってしまうので、メーカーや不動産会社の力を借りて、横のつながりから入ってくる情報も活用するのがおすすめです。

ただし、賃貸経営は自己責任で行うものなので、メーカーや不動産会社に勧められる情報を鵜呑みにしないようにしましょう。賃貸住宅には木造、RC、鉄骨といった種類があり、メーカーによって得意分野も異なります。集めたデータをもとに、自分で納得して判断することが大事です。

2-2. 市場環境調査の4つのカテゴリ

市場環境調査を行えば、誰に住んでもらいたいかがわかり、どういうものを作るかというコンテンツが決まります。動画で説明されているとおり、市場環境調査では、次の4つを調べます。

2-2-1.マーケット情報

マーケットリサーチとして、その土地が売ったらいくらになるのかを調べます。土地の価格を調べるときには、国が出している価格(国土交通省地価)や都道府県で出している価格(都道府県地価)などがあります。

また、分譲マンションについての情報収集も必要です。最近は、分譲マンションが余っており、投資家が買って賃貸する「分譲賃貸(分賃)」が多くなっています。分譲マンションも、賃貸マンションのオーナーの競合になるのです。

相場家賃も計算します。周囲にある築年数、面積が同様の物件をピックアップし、次の計算式で相場家賃を出します。

周囲の家賃合計/物件数=相場家賃

なお、家賃を設定するときには、相場家賃より1.1倍高い家賃(想像家賃)を目標にしてください。

2-2-2.周辺情報サマリー

アパートだけではなく、周りの環境についても調べます。そこに住むと、どんな暮らしになるのかを入居者目線で考えてみることが大切です。

2-2-3.統計情報

男女比率や年代別人口などの統計情報も調べます。統計情報を調べると、たとえば20代から40代くらいが膨らんでいれば、子供たちが多く、学校がそばにあるといったことがわかります。つまり、統計情報からターゲットを誰にすればよいのかが決まります。
これからの賃貸経営は、みんなに住んでもらうことを目指すよりも、狭いニーズをみたすことを考えた方が有利です。

2-2-4. ハザード関連情報

自然災害に備えるための情報も必要です。活断層の有無、大きな地震のときに想定される被害、浸水・液状化リスク、避難箇所の情報などを調べましょう。

2-3. 市場環境調査のポイント

市場環境調査のポイントは、入居者ファーストで考えることです。上に挙げたような様々な調査を行うことで、入居者目線でどんな物件に住みたいかがわかるようになります。

市場環境調査を行うときに、1社だけに調査してもらったのでは、見落としもあります。複数の会社に調査してもらって検討するのがおすすめです。

3. 建て替えに必要な「事業計画」とは?

マーケティングが終わってターゲットが決まったら、続いてもう1つの軸である「事業計画」を練ることです。アパートは「経営」するものですから、事業計画は欠かせません。

3-1. 事業計画の考え方

建て替えについてメーカーや不動産会社に相談すると、それぞれの会社が異なる計画を練ってきます。事業計画を選ぶときには、どの事業計画が適切かの判断基準を知っておく必要があります。
事業計画を比較する基準として、解説動画でご紹介するのが「八策plus・one」です。

3-2. 「八策plus・one」とは?

「八策plus・one」は、8つの基準にplus・oneを加えた9つの基準です。「八策plus・one」は、コンピュータを使わなくても、数字を見て電卓をたたくだけで出すことができ、どんな会社の事業計画にも対応可能です。

では、その「八策plus・one」を1つずつ見ていきましょう。

3-2-1.家賃は誰が決める

銀行から融資を受ける場合、家賃収入に対する返済額の割合(返済比率)は55%くらいまでに抑えた方がよいでしょう。メーカーや不動産会社に言われたままの家賃にすると問題が起こることがあります。

理想的な収支計画は、銀行返済額50%、税金・管理費・修繕積立が15%、利益が35%です。家賃が100万円入ってくるなら利益は35万くらいと考えておきましょう。

3-2-2. 単純利回り

最も単純でわかりやすいのが、単純利回りです。単純利回りの計算方法は、次のとおりです。

単純利回り=1年間に入ってくる家賃/総投資額

例)
1年間の家賃 7,140,000円
総投資額 67,805,520円
単純利回り 10.53%

単純利回りは少なくとも8%は欲しいところですが、実際には8%を切るところが多くなっています。できれば10%くらいを狙いましょう。
なお、単純利回りを上げたいからと言って、投資額をあまり削るのはNGです。投資額を削りすぎると、トラブルになります。

たとえば、防音性が低く隣や上下の生活音が気になるような建物の場合、半分以上の人は退去してしまいます。高いものを買う必要はないですが、最低限の投資は必要です。

3-2-3.当初表面利回り

当初表面利回りは、次の計算式で算出します。

当初表面利回り=年間の家賃/建築費(保険等含む)

当初表面利回りでは、諸費用は除いて、建築費だけを見ます。

諸費用はどこでもほとんど変わりませんので、他社と比較するときには、当初表面利回りを見ると良いでしょう。当初表面利回りは、1年目のデータということになります。

3-2-4.実質利回り

実質利回りは、次のようにして計算します。

実質利回り=年間の家賃収入/総投資額

実質利回りを計算するときには、手残りを総投資額で割ります。総投資額に対し、どれくらいの割合が実際に手元に残るかを見ることができます。

3-2-5.投資収益総額

建て替え後の不動産を30年間運営した後の収益から投資効率を計算したものです。収益が投資金額に見合っているかを判断します。

3-2-6. 総投資効率

総投資効率は、次の計算式で計算します。

総投資効率=30年間の総投資額/30年

総投資効率では、1年当たりの投資効果がわかります。④の実質利回りは1年だけを見たものですが、総投資効率では30年間続けた後の投資効果を判断します。

3-2-7.自己資金回収

自己資金を家賃で割って、何年で回収できるかを見ます。たとえば、自己資金が200万円で毎年300万円入ってくるなら、1年かからずに回収できるということです。

3-2-8.損益分岐点

損益分岐点(損益分岐稼働率)は、次のようにして計算します。

損益分岐点=支出(返済額・税金・管理費・修繕)/家賃

損益分岐稼働率は65%を超えないのが理想です。損益分岐稼働率を毎年チェックし、どこかで65%を超えていたら空室対策をするべきでしょう。

3-2-9.plus one

最後のプラス1は、クロスラインです。
融資金を返済することにより借入金額はだんだん減り、家賃収入を得ることで手残りの金額はだんだん増えます。そして、両方の金額が同じになる、クロスするところが必ずあります。
クロスラインまでは、木造なら20年以下、RCは27年以下であれば良いでしょう。

4.まとめ

アパート・マンションの建て替え時には、まずは市場環境調査を行って、入居者の「ここに住みたい!」を掴むことが大切です。また、メーカーや不動産会社が出してきた建て替え事業計画を比較するときには、「八策plus・one」が役立ちます。オーナー自らが「八策plus・one」の各項目を自分で計算して比較することで、建て替えを成功に導くことができるでしょう。

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