「【基礎から解説】建て替え・リノベの基礎知識と判断基準」内の、「アパートを建て替える」ケースを想定した事例集です。アパート経営において、収益力の落ちてきた古いアパートへの対策を考える際一般的に検討されるであろう問題や課題を、建て替えを通じてどのように解決可能かを想定事例を通じて分かり易く理解していただけます。ケース毎に「建て替え前後の家賃や入居率等の比較表」「建て替える事で発生するメリットやデメリット」等も掲載し、建て替え検討時に知りたい情報を取得し易く工夫しています。

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更新日
2024.08.14
カテゴリ
賃貸住宅の建て替え

【想定事例集】「アパートを建て替える」事例5つ

【想定事例集】「アパートを建て替える」事例5つ

経営するアパートの建て替えをめぐる想定事例集です。建て替える事でアパート経営の課題をどのように解決可能かわかります。

また、「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」を使えば、あなたの土地に合った、建築費の見積もり、収支計画の無料診断が可能です。
「アパートはいくらで建て替えられるの?」「建て替えと修繕の将来的な収益の差を知りたい」という方はご活用ください。

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STEP1
STEP2

1.空室が目立ってきた築35年のアパートを建て替えるケース

解決したい課題

なかなか入居者が確保できず空室が目立ってきたので空室をなくしたい。

想定解決策

ニーズに合わせ、駐輪場スペースを確保して建て替え、入居者へのアピール力を高める。

Before
before
After
after

<想定設定>
立地:埼玉県さいたま市大宮駅から徒歩10分圏内
築年数:35年

【表 建て替え前後アパート比較】
建て替え前 建て替え後
構造 木造 木造
延べ床面積 46坪 40坪
階数 2階建て(1K 6戸) 2階建て(1K 6戸)
家賃 5万円 8万円
入居率 33% 100%
年間家賃収入(実質) 120万円 576万円

<想定費用>
立ち退き費用:約60万円
解体費用:約138万円
建築費用:約2500万円
諸経費:約125万円
合計:約2,823万円

建て替えるメリット

  • 新築にすることで入居者募集をしやすくなる
  • 要望の多い駐輪場を設置できる間取りに変えられる

建て替えるデメリット

  • 建築費、解体費がかかる
  • 入居者が退去にすぐに同意しない可能性がある

建て替えるとどうなる?

アパートは築年数が古くなるほど修繕費が高くなっていきます。加えて最低限の修繕をしただけでは入居者アピールにはならず、年々下がっていく空室率を上げることが難しいです。
しかし、新築物件にすると入居者はかなり集めやすくなります。

さらに、駅との距離が徒歩10分~20分程度である等、自転車通勤のニーズが一定ある立地条件であれば、駐輪場を作ることで入居率を上げられる可能性が高いです。
駐輪場を設置し、より入居者のニーズに応えられるようにするとアピールしましょう。

建て替えには、建築費、解体費はかかりますがアパートローンを再度組むことが状況によっては可能です。
また、現在入居者がいるアパートであれば、立ち退きの同意をすぐには得られない可能性があるので、長期スパンで建て替えを考えることが重要です。

2.駅近で利便性の良い場所のアパートを建て替えるケース

解決したい課題

立地の良い場所にあるアパートなのだが築古になってきたこともあり、持て余している気がしている。

想定解決策

階数を増やし、店舗併用アパートに建て替え、立地の特徴を活かしきる。

Before
before
After
after

<想定設定>
立地:東京都中央区茅場町駅から徒歩5分圏内
構造:木造38年

【表 建て替え前後アパート比較】
建て替え前 建て替え後
構造 鉄骨造 鉄骨造
延べ床面積 26坪 44坪
階数 3階建て(1LDK 3 戸) 5階建て(テナント1戸+住居1LDK 4戸)
家賃 9万円 10万円(テナント部18万円)
入居率 66% 100%
年間家賃収入(実質) 216万円 696万円

<想定費用>
立ち退き費用:約54万円
解体費用:約104万円
建築費用:約3,500万円
諸経費:175万円
合計:約3,833万円

建て替えるメリット

  • 住居用だったアパートをテナント用に変えられるので収益アップが期待できる
  • 入居率を上げられる

建て替えるデメリット

  • 建築費、解体費用が必要
  • テナント経営はリスクもある

建て替えるとどうなる?

この物件は都心部の駅近で立地が良いので十分な店舗需要が見込めます。
そのため、人気がなく長年入居者がいない1階部分をテナントとして貸し出すことができる、店舗付きアパートに建て替える事を想定します。

テナント部分は入居者側で内装を行うので、基本的に家主側であまり工事をする必要がないので建築費が抑えられ、且つ家賃設定も住居より高めに設定できます。

さらに、収益アップのため5階建とすることで貸出戸数も増え、且つ新築にもなるので入居者が集まりやすくなるので、入居率の改善も期待できます。

テナント用にすることのデメリットは、空室リスクが住居用より高いということや、騒音などのトラブルが起きやすいということになります。より綿密な調査が事前に必要だと言えます。

3.都市部ではない場所のアパートを建て替えるケース

解決したい課題

アパートの修繕費がかかるわりに収益が増えない。このまま子供に相続するのが不安。

想定解決策

周辺環境からターゲットを絞り、アピールできる間取りに建て替える事で、収益性を上げる。

Before
before
After
after

<想定設定>
立地:茨城県下館駅から徒歩30分圏内(小学校や公園徒歩圏内)
築年数:34年

【表 建て替え前後アパート比較】
建て替え前 建て替え後
構造 木造 木造
延べ床面積 68坪 70坪
階数 2階建て(1K 8戸) 2階建て(2LDK 4戸)
家賃 3.5万円 7.5万円
入居率 25% 100%
年間家賃収入(実質) 84万円 360万円

<想定費用>
立ち退き費用:約48万円
解体費用:約204万円
建築費用:約3,600万円
諸経費:約180万円
合計:4,032万円

  • 修繕費が当面かからなくなる
  • 間取りを大幅に変えられる
  • 入居率を上げられるので相続税対策になる

建て替えるデメリット

  • 解体費用や建築費用など費用が一度にかかる
  • 入居者ターゲットに合わせた間取りにしないと満室にならないリスクがある

建て替えるとどうなる?

収益性の低いアパートをそのまま引き継ぐのも不安があるので、相続税対策も踏まえつつ収益性を上げる事を狙います。
ポイントは入居率の向上です。

入居率が向上する事で収益性が上がる事はもちろん、相続税※も安くなります。

この想定の様に駅からかなり遠く交通の便がいいとは言えない物件でも、小学校や公園が近くにあるなどの特徴を活かしたファミリー層向けの間取りに建て替えることで、入居率を上げることも可能かもしれません。

加えてファミリー層は長く入居する傾向があり、このようにファミリー層向けの2LDKに建て替える事で、長く安定した収益を得ることを目指すこともできます。
さらに、余っていた土地を入居者向けの駐車場として整えることで、駐車場の収益を狙う事も可能です。

また最近は外壁の素材等も大きく進化しており、建築会社にもよりますが、長期メンテナンス不要の外壁などを用いることで将来のメンテナンス費用や手間を抑える工夫を付加するという選択肢もあります。

この想定の様にターゲットを絞ることで解決策が出てくることは多いのですが、ターゲット層を間違えてしまうと満室にならないことも起こりえます。きちんと周辺調査を行うことがベストです。

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4.古くなった自宅をアパート併用住宅に建て替えるケース

解決したい課題

古くなった自宅を将来資産になるようにしたい。敷地の半分はほとんど使わず生活しているので勿体無い。

想定解決策

鉄骨造の3階建てのアパート併用住宅に建て替え、相続対策にもする。

Before
before
After
after

<想定設定>
立地:大阪府西宮駅から徒歩13分圏内
築年数:33年

【表 建て替え前後アパート比較】
構造 木造 鉄骨造
延べ床面積 40坪 60坪
階数 2階建て 3階建て(1K 4戸)
家賃 6.3万円
入居率 100%
年間家賃収入(実質) 302.4万円

<想定費用>
解体費用:約120万円
建築費用:約3,900万円
諸費用:約195万円
合計:4,215万円

建て替えるメリット

  • 賃貸併用住宅にすることで収益が得られるようになる
  • 税金対策になる
  • 耐震性能に優れた建物にすることができる

建て替えるデメリット

  • 建て替えにかかる費用が自宅を建てるよりかかる
  • 入居者が集まらないリスクがある

建て替えるとどうなる?

自宅をアパート併用住宅※にすると、アパート部分から収益が生まれるようになります。
アパート併用にすることで居住スペースは小さくなってしまうので、居住に建て替え前と同じ面積を求めていない場合に適しています。

厚みのある鉄骨造にすることで耐用年数を34年とすることができ、階数を増やすことで貸し出せる戸数を増やせるので、資産価値が高まります。更に賃貸部分は新たに34年間の減価償却※が可能となるので節税対策にも。

また1981年より前に建てられた建物は、新耐震基準に適応していない可能性が高く、耐震性能に不安がありますが、新築にすることで耐震性能を上げられると言えるでしょう。

建て替えにかかる費用や募集する入居者層などについては細かくシミュレーションや調査をし、リスクを最小限に抑える努力が必要です。

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5.リフォームか建て替えで悩みリフォームするケース

解決したい課題

アパートが古くなってきてリフォームが必要だが、建て替えとどっちがいいのか悩んでいる。もう少し収益源として確保したいが、アパート経営を子供の代まで続けたいとはあまり思っていない。

想定解決策

最低限のリフォームを施して入居率を上げる。

Before
before
After
after

<想定設定>
立地:広島駅呉駅から徒歩20分圏内
築年数:35年

【表 アパート詳細】
アパートの詳細
構造 木造
延べ床面積 72坪
階数 2階建て
家賃 5万円(1DK 8戸)
入居率 50%
年間家賃収入(実質) 240万円

<想定費用>

リフォームする場合
立ち退き費用:約120万円
リフォーム費用:約760万円(外壁塗装:200万円、水回り:560万円)※
合計:880万円

想定できる家賃アップ1戸15,000円

建て替える場合
立ち退き費用:約120万円
解体費用:約216万円
建築費用:約3,960万円
諸経費:約198万円
合計:4,496万円

リフォームするメリット

  • リフォームする箇所を絞り込むことで費用を抑えられる
  • 入居率アップが期待できる

リフォームするデメリット

  • 今後の修繕費がかからないわけではない
  • 新築物件よりアピール力がない

リフォームするとどうなる?

立地的に駅近であるかどうかなど入居者の需要があるかを検討することは重要です。
このケースは駅から近いこともあり需要が根強い事が想定されるので、現在の入室率は50%でも、外装と水回りをリフォームするだけで入居率を上げられると想定されます。

アパート経営を長い目で見て続けていきたいというのであれば、建て替えという選択肢は選ぶ価値がありますが、あと10年くらい入居率が上がればいいのであればリフォームをおすすめします。
相続税対策にアパート建て替えはかなり効果がありますので、「どう相続するか」が、重要な意思決定のポイントといえるでしょう。

最低限の支出にすると言えども、入居率がどれくらい上げられるか?家賃がどれくらい上げられそうか?をしっかり検討しましょう。

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