「土地・不動産の相続・税金対策関連記事、税金系」内の、「古いアパートの相続」について解説した記事です。古いアパートを相続したときに起こりがちな問題点を挙げ、事前にできる対策法を紹介します。相続税について詳しくシミュレーションするほか、相続後にすべきことについても触れている内容です。

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更新日
2023.07.19
カテゴリ
アパート経営, 記事

【徹底解説】古いアパートの相続の問題点とは?事前にできる対策と相続したらすべきこと

【徹底解説】古いアパートの相続の問題点とは?事前にできる対策と相続したらすべきこと

親世代がアパート経営をしている場合、いずれ訪れる相続に備えておくことが大切です。
古いアパートを相続すると、さまざまな問題が起こります。具体的には以下のような問題です。

事前の対策を施さなかった場合、これらの問題が噴出して最終的にはアパートを含む不動産を手放さなければならない事態に陥るかもしれません。

そこで、本記事では古いアパートを相続した際の対策について詳しく解説します。相続税の負担について分かるほか、相続したその後の選択肢についても紹介している内容です。

この記事のポイント まとめ

古いアパート相続の問題点は?

古いアパートを相続すると以下のような問題が起こる可能性があります。

  • 築浅アパートに比べ相続税が高くなる
  • 相続人が複数いるともめやすい
  • 売却しづらい

詳しくは「古いアパートの相続の特徴」でご確認ください。

すぐにできる古いアパート相続の対策は?

古いアパートの相続に備えて、ぜひやっておきたい対策があります。

  • 空室率改善対策をする
  • リフォームを検討する
  • 分割相続について話し合う
  • 生前贈与も検討する

それぞれの対策について「いまからできる古いアパートの相続対策」で紹介しています。

古いアパートを相続した後の選択肢は?

古いアパートの相続に選択はつきものです。以下のような選択肢が考えられます。

  • そのまま経営を引き継ぐ
  • 建て替える
  • 転用する
  • 売却する

選択肢についてはメリット・デメリットも含め「古いアパートの相続その後の選択肢」で解説しています。

1.古いアパートの相続の特徴

古いアパートは多くの場合で空室が増え、経営に問題を抱えている状態であることが少なくありません。まずは、古いアパートによく見られる特徴を解説します。

1-1.築浅アパートに比べ相続税が高くなる傾向

アパートなど賃貸住宅にかかる相続税額には、稼働している面積が影響します。相続税の計算に組み込まれるこの数値は賃貸割合といい、アパートの相続税評価額に稼働率(%)などをかけた額を評価額から差し引くため、賃貸割合が高いほうが評価額は低くなる仕組みです。

古いアパートでは空室率に苦心している物件が多くみられます。つまり、空室の目立つ古いアパートは満室の状態より相続税負担が重くなります。

1-2.相続人が複数いるともめやすい

相続財産に不動産が含まれている場合、分割相続でもめる可能性が高まります。
土地や建物は、分割すると活用しづらくなる傾向です。新たな活用をしたり建て替えをしたりするときには共有名義にした相続人全員の承認が必要になります。また、無理に分割して相続する場合、同じ価値にならずにもめたり、不動産の価値が下がったりすることもあります。

古いアパートの場合、相続人の中には経営を継ぎたくない、という人も出てくるかもしれません。古いアパートは経営の難易度が上がるため、不動産経営に心得がない人が経営を引き継ぐとなると二の足を踏むこともあるでしょう。

1-3.売却しづらい

古いアパートは、法定耐用年数が過ぎていることがほとんどです。
法定耐用年数が過ぎると建物の価値がゼロとみなされることもあり、購入する際のアパートローン借り入れがしにくくなるという特徴があります。そのため、買い手が付きにくくなり、売却が難しくなるという構図です。

古いアパートの売却を検討するなら、アパートの解体も視野に入れる必要があります。古い建物がある土地よりも、更地のほうが活用範囲が広がるためです。

2.古いアパートの相続税はいくら?

本章では古いアパートの相続税をシミュレーションしてみます。アパートを相続する際は、土地もセットです。双方合わせてどの程度の金額になるかを解説します。

2-1.アパートの相続税計算式

不動産の相続税計算には、相続税評価額を用います。土地の相続税評価額は、国税庁が出している路線価図・評価倍率表で知ることが可能です。土地の評価額を決める方法には2つの方式があり、以下のような計算で算出します。

<路線価方式>
土地の相続税評価額=路線価(平米当たりの単価)×土地の面積(平米)
(補正率をかける場合もあり)

<倍率方式>
土地の相続税評価額=固定資産税評価額×倍率(評価倍率表より)

※参考:国税庁「No.4602 土地家屋の評価

アパートなどの建物の評価額は、固定資産税評価額に1.0を乗じるため、固定資産税評価額と同額になります。

相続税は不動産のほか、金融資産など被相続人のすべての財産を合計して計算します。その際、相続財産から一定額を控除(基礎控除)した額が計算のベースとなります。基礎控除額は相続人の人数によって変動する仕組みです。

さらに、住宅用の不動産であったり、貸し付け事業用の不動産であったりする場合は、借地権割合や賃貸割合など評価額に相応の割合をかけて、課税価格を算出します。相続税の大まかな計算式は以下の通りです。

相続税額=(相続税評価額ー基礎控除額)×相続税率-控除額

2-2.古いアパートの相続税シミュレーション

空室率5割の古いアパートをそのまま相続したと想定して相続税のシミュレーションをしてみます。わかりやすくするために相続財産をアパートにかかわる不動産のみとして計算しているシミュレーションです。

<設定条件>

  • 土地の面積:90坪(300平米に換算)
  • 路線価:25万円/平米
  • 借地権割合:60%
  • 借家権割合:30%
  • 賃貸割合:50%
  • アパートの固定資産税評価額(相続税評価額):2,000万円
  • 相続人:子2人
  • 相続財産は不動産(アパート+土地)のみ

<相続税シミュレーション>
土地の相続税評価額:7,500万円=25万円×300平米
貸家建付地としての価額:6,825万円=7,500万円×(1-0.6×0.3×0.5)
小規模宅地等の特例適用後(200平米まで50%減額)の価額:4,572万7,500円
建物の相続税評価額:2,000万円
賃貸物件としての価額:1,700万円=2,000万円×(1-0.3×0.5)
合計の相続税評価額: 6,272万7,500円
課税価格:2,072万7,500円=6,272万7,500円-(3,000万円+600万円×2人)
相続税額:260万9,125円=2,072万7,500円×0.15(税率)-50万円(控除額)

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3.いまからできる古いアパートの相続対策

アパートでの相続対策は早め早めに動いておくことが大切です。貸家建付地として小規模宅地等の特例措置を受けるにはその建物でのアパート経営の実績が3年に満たないと適用されないなどの措置があります。
ここでは、事前に取り組んでおきたい古いアパートの相続対策を4つ紹介します。

3-1.空室対策をする

空室の増加は相続税の負担増につながる大きな問題です。例えば、空室がない場合と半分が空室の場合では、2,000万円の固定資産税評価額の建物で評価額の差が300万円にもなります。

空室率を改善するにはいくつか方法があります。

これらの方法であれば、費用の負担なく対策することが可能です。

3-2.リフォームを検討する

古いアパートは、修繕やリフォームを定期的、効果的に施すことで、寿命が延びます。相続税の観点から見ると、リフォームなどで出資をすることで金融資産を減らすことができるため、節税効果が期待できます。

ただし、古いアパートでのリフォーム出資でよく検討しておきたいのが費用対効果です。出資したリフォーム費用をアパート経営の収入で取り戻すことが難しくなった場合には建て替えを検討したほうがよいでしょう。

3-3.分割相続について話し合う

不動産の相続は平等に分割することが難しいため、争族の火種になりやすいといわれています。古いアパートなどが相続財産に含まれる場合には、事前に被相続人を交えて分割相続について話し合っておくことが大切です。

不動産の分割相続の方法にはいくつかあります。

代償分割 代償分割
一部の相続人が不動産を相続する場合、ほかの相続人に代償金を払って調整する方法
共有分割 共有分割
不動産を共有持ち分割合で分ける方法。不動産は共有名義となる。
現物分割 現物分割
複数の不動産を持っていたり、不動産と同等の金融資産などを持っていたりする場合にできる分割方法。
換価分割 換価分割
所有していた不動産を売却した利益を分割する方法。古いアパートがある場合は多くで更地にした後で売却する。

アパートを相続しておきたい場合に選ぶのは、代償分割、共有分割、現物分割です。それぞれにメリット・デメリットがあるため、選択の際にもよく話し合っておくとよいでしょう。

3-4.生前贈与も検討する

アパートを生前贈与しておくことも相続対策になります。

不動産の生前贈与の場合、相続時精算課税制度を利用します。
相続時精算課税制度は、贈与された財産に対する課税を相続時に精算する制度です。60歳以上の父母(または祖父母)から20歳以上の子(または孫)に対する贈与で利用できます。

この制度のポイントは、評価額が相続時ではなく贈与時の額で計算されるということです。例えば、近隣の開発が進み駅近物件になるなど、相続予定のアパートと土地の評価額が上がることが予想される場合などは、生前贈与でこの制度を利用すると節税できます。

4. 古いアパートを相続したらすべきこと

古いアパートを相続することになったら、相続人は直ちにそのアパートの経営状況を把握することが大切です。本章では、相続したら確実にしておきたいことを解説します。

4-1.経営状況を確認する

アパートを相続したらまず確認したいのは、建物の状態と経営状況です。
建物に修繕が必要な箇所はあるか損傷状況はどの程度かを確認し、修繕が必要な場合はその費用の支出に経営状態が見合っているかを確認します。

古いアパートを経営していた被相続人は、物件が古いだけに経営実績は豊富であったことが多いでしょう。絶妙なさじ加減で経営をしているケースも多く、相続したらそのまま続けられると判断するのは危険です。最悪のケースも想定して経営状態を把握することが大切です。

4-2.建て替えを検討する

古いアパートの経営はまだ経営者となって日が浅い相続人にとって難易度の高いチャレンジとなるのではないでしょうか。空室率の増加や修繕費用の負担など、築浅物件では頭を悩ませる必要のない問題に最初から向き合わなければなりません。

経営状況と建物の状態を把握して、難易度が高いと判断したら建て替えを検討します。建て替えを判断するポイントは以下の通りです。

これらのポイントにひとつでも当てはまる場合には建て替えを積極的に検討すべきといえます。

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4-3.管理会社とコミュニケーションをとる

アパート経営では管理会社との良好な関係性が欠かせません。経営を引き継ぐことになったら、まずすべきは管理会社との連絡です。

管理会社との契約名義の変更などの手続きのほか、問題点の共有もします。古いアパートの場合、出資を要する対応が必要になることもあるでしょう。
この際、管理会社との関係性を見直したいとなれば、新たに管理会社を探します。

4-4.経営を続けるか検討する

アパート経営を続けるかどうかを決めるタイミングは大きく2回あります。
一度目は、相続開始があったことが判明した日から3ヶ月までの期間です。相続放棄する場合は3ヶ月までにその旨を決めなければなりません。

二度目は相続後です。アパートを相続した当人が経営を続けられるかどうかを基準に判断します。
この際、4つの選択肢を検討するのが一般的です。この選択肢は次章で詳しく解説します。

5. 古いアパートの相続その後の選択肢

古いアパートの相続では、多くの場合でその後の経営継続かどうかを含めて検討します。ここでは、古いアパートの相続につきものの「その後」の選択肢について解説します。

5-1.そのまま経営を引き継ぐ

メリット
  • 相続税以外に大きなお金が動かない
  • 経営ノウハウを引き継ぎやすい
デメリット
  • 修繕費を含む維持管理費が高額になりやすい
  • 空室リスクが伴う
  • 経営の難易度が高い
  • 近い将来建て替え等の対応が必要になる

古いアパートであっても管理がしっかりしており、入居率が高い物件であれば経営をそのまま引き継ぐことになるでしょう。
ただし、経営状態の確認は必須です。確認後、改善を必要とする点が見つかったら、早急に対応します。

古いアパートの経営では、修繕費など維持管理費が高額になる傾向です。経営を続けるには修繕にかかる費用の確保が必要になります。

5-2.建て替える

メリット
  • 収益が上がる可能性が高い
  • 耐震性や耐久性が担保できるようになる
  • 法定耐用年数が振り出しになり減価償却費を計上できる
デメリット
  • 高額な費用がかかる
  • 立ち退き交渉が必要になる

古いアパートの経営は耐震性の問題や空室リスクなど、安定経営を脅かす問題に直面することが多くなります。アパート経営の実績がある立地では、建て替えがもっとも有効な選択肢に挙げられるでしょう。
老朽化したアパートを建て替えて新築アパートになれば入居率は上がり、収益性も上がります。また、その後の長きにわたって安定経営も見込めるでしょう。

ただし、初期費用の負担は少なくありません。ハウスメーカーに相談して、収支プランを提示してもらうなど、プロの意見を取り入れるのがおススメです。

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5-3.転用する

メリット
  • 自分に合った土地活用方法が選べる
  • 立地に合った土地活用を見直せる
デメリット
  • アパートの解体費用がかかる
  • 土地活用方法によっては収益性が下がる

アパートを解体して新しい土地活用を始めるのも選択肢の一つです。
古いアパートの場合、新築した当初と周辺の環境ががらりと変わっていることもあります。アパートの需要が以前と比べ低くなっている場合には、アパート経営以外の土地活用の検討もおススメです。

土地活用にはさまざまな種類があります。まずはプラン請求などを利用して、立地に最適な土地活用方法を知ることから始めるとよいでしょう。

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5-4.売却する

メリット
  • 売却益を得られる
  • 経営から解放される
デメリット
  • 買い手が見つからない場合がある
  • 土地を手放すことになる

相続したアパートが遠方にあったり、所有していても負担になったりする場合などには売却を検討します。ただし、古いアパートは建物が建っていると買い手がつきにくくなる傾向です。早期に売却したい場合は、建物を解体して更地にしたほうが売りやすくなるでしょう。

6.古いアパートの相続について相談できるハウスメーカーを選ぶポイント

古いアパートは空室や修繕費の負担増加など、経営に問題を抱えていることも少なくありません。そのような物件を相続する場合、次の手をしっかり検討しておくことが大切です。
老朽化するとアパートは空室率が上がることから、相続税そのものの負担も増えます。賃貸物件を相続する予定がある場合には事前にハウスメーカーに節税対策について相談しておくとよいでしょう。

アパート経営は相続税対策にも有効な手段です。アパート建築を得意とするハウスメーカーにも相続税対策に長けたメーカーがあります。こうしたメーカーに経営プランを請求し、プランを比較検討してみてください。最適な土地活用プランが見つかり、相続財産を守ることにつながります。

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