「アパート相続・経営関連記事、建築・建て替え系」内の、「築50年のアパートの建て替え判断基準」について解説した記事です。築50年アパートの建て替えかリノベーションかの判断ポイントについて解説しています。また、行動を起こすタイミングや費用の比較についても分かる内容です。

  1. HOME4Uオーナーズ
  2. お役立ち情報
  3. アパート経営・建築
  4. アパート経営
  5. 【徹底解説】築50年のアパートの建て替え判断基準|リノベとの費用比較

記事

更新日
2023.07.19
カテゴリ
アパート経営, 記事

【徹底解説】築50年のアパートの建て替え判断基準|リノベとの費用比較

【徹底解説】築50年のアパートの建て替え判断基準|リノベとの費用比較

築50年のアパートはどの躯体構造であっても減価償却が終わっています。所得税の負担増に加え、空室率がアップして収入減が続いている状態となっていることも多く、建て替えやリフォーム、リノベーションを検討する時期に来ているといえます。

そこでこの記事では、築50年を迎えるアパートの建て替えの判断基準や進め方について解説します。建て替えとリノベーションの費用の徹底比較もあり、判断材料としても使える内容です。
加えて、築50年アパートの相続対策についても触れています。経営継続時の参考としてぜひご一読ください。

また、以下のボタンから土地情報を入力すると、最大10社のハウスメーカーがあなたの土地に合った、建て替え総額の見積もりや、建て替え後の収益計画を無料診断いたします。
「アパートはいくらで建て替えられるの?」「建て替え後いくら儲かるかを知りたい」という方はご活用ください。

大手10社の建築費収益プランを一括比較!
STEP1
STEP2
この記事のポイント まとめ

築50年のアパートのその後の選択肢は?

築50年のアパートでは、以下のような選択肢を検討する必要があります。

  • 建て替え
  • リノベーション
  • 売却
  • 転用

詳しくは、「アパート築50年での選択肢とその判断基準」で解説しています。

築50年のアパートで行動を起こすタイミングは?

アパートをどうにかするために動き始めるタイミングには以下のような状況があります。

  • 空室率が5割を超えている
  • 維持管理費が高額になっている
  • 耐震性に不安がある

詳しくは「築50年アパートで行動を起こしたいタイミングは?」でご確認ください。

築50年のアパート相続の問題点は?

築50年のアパートをそのまま相続すると以下のような問題が起こります。

  • 相続税が高くなることがある
  • 現金納付に備えられない
  • 相続後の経営がうまくいかない

これらの詳細と対策については、「築50年のアパート相続の問題点」で解説しています。

1.アパート築50年での選択肢とその判断基準

アパート経営の大敵は空室です。築50年ともなると入居希望者から築年数だけで敬遠されることもあります。その問題を解決する方法は以下の4つです。

築50年アパートの問題点を鑑みると、現状維持という選択肢はまずありません。上記の方法を詳しく解説します。

1-1.建て替え

<判断ポイント>

メリット
  • 空室リスクが軽減する
  • 収入が増える
  • 相続税対策になる
  • 所得税対策になる
デメリット
  • 高額の費用が必要
  • 立ち退き交渉が必要
  • 収入がなくなる期間がある

築50年の物件の場合、上記のポイントにひとつでも当てはまれば建て替えを検討したほうがよいでしょう。特に新耐震基準(1981年6月~)以前に建てられた物件は、売却も難しくなるため建て替えるか更地にするかの選択になります。

建て替えでは、建物そのものが新しくなるため、所得税申告時に減価償却できるようになります。

1-2.リノベーション

<判断ポイント>

メリット
  • 空室リスクが軽減する
  • 収入が増える可能性がある
  • 建て替えほど費用がかからない
デメリット
  • 場合によっては高額な費用が必要
  • 立ち退き交渉が必要な場合がある
  • 構造によっては自由な設計ができない

築50年たつと建物の資産価値はゼロになりますが、鉄筋コンクリート造など頑強な躯体をもつアパートはリノベーションすることで魅力を増せることもあります。
リノベーションとは物件の価値を高める施工のことで、リフォームの一種です。

また、築50年を経過しているアパートの場合、周辺環境が著しく変化し、高さ制限や用途地域の変更などで建築規制が厳しくなり、同じ土地に同規模の建物が建てられないこともあります。
そうした場合は、リノベーションを選択します。大規模なリノベとなっても規模を縮小せずに済むことから、収益性を確保できる可能性があります。

1-3.売却

<判断ポイント>

メリット
  • キャピタルゲインを得られる
  • 管理の手間がなくなる
デメリット
  • 土地を失い、取り戻せなくなる
  • 売却後の収入がなくなる
  • 売却益に税金がかかる

築50年ともなると相続の問題を視野に入れるケースも多くなります。しかし、築古アパートの経営は非常に難易度が高く、代替わりがあだとなることも少なくありません。
その懸念がある場合に選択する方法が売却です。

ただし、築50年アパートは古い耐震基準で建てられている場合、そのまま売却できることはまれです。また、建物自体の資産価値がゼロとなっており、更地にしてからの売却も検討する必要があります。

1-4.転用

<判断ポイント>

メリット
  • 選択の幅が広がる
  • 自分に合った土地活用が選べる
デメリット
  • 解体費用がかかる
  • 他の土地活用の選択が難しい
  • 収益を取り戻すまでに時間がかかる

土地は手放したくないが、アパート経営はこれ以上続けられないといった場合に選択するのが転用です。

アパート経営をやめて更地のままで置いておくと土地にはアパート経営時よりも高い固定資産税がかかります。土地は所有しているだけでマイナスを毎年生む資産となるため、土地活用で収益性をつけておくのが賢明です。

しかし、土地活用の選択肢は多岐にわたります。
どの活用法がアパート跡地に最適か検討する際は「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」をご活用ください。さまざまなジャンルの土地活用専門会社が参画する一括プラン請求サービスで、所有地の条件や希望を入力することで最適な土地活用プランの提案を受けられます。

2.築50年アパートで行動を起こしたいタイミングは?

アパート築50年での選択を決断するタイミングは建物と経営の状態から判断します。

それぞれの状態について詳しく解説します。

2-1.空室率が5割を超えている

具体的に空室が全体の5割を超えている状態であれば、行動を起こすタイミングといえます。
建て替えやリノベーション、解体において入居者の立ち退きは不可欠です。立ち退きは、立ち退き料をもって交渉するのが一般的です。

立ち退き料は1戸あたり家賃5~6ヶ月分と言われています。つまり入居者が減った状態であれば、立ち退きにかかわる出費を抑えられ、交渉の手間も少なく済むでしょう。

2-2.維持費用が高額になっている

アパートの状態は維持し続けるためだけでも費用がかさみます。特に定期的なメンテナンスや修繕などは長期運用のためにも大切です。
しかし、これまでまめなメンテナンスと適切な修繕で維持してきた築50年アパートであっても、古くなればなるだけ維持するのが困難になっていきます。費用もかさみ、家賃収入から負担すると手残りはわずかという事態に陥るかもしれません。

維持費用が経営を圧迫するような状態になる前に手を打つ必要があります。アパート経営は常にリスクヘッジする姿勢が大切です。

2-3.耐震性に不安がある

所有するアパートの建築確認の日付が1981年5月以前であれば、多くの物件が旧耐震基準で建てられています。旧耐震基準では、震度6以上の地震でも損傷しない耐性を求められる新基準より耐震性に不安があるため、なんらかの措置をとる必要があります。

現在定められている耐震基準は建築基準法の改正以降のもので、さらに2000年にも改正があり木造家屋に対する基準が追加されました。

耐震性に不安があり、アパート経営を続けるとなると、選択肢は耐震補強工事を行うか建て替えるかの二択です。築50年を経過したアパートであれば、耐震診断後に耐震補強を選択するよりも建て替えを選択したほうが現実的と言えるでしょう。

3.【築50年アパート】建て替え×リノベ徹底比較

多くの場合、迷う選択肢としては、建て替えかリノベーションかとなるでしょう。ここでは、この2つを費用面で比較してみます。
現状のアパートの条件は以下の通りです。

  • 木造築50年
  • 建坪50坪
  • 2DK×8部屋
  • 家賃7万円/戸
  • 残債なし
  • 空室5割

3-1.建て替え費用シミュレーション

アパートを建て替えた場合の、建て替え費用とその後の収支について利回りを使ってシミュレーションします。

<建て替え費用>

  • 立ち退き費用:160万円=40万円(戸)×4部屋
  • 解体費用:400万円=4万円(解体坪単価)×100坪
  • 建築費用:8,500万円=85万円(軽量鉄骨造建築坪単価)×100坪
  • 建築諸費用:850万円=8,500万円×0.1(諸費用割合)

<収支シミュレーション>
家賃は新築になり、2万円アップの9万円を想定します。

  • 年収:864万円=9万円/戸×8部屋×12ヶ月(満室想定)
  • 支出:129万6,000円=864万円×0.15(経費率)

<利回り>

  • 約7.8%=(864万円-129万6,000円)÷9,350万円×100

アパート経営の利回りは5%以上が理想の数値です。
ローンの返済は約20年続きますが、同時に減価償却期間も19~27年続きます。

詳しいアパートの建て替え費用のシミュレーションが知りたい方は「HOME4U オーナーズ」を使えば、簡単な入力で建築費用見積を含む建築プランが手に入れられます。

3-2.リノベーション費用シミュレーション

価値を高めるためのアパートのリノベーションでも利回りを算出します。

<リノベーション費用>

  • 立ち退き費用:160万円=40万円(戸)×4部屋
  • リノベーション費用:8,000万円=1,000万円/戸×8部屋

<収支シミュレーション>
家賃は付加価値の高まりを受けて1万円アップの想定です。

  • 年収:672万円=8万円/戸×7部屋×12ヶ月(約8割回復想定)
  • 支出:134万4,000円=672万円×0.2(経費率)

<利回り>

  • 約6.7%=(672万円-134万4,000円)÷8,000万円×100

リノベーションの場合、築年数が古くなるほど想定しない費用がかかる可能性があります。一見新築状態に見えてもリノベーション物件は築年数が変わらないため、家賃アップは新築ほどには回復できないのが一般的です。

4.築50年のアパート相続の問題点

築50年のアパートを相続するとなると多くの問題が発生します。事前に対策をすれば回避も可能です。ここでは、築古アパートの相続の問題点と具体的な対策を解説します。

4-1.相続税が高くなることがある

土地活用の中でもアパート経営は、相続税対策として有効な手段です。しかし、築年数がたち、空室率が上がると建物の相続税評価額に影響を及ぼします。

相続税は被相続人から受け継ぐ資産の額によって納税額が決まります。土地を使って賃貸事業を行っていた場合、建物や土地に借家権割合や借地権割合などを掛け合わせるため、評価額が下がる仕組みです。

賃貸集合住宅の場合、これにプラス、賃貸割合を掛け合わせます。賃貸割合は、賃貸部分の床面積に対し、実際に賃貸状態にある面積の割合を表したものです。満室の場合は賃貸割合が100%となり、評価額が最大に下がることになります。
しかし、空室率が5割ともなると賃貸割合も50%となり、相続税評価額が上がります。場合によっては相続税評価額が大きくなり、相続税額が上がることもあるでしょう。

4-2.現金納付に備えられない

相続税は現金納付が原則です。相続財産の大半が不動産の場合、納税するための現金を用意しなければなりません。

築50年のアパートで収益性が落ちていても、立地が良い場合などは評価額が高くなり、相続税をアパートの収入だけでは賄いきれないこともあります。

相続税対策は現金納付に備えることも含まれます。アパートの収入があまり期待できない場合、相続人が自らの資産などを用意するかアパートと土地を売却して納税額を用意しておく算段をしておかなければなりません。

4-3.相続後の経営がうまくいかない

個人経営の場合、相続によって築50年のアパート経営を引き継ぐことになります。個人経営では、先代はうまくいっていたにもかかわらず、代替わりした途端、経営が傾くということもよくある話です。これは、経営のノウハウの引き継ぎがうまくなされなかったことによる結果といえるでしょう。

さらに、築50年ともなるとアパート自体に多くの問題を抱えていることがほとんどです。初心者である相続人がいきなり難易度の高い経営に直面するとなれば、失敗するのは道理とも言えます。

4-4.築古アパートの相続対策は?

築古アパートを相続すると相続人には多くの困難が降りかかります。しかし、事前に対策することで土地を守りながら収益を上げ、スムーズに相続することも可能です。

築古アパートの相続対策は大きく4つの手段があります。

この4つのうち、売却と相続放棄は土地を手放すことになります。相続放棄は売却が難しい場合の手段です。また、複数の相続人で分割協議が難航した場合にも相続放棄が選ばれます。

土地を守りたいときは建て替えか転用を検討します。建て替えは費用が掛かりすぎる場合はいったん更地に戻し、初期費用がかからない土地活用に転用するといった形です。
一方、相続対策の建て替えでは、借入金も相続財産となるため、財産を減らすことで大幅な節税効果も見込めます。

アパート経営で相続対策を検討している方は「HOME4U オーナーズ」を使えば、最大10社から相続対策を含む収支プランが手に入れられます。

5.築50年アパートの建て替えの進め方

アパートの建て替えは以下のような流れで進めます。

  1. プラン検討と決定
  2. 立ち退き交渉と退去手続き
  3. 解体工事
  4. 工事請負契約~着工
  5. 完成~入居開始

建て替え計画は3~4年を見積もっておきます。

5-1.プラン検討と決定

まずは建て替えのプランを検討することから始めます。
複数社からプランを取り寄せ、希望が叶うプランとなっているかなどを比較検討します。比較には一括プラン請求サービスの活用がおススメです。会社が違えば、得意とする部分も異なるため、どのプランが所有地に最適か見極めやすくなります。

5-2.立ち退き交渉と退去手続き

プランと依頼会社を決定した後は実際に、建て替えに向けて動くことになります。
まず手掛けなければならないのは立ち退き交渉です。立ち退きの流れは以下のように進めます。

  1. 立ち退きの経緯を書面で伝える
  2. 口頭で立ち退きについて説明する
  3. 立ち退き料の交渉をする
  4. 退去手続き

立ち退きは裁判に発展することもあるため、慎重に進めます。依頼するハウスメーカーや管理会社に相談しながら進めるとよいでしょう。

5-3.解体工事

退去が済んだら、解体工事の着工です。木造アパートの解体費用は坪当たり4~5万円で、鉄骨造は6~7万円、鉄筋コンクリート造では7~8万円と言われています。

建て替えの場合、新しいアパートを建築するハウスメーカーに解体工事会社のあっせんを依頼すると安心です。解体工事や新築工事では、周辺への配慮が欠かせません。解体時にあまりにも心証を悪くすると新築工事にも影響があるため、連携の取れている会社同士に依頼するのが賢明といえるでしょう。

5-4.工事請負契約~着工

解体工事が終了次第、新築工事に着工します。解体工事を請け負う企業が新築工事を請け負う企業の関連の場合は、工事請負契約は解体工事前に行うこともあります。

アパート建築にかかる期間はおおよそ4~5ヶ月です。
工事費の支払いに関しては、契約時に3分の1、着工時に3分の1、竣工時に残りとなるのが一般的です。

5-5.完成~入居開始

竣工前から新築物件の入居者募集を始め、完成と同時に入居者開始となるのが理想です。

また、賃貸住宅需要の増える時期に合わせて竣工できるよう計画をすると、部屋が埋まりスムーズなスタートを切れます。具体的には2月末から3月中旬が理想の時期です。

6.築50年のアパートについて相談できるハウスメーカーを選ぶポイント

アパートが築50年にもなり老朽化すると、建物自体をどうすべきかの選択に迫られるのが一般的です。そのまま経営を続けるのはリスクが大きく、建て替えるか、大規模リフォームするか、他の土地活用に転用するか、売却するかなどの検討を始める必要があります。

具体的な将来性を検討材料にしたい場合は、プロへの相談が賢明です。さまざまな可能性を考慮して、立地に合った最適な決断の手助けを得られるでしょう。プロへの相談には「HOME4U オーナーズ」をご活用ください。

さまざまな実績をもつ大手ハウスメーカー、土地活用会社が参画する一括プラン請求サービスで、複数の企業の建築プラン、土地活用プランを比較検討できます。

比較検討の際、

といったポイントで比較すると最適な企業との縁が見つかります。

お気に入り
このページをシェアする

この記事のカテゴリトップへ

ご意見・ご要望

当サービスについてご意見・ご感想などお寄せください。サービス改善に役立ててまいります。

This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.