アパートの相続手続きは、それぞれの工程に期限があるため、正しい順番で適切に手続きを行う必要があります。この記事では、そもそもアパートを相続すべきか売却すべきかの判断基準からスタートし、相続するとしてその後の手順やコツ、節税方法、必要書類について詳しく解説します。

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更新日
2024.02.14
カテゴリ
アパート経営

【徹底解説】アパートを相続する際の手順とコツ

【徹底解説】アパートを相続する際の手順とコツ

アパートの相続手続きは、それぞれの工程に期限があるため、正しい順番で適切に手続きを行う必要があります。
この記事では、そもそもアパートを相続すべきか売却すべきかの判断基準からスタートし、相続するとしてその後の手順やコツ、節税方法、必要書類について詳しく解説します。

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STEP1
STEP2
この記事のポイント まとめ
アパートを相続すべきか売却すべきか

アパートを相続するか売却するかは、それぞれのメリット・デメリットを検討した上で判断しましょう。
以下は、相続と売却それぞれのメリットをまとめたものです。

【アパートを相続するメリット・デメリット】
メリット デメリット
  • 相続税評価額が安くなる
  • 経営が上手くいけば安定した家賃収入を得られる
  • 経営のノウハウを実地で身につけられる
  • 本業をしながらのアパート経営する場合はハード
  • 地方は地価の下落リスクが高い
  • 相続人同士でトラブルになるリスクがある
【アパートを売却するメリット・デメリット】
メリット デメリット
  • すぐに現金を手に入れられる
  • 継続的なメンテナンス代が不要になる
  • 値下がりリスクを回避できる
  • アパートの状態によっては買い手がつかないリスクがある
  • 売却自体に費用がかかる
  • 売るタイミングを間違えると大きな損をする

詳しくは「1. アパートを相続すべきか売却すべきか」でご確認ください。

アパート相続の流れ

アパートの相続は、以下の6ステップで行います。

【アパート相続の流れ】
必要な手続き 場所 期限
1.遺言書の有無を確認する
  • 貸金庫
  • 書斎
  • 公証役場
  • 法務局
なるべく早く
2.遺産と債務を確認する 関係する金融機関等 2ヶ月までを目安に
3.相続放棄や引き継ぎ方法を決める 話し合いの場 3ヶ月以内
4.準確定申告を行う 税務署 4ヶ月以内
5.名義変更を行う 法務局 なるべく早く
(相続登記の期限は3年以内になる予定)
6.相続税の申告と納税を行う 税務署 10ヶ月以内

詳しくは「4.アパート相続手続きの流れ」でご確認ください。

【事例】アパートの分割相続の方法を2パターン紹介

アパートなど不動産はそのものを分割するのは難しく、以下の2つの方法がとられることが一般的です。

  • 代償分割
  • 換価分割

詳しい分割方法は「5.【事例】アパートの分割相続の方法を2パターン紹介」でご確認ください。

1. アパートを相続すべきか売却すべきか

アパートの相続が発生した際に、まずは「アパートを相続するか、売却するか」を決めましょう。
相続か売却かは、アパートの状態や相続人の状況によって変わりますが

結論、

アパートを相続した際に「黒字が多いか」、「赤字が多いか」を見極めて判断

できるとよいでしょう。

その上でアパートを相続した場合と売却した場合のメリット・デメリットを以下で、それぞれ紹介しています。
ご自身の状況に照らし合わせながら、相続すべきか売却すべきかを判断してください。

1-1.「アパートを相続する」メリット・デメリット

「アパートを相続する」メリット・デメリットは以下の通りです。

【「アパートを相続する」メリット・デメリット】
メリット デメリット
  • 相続税評価額が安くなる
  • 経営が上手くいけば安定した家賃収入が得られる
  • 経営のノウハウを実地で身につけられる
  • 本業をしながらのアパート経営をする場合はハード
  • 地方は地価の下落リスクが高い
  • 相続人同士でトラブルになるリスクがある

特に、

  • すでに経営経験・スキルがある方が相続する
  • 立地が人気や注目が集まっている場所のアパートを相続する

場合は相続しても経営が容易にできる可能性があります。

1-2.「アパートを売却する」メリット・デメリット

一方、「アパートを売却する」メリット・デメリットは、以下の通りです。

【アパートを売却するメリット・デメリット】
メリット デメリット
  • すぐに現金を手に入れられる
  • 継続的なメンテナンス代が不要になる
  • 値下がりリスクを回避できる
  • アパートの状態によっては買い手がつかないリスクがある
  • 売却自体に費用がかかる
  • 売却のタイミングを間違えると大きな損をする

特に、

  • 経営初心者、経営スキルに自信がない方
  • 経営リスクが大きい(田舎で集客に強い不安がある 等)

の場合は売却を強く検討すべきでしょう。

2. アパートを活用した相続税の節税方法について

アパート経営を活用した「相続税」の節税対策は、主に以下の3種類です。
いずれも事前に準備しなければなりません。
早めの検討をお勧めします。

【アパートを活用した相続税の節税方法】
方法 概要
相続税評価額を下げて、節税をする方法
  • 土地や建物を賃貸し、相続税評価額を下げる
  • 小規模宅地等の特例を適用する
生前贈与をして節税をする方法
  • 毎年の基礎控除枠等を活用する
あえてローンを組んで節税をする方法
  • 借入金は相続した財産からそのまま差し引かれるので、課税対象額が減る

アパート相続の節税方法について詳しく知りたい人は、併せて以下の記事をご覧ください。

3. 相続をスムーズに行うために知っておくべきコツ

相続をスムーズに進めるためのコツは、大きく

  1. 事前にしっかり準備をする
  2. 専門家の手を借りる

の2つです。

3-1.事前にしっかり準備する

多くの節税対策は相続発生前に開始しなければなりません。
また、資産の目録作成や権利関係の書類の在処等は、お亡くなりになられた後では調査が困難な場合も多く、苦労されやすいポイントです。

相続に向けて事前に準備しておくと、スムーズ度合いが大きく変わります。

3-2.専門家の手を借りる

相続は、手続き期限がある一方、税金や法律が絡むので素人には分かりづらくて手続きも煩雑なので、多くの方が専門家の支援を何らかの形で受けながら手続きを進めています。

多少報酬を払っても、専門家の手を借りる事をおすすめします。
(例えば税理士報酬の相場は、遺産総額の0.5~1%前後)

手続きの内容毎に支援を受けられる専門家も異なってきますので、相続する遺産の規模や中身に合わせて、どの手続きを任せるか判断しましょう

【自分で行える手続きか、専門家に相談するべきかの早見表】
手続き 自分にできるか
銀行預金の
相続手続き
  • ちょっと面倒だけど自分でできる
  • 司法書士か行政書士に依頼することも可能。
不動産の
相続手続き
自分でもできるが、司法書士に依頼する人が多い
相続税の
申告手続き
  • 自分でやるのはかなり大変。
  • 税理士へ依頼するのがおすすめ

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4. アパート相続手続きの流れ

アパート相続は、主に以下のステップで行うことが一般的です。

<図 アパート相続手続きの基本的な流れ>

【主要な相続手続きと手続き可能な場所・期限の一覧】
必要な手続き 手続きが可能な場所 期限
1.遺言書の有無を確認する
  • 貸金庫
  • 書斎
  • 公証役場
  • 法務局
なるべく早く
2.遺産と債務を確認する 関係する金融機関等 2ヶ月までを目安に
3.遺産分割協議をし、相続放棄する等判断する 相続人同士の話し合いの場 3ヶ月以内
4.準確定申告を行う 税務署 4ヶ月以内
5.名義変更を行う 法務局 なるべく早く
(相続登記の期限は3年以内になる予定)
6.相続税の申告と納税を行う 税務署 10ヶ月以内

それぞれの手続きについて、以下にまとめました。

4-1.遺言書を確認する

相続が発生したら、最初に確認するべきことは遺言書の確認です。
下記の表で、誰がどこで、いつまでに行うべきかをまとめました。

【遺言書の確認を、誰がどこで、いつまでに行うのか】
誰が どこで いつまでに
相続人
(子や孫)
  • 貸金庫
  • 書斎
  • 公証役場
  • 法務局
なるべく早く

遺言書とは、被相続人(他界した人)の生前の意思で遺産の分割方法を指定できる書面のことを指します。

遺言書があれば、原則として遺言書に従って遺産を分割します。
遺言書の中にアパートを引き継ぐ人が指定されていれば、その指定された人がアパートを相続します。

よくある遺言書の形式は、以下の2種類です。

  1. 公正証書遺言:公証役場に保管されている
  2. 自筆証書遺言:貸金庫や書斎、もしくは被相続人が生前付き合いのあった弁護士や税理士等が保管している

2020年の制度改正で、自筆証書遺言も法務局に保管できるようになりました。この場合、開封時の家庭裁判所の検認は必要ありません。

4-2.遺産と債務を確認する

遺言書の有無を確認した後に行う手続きは、「遺産と債務の確認」です。
下記の表で、誰がどこで、いつまでに行うべきかをまとめました。

【資産と債務の確認を、誰がどこで、いつまでに行うのか】
誰が どこで いつまでに
相続人
(子や孫)
関係する金融機関等 2ヶ月までを目安に

相続税を計算するために、全ての資産と債務の確認をします。

アパートの相続が発生する場合、相続税を節税するために被相続人(他界した人)がわざとローンを残すこともあり、資産だけではなく負債もしっかり確認しましょう。
物件が複数ある場合には、どのローンがどの物件に紐づいているのかも確認する必要があります。

4-3. 遺産分割協議をし、相続放棄する等判断する

遺産と債務の確認をした後に行う手続きは、「遺産分割協議をし、相続放棄する等の判断をする」です。
下記の表で、誰がどこで、いつまでに行うべきかをまとめました。

【遺産分割協議・相続放棄を誰がどこで、いつまでに行うのか】
誰が どこで いつまでに
相続人や受遺者 相続人同士の話し合いの場 3ヶ月以内

相続人が複数いて、遺言書がないor遺言書通りに相続すると都合が悪い場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合うのが「遺産分割協議」です。

遺言書があれば基本それに従いますが、アパート等の不動産は分割しにくい事もあり、相続人同士で協議し、「不動産を全部譲る代わりに現金を多めに相続する」等、後々のトラブルを避けるような配分にしておくことが賢明です。

話し合いの内容は書面で残します。
これを「遺産分割協議書」と呼び、法的な有効性があります。

また、「相続放棄」とは、相続の権利を全て放棄することです。
被相続人(他界した人)の遺産がプラスの資産よりもマイナスの債務の方が大きい場合に主に利用されます。
協議の結果、例えば親の事業を継いだ相続人に事業所を全て相続させるために他の相続人が相続放棄する様なケースも多々あります。

遺産分割協議は相続税の納付期限である10ヶ月後までに行えばいいのですが、相続放棄は、相続開始があったことを知った日から3ヶ月以内の手続きが必要です。
なので本記事では、「3ヶ月以内」に両方の判断を行う事をお勧めしています。

4-4.準確定申告を行う

特にアパートをはじめとする賃貸物件の絡む相続の手続きにおいて、遺産分割協議や相続放棄の確定をした後に行う手続きは「準確定申告」です。
下記の表で、誰がどこで、いつまでに行うべきかをまとめました。

【準確定申告を誰がどこで、いつまでに行うのか】
誰が どこで いつまでに
相続人のうち代表者 税務署 4ヶ月以内

相続財産にアパートが含まれている場合、被相続人が収益を得ていることが多いため準確定申告を行う必要があります。

準確定申告とは、被相続人が他界した年の1月1日から他界日までの所得に関する確定申告のことです。
準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

4-5.名義変更を行う

準確定申告後に行う手続きは、「名義変更」です。

下記の表で、誰がどこで、いつまでに行うべきかをまとめました。

【名義変更を誰がどこで、いつまでに行うのか】
誰が どこで いつまでに
アパートを相続した人 法務局 なるべく早く
(相続登記の期限は3年以内になる予定)

アパート経営を引き継ぐには名義変更(相続登記)が必要です。
名義変更の方法には、主に以下の3種類があります。

【名義変更の方法】
方法 詳細
法定相続 法定相続割合で共有のまま名義変更すること。
アパートを売却し、相続人間で現金で遺産を公平に分けたい場合は法定相続を選択。
遺言による
分割
遺言書がある場合はその指示に従う。
遺産分割協議
による分割
相続後に相続人間で遺産の分割方法を決める話し合いのこと。
「遺言書がなく法定相続以外の方法で分割したい場合」や「遺言書があっても遺言書とは異なる方法で分割したい場合」に行う。

また以下のように、変更方法によって必要な書類が異なります。

【遺産分割方法ごとの名義変更に必要な書類一覧】
方法 必要書類
法定相続
  • 被相続人の出生から死亡に至るまでの継続した全ての戸籍謄本等
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • 相続関係説明図(任意)
遺言による
分割
  • 遺言者の死亡事項の記載のある除籍謄本
  • 遺言により相続する相続人の住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • 受遺者の戸籍謄本
  • 相続関係説明図(任意)
遺産分割協議
による分割
  • 遺産分割協議書(相続人全員自署・実印押印・印鑑証明書添付)
  • 被相続人の出生から死亡に至るまでの継続した全ての戸籍謄本
  • 被相続人の除住民票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • 相続関係説明図(任意)

遺言書が自筆証書遺言で自宅などに保管していた場合には、法務局に提出する前に、家庭裁判所による検認が必要となります。
検認とは、家庭裁判所による遺言書の存在および内容の確認のことです。ただし、法務局保管の場合は検認の必要はありません。

書類を揃えたら名義変更を行います。

名義変更が終わったら、新所有者として以下の手続きを行います。

【名義変更後の手続き】
概要 注意点
契約承継の
手続き
  • 入居者にオーナー変更のあいさつ
  • 家賃支払いにかかる変更手続き
  • 賃貸借契約の内容の確認
アパートを誰が引き継ぐか決まるまでの間の家賃は相続人全員の共有物になる
金融機関の
手続き
ローンを引き継ぐ場合、ローンの名義を変更 アパートローンの審査を改めて受けることになる
管理会社の
手続き
管理会社の契約変更手続き 併せて契約内容の見直しも行う。経営状態が芳しくないなら管理会社の変更も検討
保険などの
各種契約の
手続き
  • 保険契約の変更手続き
  • 新たな保険契約の締結
契約者の名義が故人のままの場合、いざというときに保険金が支払われないという事態に

4-6. 相続税の申告と納税を行う

相続税の納税義務のある人は、相続税の申告と納税を行います。
相続税の申告と納税の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。

ただし、10ヶ月以内というのは必ずしも十分な時間ではないことから、法定申告期限から5年以内であれば後から申告内容を修正できる「更正の請求期限」というのが定められています。

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5. 【事例】アパートの分割相続の方法を2パターン紹介

相続人が複数いて、アパートなどの不動産が相続財産に含まれる場合、平等に分割して相続するのは難しくなります。主にとられる手法は以下の2つです。

  • 代償分割
  • 換価分割

この章では、上記のアパート分割相続方法について紹介します。

5-1.パターン1:代償分割でアパートを1人が相続する

代償分割1人の相続人がアパートの全ての権利を引き継ぐ方法です。
引き継いだ相続人が、他の相続人に対して現金などで相続の相応額を分配します

この方法を選択すれば、故人の遺したアパート物件を所有し続けられます。
この方法が向いているのは以下のようなパターンです。

  • 代償金を用意できる
  • 収益物件を引き継ぎたい相続人がいる

5-2.パターン2:換価分割でアパートを売却する

相続人が管理できないなどの理由でアパート物件を必要としない場合に選択されるのが換価分割です。
アパートを売却することで得た現金を相続人で分配します。

この方法が向いているのは以下のようなパターンです。

  • 相続人に経営管理できる人がいない
  • 土地の評価額の変動でトラブルになる可能性がある

ただし、売却には手数料や譲渡所得税がかかることがあり、分配金が目減りする可能性があります。
相続税の分配についてのコツはこちらの記事で詳しく解説しています。

6. 相続したアパートを経営する際の3つの注意点

相続したアパートを経営するときの注意点は以下の3点です。

  1. 管理会社と十分にコミュニケーションを取って、現状を把握する
  2. 返還敷金および修繕費を確保しておく
  3. 残積なども考慮しながら建て替えも検討する

一番避けたいことは、相続したアパートが空室や、物件状態の悪さによって赤字が続いてしまうことです。
空室リスクを下げて安定した家賃収入を得るために、「魅力のある住環境」を整えたアパートにできるよう、十分な資金を確保しておくことが重要です。

また、相続で引き継いだアパートでは、今の入居者から敷金を預かっていることになり返還敷金および修繕費を確保しておくことが必要です。

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