「アパート相続・経営関連記事、建築・建て替え系」内の、「築30年のアパートの選択肢」について解説した記事です。築30年のアパートが抱える状況と建て替えかリフォームかの判断ポイントについて解説しています。いずれの選択肢にもかかわる立ち退きについても触れている内容です。

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更新日
2024.08.01
カテゴリ
アパート経営, 記事

【徹底解説】築30年のアパートは建て替え?リフォーム?判断基準と収支シミュレーション

【徹底解説】築30年のアパートは建て替え?リフォーム?判断基準と収支シミュレーション

アパートが築30年を迎えるころは、アパートローンを完済し、老朽化が目立つ状態になっているのが一般的です。修繕にも費用がかさむようになり、建て替えかリフォームかの選択に悩むオーナーは多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、築30年のアパートの建て替えか、リフォームかの判断基準について詳しく解説します。
それぞれの選択肢での収支の見通しについてもわかる内容です。築30年を迎えたアパートのその後の決断のヒントとしてぜひご一読ください。

また、「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」を使えば、あなたの土地に合った、建築費の見積もり、収支計画の無料診断が可能です。
「アパートはいくらで建て替えられるの?」「建て替えと修繕の将来的な収益の差を知りたい」という方はご活用ください。

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この記事のポイント まとめ

築30年のアパートはどうすればいい?

アパートが築30年となったとき、以下のような選択肢を検討する必要があります。

  • 建て替え
  • リフォーム
  • 売却
  • 現状維持

詳しくは、「アパート築30年での選択肢とその判断基準」で解説しています。

築30年のアパートを建て替える判断基準は?

アパート建て替えの判断基準には以下のようなものがあります。

  • 法定耐用年数を過ぎた
  • 空室率が5割超となっている
  • 維持費用が高額になっている
  • 耐震性・耐久性に不安がある

そのほか建て替えのメリットデメリットについても「アパート築30年での選択肢とその判断基準」でご確認ください。

建て替え時の立ち退き料はいくら?

立ち退き料の相場は

  • 家賃の5~6ヶ月分
  • 40万~80万円程度

のどちらかと言われています。詳しくは、「建て替え・リフォーム時の立ち退き料」で解説しています。

1.築30年アパートの問題点

アパートローンを完済して息をついたのもつかの間、新築から30年を経過するとアパート経営のところどころに陰りが見えてくるようになります。
ここでは築30年のアパートが抱える、よくある問題点を解説します。

1-1.修繕費が増加する

アパートは、おおよそ10~15年で大規模修繕の時期を迎えると言われています。
アパートの大規模修繕は、初回では100万~300万円の費用が必要です。費用は回数を重ねるごとに高額になり、老朽化が進めばそれだけ修繕の費用対効果が低くなります。

築30年ともなると大規模修繕を2~3回経験し、修繕だけでは物件の魅力を取り戻すことができなくなってくる時期と言えるでしょう。

1-2.空室が目立つようになる

アパート経営最大のリスクは空室リスクです。
築30年を迎えるころには、新築当時最新だったデザインや間取り、設備も古さを感じるようになり、一度退去すると次の入居者が見つかるまで時間がかかることもあります。
空室が目立つようになると家賃の値下げなどの空室対策が求められます。

また、アパート周辺の環境にも変化があるかもしれません。環境変化に伴いニーズが変化すると、いくら家賃を下げても入居者が見つからないという事態も起こります。その場合、建て替えやスケルトンリノベーション以外の対応策は難しいといえるでしょう。

1-3.構造によって税負担が増える

アパート経営の所得税申告では、建物の減価償却費を計上できます。
減価償却は本来支出していない費用を経費として計上できるため、所得税の節税効果があります。

しかし、アパートの減価償却は法定耐用年数に基づいて構造ごとに期間が決まっており、木造では22年、鉄骨造では19~34年です。
築30年アパートの大半は減価償却期間が終わって、以前に比べ所得税負担が増えている状態になっています。空室が増えて収入が減ったにもかかわらず、所得税負担は増えているということもあるでしょう。

1-4.耐震性や耐久性が不安視されるようになる

アパートの耐用年数は構造別に法定耐用年数が設定されていますが、これは本来の寿命よりも短く設定されています。適切なメンテナンスや修繕を行うことで、法定耐用年数より長く維持することが可能です。

しかし、経年劣化する箇所もあります。築30年ともなると配管などに劣化がみられるようになり、修繕には多額の費用がかかります。

また、本来は耐震性を維持していても、入居者が築古アパートの耐震性を不安視して敬遠することも考えられます。

2.アパート築30年での選択肢とその判断基準

アパートの築年数が30年となった頃は、経営のてこ入れが必要な時期でもあります。ここでは岐路に立たされた築30年のアパート経営における選択肢を4つ紹介します。

以下で詳しく解説します。

2-1.建て替え

<判断ポイント>

メリット
  • 空室リスクが軽減する
  • 収入が増える
  • 相続税対策になる
  • 所得税対策になる
デメリット
  • 高額の費用が必要
  • 立ち退き交渉が必要
  • 収入がなくなる期間がある

アパートの建て替えは、築30年のアパートが抱える問題を根本からすべて解消できる方法です。
古いアパートを取り壊して新築アパートを設けることで、資産価値が上がり、収入が上がる見込みがあります。

また、一から建て直すことで建物の減価償却期間も一からのスタートです。もし、数年後の売却も視野に入れている場合、減価償却期間(法定耐用年数)が残っているほうが売却しやすくなります。

2-2.リフォーム

<判断ポイント>

メリット
  • 空室リスクが軽減する
  • 収入が増える可能性がある
  • 建て替えほど費用がかからない
デメリット
  • 場合によっては高額な費用が必要
  • 立ち退き交渉が必要な場合がある
  • 構造によっては自由なリフォームができない

築30年でも構造によっては躯体の耐久性は十分確保できるため、それを生かしてリフォームにとどめるという選択肢もあります。近年は、リノベーションなども盛んで、アパートでも大規模なリノベーションが見られるようになりました。

リフォーム・リノベーションは元の一部を活用するため、建て替えよりも費用が少なくできるのがメリットです。スケルトンリノベーションでは間取りの変更が可能になることもあります。
ただし、構造によっては施工会社が対応できないことや、水回りの変更が難しい場合があるなど、建て替えのような自由度はありません。

2-3.売却

<判断ポイント>

メリット
  • キャピタルゲインを得られる
  • 管理の手間がなくなる
デメリット
  • 土地を失い、取り戻せなくなる
  • 売却後の収入がなくなる
  • 売却益に税金がかかる

アパート経営を続ける意思がない場合やその土地を保有するメリットを感じない場合は売却を選びます。

築30年ともなると経営の難易度は増すため、子に相続したいと考えていても拒否されることもあり得ます。遠方に暮らしている場合には管理の難しさから拒否されることもあるでしょう。
また、その土地に執着することなく、築30年のアパートと土地の売却益で他の不動産投資を始めることも考えられます。

ただし、売却時に資産価値が下がっている築30年のアパートは売りにくくなるのが一般的です。その場合、更地にして売却をしなければならないこともあります。

2-4.現状維持

<判断ポイント>

メリット
  • 最小限の修繕費で済ませられる
  • 収入が途絶えることがない
デメリット
  • 収益性を改善できる可能性は低い
  • いずれ他の選択肢を検討しなければならない
  • 修繕費は以後膨れ上がっていく

現状の経営状態に十分満足している場合の選択肢が現状維持です。
適切な時期に修繕とメンテナンスを施すことで、順調経営を続ける道を選びます。

ただし、新築から時間を経過すればそれだけ、入居希望者が現れにくくなります。入居希望者は、物件情報の中でも築年数を重視する傾向です。築30年もたっている物件となれば、それだけで敬遠する理由になります。

現状維持で経営を続ける場合には、長期入居を促すような工夫や経営努力、適切なメンテナンスが不可欠です。

3.築30年アパートの収支シミュレーション

築30年アパートの選択肢のうち、建て替え、リフォーム、現状維持の3方法の収支シミュレーションをしてみます。
現状のアパートの条件は以下の通りです。

  • 木造築30年
  • 建坪50坪
  • 2DK×8部屋
  • 家賃8万円/戸
  • 残債なし
  • 空室5割

3-1.建て替えた場合

アパートを建て替える場合、経営の指針となるのは利回りです。ここでは、建て替え費用を試算した上で、利回りを計算します。

<建て替え費用>

  • 立ち退き費用:160万円=40万円(戸)×4部屋
  • 解体費用:400万円=4万円(解体坪単価)×100坪
  • 建築費用:8,000万円=80万円(建築坪単価)×100坪
  • 建築諸費用:800万円=8,000万円×0.1(諸費用割合)

<収支シミュレーション>

  • 年収:768万円=8万円/戸×8部屋×12ヶ月(満室想定)
  • 支出:115万2,000円=768万円×0.15(経費率)

<利回り>

  • 約7.4%=(768万円-115万2,000円)÷8,800万円×100

アパート経営の利回りは5%以上が理想の数値です。この場合、リスク対策にも取り組める安定経営になるといえます。

詳しいアパートの建て替え費用のシミュレーションが知りたい方は「HOME4U オーナーズ」を使えば、簡単な入力で建築費用見積を含む建築プランが手に入れられます。

3-2.リフォームした場合

築30年経過したアパートをリフォームするとなると、規模が大きくなるのが一般的です。また、ただリフォームするのではなく、価値を高めるためのアパートのリノベーションも考えられます。
今回は間取り変更を伴うリノベーションを想定して試算します。

<リノベーション費用>

  • 立ち退き費用:160万円=40万円(戸)×4部屋
  • リノベーション費用:5,600万円=700万円/戸×8部屋

<収支シミュレーション>

  • 年収:672万円=8万円/戸×7部屋×12ヶ月(約8割回復想定)
  • 支出:134万4,000円=672万円×0.2(経費率)

<利回り>

  • 約9.6%=(672万円-134万4,000円)÷5,600万円×100

リノベーション費用を分母として利回り計算してみました。支出を鑑みた利回り計算では上記の建て替えよりも良い数値を出しています。

しかし、両方の計算には減価償却費が組み込まれていません。建て替えの場合、経費には以後22年間減価償却費が計上できます。
また、リノベ物件は新築ほど家賃設定を高くできないことにも注意が必要です。

3-3.現状維持

現状維持の場合は建築費用の減価償却は済み、残債もないことが想定されることから利回り計算はできません。以下、収支シミュレーションをしてみます。

<収支シミュレーション>

  • 年収:384万円=8万円/戸×4部屋×12ヶ月(5割維持)
  • 支出:76万8,000円=384万円×0.2(経費率)
  • 収支:307万2,000円=384万円-76万8,000円

経費は築年数が古くなるほど高くなる傾向です。

また、相続時に空室率が高いと相続税評価額が高くなり、節税効果が低くなります。相続を想定している場合は、現状維持よりも建て替えやリフォームで空室率を改善するほうがよいでしょう。

4.建て替え・リフォーム時の立ち退き料

アパートを建て替えする際は、入居者に立ち退きを同意してもらうため交渉しなければなりません。また、リフォームも規模によっては立ち退きが必要になります。
ここでは、アパートの立ち退き料と交渉について解説します。

4-1.アパート立ち退き料の相場

賃貸住宅の立ち退きには正当な事由が求められます。建て替えやリフォームによる立ち退きは正当な事由とするには弱く、立ち退き料をもって交渉を進めるのが一般的です。

過去の判例から、立ち退き料の相場は

のどちらかとされています。

立ち退き料は以下の費用を補償するもので、これに迷惑料が含まれています。

もし、オーナーが他の賃貸物件を持っている場合には転居先を確保する、原状回復を求めないなどすると立ち退き料を抑えることが可能です。

4-2.立ち退きの進め方

立ち退きは誠実な姿勢で交渉することが求められます。最低でも立ち退きの半年前には書面での通達が必要です。以下、流れをまとめました。

立ち退きの流れ

実際の立ち退きは、

  1. 立ち退きの経緯を書面で伝える
  2. 口頭で説明をする
  3. 立ち退き料や条件などの交渉をする
  4. 退去手続き

の流れで進めます。

5. 築30年のアパートについて相談できるハウスメーカーを選ぶポイント

築30年のアパートは減価償却も終わり、老朽化がすでに始まっている状態といえます。
建て替えか、リフォームか、もしくは現状維持か、選択は難しく決断しにくいと感じるかもしれません。

そのようなときは「HOME4U オーナーズ」をご活用ください。建て替え実績豊富なハウスメーカーが多数参画する一括プラン請求サービスで、建て替え判断の相談も可能です。
相談先は

といった基準で選ぶと安心です。建て替えでは規格化アパートを採用することで工期が短縮するメリットがあります。

建て替えプランの比較検討に「HOME4U オーナーズ」をご活用いただけば、スムーズな建て替えとその後長期的な安定経営の道筋が見つかります。

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