この記事ではマンション解体費用相場と試算シミュレーションについて解説しています。
マンションの解体費用は、躯体の構造によって変わってきます。
- 鉄骨造(S造)…一坪あたり約35,000円
- 鉄筋コンクリート造(RC造)…一坪あたり45,000円
- 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)…一坪あたり60,000円
解体費用は、主に5つの内訳で構成されています。
- 仮設工事費
- 解体工事費
- 廃棄物処分費
- 整地費
- 諸経費
解体費用が上がってしまう諸条件として以下の4つがあります。
- マンションの立地
- アスベストを使用している
- 地中埋設物の撤去が必要
- 廃棄物や残置物の量が多い
詳しくは「2.マンションの解体費用の内訳」をご覧ください。
マンションの解体費用を抑える方法として、次の3つがあります。
- 解体業者の繁忙期を避ける
- 廃棄物や残置物を自分で処分する
- 自治体の補助金を活用する
詳しくは「4.マンションの解体費用を抑える方法」をご覧ください。
マンションを解体する際の注意点として次の3つを解説しています。
- 業者に現地調査へ来てもらう
- 見積もりの内容をしっかり確認する
- 建て替える予定があるのなら住宅会社にも相談しておく
詳しくは「5.マンションを解体する際の注意点」をご覧ください。
1.マンションの解体費用の相場は?
マンションの解体費用は、下記の通りです。
鉄骨造(S造) | 一坪あたり 70,000円ほど |
---|---|
鉄筋コンクリート造(RC造) | 一坪あたり 80,000円ほど |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 一坪あたり 100,000円ほど |
建物の解体費用は、一般住宅に用いられる木造のように比較的やわらかい構造でできている建物は安くなります。
一方でマンションに多くみられる構造である「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」「鉄骨鉄筋コンクリート造」のようにより強度性のある建物は高くなります。
柱や梁などに重量鉄骨を使用している鉄骨造マンションの場合、解体費用の相場は一坪あたり約70,000円が相場です。
1-1.鉄筋コンクリート造(RC造)の相場
柱や梁、床、壁などが鉄筋とコンクリートで施工される鉄筋コンクリートマンションの場合、解体費用の相場は一坪あたり約80,000円が相場です。
1-2.鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の相場
鉄骨の柱の周りに鉄筋を組み、さらにコンクリートを打ち込む頑強な構造の鉄筋コンクリートマンションの場合、解体費用の相場は一坪あたり約100,000円が相場です。
2.マンションの解体費用の内訳
解体費用は、主に5つの内訳で構成されています。
それぞれの割合は次の通りです。
2-1.仮設工事費
仮設工事費とは、解体工事を行う前の準備のためにかかる費用です。
仮設工事費に含まれる作業は主に以下の通りです。
- 防塵・防音のための養生シートを設置する
- 足場を組む
- 敷地をゲート付きのフェンスで囲う
- 重機を入れるための敷鉄板を設置する
- 仮設トイレを設置する
- 仮設水道、電気などを埋設する
解体業者によっては「養生費」という項目で計上しているケースもあります。
2-2.解体工事費
解体工事費は、解体作業そのものにかかる費用です。
基礎解体、内装解体、上屋解体といった細かい項目に分かれます。
解体費用のうち3~4割を占め、手間がかかればその分費用も増える、内訳の中でも変動が大きい費用と言えます。
2-3.廃棄物処分費
廃棄物処分費は、マンションの解体時に出る大量の木屑や金属くずなどを処分するために必要となる費用です。
解体費用全体の4~5割を占めるほど費用がかかります。
廃材の種類ごとにしっかりと分類して効率よく処分を進めていかなければ、たちまち費用が増えてしまいます。
ただ不用意に安く済ませようとした場合には、処分会社が不法投棄をしてしまう可能性もあるため、値下げ交渉には注意が必要となります。
2-4.整地費
建物の解体が完了した後の整地費もかかります。
解体後に敷地内に残った細かな建材の破片などを拾い集めて処分したり、拾いきることが難しい破片の場合は土そのものを入れ替えたり混ぜ合わせたりする作業です。
敷地を解体後にどう活用するかによっても整地の方法が変わってきます。
2-5.諸経費
その他の諸経費としては次のようなものがあります。
- 家具や電化製品の撤去・処分費用
- 自治体などでの諸手続き費用
家具や電化製品などは産業廃棄物とは異なり一般廃棄物です。
解体業者が一般廃棄物の処理・運搬を別の会社に委託しているケースもあります。
また、解体に伴い自治体などに以下のような各種届出や手続きが必要になり、費用が発生します。
- 解体工事届出
- 道路使用許可申請・道路占用許可申請
- ライフラインの停止
- 建物滅失登記申請
- 工事中使用した水道の停止
自分で手続きを行えばかからない費用もありますが、業者に代行してもらうと手数料を支払うことになります。
2-6.解体費用の増加に影響する諸条件
解体費用が上がってしまう諸条件として以下の4つがあります。
- マンションの立地
- アスベストを使用している
- 地中埋設物の撤去が必要
- 廃棄物や残置物の量が多い
2-6-1.マンションの立地
解体工事費は、解体するマンションの立地によっても大きく変動することがあります。
たとえば建物が密集する地域に建つマンションなら、道が細く重機が入れなかったり、近隣家屋への影響が懸念されたりするなどの理由から、全て手作業で行うことになると当然費用が上がります。
2-6-2.アスベストを使用している
1975年以前の建築に断熱材として用いられたアスベストは処分が複雑になるため費用が上がりやすいです。
アスベストは、発じん性(粉じん発生率または飛散率)を基準に、下記のように主に3つのレベルに分類されます。
レベルによってはアスベスト処分費が大幅に高くなることもあります。
レベル | 種別 | 法の規制対象か否か |
---|---|---|
レベル1 | 吹付け石綿(石綿含有吹付けパーライト、石綿含有吹付けパーミキュライト《ひる石》を含む)など | 「特定建築材料」として規制対象 ※種別ごとに作業基準あり |
レベル2 | 石綿含有断熱材(石綿含有保温材、石綿含有耐火被覆材)など | 「特定建築材料」として規制対象 ※種別ごとに作業基準あり |
レベル3 | 石綿含有仕上塗材、石綿含有成形版(石綿含有下地調整材を含む)など | 「特定建築材料」として規制対象 ※種別ごとに作業基準あり |
参考:国土交通省「アスベストの飛散性・非飛散性とレベル1〜3の整理」
2-6-3.地中埋設物の撤去が必要
水道管などの配管類や井戸、地中杭の撤去が必要な場合には別途費用が上乗せされます。
また、解体する建物以前のコンクリート躯体が埋設されたままのケースもあるため注意が必要です。
その場合、見積もり時点では判明していないことがほとんどのため、土地の履歴をある程度把握しておき、埋設物がある可能性を業者に伝えておくとよいでしょう。
2-6-4.廃棄物や残置物の量がかなり多い
解体工事で出た廃棄物や残置物の量が想定以上に多いと費用を上乗せされることがあります。
また、建て替え時によくあるケースに残土の処理があります。
必要のない残土の処理にも費用が発生するため注意が必要です。
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3.解体費用の試算シミュレーション
マンションの解体費用を坪数、構造別にシミュレーションします。
3-1.3階建てマンションの解体費用
【設定条件】
- 3階建てマンション
- ワンルーム12戸
- 建坪30坪(延べ床面積90坪)
- 敷地面積70坪
鉄骨造(S造) 坪単価70,000円想定 |
鉄筋コンクリート造(RC造) 坪単価80,000円想定 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 坪単価100,000円想定 |
---|---|---|
90坪×70,000円= 630万円 |
90坪×80,000円= 720万円 |
90坪×100,000円= 900万円 |
3-2.5階建てマンションの解体費用
【設定条件】
- 5階建てマンション
- ワンルーム20戸
- 建坪30坪(延べ床面積150坪)
- 敷地面積70坪
鉄骨造(S造) 坪単価70,000円想定 |
鉄筋コンクリート造(RC造) 坪単価80,000円想定 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 坪単価100,000円想定 |
---|---|---|
150坪×70,000円= 1,050万円 |
150坪×80,000円= 1,200万円 |
150坪×100,000円= 1,500万円 |
それぞれのシミュレーションはあくまで目安です。立地環境や築年数、敷地内の状況によって解体費用に違いが出てきます。
4.マンションの解体費用を抑える方法
マンションの解体費用を抑えるための方法として、主に以下の3つがあります。
- 解体企業の繁忙期を避ける
- 廃棄物や残置物を自分で処分する
- 自治体の補助金を活用する
4-1.解体業者の繁忙期を避ける
費用をできる限り抑えるには、解体工事が多いといわれる12月~3月を避けるのがおすすめです。
解体業者の繁忙期に工事を依頼すると、オフシーズンに比べて解体費用総額が高額になることがあります。
解体費用の多くは人件費が占めており、繁忙期の人材不足を解消すべく職人を新たに手配するとなれば、人件費がかさんでしまうためです。
4-2.廃棄物や残置物を自分で処分する
解体で出る廃棄物や残置物は、量が増えれば処分・運搬費用も増えてしまうため、自身で処分できるものは対処しておきましょう。
廃棄物や残置物をあらかじめ処分しておけば、少なからず工期の短縮につながり、費用の削減もできます。
4-3.自治体の補助金を活用する
自治体によっては、近年問題になっている空き家対策の目的もあり、解体工事を対象とした補助金制度を設けていることがあります。
そのほかにもブロック塀の解体撤去への助成など、さまざまな補助金もあります。
自治体にどのような補助金があるか自分で確認するとともに、解体をする会社やハウスメーカーにも尋ねてみましょう。
5.マンションを解体する際の注意点
マンションの解体工事を依頼する際に注意しておきたいポイントは次の3つです。
- 業者に現地調査へ来てもらう
- 見積もりの内容をしっかり確認する
- 建て替える予定があるのなら住宅会社にも相談しておく
5-1.業者に現地調査へ来てもらう
解体工事の見積もりは、建物の形状や周辺の状況といった現地調査を基にして作成してもらいます。
そうすることで、より実態に近い予算と工期がわかります。
また、解体工事の方法や工法は、解体現場の現況によって最適なものを選ぶ必要があり、それによって予算額も大きく変わります。
適正な解体費用を算出してもらうためにも、解体業者には事前に足を運んでもらい、現地調査をしてもらうことが必須です。
5-2.見積もりの内容をしっかり確認する
現地調査を基に提案してもらった見積もりでは、どのような工法で、どれぐらいの費用がどのような内訳でかかるのかをしっかり確認します。
特に、近隣への粉じん飛散や騒音を抑える養生シートの有無をチェックします。
養生シートの費用は高額ですが、これが不十分であると後々大きなトラブルに発展する可能性もあるため、リスク回避のためにもしっかりとした対策をしてもらいましょう。
さらに、解体で出る産業廃棄物処分の費用が適切であるかどうかも入念にチェックします。
見積もりで不自然な要素がないかしっかり確認することが大切です。
5-3.建て替える予定があるのなら住宅会社にも相談しておく
マンション解体後に建て替えを検討している場合は、建築会社に解体のことも含めて相談することをおすすめします。
解体工事と建築工事を同じ企業に依頼すれば、相談の窓口がひとつになり、手間や時間が省けます。
解体から建築へスムーズに移行できるほか、近隣への対処や解体後の整地に至るまでワンストップでお任せできるといったメリットがあります。
特に近隣への対処は、解体時から一貫して細やかに配慮することで、新たなマンションを建築した後も近隣の理解が得やすくなります。
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