大規模修繕の必要性や、大規模修繕にかかる費用と具体的な工事内容、修繕を行う時期、修繕費用を抑える方法など、アパートの大規模修繕について詳しく説明しています。

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更新日
2024.07.23
カテゴリ
アパート経営, 記事

【徹底解説】アパートの大規模修繕費用の相場はいくら?費用の目安と実施時期

【徹底解説】アパートの大規模修繕費用の相場はいくら?費用の目安と実施時期

そろそろ大規模修繕を行う必要があるのではないかとお考えのアパートオーナーに向けて、大規模修繕を行うメリットや、大規模修繕をしないことで起こりうるリスク、大規模修繕にかかる費用や具体的な工事内容、修繕を行う時期など、費用の削減方法も踏まえて詳しく説明していきます。

序 1分で分かる!記事要約

  1. アパート修繕は大きく分けて3つあります。大規模修繕・小規模修繕・原状回復について簡単に解説。
  2. アパートの大規模修繕は、一般的に10年~15年に一度のペースで行います。修繕の内容と大まかな費用を理解して、失敗しないアパート経営を目指しましょう。
  3. 大規模修繕を検討しているなら、まずは専門家に相談してみましょう。

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詳しい解説は以下

1.大規模修繕とは?アパート修繕の基礎知識

アパートの修繕は建物の劣化を防ぎ、快適な居住環境と資産価値を維持するために行います。
実際にどのような工事が行われるのか、見ていきましょう。

1-1.アパート修繕の種類

「修繕」とは、建物の部材や設備の経年劣化、または外的要因による不具合が生じた際に、修理・取り換えを行うことによって部材・設備を支障なく使用できる状態まで回復させることをいいます。

工事の規模や内容によって「大規模修繕」「小規模修繕」「原状回復」の3つに分けられます。
それぞれの修繕の、大まかな内容について説明していきます。

1-1-1.大規模修繕

建物の劣化を防ぎ、資産価値をできるだけ長く維持するために行われる工事のうち、大規模で工事費が高額かつ、工期が長期間にわたるものが「大規模修繕」です。

最初の大規模修繕は築10年前後が目安とされ、外壁や鉄部の塗装、屋上防水、給排水管の取り換えなど、長期修繕計画にもとづいて行います。

1-1-2.小規模修繕(予防修繕・補修)

「小規模修繕」とは、設備に不具合が生じた際の修理、共用部分の電球の交換、水漏れなどの修繕、災害により損傷を受けた場合の保険対応工事、屋外の緑化工事など、必要に応じて適宜行う、小規模な工事のことです。

雨漏りする前にコーキングを打ち替えたり、シロアリ予防のために薬剤を散布したりという工事も行うため「予防修繕」ともいわれます。

1-1-3.原状回復

「原状回復」とは、入居者が退去したタイミングで、室内をきれいな状態に回復させることです。
具体的には、クロスやフローリングの張り替え、畳の表替え、網戸の張り替え、水回りの消毒やハウスクリーニングなどがあります。

2.大規模修繕の5つのメリット

オーナーが大規模修繕を行うことで、5つのメリットが得られます。

  1. 美観や設備改善により空室対策となる
  2. 安全性が向上し不要な事故を防止できる
  3. 物件としての資産価値を維持できる
  4. 居住者の快適性・満足度を上げて退去率を下げる
  5. 建物の耐久性を維持し収益不動産としての稼働年月を上げる

それでは、上記について詳しく見ていきましょう。

2-1.空室対策になる

築年数がたち、建物が老朽化するに従って「古い」「汚い」というイメージが先に立ち、アパートの空室は増えていきます。
大規模修繕によって十数年に一度、外壁や鉄部の塗装(さび止め)、内装や古くなった設備の更新を行うだけでも、建物の美観は十分に維持できます。

特に近年、インターネットで物件情報を収集する方が増えたこともあり、内見数が大幅に減少しています。
第一印象で選ばれるためには、築年数の古い建物にありがちなネガティブな第一印象を払拭することが大切だといえるでしょう。

2-2.不要な事故を防げる

建築基準法にのっとって建築した建物であっても、築年数がたち、老朽化するにともない、さまざまな危険が生じます。

  • 外壁材の剥離、落下による事故
  • さび・腐食による階段や屋外手すりの破断
  • シロアリの食害や木部の腐食、鉄骨接合部のさびや緩み、コンクリートのひび割れなどによる、躯体の強度低下

上記は一例ですが、大規模修繕を行うことで危険を早期発見し、事故を防止することにつながります。

2-3.資産価値を維持できる

かつて、日本の住宅の平均寿命は30年程度といわれてきましたが、現在では建物の寿命は格段に長くなっています。
理由として、建築資材や施工技術の進化による建物の耐久性や断熱性の向上が挙げられます。

新しい技術は随時更新されているため、定期的な修繕を行うことで建物の劣化を防ぐだけでなく、質を高め資産価値を長く維持することが可能なのです。
物件の資産価値は賃料や売却する際の売却額にも影響するため、大規模修繕を行うことは結果として物件の収益性アップにつながります。

2-4.退去率を下げられる

夏は日射で暑く、冬は隙間風で寒くてたまらない。
防音性が低く、上階の足音や隣室の話し声が丸聞こえ。
設備が古く、使い勝手が悪い。
セキュリティーに不安がある。

このような理由で、転居を考える人もいるかもしれません。しかし、これらはすべて大規模修繕によってある程度改善できる問題です。

長く住んでもらうためには「古くなったから家賃を下げる」のではなく、定期的な大規模修繕で入居者が求める住環境を整備し、満足度を高めていくことが重要です。

2-5.稼働年月を上げられる

大規模修繕によって建物の寿命が長くなれば、建物を物理的に維持できる期間も長くなります。

アパート経営は長期的な安定収入を得ることが1つの目的であり、そのメリットを実感できるのはローンの返済を終えたあとになります。
耐久性の低いアパートでは30年とたたないうちに建て替えが必要になり、オーナーは再びローンを抱えることになります。

アパートの収益性向上には、大規模修繕で建物の耐久性を高め、稼働年月を上げることが重要です。

3.大規模修繕を行わない5つのリスク

次に、大規模修繕を行わなかった場合に起こりうる5つリスクは以下の通りです。

  1. 外観の老朽化による入居者からの拒否
  2. 物件の安全性の保持が難しくなり事故につながる可能性がある
  3. 賃借人の満足度が下がり退去率が上がる
  4. 物件の資産価値が下がる
  5. 物件の耐久性の低下、設備の老朽化などによりさらに費用が増大する

3-1.老朽化で入居率が下がる

インターネットで物件探しをする現代において、老朽化した外観はそれだけでふるいにかけられてしまいます。

そのため、退去が出ると空室を埋めるのが難しくなり、家賃収入は減少し、修繕に費用をかけることがますます難しくなるという悪循環に陥ります。

3-2.事故につながる危険性がある

外壁材が剥離して落下し、入居者や通行人・車両に損傷を与えたり、手すりが破断して人が転落したり、鉄骨の廊下やベランダが腐食により崩壊したりするなど、老朽化は建物の安全性を損ない、時に人の命を奪うような事故を招きます。
自然災害が発生した際には、被害の拡大も懸念されます。

3-3.退去率が上がる

古くても家賃が安ければよいというわけではなく、多くの方は設備や外観、安全性も重視します。
そのため、建物の老朽化が進むと空室が埋まらなくなるだけでなく、退去率も上がります。

老朽化したアパートは退去が増えると同時に入居付けも難しくなるため、賃借人の満足度の低下はオーナーの収入減少に直結します。

3-4.資産価値が下がる

同じ築年数でも、定期的なメンテナンスを行うのと行わないのとでは、20年後・30年後の資産価値が大きく異なります

資産価値の低い物件は維持していくことも売却することも難しく、収益性が上がらないため建て替えも困難で、アパート経営そのものが暗礁に乗り上げるおそれがあります。

3-5.収税費用が増大する

小まめなメンテナンスを行うことで、雨漏りや水漏れなどのリスクは事前に防ぐことができます。
しかし、放置すれば雨漏りや水漏れによって建物内部に湿気がたまり、鉄部のさびや木部の腐食の原因となり、大掛かりな修繕が必要となります。

このような理由から、大規模修繕を後回しにすることで結果的に修繕にかかる費用が増大することになります。

4.大規模修繕を行う箇所と費用目安

国土交通省が公表している「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」では、1LDK木造アパートの長期修繕計画イメージは、以下のようになっています。

【修繕時期 修繕内容 費用】
5~10年目 ベランダ、階段、廊下の塗装
室内設備の修理
排水管の高圧洗浄
約9万円/戸
11~15年目 屋根、外壁の塗装
ベランダ、階段、廊下の塗装
給湯器の修理・交換
排水管の高圧洗浄
約64万円/戸
16~20年目 ベランダ、階段、廊下の塗装
室内設備の修理
給排水管の高圧洗浄・交換
外構の修繕
約23万円/戸
合計 約216万円/戸

出典:「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」国土交通省より

10戸のアパートなら一棟あたり2,160万円、20戸なら4,320万円になります。
大規模修繕の具体的な内容について、もう少し詳しく見ていきましょう。

4-1.屋根

屋根は10~15年をめどに塗装を行います。費用は平米あたり2,000~3,000円、陸屋根の場合は防水工事の費用として平米あたり8,000~10,000円程度です。

20年を超えると、屋根のふきかえが必要になる場合もあります。この場合、最低でも100万円以上はかかると考えておいてください。
雨どいの交換も、屋根工事とあわせて行います。1戸あたり数千円程度です。

4-2.外壁

外壁も屋根と同様、10~15年で塗装を行います。
平米あたり2万円程度で塗装できますが、安い塗料は塗り替え頻度が増すため、長期的にみるとかえってコストアップになる場合もあります。

サイディングの継ぎ目からの雨漏りを防止するため、コーキングの補修も必須です。増し打ちなら平米あたり数百円、打ち替えでも1,000円前後です。

タイル張りの外壁であれば塗装は不要ですが、タイルが浮いてくると剥離につながるため、8~10年程度で目地の点検・補修が必要です。1カ所あたり数百円程度です。

4-3.設備

設備機器の修繕はいろいろありますが、5~10年程度で行うのは軽いメンテナンス程度でそれほど費用はかかりません。

しかし、25~30年になると交換の必要な設備も多くなるため、機器代を含め1戸あたり十数万円から、アパート全体で数百万円になる場合もあります。

では、具体的な工事の内容を説明していきます。

4-3-1.電気設備

電力幹線の容量不足解消、配電盤や電灯、コンセントの修繕・交換のほか、共用部分のLED照明の交換なども大規模修繕で一斉に行います

幹線設備の改修では、古いケーブルの劣化が激しい場合には撤去して新しいケーブルに交換しますが、そうでない場合は既存ケーブルを一部再利用して、電気容量を上げることもできます。
オール電化への変更も、大規模修繕のタイミングで行います。

4-3-2.機械設備

・給排水設備

排水管は5~10年ごとに高圧洗浄による修繕を行い、給水管や排水管は継ぎ手部分を中心に25~30年ほどで交換を検討します。

機器類に関しては適宜修繕を行い、給湯設備は10年程度、浴室設備等は25年程度で交換を行います。

・空調設備

機器類は適宜修繕を行い、空調機器・換気設備については15年程度で交換を行います。

各住戸のエアコンについては定期的にクリーニング・修理を行い、10年を超えたら交換を検討してもよいでしょう。

・ガス設備

ガス設備は4年に1度以上の頻度で点検することが法律で決まっています。

ガス配管については耐用年数が15年~30年ですので、その周期で交換を検討しましょう。
オール電化からガス併用やオールガスに変更する場合も、大規模修繕のタイミングにあわせて行うとよいでしょう。

・その他機械設備

エレベーターは1年ごとの法定点検と定期的なメンテナンスを行うことにより、耐用年数を超えて使用することが可能です。
20~25年程度で交換などのリニューアルを検討してください。

消火器・消火栓・自動火災報知設備などの消防設備は、消防法の定めにしたがって点検を行います。
消火器は設置から10年、屋内消火栓は18~20年、自動火災報知設備は10~20年が交換の目安となります。

4-4.その他

ベランダや屋外階段・廊下に関しては、5~10年ごとに鉄部を塗装し、10~15年程度で防水工事を行います。排水の状況も適宜チェックしてください。
このほか、エントランスなど共用部分の建具の調整も10年に一度は行います。

屋外フェンスの修理・交換、駐車場・駐輪場のアスファルトやコンクリートのひび割れなど、外構部分の修繕も25~30年目の大規模修繕工事で実施します。

敷地の規模にもよりますが、全体で100万円以上は準備しておくようにしてください。

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5.大規模修繕に適した時期(周期)とは

アパートの大規模修繕は、10~15年に1回という頻度で行われることが多いです。

窯業系サイディングやスレート屋根の塗装の寿命が10年くらいであるため、そのあたりで補修をする必要があるのです。

外壁がタイルやモルタル、サイディングでも金属系・樹脂系を採用している場合には、メンテナンスの時期を数年先延ばしにしても問題ありません。
ただし、寿命の長い外壁材でもコーキング・目地の補修は10年ごとに行う必要があります。

屋根に関しても、スレートではなく金属系や瓦屋根を採用するのであれば、メンテナンス時期をもう少し遅らせることができるでしょう。

建築時に安価な材料を使うほど大規模修繕の周期は短くなると、覚えておいてください。
そのほか、設備などの修繕に関しては、大規模修繕のタイミングに合わせて専門技術者が点検を行い、必要に応じて補修を行います。

6.大規模修繕の費用を抑える7つの方法

大規模修繕費用を抑えるための7つの方法

大規模修繕にかかる費用を節約することはできるのでしょうか?
やるべき工事をしないというのは好ましい選択肢ではありませんが、考え方ひとつで費用を抑えることは可能です。
具体的な7つ方法は以下となりますので、詳しく見ていきましょう。

  1. 入居者審査を確実に行う
  2. 不具合が発生する前に、定期的に修繕を実施する
  3. 修繕費用も計画に入れた建築プランを採用する
  4. できるだけまとめて工事をする
  5. 建物診断を実施する
  6. 管理会社に任せきりにしない
  7. プラン作成は複数の会社に依頼する

6-1.入居審査を行う

建物の寿命の長さは、住まい方によって長くなることもあれば短くなることもあります。
汚す・壊す・不具合を放置するなど、使い方が雑な入居者が入ってしまうと、建物の老朽化は一気に加速します。

6-2.定期的に修繕する

例えば、ちょっとした雨漏りでも放置すれば天井や壁全体にシミが広がります。湿気で柱や梁の腐食が進めば、建物の耐久性が低下します。

こうなってしまうと、構造の補強など大掛かりな工事が必要になるため、かなりの費用がかかります。
被害が大きくなれば修繕費用も大きくなるため、雨漏りしていなくても屋根や外壁、サッシまわりのコーキングに劣化がみられる場合には補修するなど、日頃から点検と小規模修繕は小まめに実施するようにしてください。

6-3.修繕費用も考慮した建築プランを採用する

アパートの住戸数や面積・階数が大きいほど、修繕にかかる費用も大きくなります。
使用する建築材料によっても、修繕が必要なタイミングや1回の修繕にかかる費用は異なります。

初期費用が多少増えたとしても、高品質でメンテナンスフリーの建材を使用したほうが、長期的に見るとコストが安くなる場合もあるでしょう。
建築時のコストだけでなく、修繕にかかる費用まで考えたプランを採用することで、大規模修繕の費用を抑えることが可能です。

建築時に予算を使い切ってしまわずに、修繕費用としてある程度予算取りしておくことも大切です。

6-4.できるだけまとめて工事をする

「資金がないから、今年は外壁塗装だけにして屋根の塗装は来年にしよう」
一度にまとまった修繕費用が発生すると、確かに支払いは大変です。

しかし、修繕には単独で工事しても影響のないもの、できるだけまとめて行ったほうがよいものがあります。

一例として、外壁工事と屋根工事はいずれも足場が必要です。
2回に分けて工事をすると足場費用も二重にかかりますが、まとめて工事をすれば足場費用は1回分ですみます。

できるだけ無駄なコストをかけないよう、修繕工事はまとめて行うようにしてください。

6-5.建物診断を実施する

あらかじめ長期修繕計画を作成し、計画どおりに修繕を進めていくことはとても大切です。

しかし、同じ築年数の同じ建物・設備であっても、日当たりや風通しといった立地の状況や使用頻度、使い方によって、劣化の進み具合は異なります。
大規模修繕の時期になったら、まず建物診断を行い、劣化の度合いや修繕の必要性を調査してみるとよいでしょう。診断の内容によっては、修繕を先延ばしにできるかもしれません。

長期修繕計画で定めた時期は、あくまでも目安です。実情に応じて、臨機応変に対応してください。

6-6.管理会社に任せきりにしない

大規模修繕の時期、依頼する施工会社など、管理会社にすべて一任してしまうのは簡単ですが、本当にそれでよいのでしょうか。

少しでも費用削減を考えるのであれば、ある程度はオーナーの判断と責任で進めていく必要があります。

例えば、施工会社をオーナー側で選定する、建物診断を実施して計画時期を変更するといったことが挙げられます。

6-7.プラン作成は複数の会社に依頼する

同じ建物の修繕であっても、施工会社によってプランの内容が違えば、想定される金額も違います。規模の大きな工事となると、百万円単位で差が出る場合もあるでしょう。

また、一社特命ではどうしても金額が高くなりがちなため、プランの作成はできるだけ複数の会社に依頼したほうがよいでしょう。
施工会社としても、他社と比較されると思えばプランにも力が入り、高額な提案はしづらくなるため、結果的にはコスト削減の一番の近道になるはずです。

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・大規模修繕の建築方式と選択の考え方

大規模なマンションになると、管理会社が主体となって行うコストオン方式や専門のコンサルタントが監修に入る方式もありますが、アパートの場合は以下のいずれかの方式で行われることが多いです。

・設計監理方式/分離発注方式

設計事務所と設計監理契約を締結し、設計事務所とともに施工会社を選定して数社へプラン作成を依頼します。
そして、最終的に選んだ施工会社と工事請負契約を締結する方式です。

施工会社は設計事務所の設計した図面のとおりに修繕を行い、設計事務所が適正な施工が行われているかどうかを監理します。
チェック機能が働くことで施工品質は向上しますが、工事費とは別に10%程度の設計監理料が必要です。

・責任施工方式/一括発注方式

プランの作成から設計・施工までを一括で発注し、一社の責任のもとで工事を完成させる方式です。

外部にチェック機能がないため、施工会社の信頼性がより重要となりますが、設計料が不要なのでトータルでの費用を低めに抑えることができるのがメリットです。
一社特命の随意契約ではないため、複数の会社にプランを依頼し、内容と金額を比較して依頼する施工会社を決定します。

7.大規模修繕の資金を準備する3つの方法

ここまでで、大規模修繕にどれくらいの費用がかかるのか、おわかりいただけたと思います。しかし、1回に100万円以上かかることもある費用をどのように捻出すればよいのでしょうか。
ここでは、一般的な3つの大規模修繕資金の準備方法をお伝えします。

  1. 修繕積立金
  2. 自己資金
  3. 借り入れする

それでは、上記3点について詳しく見ていきましょう。

7-1.修繕費用を積み立てる

毎月一定額を積み立てし、修繕の際の資金とする方法です。

普通預金や定期預金のほか、生命保険・損害保険で修繕積み立てのできる保険商品もあります。
自分でコツコツ積み立てていく自信がないという方は、管理会社に依頼して入金された家賃から一定額を積み立ててもらうこともできます。

7-2.自己資金を用意する

アパートを建築した際に、資金の一部を大規模修繕の費用として予算取りしておくか、個人的な預貯金や手持ちの現金を集めて、修繕費用に回す方法です。

ほかにも収入源があるなど、もともと生活にゆとりのあるオーナーであれば、この方法でも修繕費用に困ることはないでしょう。

7-3.借り入れする

どうしても資金が不足する場合には、金融機関で借り入れをするという方法もあります。

建築時のローン返済がすでに終わっている場合は問題ありませんが、まだローンを返済中の方は、追加で返済をしていける余力があるかどうか、資金計画を見直す必要があります。
ローンの一本化が可能かどうか、金融機関に相談してみてもよいでしょう。

8.大規模修繕は専門家に相談する

大規模修繕を依頼する施工会社を自ら探すというのは、なかなか難しいものです。
数社をピックアップし、1社ごとに打ち合わせをしてプランを依頼するのは、時間も手間もかかります。
また、依頼先の企業規模や経歴、実績などはホームページで確認できますが、肝心な信頼性という部分までは判断できません。

大規模修繕について何から始めたらいいかわからなければ、まずは専門家に相談してみましょう。アパート収益改善のため、何をするべきかご提案いたします。収益改善リノベーションについてはこちらをご覧ください。

まとめ

この記事のポイントは、以下の3点です。

  1. アパート修繕は大きく分けて3つあります。大規模修繕・小規模修繕・原状回復について簡単に解説。
  2. アパートの大規模修繕は、一般的に10年~15年に一度のペースで行います。修繕の内容と大まかな費用を理解して、失敗しないアパート経営を目指しましょう。
  3. 大規模修繕を検討しているなら、まずは専門家に相談してみましょう。

アパートは建てて終わりではありません。長期にわたって安定した家賃収入を得るためには、定期的なメンテナンスを行う必要があります。

大規模修繕をしなければ、建物の美観を保つことができなくなるだけでなく、収益性が落ちて建て替えの費用が捻出できなくなったり、老朽化による不慮の事故で入居者や周囲に損害を与えたりします。さらには、アパートの経営を存続することすら危ぶまれる危険性もあります。資産価値が下がってしまい、手放そうと思っても売るに売れなくなってしまうこともあるかもしれません。

1回の費用は大きいものの、アパートの大規模修繕は建物の資産価値を維持し、収益性を高める上で必要不可欠な工事です。
年数がたっても空室に悩まされることのない、安定したアパート経営を維持していくために、費用を抑える方法も参考にしながら、適切な時期に適切な修繕を行うようにしてください。

これからアパートを建てる方は、修繕費用も含めた建築計画を立てることをおすすめします。

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