土地活用でアパート経営をしてみようかとご検討の際、アパートがどのくらい長期間経営できるものなのかは、気になります。せっかく大金を投資して、収益物件を作るのであれば、アパート経営はなるべく長く、確実な収入が得られるようにしたいものです。
しかし、周囲を見回せば、経年劣化の目立つアパートやマンションがたくさんあり、空室が目立つ物件もいくつかあります。自分のアパート経営はそのようなことは避けたいものの、具体的にはどうしたら良いのでしょう。
そこで今回は、アパート経営をはじめてから30年後に起こりうる経営リスクと、どうすれば長期にわたって安定収入を得ることができるのかを、はじめてのアパート経営をご検討される方向けにまとめています。アパート経営のシミュレーションの一つとして参考にしてください。
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アパート経営の30年後は?
アパート経営をはじめてから30年後に考えられる経営のリスクは、代表的なもので10あります。
まず、アパート経営にもともとあるリスクとしては、以下の5つが挙げられます。
- 空室リスク
- 賃料下落リスク
- 建物老朽化リスク
- 金利上昇リスク
- 相続リスク
そして、30年後の社会状況などを推測して考えられるリスクには以下があります。
- コスト増大リスク
- 入居者の高齢化リスク
- 外国人入居者の増加
- 周辺環境の変化
- サブリース契約の問題
アパート経営では、それぞれのリスクを正しく把握しておくことが重要です。詳しくは「アパート経営30年後に発生する10大リスク」をご確認ください。
アパート経営の30年後の出口戦略
アパート経営における出口戦略とは、土地活用に区切りをつけて、アパート経営の損益を確定することです。例えば、売却をする、建て替える、別の土地活用に切り替えるなどを指します。
アパート経営で検討すべき出口戦略には以下の6パターンがあります。
- 売却する
- 減価償却期間内で売却をする
- 解体して土地を売却
- リフォーム・リノベーションをする
- 建て替えて再スタートする
- 30年後も保有を続ける(相続も含め)
出口戦略をあらかじめ考えておくことで、10年目、15年目以降など、アパート経営の区切りのタイミングで、その後の経営展開をどうするべきか決断しやすくなります。詳しくは「アパート経営30年後の出口戦略6パターン」をご確認ください。
30年後も困らない土地活用プランニング3原則
これからアパート経営をスタートしたときに、30年後にも困らないために、守っておくべきプランニングの3原則は以下のとおりです。
- エリア・土地条件の良い土地ではじめる
- 自己資金はなるべく多く用意する
- アパート経営の10.20.30年後を想定しておく
詳しくは「アパート経営30年後も困らない土地活用プランニング3原則」をご確認ください。
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1.アパート経営30年後に発生する10大リスク
本章では、スタートから30年経過したアパート経営には、どのようなリスクがあるのかを、10項目に分けて解説します。リスクの中には、アパート経営にはつきもののリスクと、これから先30年だからこそ起きるリスクも含まれています。
土地活用は、どのような活用方法を選んでも、必ず何かしらのリスクはあります。しかし、アパート経営のリスクをよく理解した上で、事前対策をしっかりしておくことで、問題を回避することは可能です。
もともとアパート経営にあるリスク |
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1. 空室リスク 2. 賃料下落リスク 3. 建物老朽化リスク 4. 金利上昇リスク 5. 相続リスク |
30年後に起きる可能性があるリスク |
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6. コスト増大リスク 7. 入居者の高齢化リスク 8. 外国人入居者の増加 9. 周辺環境の変化 10. サブリース契約の問題 |
【もともとアパート経営にあるリスク】
【もともとアパート経営にあるリスク】
1-1.空室リスク
経営30年目前後からおきるアパート経営の空室リスクとは、建物と設備の経年劣化が原因で、入居者が付きにくくなることです。単純に賃料収入が減るという以外に、経年によって発生する修理修繕費用などの経費がふくらみ、どんどん支出が増えていきます。
放置しておくと、収支のバランスがどんどん崩れ、赤字経営へと転落することになります。経営から30年経過しているのであれば、アパートローンは完済しているケースがほとんどですが、まだ返済中であった場合には、返済にも支障が出る可能性があります。
<対策>
空室リスクはアパート経営につきものの悩みであり、規模の大小に関係なく、オーナーであれば全員が頭を悩ませるリスクです。
最善の対策は、賃貸ニーズの高い立地を選んでアパート経営をスタートすることです。例えば、駅前・駅歩が少ない利便性の高いエリア、「住んでみたい街」として人気のあるエリアなど、賃貸ニーズの高い立地であれば、経年による空室リスクを、かなり高い確率で回避することができます。
このようなエリアを選ぶ入居者は、その土地やエリアが持つ利便性と志向性に対してお金を払っているため、建物が古い、設備が古いなどが、空室リスクの要因になりにくくなります。
ただし、どれほど条件の良い立地でも、周辺に新築のライバル物件が誕生するなど、常に空室リスクが高まる危険性・可能性はあります。
長い経営期間、適宜設備投資をしながら、住み心地の良い部屋、手ごろ感のある家賃設定などで、周辺のライバル物件に入居者を奪われないような努力は必要です。
1-2.賃料下落リスク
賃料下落リスクとは、空室になった物件に入居者を確保するために、家賃を下げることによって対処した結果、年間収入が減少するリスクです。
1度くらい家賃を下げるくらいでは大きな影響がありませんが、30年も経営を継続する間には、何度も値下げ対応をしなければならないケースもあります。例えば、5年に一度5,000円ずつ値下げをすれば、30年で値下げ6回×5,000円=30,000円もの家賃下落が起こります。新築当時10万円の家賃ならば7万円にまで下がりますので、賃料収入は3割も減ることになります。
家賃を下げながら対応しても、その間、返済するべきローン金額には変わりがなく、運用経費以外にも、経年劣化による修理修繕費用や税金などが発生し続けますので、だんだんと収支バランスが崩れていきます。
<対策>
将来にわたって賃貸需要の高い立地でアパート経営スタートするのが、最善の対策になります。基本的に駅前・駅近物件は、その利便性から賃貸ニーズが高く、経年劣化の影響を受けにくい物件であるため、値下げをしないでも、長期間の経営を続けられる可能性が高くなります。
これから土地活用でアパートを建てる場合には、賃貸ニーズが十分にあるかを確認したうえでアパート経営を判断してください。あまりエリア条件などが良くない場合には、一旦、土地を売却してから、より賃貸ニーズの高いエリアに土地を買い直すという方法もあります。
すでに経営中の場合は、これから増える一方の修理修繕費・近隣ライバル物件などに対応しながらやっていくことになります。この場合は、年間支出を先に割り出しておき、最低でもいくら収入があれば赤字にならないのかを試算したうえで、賃料設定をしてください。
ただし、経営のために経費ばかりかかってしまい、収入は雀の涙という状態が何年も続くのであれば、新規の土地活用を含めて大幅な見直しをする必要があります。
1-3.建物老朽化リスク
経年劣化をしない建物はありませんので、築年が30年を超えるころには、建物には何かしらのトラブルが目立つようになってきています。外観でいえば、外壁の汚れ壊れ、屋根材の劣化、内装まわりでは水回りなどの室内設備の劣化や故障などが多くなり、その対応のための費用が発生します。
オーナーにとって頭が痛いのは、築年が30年以上経過していると、設備や備品などの寿命がきていることから、修繕がかさなって起きる傾向があることです。一つひとつの費用は小さくても、複数件分になれば、まとまった金額が必要になるため、それだけで年間収支が赤字になる可能性もあります。
築30年後のアパートは、建物も設備も法定耐用年数を過ぎていますので、減価償却による節税もできず、修繕費は経営上の大きな支出となります。
<対策>
建物の老朽化は空室リスクにつながりやすくなるため、早い段階から対策を準備・計画しておく必要があります。築10年を超えたあたりから、徐々に劣化が始まり、それに伴って入居率が下がっていく可能性が高まります。
各部屋への対策としては、退去のタイミングに合わせて、個別に手を加えていくという方法があります。各部屋に使えるリフォーム代金などを用意・計画しておく必要はありますが、個別対応になるため、一回の支出が大きな金額にはなりにくく、ローンの追加借り入れなしで対応ができます。
建物全体への対策は、5年10年などのタイミングで、外壁・屋根など必要な個所に手を入れていく大規模修繕プランを計画しておき、建物の状態と照らし合わせながら手を加えていきます。これらの費用は、共益費または修繕管理費という名目で、時間をかけて資金準備をしておく必要があります。
経営30年後の木造アパートは、ローンが完済していますので、収入から経費を差し引いた分は全額、収入となります。しっかりしたメンテナンス計画の結果、建物と内装の状態が良ければ、全体にあるレトロな雰囲気はぬぐえないものの、「ヴィンテージアパート」として、比較的良好な経営ができているケースもあります。
しかし、このまま50年60年と維持していくことは難しいため、家賃設定・劣化具合・収支状況によっては、取り壊して立て替えてしまう方が、新築として最も高い値段で貸せるようになり、節税もしやすくなります。建て替え・アパート経営からの引退なども含め、土地活用を再検討するタイミングでもあります。
1-4.金利上昇リスク
アパート経営者のほとんどは、金融機関から借り入れをしているため、ローン金利が上昇することによって、返済額が増えてしまうというのが金利上昇リスクです。
金利が上がると借入総額が増えますので、毎月の返済額が増えます。金利上昇による影響が小さくても、空室リスクなどと合わさってしまうと、最悪の場合は、毎月の賃料収入よりも返済額の方が大きくなる可能性もあります。
ただし、金利はある日突然、何%も上昇したりはしませんので、対処方法はありますが、アパート経営の収支に影響を与えるという意味では大きなリスク要因となります。
<対策>
お金を借りている立場である以上、金融機関が示してくる金利をコントロールすることは、ほぼ不可能です。そのため、金利上昇によるリスクを確実に避けたいのであれば、最初から全期間固定金利にしてしまうのが、もっとも確実な対策となります。
固定金利は、支払スタートから完済まで、金利が変わらない支払い方法ですので、市場経済によって金利が上がっても下がっても、毎月一定の金額だけを支払い続ければよい、という返済方法です。
世間の金利が低いときでも、高めの金利を支払わなければならないとデメリットはありますが、毎月一定額だけを必ず捻出すればよいという点で、経営に安心感があります。
これに対し、変動金利は、金利が安い時には支払総額が少なくなりますが、金利が上昇すると、支払総額が増えて毎月の負担が増えるという返済方法です。変動金利は、一定期間のみ固定金利で、その後、自動的に変動金利になるタイプの商品も含まれます。
長期間の低金利が続いている日本では、多くの不動産投資家が変動金利を選んでいますので、将来、金利が上昇した際には、多くの方が金利上昇リスクにさらされることになります。
しかし、金利が上昇をするときには、必ず先に固定金利が上昇し、その後に、変動金利も上昇するという決まった変動サイクルがあります。金利が変わるタイミングを見越して、ローンの借り換え・乗り換えなどで、金利上昇分に対する対策を打てばよいので、金利上昇そのものを恐れる必要はないと言えます。
しかし、あまり経済には詳しくない、金利が変わるタイミングでうまく借り換えなどができるか不安なのであれば、金利設定が高めでも固定金利を選んでおくことで、確実なリスク回避ができます。
1-5.相続リスク
土地活用でアパート経営を検討するのであれば、将来の相続リスクも考えておく必要があります。例えば、相続税対策として土地活用をした場合、30年後にアパートという形で遺してあげることが、はたして、子世代にとってプラスになるのかなどを含め、総合的に考えておく必要があります。
賃貸ニーズの高いエリアであれば何も問題がありませんが、そうではない場合、相続税の問題が片付いた後に、子世代が空室の多いアパートを四苦八苦しながら経営を続けた結果、ボロボロになったアパートを建て替える余裕もなくなってしまうなど、のちのち、子世代に大きな負担を強いる可能性もあります。
<対策>
相続のための土地活用は、限定された土地活用方法にはこだわらず、「子世代にどう残すか」という視点で、シンプルに考えてみて下さい。
具体的な対策としては、先に複数のハウスメーカーや建築会社に土地活用プランと建築プランを請求し、選択肢として、どのような土地活用方法があるのかを、ざっくりと把握しておきます。
そのうえで、相続を前提とした土地活用方法には、どのような選択をするべきかを、税金の専門家である税理士に相談をするようにします。
また、余裕があれば資産活用の専門家であるファイナンシャルプランナーへの相談もし、30年後の土地活用として、子世代にどう残すのが良いのかを、一緒に考えてもらう必要があります。
実際の相続が発生するときには、親世代は子世代を具体的に助けることができなくなります。親世代が選択した相続税対策としてのアパート経営が、遠い将来、子世代にどんな影響を与えるかも含め、長期的な視野で、冷静に検討する必要があります。
代々土地を継承して欲しくてやったことでも、30年後の現実を生きる子世代に、アパート経営がプラスになるのかは、その時・その立場に立たないとわからないことでもあります。アパートであったがゆえに、最終的に土地を手放すことになるなど、想定通りにはいかない可能性も考えられます。
アパート経営は相続税対策として適切な方法の一つですが、アパート経営にこだわるのではなく、できるだけたくさんの選択肢の中から、子世代に遺してあげられる最善の土地活用方法を、不動産と税金の専門家と一緒に考える必要があります。
【30年後に起きる可能性があるリスク】
【30年後に起きる可能性があるリスク】
1-6.コスト増大リスク
築30年後になると、アパートを維持するためにかかるコストが次々と発生するようになり、収支バランスが悪くなるリスクのことです。やさしい言い方をすれば「アパートを普通の状態にしておくだけで、お金がたくさんかかるようになる」ことです。
アパート経営をはじめて30年後には、建物の老朽箇所の修繕費、設備の劣化による修理交換などが次々と発生するようになり、建物と居室を現状維持するためのコストが増えていきます。
また、入居者確保のためには、古い部分へのケアと同時に、時世に合わせた新しい設備も付加していく必要があり、新築時代には必要なかった機能や設備を加えていくためのコストも、次々と発生するようになります。
例えば、2023年現在※であれば、30年前の1990年代には設備として必要がなかったものの現在では賃貸住宅に普通に求められる設備や機能として、以下のようなものがあります。
※本記事は2022年に執筆、2024年に情報更新されています。
- インターネット無料
- 宅配ボックス
- エントランスのオートロック
- 高速インターネット
- 浴室乾燥機
- 独立した洗面台
- システムキッチン
- 24時間利用できるゴミ置き場
- 防犯カメラ
- ウォークインクローゼット
【参照:ネット無料、首位独走【入居者に人気の設備ランキング2023 付加価値編】】
すべての機能や設備を要望に応えてつける必要はありませんが、入居者から求められている機能が不足している上に、外観も既存設備も古ければ、入居率は下がる一方になります。
その分、入居者募集をお願いしている不動産会社へのインセンティブボーナス支払いなど、入居者を確保するための宣伝広告費も、今までよりも余分にかかるようになります。
<対策>
建て替え、またはノベーションやリフォームを検討することが具体的な対策になります。
築30年経過したアパートは、すでに建物の法定耐用年数が過ぎていますので、持っていても老朽化は進み、そのうち、修繕費が収入を超えた赤字経営になる可能性もあります。
この問題を解決する最も手っ取り早い方法は、取り壊しをして新築のアパートに建て替えてしまうことです。こうすることで、新築として再スタートができますので、築年の古さにまつわる経営リスクや悩みは、すべて解消されます。
取り壊しや、新規に大きなローンを抱えることに抵抗がある方は、リノベーションやフルリフォームによって対応します。フルリノベーションから個別リフォームまで、予算に応じて室内や設備を新しくしていくことができます。
特に、配管まで変更するフルリノベーションや、室内のメイン設備をすべて取り換えるフルリフォームをすると、リフォーム済物件として客付きがよくなります。その結果、空室リスク・家賃下落リスクも回避できるようになるので、経営状態が良くなります。
どの方法であっても大きな金額が必要となり、税金にも影響がありますので、かならず税理士に事前相談をしてからすすめるようにしてください。
1-7.入居者の高齢化リスク
スタートから30年を経過したアパートには、高齢者が多く入居している可能性が高くなります。例えば、入居時に35歳だった方は、30年後には65歳となり定年を迎える年齢になります。
現在の日本は、晩婚または非婚という生き方や、モノを持たないライフスタイルが肯定されていますので、これからの若い世代は、マイホームなど持たずに、一生独身で、賃貸のままで暮らす方が増える可能性があります。
その前提でいくと、生活便利で住み心地が良く、納得感のある賃料のアパートであれば、ずっと更新してくれるので、入居者が定年近くまで住み続ける可能性も高くなると言えます。
入居者が高齢であること自体が問題なのではなく、高齢者は定年退職などにより収入に制限がかかりますので、支払い財源が年金収入だけになってしまう可能性もあり、家賃滞納などによる経営収支が悪化することもあるため、オーナーとしてはリスクとなることがあります。
<対策>
少子高齢化が進む中、入居者が高齢になることを避けるのは、かなり難しい問題と言えます。また、何の問題なく長期入居している方を、高齢だからという理由で追い出すことは出来ません。
高齢者の賃貸入居が多くなる事象は、これからのアパート経営では考慮しておくべき問題ですので、宇今から土地活用をスタートする方は、「高齢の入居者ありき」でのアパート経営を念頭に入れたうえで、経営計画を立てておくべきでしょう。
実際には、高齢者=年金生活者というわけではなく、少ない年金の補填として、蓄えをしっかりしている方もたくさんいらっしゃいます。高齢者は若い方と比べるとライフイベントが少ないため、転勤や移転などをすることが少なく、退去の心配が少ない優良な入居者です。
そのため、長く更新をしていただいている方は、今後も引き続き、長期入居をしてもらえる可能性が高いため、空室リスクの心配が減ります。空室が発生しなければ、次の入居者対策のための賃料下落リスク、新規の設備コストのリスクも不要になり、経営上はプラスが多くなります。
高齢者の入居者で心配なのは、家賃滞納・体調悪化・記憶力減退などによる出火・水の事故などになります。家賃滞納と体調悪化の場合の対処は、一定の年齢ラインを設け、ある年齢になったら契約更新のタイミングで親族に保証人になってもらうことで、ある程度は回避できます。心配な方は、地域の相談窓口などにも確認し、親族との連絡が取れるようにしておきます。
また、定年退職などの雇用先がなくなった時点で、保証会社とも契約したうえで更新をしてもらうことを契約書に加えておくことで、万が一の滞納が起きた時にも、速やかな督促と回収をしてもらえますので、オーナーとしては安心材料が増えます。
出火や水の事故に関しては、保険加入をしてもらっていれば、万が一の場合には保険が適用されます。また、さらなる対策として、見守り人感センサーなどの設備をつけることを許可する、室内設備をバリアフリー構造※にするなど、入居者にトラブルが起きないような対策も検討しておくことで、安定したアパート経営につながりやすくなります。※自治体によっては補助金があります。
また、今現在経営中のアパートのリフォームや建て替えを検討している場合は、今後、高齢者の入居希望者が増えることを考慮し、はじめから高齢者向けの住居である、「サ高住経営」としての土地活用をするという方法もあります。
1-8.外国人入居者の増加
日本は少子高齢化による働き世代の減少を懸念し、今後は外国人労働者を積極的に受け入れる共生社会をつくる方向で動いています。そのため、このままいけば30年後の日本には、海外からの労働者や留学生などが、今よりもかなり増えていることになります。
その結果、アパート経営の入居者にも、外国人が増えている可能性はかなり高いと言えます。海外から来た外国人は日本に住む家がありませんので、日本で暮らすのであれば賃貸住宅が必要です。そのため、アパート経営者にとっては、外国人入国者が増えることはプラスに働きます。
外国人入居者が増えることで問題になるのは、主に生活様式や賃貸物件に対する慣習の差です。例えば、以下のような可能性があります。
- 靴のままで生活をする
- 毎週末、家でパーティーをする
- 日本のゴミ分別を理解しない
- サブレット(また貸し)をする
- 使用する調味料などによるニオイの問題
- 無断の多人数同居
など、日本人入居者であれば起こりえないことも、外国人入居者の場合は、生活習慣や文化の違いによって行われることがあります。
特に、同じ棟内に日本人も住んでいる場合には、このような生活習慣などの違いが、入居者同士のトラブルの原因となり、その結果、空室リスク・家賃下落リスクともに高くなることもあります。
これからのアパート経営は、外国人入居者という、文化や生活様式の背景が違った方々が入居をするという前提で、経営方法や対策を考えておく必要があります。
<対策>
最も大切なのは、入居者募集の窓口となる不動産会社・管理会社の選定です。外国人の入居に実績があり、さらに英語が堪能な日本人スタッフ、もしくは、日本語と日本の慣習をよく理解した外国人スタッフがいる管理会社がベストです。
外国はベースが契約社会であるため、基本的に契約書に記載のないことは、自由にして良いという概念があります。そのため、今まで日本人のみを相手に賃貸をしていたアパートの契約書には、日本人ならば当然しないであろうことは、原則的に記載がありません。
しかし、外国人入居者が増えていくこれからは、外国人向けに、生活規則や使用細則が書かれた入居マニュアルと、それを遵守しなかった場合の厳しいペナルティが記載された覚書所や契約書を作り、さらに、それを説明できる語学力のあるスタッフが必要です。
また、そのような契約書が作ってあっても、外国人は何ごとも交渉で解決しようとする習慣がありますので、オーナーにとって不利になる条件や提案は、強い口調と態度で断固として退けてくれる、外国人の扱いに慣れた不動産会社が必要です。そのうえで、入居希望者の与信と滞在資格を確認し、万が一の場合の保証会社をつけて、はじめて安心できる契約となります。
上記のことを踏まえたうえで、オーナーの意向として外国人の入居者は受け入れないのであれば、そのことを管理会社に伝えておく必要もあります。最適な管理会社探しには、「賃貸経営 HOME4U」をご活用ください。
1-9.周辺環境の変化
どの土地にでもいえることですが、30年もするとガラリと環境が変わってしまうことがあります。アパート経営で注意が必要なのは、周辺環境の変化によって人の流れが変わり、ご所有の土地エリアの賃貸需要が低下してしまうケースです。
例えば、駅や駅周辺の開発により、もともと駅のあった場所や、駅の改札口の位置や数が変わることがあります。これによって街全体の人の流れが変わってしまうと、好立地条件だったはずの土地が、30年後には人通りの少ない通りに変わってしまうこともあります。
それ以外にも、アパート経営をする予定地の周辺にあった企業や大学施設などが、引っ越しによっていなくなり、エリア全体の人口が減って過疎化してしまう可能性もあります。
<対策>
基本的に、大きな開発には10~30年単位での開発計画がありますので、事前調査をしっかりしておけば、ある程度のエリアの変化を読み取ることができます。
例えば、駅前や駅周辺環境の開発計画は、活用予定地のある自治体に計画申請が必要です。公的機関・私企業に関わらず、多くの住民に関わる問題ですので、必ず、申請中・申請済み・許認可の是非に関した公示情報があります。今は自治体ホームページなどで検索できます。
開発に関した自治体への聞き取り調査や意見交換会などもありますので、具体的にどのような開発や変更があるのかなども、繰り返し参加していくことで理解できるようになります。
また、周辺にある企業や大学などの引っ越しに関しては、3~5年単位での事前告知がありますので、こちらも定期的に企業と学校のホームページで確認することで、対策を打つことができます。
これからアパート経営をはじめる場合は30年後にどのような変更があるかを前提に、すでに経営中の方は、近い将来に起きる変化に合わせて適切な対策を取っておくことができます。
1-10.サブリース契約の問題
現在経営をしているアパート、またはこれから土地活用でアパート経営をはじめる方で、サブリース契約を検討している方は、将来、契約内容と経営に関する問題が浮上する可能性があります。
サブリース契約とは、サブリース会社がオーナーからアパート全体を一括で借り上げ、それをサブリース会社が入居者に貸し出し代行をするという、また貸しタイプの契約方法です。
サブリース会社は、契約時に設定した金額を毎月「家賃保証」という形でオーナーに振込みます。空室などのリスク発生とサブリース会社の運営費用などを含めた値段設定をしてあるため、オーナーがご自身でアパート運営するのと比較すると、アパート経営による収入は少なくなります。
しかし、経営管理に関わるすべての責任がサブリース会社にありますので、文字通り、ほったらかしで収入が入ってくるタイプのアパート経営ができます。
ただし、サブリース契約は新築から10年目くらいで、契約内容の見直しがあるため、経営リスクが増えてくる10年目20年目以降には、家賃保証額の大幅な引き下げを提案されることがあります。
<対策>
サブリース契約を検討するときには、本当にサブリースにする必要があるのか、管理会社に数多くの管理項目を委託するだけでは不十分なのかなどを、しっかりと比較してから決めるようにします。
サブリース契約は、サブリース会社が経営困難だと判断した場合には、一方的な契約解除が可能ですが、オーナー側が契約を解除するためには違約金が発生する傾向があります。
つまり、サブリース会社が契約解除を申し出てくる時には、すでにアパート経営がうまくいかないことがわかった状態で返される可能性が高くなります。
最終的には、オーナーが適切な管理会社を見つけて、ご自分で経営をしていくことになりますが、10年単位のサブリースによるほったらかし経営により、オーナーには経営ノウハウが全くありません。この状態で、入居者付きのアパートを運営するのは、かなりハードルが高いと言えます。
このようなことから、サブリース契約をする前の段階で、約款などに目を通しておき、できれば弁護士にも相談のうえで、慎重に検討する必要があります。
2.アパート経営30年後の出口戦略6パターン
本章では、アパート経営30年後に想定できる、出口戦略についてまとめています。アパート経営における出口戦略とは、土地活用の運営に区切りをつけて、アパート経営の損益を確定することです。例えば、売却をする、建て替える、別の土地活用に切り替えるなどのことです。
不動産や経済のプロフェッショナルであっても、30年後の賃貸需要がどうなっているかを正確に予測するのは難しいことです。しかし、長期的な展望を持って経営をはじめるのと、起きた事象にアタフタと反応しながら経営するのとでは、アパート経営の成否はかなり違ってくることになります。
ざっくりとでも、アパート経営の出口戦略を複数パターン考えておくことで、空室リスクや家賃下落リスクが高くなる10年目、大規模修繕などが発生する15年目以降など、アパート経営の区切りのタイミングで、その後の経営展開をどうするべきか決断しやすくなります。
- 売却する
- 減価償却期間内で売却をする
- 解体して土地を売却
- リフォーム・リノベーションをする
- 建て替えて再スタートする
- 30年後も保有を続ける(相続も含め)
2-1.売却する
地価が上昇している状態であれば、売却によって資産拡大が狙える出口戦略となります。しかし、土地の値段がいつ高騰するかはわかりませんので、土地活用としてアパート経営をして利益を得ながら、売却のタイミングを待つことになります。
経営30年後のアパートは、ローンが完済しているケースが多いので、売却費用を差し引いても、手元に大きな金額が残る可能性が高いと言えます。その金額を利用して、より土地条件の良い不動産へと買い替えるなど、売却という形での土地活用、資産拡大が狙えます。
経営中のアパートであっても、入居者付きのオーナーチェンジ物件として売却が可能ですので、売るためにアパート経営をストップさせる必要はありません。
売却は、オーナーにとってのタイミングでなければ、売らなければよいだけですので、地価の上昇がない場合や、やはり保有することにしたのであれば、そのまま土地活用としてアパート経営をしていればよいことになります。
2-2.減価償却期間内で売却をする
アパート経営を節税対策のためにスタートした場合は、30年後まで保有しないでも、より合理的なタイミングで売却ができます。特に、将来的には売却を予定しているけれども、今すぐ手放すのではない場合は、減価償却期間を軸にした出口戦略の計画を検討してみてください。
減価償却とは、大型の建物や設備など、経年劣化によって価値が下がっていくタイプの資産を得たときに、その資産を得た金額を、法定耐用年数に応じて経費計上するという、会計上の処理方法のことです。
アパート経営でいえば、アパートという資産を取得するために使った費用などを、木造なら22年、鉄筋コンクリート造なら47年にわけて経費処理します。
例として単純計算をすれば、1億円の木造アパートを22年で割った 1億円÷22=約450万円が毎年経費となります。しかもこの取得に使った1億円は、すでに金融機関で支払い済みですので、実際には出て行っていない金額を、毎年、経費として計上できる、とてもパワフルな節税方法なのです。
この22年や47年などの期間は、法的に定められているため、それ以上の期間に延長することはできません。そのため、期間が過ぎて減価償却費の計上ができなくなると、節税効果は大きく期待できなくなりますので、期間内に売却を計画しておくのは、とても合理的な出口戦略と言えます。
2-3.解体して土地を売却
アパートとして売るのではなく、更地として売る方法です。解体して土地だけの状態のほうが、購入者がすぐに自由に使えるため、建物が建っている状態よりも高く・早く売れる可能性が高くなります。
ただし、アパートに入居者がいる場合は、解体して売却をすることを理由に、立ち退いてもらう必要があります。更新のタイミングで、次回の更新がないことを前提に、定期借家契約をしてもらい、契約内容に、立ち退きをする旨を追記しておくことで、立ち退き交渉などをしないで全室退去をしてもらえます。
ただし、更新は2~3年に1度くらいのペースで行われることが多いため、入居者全員にとって無理のない退去となるように、相当の期間の猶予を持って計画しなければなりません。ケースによっては定期借家契約の期間のみ、家賃を割り引くなどのサービスも必要になる可能性があります。これらは、更新と交渉を担当する不動産会社の手腕にもかかってきます。
また、売却のタイミングも考慮しておかないと、固定資産税の負担が重くなることがあります。固定資産税は毎年1月1日時点での不動産所有者に課税されますが、取り壊して土地から住居がなくなると、住宅用地の特例が外れるため、最大で6倍もの固定資産税がかかることがあります。
2-4.リフォーム・リノベーションをする
不動産を手放さない前提の出口戦略の場合は、30年後のアパートの経営状態を少しでも良くしておくために、コツコツと手入れをする必要があります。
何も手を入れないままで30年も経過したアパートは、かなりの老朽化が進んでおり、空室リスク・家賃下落リスクなどに頭を悩ませている可能性が高いと言えます。ただし、入居率は土地条件の良さに左右されますので、駅歩の少ないエリアのアパートであれば、収益を維持しながら稼働し続けているケースもあります。
空室はあるものの、アパートの半分以上が稼働している場合は、建て替えのために退去をしてもらうためには、交渉でかなりの手間と費用が発生してしまいます。しかし、空室率は徐々に上がっていきますので、今後のアパート経営は苦しくなる可能性が高いと言えます。
このような状況に適しているのが、リフォームやリノベーションです。リフォームやリノベーションの良いところは、空室から個別に手を付けられるところです。空室の部屋に対して水回りや内装などを変えてきれいにする、または、スケルトンにして配管レベルから刷新するなど、予算に応じた手入れが可能です。
最低でも、内装と室内設備に関しては新品同様にすることができますので、家賃を新中古に準ずる金額設定にまで戻すことができます。また、現在入居中の方であれば、賃料が上がることを前提に、アパート内引っ越しをしてもらうことも可能です。※新規の契約が必要になります。
この方法であれば、立ち退きなどの交渉をせずに、アパート建物内に必要な補修・補強を施すことができ、さらに賃料下落と空室リスクそのものに歯止めをかけることができます。
同エリアに新築物件ができた場合は、大きなライバルとなりますが、値ごろ感のある家賃設定にしておくなど、必要な経営努力をすることで、アパートの経営状態をよくすることも可能です。
建物全体に対しては、優先順位は耐震免振・修繕・メンテナンスで行い、収支バランスを取りながら経年劣化を遅らせる努力が必要です。また、これらのリフォームやリノベーション、修理修繕などにかかった費用は、それぞれ20万円以上であれば、減価償却の対象になります。
2-5.建て替えて再スタートする
アパート経営30年後は、すでに22年の減価償却も終わり、ローンも完済していますので、収入から経費を差し引いた分が、全て収入となっています。ただし、十分なメンテナンスをしてきておらず、経年劣化がひどい場合には、空室が目立っている可能性もあります。
入居者がいても建て替えのための立ち退き交渉はできますが、立退料などの費用が多く発生する可能性がありますので、注意が必要です。どのタイミングで取り壊しをして立て替えるかは、経営収支・建物の傷み具合・入居者数と立ち退き費用などを照らし合わせて、総合的に判断をしていきます。
アパートの取り壊しをすると、他の土地活用もできるようになります。30年前には不向きだった活用方法も、周辺環境が変化したことにより、選択肢として出てくる可能性があります。
これらの取り壊しと再建に関する計画は、おひとりで考えるよりも、ハウスメーカーや建築会社の担当者と一緒に考える方が、より適切なアイデアに出会えるようになります。
2-6.30年後も保有し続ける
親から子、子から孫へと代々、土地を継承していってほしいのであれば、将来、家族が使いやすい形で利用できるような土地活用にします。
例えば、短期中期プランの土地活用として賃貸併用住宅、二世帯住宅を作り、将来はリノベーションをして戸建てに直す、またはすべて賃貸にするなどもできます。
逆に、より長い期間の経営が可能な、鉄筋コンクリート造のマンションにしておけば、最初に大きな費用はかかりますが、50年以上の長きにわたって、家族に家と収入をもたらすことができます。
周辺エリア環境の変化に応じて、店舗付き住宅や、ビル経営にすることもできます。また、将来の家族のほとんどが持ち家を持っている可能性が高いのであれば、福祉施設としてサ高住・グループホーム経営・老人ホーム経営など、地域貢献性の高い土地活用の方法があります。
もちろん30年後には、現時点ではまだない活用方法が、新しく生まれている可能性もあります。ただし、どの方法であっても、土地の上にはできるだけ住居を残した状態で保存をしておき、無用に高い固定資産税を支払って、資産を減らすことがないように十分な注意が必要です。
今の土地活用と、30年後の土地活用では、周辺環境も変わっている可能性もあります。土地活用で最善の結果を得るためには、数多くの土地活用プランを比較して、土地に合ったプランを選ぶ必要があります。プランの請求には、一回の入力で最大10社までに請求ができるNTTデータグループの「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご利用ください。
また、土地活用には相続も含まれているケースが多いため、プランを参考にしながら、ご家族の意見も聞いて参考にするほうが、より良い結果につながる可能性が高くなります。
3.アパート経営30年後も困らない土地活用プランニング3原則
本章では、これから土地活用としてのアパート経営をスタートしたときに、30年後にも困らないために、守っておくべき3原則をまとめています。
- エリア・土地条件の良い土地ではじめる
- 自己資金はなるべく多く用意する
- アパート経営の10.20.30年後を想定しておく
3-1.エリア・土地条件の良い土地ではじめる
アパート経営に限らず、賃貸によって収入を得る土地活用の場合は、エリア条件や土地条件のよいところでスタートするようにします。条件の土地とは、駅前の土地や、人気エリアなどの、利便性が高く、人が集まる場所、人がそこに住みたいと思うような場所のことです。
このような場所は、住居でもテナントでも常に賃貸ニーズがありますので、長期間の賃貸経営がしやすくなります。ご所有の土地でアパート経営をご希望でも、エリア条件・土地条件ともあまりアパート経営向きではない場合には、より賃貸ニーズの高い場所への買い替えも検討してみる必要があります。
はじめての不動産活用で、エリアの詳しい賃貸ニーズを探るのは難しいことですので、不動産と土地活用のプロフェッショナルである、ハウスメーカーや建築会社の担当者と一緒に考えるようにしてください。
また、土地にはそれぞれ適した土地活用方法がありますので、アパート経営に向いていなくても、他の活用方法であれば適していることもあります。代替案も含めて、プロフェッショナルであれば適切な提案をしてくれますので、複数のプランを比較しながら、慎重に選んでください。
3-2.自己資金はなるべく多く用意する
30年という期間は、赤ちゃんが大人になって結婚するくらいまでの長い期間ですので、全期間を安定した経営にしたいのであれば、なるべく自己資金を多く用意するようにします。
自己資金が多ければ、借入額を減らすことができ、毎月の返済負担が少なくなります。毎月の支出を減らすことができれば、アパート経営からの手取り収入が増えて、健全経営をしやすくなります。
そうはいっても、はじめから多額の自己資金が用意できるケースは少ないため、一般的に、金融機関が要求してくる自己資金準備額は、借入額の1~2割程度になります。1億円の借入額であれば、1,000~2,000万円が必要になります。
また、アパート経営中・ローン返済中の自己資金準備という意味で、なるべく繰り上げ返済をするようにしてください。繰り上げ返済とは、50万、100万円などのまとまった金額を、毎月の返済額とは別に返済することで、アパートローンの借入額を減らす方法です。
借入額が減ると、金利を含めた借入総額も減りますので、より返済負担が軽くなります。この繰り上げ返済は、借入期間中に何度行っても良いので、最初の自己資金を多く用意できなくても、途中から返済負担を減らすこともできます。
繰り上げに使う資金は、アパート収入から多めに充当するのでも、お勤めしている企業からの給与やボーナスから捻出するのでも問題ありません。ご自身のライフスタイルと照らし合わせながら、無理のない範囲で決めていけます。
ただし、相続税対策を前提としてアパート経営の場合は、借金が多く残っているほうが節税効果も高くなりますので、注意が必要です。自己資金額と返済額のバランスなどは、土地活用の目的と合わせ、税の専門家である税理士に相談のうえで決めていくようにしてください。
3-3.アパート経営の10.20.30年後を想定しておく
アパート経営をはじめる前の段階で、土地活用の10年後・20年後・30年後の経営状態をシミュレーションしておき、いくつかの出口戦略も用意しておくようにします。アパートは息の長い経営ですので、その間に、家族構成の変化、ライフスタイルの変化、社会情勢の変化など、想定していなかったことがたくさん起きるタイプの土地活用です。
しかし、アパート経営自体には、1回目の大規模修繕などが発生する10年目、法定耐用年数間近の20年目など、あらかじめ把握できる、建物の劣化具合による区切りのタイミングがあります。このタイミングに合わせて、いくつかの選択肢を準備しておくことで、その時の家族構成やライフスタイル、その時の社会情勢に応じて、フレキシブルに対応しやすくなります。
また、ハウスメーカー選びも、そのような長期的な視点に立って選ぶことで、親子代々でサポートをお願いできるアパート経営のパートナーなり、アパート経営が成功しやすくなります。
アパート経営の30年後を見据えたパートナー会社を探すためには、さまざまな会社とプランを比較して、納得のいく一社を選び出す必要があります。土地活用のプランを含めた、アパート経営に関したプランをお探しの場合は、「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご利用ください。土地活用に信頼と実績のある複数社から提案を受けられます。
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