アパート経営のような不動産賃貸業の原型は江戸時代からあると言われており、リスクに対する対策はかなり確立されています。
つまり、初心者であってもリスクとその対策を知っておけば、堅実なアパート経営を行うことは十分可能です。
そこでこの記事では、
- アパート経営にはどのようなリスクがあるのか
- リスクを抑えてアパート経営を始める方法5選
などについて解説していきます。
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アパート経営で起こりうるリスクは?
アパート経営で注意すべきリスクとして、以下の13項目があげられます。
- 空室リスク
- 賃料下落リスク
- 供給過剰リスク
- 借入金返済リスク
- 建物老朽化リスク
- 家賃滞納リスク
- 入居者トラブルリスク
- 立ち退きリスク
- 自然災害リスク
- 金利上昇リスク
- 資産価値下落リスク
- サブリース契約に関するリスク
- 大規模修繕リスク
リスク対応に成功するオーナーと失敗するオーナーの違いは?
リスクを上手く回避しつつ賃貸経営を軌道に載せていくオーナーと、そうでないオーナーの違いは以下の点にあります。
- 情報収集への積極性
- 管理会社選びの慎重さ
- 都合の悪い情報への向き合い方
リスクを抑えてアパート経営を始める方法は?
アパート経営のリスクをコントロールするためには、各種リスクに対して個別に対応するだけでは不十分です。
アパート経営をスタートする際に取り組むべき根本的な解決策として、以下の5点があげられます。
- 自分自身の保有する土地あるいは土地を購入できる資金を用意した上で取り組む
- 施工の質の高いアパートを建てる
- 自己資金を十分に用意する
- 適切な管理方式を選択する
- 「1階」の空室対策をしっかり行う
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詳しい解説は以下
目次
1.アパート経営のリスク全13項目
アパート経営の主なリスクは以下の13点です。
- 空室リスク
- 賃料下落リスク
- 供給過剰リスク
- 借入金返済リスク
- 建物老朽化リスク
- 家賃滞納リスク
- 入居者トラブルリスク
- 立ち退きリスク
- 自然災害リスク
- 金利上昇リスク
- 資産価値下落リスク
- サブリース契約に関するリスク
- 大規模修繕リスク
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
1-1.空室リスク
アパート経営で最も怖いのは、空室リスクです。
空室が発生すれば賃料も下げて募集せざるを得ず、賃料下落リスクも引き起こします。
また、空室を埋めるために不動産会社へ支払う仲介手数料やクロスの張り替え等の修繕費も発生します。
このように空室は収入の減少と支出の増加を同時に引き起こすため、アパート経営を悪化させる最大の要因となります。
空室は、立地の悪い物件や築年数の古い物件で発生する傾向です。
空室リスクを抑えるためにも、アパート経営は極力立地の良い場所で行い、新築アパートでスタートすることが適切といえます。
また、1Kや2DKといった小さめの間取りが空室を抑えるカギです。
単身者は「買う」よりも「借りる」ことを選択するため、賃貸需要が高くなります。
1-2.賃料下落リスク
アパートには、賃料下落リスクも存在します。
賃料下落の主なきっかけは、空室です。
空き室を埋めるために賃料を下げて募集をし始めると、入居中の借主からも「賃料を下げて欲しい」といった要望がくることもあります。
アパートの場合、一旦賃料が下がり始めると、その後回復するというようなことは基本的にありません。
そのため、賃料は新築当初が最も高く、その後は下がっていくのが一般的です。
アパートを建てる際は、賃料が下がったときでも借入金が返済できるかどうかを事前にシミュレーションしておく必要があります。
1-3.供給過剰リスク
アパートは周辺地域に次々と新しいアパートが建てられることで、供給過剰リスクに見舞われることもあります。
アパートは投資規模が比較的小さく、かつ、建築規制も緩いことから建てやすいため、供給過剰になりやすいという特徴があります。
地域の中でアパートが供給過剰になると入居者獲得合戦が始まってしまうため、空室も増え、賃料も下落してしまいます。
供給過剰リスクは、立地の悪い物件ほど悪影響を受けやすいです。
供給過剰リスクに勝ち抜くには、例えば「単身高齢者入居可能」や「ペット可能」等の周辺アパートとの差別化を行っていくことが対策となります。
差別化されたアパートは競争力が上がるため、供給過剰状態になっても賃料を高く維持しやすくなります。
1-4.借入金返済リスク
アパート経営では、借入金返済リスクもあります。
借入金が計画通りに返済できなくなることです。
借入金返済リスクは、主に「借り過ぎ」と「空室」の2つが原因で生じます。
同じアパートを建てたとしても、アパートオーナーの資金力によって借入金返済リスクは異なります。
借入金30%で建てる人と、借入金90%で建てる人では、借入金90%で建てる人の方が借入金返済リスクは高いです。
また、同じ借入金で建てたとしても、空室状況によっても借入金返済リスクは異なります。
空室率0%の物件と、入居率50%の物件では、空室率50%の物件の方が借入金返済リスクは高いです。
借入金返済リスクを抑えるには、目安として自己資金を建築資金の3割以上用意することが適切です。
自己資金を3割とすることは、借入金を7割に留めるということになります。
借入金を7割くらいに留めておけば、万が一、アパートを売却するような事態に発生しても、売却価格がアパートローン残債を上回り、きちんと売却できる可能性が高まります。
借入金返済リスクを下げるには、なるべく自己資金を用意し、空室の発生しにくい立地でアパートを建てることが対策となります。
1-5.建物老朽化リスク
アパート経営には、建物老朽化リスクもあります。
建物は毎年築年数が経過しますので、どのようなアパートも建物老朽化リスクには直面します。
建物が老朽化すれば、修繕費も増えていくことがリスクです。
建物老朽化リスクを防ぐには「定期的なメンテナンスを怠らないこと」と「施工の質の高い建物を建てること」の2つが適切な対策となります。
外壁塗装や排水管の高圧洗浄といった大規模修繕は予防保全と呼ばれる修繕であり、「壊れる前に行うメンテナンス」です。
予防保全を確実に実施していくと老朽化の速度を遅らせ、建物を長く利用することができるようになります。
また新築時も、適切な建築コストをかけて施工の質の高い建物を建てることもポイントです。
安普請の建物を建ててしまうと老朽化も早く、建物の修繕も多く発生してしまいます。
建てる時に建築費の安さにこだわり過ぎてしまうのも逆にリスクを背負うことになりますので、相応のコストを投じて優良資産を築くという発想も大切です。
1-6.家賃滞納リスク
アパート経営には入居者による家賃滞納リスクもあります。
借主による家賃滞納が発生しても、すぐに退去させることができません。
一般的には、3ヶ月以上連続で滞納が発生しないと契約解除事由に該当しないとされるため、貸主は家賃滞納に対して未然に対策を取っておく必要があります。
家賃滞納の対策は「敷金を預かること」と「借主に家賃保証会社に加入してもらうこと」の2つが適切です。
敷金は、家賃滞納等の債務不履行が発生した場合に、貸主は預かっている敷金を家賃に充当することができます。
できれは2ヶ月以上預かっておくことが望ましいです。
また、入居時に借主に家賃保証会社に加入してもらうことも効果的な対策となります。
家賃保証会社は、借主が家賃を滞納したときに代わって家賃を支払ってくれる会社のことです。
家賃保証会社に加入するために、借主が入居時に保証料を支払うことが一般的となっています。
1-7.入居者トラブルリスク
アパート経営では、入居者トラブルリスクもあります。
入居者トラブルリスクには例えば以下のようなものが存在します。
- 夜中に騒いで近隣トラブルとなる
- ゴミをため込むなどして汚部屋にする
- 禁止されているペットを飼う
- 夜逃げする
- 同居する
このような入居者トラブルは、マナーの悪い入居者に貸し出してしまうことで発生します。
入居者トラブルを防ぐには、管理会社に適切な入居審査を行ってもらうことが現実的な対策です。
入居審査は、家賃支払い能力だけでなく、人柄等を見抜く作業です。
入居者トラブルは100%防ぐことはできませんが、実績豊富な管理会社であれば適切な入居審査を行ってくれるため、かなりの確率で悪質な入居者を排除することができます。
そのため、アパートオーナーとしては、実績豊富な管理会社を選ぶことが入居者トラブルを防ぐ直接的な対策となります。
リスクを想定して、対策まで考慮した「アパート経営プラン」
1-8.立ち退きリスク
アパート経営には、立ち退きリスクもあります。
立ち退きリスクとは、将来、アパートを建て替えるようなとき、入居者を立退かせようとしたら居座られて立ち退きができなくなるリスクです。
アパートでは、通常、普通借家契約と呼ばれる賃貸借契約を締結します。
普通借家契約は、更新ができる契約であり、借主が長く住むことができる契約です。
普通借家契約は、借主の権利が強く守られているため、貸主から契約を簡単に解除することができなくなっています。
貸主から契約を解除するには借主へ支払う立ち退き料が必要です。
立ち退き料は金額が決まっているわけではないため、交渉が決裂すると借主に居座られてしまうこともあります。
立ち退きリスクを回避するには、立ち退き前に立ち退き方法をしっかり調べて準備をしてから取り掛かることが適切な対策です。
1-9.自然災害リスク
アパート経営では、自然災害リスクもあります。
アパートを建てるときにハザードマップを確認し、土砂崩れや水害のリスクが低い土地にアパートを建てるのが基本です。
また、地盤調査をしっかり行い、地盤の強さに応じた工事を行うことが大切です。
建てた後は、火災保険と地震保険の加入が妥当な対策です。
火災保険は、火災だけでなく、水害などにも対応することができます。
貸主は「建物」の火災保険に加入し、「借主」は家財の火災保険に加入してもらうことが一般的です。
1-10.金利上昇リスク
アパート経営では、金利上昇リスクもあります。
変動金利でアパートローンを組む場合、金利が上昇すると利子の支払いが増えてしまうことがリスクです。
金利上昇リスクに対応するには「借入金はなるべく少なくする」、「固定金利のローンも活用する」といった方法があります。
固定金利は変動金利よりも金利は高いですが、リスクヘッジのためにも、ある程度固定金利を活用しておくことをおすすめします。
1-11.資産価値下落リスク
アパート経営では、将来、資産価値下落リスクもあります。
アパートは、建物については、築年数が経過するほど資産価値が落ちていきます。
また、土地についても景気変動によって土地価格が下がる可能性はあります。
土地価格が下がり始めると、物件価格が大きく下がるため、アパートローン残債が売却価格を上回るオーバーローンが生じる懸念がある点がリスクです。
資産価値下落リスクは、土地価格が下がっても売却しなければリスクは顕在化しません。
ただし、売却は、将来相続後に子供たちが行うことも考えられます。
資産価値下落リスクを回避するには、なるべく借入金を抑えるのが適切な対策です。
1-12.サブリース契約に関するリスク
アパート自体に生じるトラブルとは別に、業者との間で契約を巡るトラブル等が生じてしまうリスクもあります。
業者との間で起こりうるトラブルの中でも代表的なものが「サブリース契約に関連するトラブル」です。
サブリース契約とは「家賃を固定で保証してくれる家賃保証型サブリース」を指すものであり、転貸(又貸し)形式の管理方式です。
サブリース会社が一棟丸ごと賃貸し、各入居者とはサブリース会社が転貸借の契約を締結した上で、アパートオーナーはサブリース会社から賃料を受け取る形です。
しかし、サブリース業者の中でも優良でない業者の場合、築年数が経過して空室が増えたタイミングなどで、オーナーに支払う賃料を下げる旨の要求をしてくる場合があります。
このようなケースもあるように、サブリース会社からの賃料は、永久に保証されるものではないということです。
とはいえ、減額請求をはじめとしたサブリース会社からの要求には必ず応じなくてはならないわけではありません。
オーナーから見て理不尽に感じる要求であれば、裁判所に仲介してもらう形で解決することもできますので、必ずしもオーナー自身だけで対処しようとせず、専門家の力も借りつつ腰を据えて対処しましょう。
1-13.大規模修繕リスク
大規模修繕は、貸主が行わなければならないものですが、大規模修繕を実施すべきタイミングで必要な資金を用意できない、というリスクがあります。
アパート経営においては、築10年を過ぎると、給湯器の交換や外壁塗装等の大規模修繕が立て続けに発生します。
大規模修繕は、建物の資産価値を維持するための大切なメンテナンスですので、放っておくと後でさらに余計な工事費用が必要となり、トータルでの支払いが嵩んでしまう結果となります。
大規模修繕は、アパート経営における必須の行為ですので、定期預金を組むなどして資金を計画的に貯めるようにしてください。
リスクを想定して、対策まで考慮した「アパート経営プラン」
2.リスク対応に成功するオーナーと失敗するオーナーの違い
アパート経営の中で生じるリスクに対応するためにはさまざまな対策方法がありますが、「オーナーのマインドセット」もリスクに上手く対処できるかどうかに大きく関わってきます。
ここでは、リスクに上手く対処できるオーナーとそうでないオーナーについて、マインドセットの面に着目してお伝えしていきます。
2-1.情報収集への積極性
【リスク対応に成功するオーナー】 | 【リスク対応に失敗するオーナー】 |
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アパート経営を成功させるオーナーは、業者などの言うことをうのみにせず、独自に情報を集めて判断する傾向があります。
例えば、業者が提示してくる資料に目を通すだけでなく、自分自身で物件の周辺へ足を運んで周辺の土地事情などをチェックすれば、業者からの情報がどれだけ正確かを体感できるはずです。
特に、アパート経営をスタートする前後の初期の段階では、致命的なミスを防ぐためにも、オーナー自身が情報収集する姿勢が重要です。
2-2.管理会社選びの慎重さ
【リスク対応に成功するオーナー】 | 【リスク対応に失敗するオーナー】 |
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アパート経営のパートナーとして数十年のスパンで付き合っていくことになる管理会社は、最初の段階で慎重に選ぶ必要があります。
賢明なオーナーは、管理会社を選ぶにあたっていくつかの会社を相見積もりしますが、アパート経営においてトラブルに見舞われがちなオーナーの場合は最初に営業をかけてきた管理会社を選んでしまいがちです。
不動産系の営業マンはどこの会社も人当たりがいいので、最初に会った会社の営業マンに好感を持ってしまうかもしれませんが、やはり他の会社と比べることをせずに重要な契約を結んでしまうのは早計です。
「あの営業マンはよくしてくれたから、関係を切るのは申し訳ないな…」という具合に、罪悪感を感じる必要はありません。
情に流されず、自分自身にとって最も有利になる取引を選ぶことが大切です。
2-3.“都合の悪い情報”への向き合い方
【リスク対応に成功するオーナー】 | 【リスク対応に失敗するオーナー】 |
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トラブルを回避できずに失敗しがちなオーナーは、自身に都合の悪い情報を直視できず、早めに手を打っておけば解決できたはずの問題を放置して取り返しのつかない事態を招いてしまう傾向があります。
トラブルに上手く対処して長期的な成功を掴むオーナーは、悪い情報を直視して迅速に対応し、問題の芽を摘む姿勢を持っています。
まずは「検討」でOK
3.リスクを抑えてアパート経営を始める5つの方法
記事の前半ではアパート経営にまつわる各種リスクと、それぞれの対策方法について記載しましたが、アパート経営を始める前にとるべき、より根本的な対策として、以下の5つを頭に入れてください。
- 土地を持っていない人または手持ち資金で土地を買えない人はやらない
- 施工の質の高いアパートを建てる
- 自己資金を十分に用意する
- 適切な管理方式を選択する
- 「1階」の空室対策をしっかり行う
この5種類の対策は、さまざまなリスクを防ぐことにつながります。
ひとつずつ見ていきましょう。
3-1.土地持ちで始める
アパート経営でリスクを負わないようにするには、土地を持っていない人や手持ち資金で土地を買えない人は手をつけないことが基本です。
アパートは、建物の建築費の借入金が返済できる程度の収益性はありますが、残念ながら土地の借入金まで返済できるほど収益性が高くありません。
そのため、アパート経営を始めるなら、元々土地を持っていることが望ましいです。
ただし、土地を持っていない人でも、手持ちの現金で土地を購入できる人は土地購入のための借入金が生じないため、アパート経営を始めることができます。
昨今は、土地を借入金で購入させてアパート建築を誘導するような会社も存在しますが、土地まで借入金で投資をしてしまうのはかなりリスクが高いです。
土地を持っていない人は、少なくとも土地は現金で買える状態になってからアパート経営を始めるべきといえます。
一方で、元々土地を持っている人であれば建物投資だけで済みますので、リスクは最初からかなり軽減されています。
世間で語られている「アパート経営は地獄」のような話は、土地を持っていない人の話も含まれるので、土地を持っている方は過度に心配し過ぎないことも適切な対応です。
3-2.施工の質の高いアパートを建てる
リスクを抑えてアパート経営を行うには、施工の質の高いアパートを建てることがポイントです。
施工の質の高いアパートを建てれば、建物老朽化に伴う修繕費の支出を抑えることができます。
また、設備の仕様が高いアパートを建てれば、入居者に好まれるため、空室リスクや賃料下落リスクを抑えられます。
設備仕様の高いアパートを建てておけば、周辺に競合のアパートができたとしても、競争に勝ち抜くこともできます。
アパートは少なくとも40年以上はお金を稼ぐ資産になりますので、長期的な視点に立って施工の質の高いアパートを建てることが大事です。
施工の質の高いアパートを建てるには、ハウスメーカー選びが重要となります。
実績が豊富で、技術的にも信頼がおけるハウスメーカーに見積もりを取る必要があります。
良質なハウスメーカーを選ぶための方法については、記事の後半で解説します。
3-3.自己資金を十分に用意する
リスクを抑えてアパート経営を行うには、自己資金を十分に用意することもポイントです。
仮に自己資金100%でアパート経営を行えば、少なくとも借入金返済リスクはなくなります。
借入金返済リスクがなくなれば、多少、空室や賃料下落が発生しても耐えることができます。資金もすぐに貯まるため、将来の建物老朽化リスクにも対応がしやすいです。
借入金が少ないほどリスクに対する対応力が高まりますので、自己資金を十分に用意することはリスクヘッジ策そのものとなります。
昨今は、建築費の10%程度の自己資金を用意しておかないとアパートローンが組めませんので、自己資金は最低でも10%は必要です。
安全面を考慮すれば、30%程度を用意することが望ましいといえます。
自己資金割合があまりにも低いと、アパート経営に失敗していざ売却しようとしたときにアパートローン残債が売却額を上回ってしまい、売却できないことがあります。
自己資金は30%程度用意しておけば、アパートローン残債が売却額を上回る可能性はかなり低くなります。
万が一アパート経営が失敗してしまうことに備え、売却という逃げ道を用意しておくことは重要です。
3-4.適切な管理方式を選択する
リスクを抑えてアパート経営を行うには、適切な管理方式を選択することもポイントです。
アパートの管理方式には、大きく分けて「管理委託」と「サブリース」の2種類があります。
管理委託とは、アパートオーナーが管理会社に管理を委託し、アパートオーナーと入居者が直接賃貸借契約を締結する管理方式です。
管理委託では、家賃の5%程度を管理会社に管理委託料として支払います。アパートオーナーが入居者と直接賃貸借契約を締結するため、空室が発生すれば収入が減ります。
それに対して、サブリースとは、アパートオーナーがサブリース会社にアパート一棟を賃貸し、サブリース会社が入居者と転貸借契約を締結する管理方式になります。
サブリースは、サブリース会社から固定の賃料が振り込まれるため、空室が発生しても収入が変動しないことが特徴です。
サブリースでは、満室想定時の家賃から15%程度の手数料を差し引かれた残額がアパートオーナーに家賃として振り込まれます。
管理委託は収益性が高いですが空室によって賃料が変動するのに対して、サブリースは収益性が低いですが空室によって賃料が変動しないという違いがあります。
ただし、サブリースでも空室が多く発生すればサブリース会社から賃料の減額要請があるため、空室が完全に保証されているわけではありません。
アパートオーナーも空室リスクを間接的に負っていることになります。
管理委託では空室リスクは負うものの、収益性が高いため、現金が早く溜まり、将来発生する建物の老朽化にも備えやすくなります。
そのため、立地条件の良い土地であれば空室リスクは低いため、できれば管理委託を選択することが望ましいです。
サブリースは、管理委託だとかなり不安と思われる場合に最終的に選択すべき管理方式となります。
管理方式は「サブリースありき」ではないので、立地状況に応じて適切な管理方式を選ぶよう意識しましょう。
3-5.「1階」の空室対策をしっかり行う
アパートは、セキュリティ上の問題から、1階の方が入居者は決まりにくく空室が発生しやすくなります。
そのため、あらかじめ1階に空室対策を施したアパートを建てると、空室リスクを随分と減らすことができます。
1階の空室対策としては、例えば以下のようなものがあります。
- ガーデニングやバーベキューができる専用庭を設ける
- 1階の入居者が利用できる物置き(トランクルーム)を設置する
- 泥棒の浸入に備えて、ホームセキュリティーを導入する
- 植栽等の配置で歩行者からの視線を遮る
- 窓面は道路から少し高いところに設け、歩行所からの視線を外す
設計プランを検討する際は、設計者に1階の空室対策アイディアを提案してもらうことをおすすめします。
4.アパート経営のリスクの回避について、安心して相談できるハウスメーカーのポイント
アパートの経営・建設にあたって生じる様々なリスクを回避するには、そういったリスクについての知見・経験が豊富なハウスメーカーを選びたい所です。
以下、「アパート経営のリスクの回避について、安心して相談できるハウスメーカー」を選ぶために必要不可欠なポイントについてお伝えします。
4-1.リスクの説明をしっかりしてくれる
アパート経営は利点も多いですが、もちろんリスクも多様にあります。
「アパートオーナー」も一棟目は初心者ですから、わからない事も数多くあるのが当然です。
そこも踏まえて初心者に対しても分かり易く、リスクも隠さずしっかり説明してくれるメーカーは信頼できるといえます。
リスクを隠さないという事は、リスクに対処する自信があるという事です。
そういった真摯な姿勢をもったハウスメーカーを選びたい所です。
4-2.評判・口コミ
ハウスメーカーの評判や口コミについては、インターネットを活用することによって業者の立場から独立した中立な意見を拾うことができます。
特に近年では、通常のGoogle検索の他に、SNS上で情報を探すことによって「生のユーザーの声」を見つけやすくなっているので、ぜひご活用ください。
4-3.問い合わせへの対応
問い合わせへの応対が手厚い会社であれば、実際に契約を結んだ後のフォローの質にも期待できるでしょう。
気になるハウスメーカーがあれば、事前にメールで相談してみて、担当者がどれぐらい丁寧に応対してくれるかを確かめるのも一手です。
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