アパート経営をご検討中の方にとって、自分がアパート大家になった後に何をすればいいのかは気になりますね。アパート大家の7つの仕事を中心にアパート大家についてまとめています。

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更新日
2023.07.19
カテゴリ
アパート経営, 記事

アパート大家の主なお仕事内容8つ!管理を委託するメリット・デメリット

アパート大家の主なお仕事内容8つ!管理を委託するメリット・デメリット

アパートの賃貸経営と管理にまつわる様々なことをするのが大家さんですが、実際にはどのような仕事をしているのでしょう?

本記事では、具体的な大家さんの仕事内容を知り、アパートの管理委託をどこまでするべきかなどの判断材料として、アパート大家さんのお仕事内容や収入、主な仕事を不動産管理会社に委託するメリット・デメリットなどについて解説しています。

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STEP1
STEP2

目次

1.アパート大家さん2タイプ

本章では、アパートの大家さんになる、よくある2つのタイプを解説します。

1-1. 土地活用でアパート大家さん

お持ちの土地にゼロからアパートを建築してアパート経営を開始するタイプです。純粋になりたい職業として大家さんになる方もいらっしゃいますが、土地活用で大家業をスタートされた方々の多くは、以下のような目的をもっている傾向があります。

1-1-1.税金対策

税金対策としてアパートを建築して大家さんになるパターンです。不動産は毎年1月1日時点での所有者に対して、不動産がある自治体から、固定資産税(都市部は都市計画税も加算)の課税があります。

この税率は、活用していない土地(更地)に対して最も厳しくできています。しかし、この土地にアパートなどを建てて土地活用をすると、固定資産税が以下のように軽減される優遇措置が受けられるようになります。

税金 土地の状態 税率
固定資産税 土地・更地のまま 固定資産税評価額×1.4%
固定資産税 小規模住宅用地 住宅1戸当たり200平米まで 固定資産評価額×1/6
固定資産税 一般住宅用地 住宅1戸当たり200平米超の部分(床面積の10倍まで) 固定資産評価額×1/3

【参照:東京都主税局 固定資産税

固定資産税は不動産を持っているだけで毎年課税される税金ですので、遊休地のままだと収益を生まない土地に対して高い税額を払い続けることになります。しかし、家屋などを建てて土地活用をすれば、上記表のような軽減措置が使え、税額が下がります。

1-1-2.相続税対策

相続税対策としてアパートを建てて大家さんになるパターンです。相続税には、土地と建物の評価額を下げる特例がありますので、それを上手に利用した将来の相続税対策として土地活用をします。土地に家屋を建てて人に貸すと、相続税評価額が下がります。

土地の場合

敷地に建物を建て、さらにそれを人に貸している状態の土地は、所有者が自分の自由に不動産を使うことができないという不便さがあるため、「貸家建付地」として相続税評価額が約2割下がります。アパート以外にも、マンション・テナント・オフィスビルなどでも貸家建付地の対象となります。

建物の場合

敷地に建っている建物は、相続税評価額が低くなる上に、全国一律に評価額の3割減が借地権割合として適用されるため、両方を適用すれば建物の相続税評価額を大きく下げることができます。さらに、アパート建築をする際に金融機関から融資を受けて残債が残っていれば、その分はマイナスの相続資産として計上されますので、相続税の総額を減らせます。

このような資産の評価方法の仕組みを上手に利用し、アパートを建てて相続税の対策としています。
【参照:国税庁 アパート等の貸家の評価

1-1-3.土地条件を活用

お持ちだった土地のエリアや立地条件が良くなり、アパート経営に適した土地になったのでアパート経営に乗り出して大家さんになるパターンです。特に、近隣に駅や大きな商業施設ができる、大きな会社や大学などが移転をしてきたなど、人口が増加して賃貸需要が高まる可能性が大きい場合は、お持ちの不動産を賃貸経営などの収益が発生する不動産に変えることで、資産の増大が見込めます。

1-2. 親世代から引き継いだアパート大家さん

祖父母または親世代が経営をしていたアパートを子や孫が引き継ぐ形で大家さんになるパターンです。相続または生前贈与の形で引き継いでいます。突然の相続で、従前に管理内容の引継ぎなどが十分ではない場合、いきなりアパート管理業をすることになり、ノウハウがわからずに困惑するケースも見られます。

また、経営がうまくいっているアパートを引き継いだ場合は、引継ぎをした時点から収益が発生しますが、相続したものが赤字経営の場合は、その立て直しと赤字の補填に苦労をするケースもあります。特に、相続税・贈与税の対策としてローン残債が多い場合には、相続税などの対策にはなっていますが、アパート経営そのものにはプラスになっていないこともありますので、引継ぎをする前に、帳簿などを確認しておく必要があります。

規模の大小に関わらず、大家さんも事業や家業の一つであることから、引き継ぐことが想定できている場合は、元気なうちに業務内容なども引き継ぎをしておき、必要な対策をして健全な形で継承できるようにしておく準備が必要です。

2.アパート大家さんの主な収入

アパート経営で得られる収入は、大きく分けて5つあります。

  • 家賃収入
  • 共益費
  • 礼金
  • 更新料
  • その他の収入

その他の収入とは、駐車場利用料や自動販売機などの設置で得られる収益などを指します。

アパート大家さんの主な収入の内訳
家賃収入 アパート大家さんの収入の大半を占める。入居
共益費 家賃と併せて毎月徴収する費用。家賃の5%~10%が目安。
礼金 契約時に他の初期費用と併せて支払われる。
家賃の1ヶ月~2ヶ月分が基本。
更新料 契約更新時に支払われる。更新期間は2年、家賃の1ヶ月分が基本。
その他の収入 駐車場契約料、自動販売機設置で得られる収益など。

アパート経営を検討する際は、収入だけでなく「支出はいくらかかるのか」や、税金についても併せて把握しておきましょう。

収支の仕組みについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

【基礎から解説】アパート経営のはじめ方|リスク対策と必要資金がわかります

3. アパート大家さんの8つのお仕事内容

アパート大家さんのお仕事を8つに分けて解説します。大家さんの主たる義務は、「建物の維持管理と保全」です。つまり、アパート建築物の正常な利用ができる維持管理と安全の確保に対しての責任を果たしてさえいれば、大家さんになったからといって、必ずしも大家さんのお仕事をすべて自分でしなければならないわけではありません。

大家さんの仕事内容は以下のように多岐にわたりますが、外注(外部委託)をしても問題ありません。

3-1.入居者管理

ご自身のアパートにどのような人物を入居させる・入居しているかを管理します。アパート管理をお願いしている不動産会社、入居案内をお願いしている不動産会社とも、窓口をしている会社として入居者の人物審査などはしていますが、その審査基準は不動産会社によって差があるのが実情です。

大家さんの収入=家賃収入ですので、家賃を長期にわたって支払っていけるかどうかを軸に、大家さんもご自身での基準を持っておくようにします。

3-1-1.入居審査

入居募集をして申し込みが入ると、申込者の勤め先・本籍地がわかるものなどの個人情報が記入された資料が送付されてきますので、これから入居される方が、どのような人物なのかを資料から判断していきます。記載されている勤務先は申し込み時点でのものですので、会社IDなどを添付できる場合はお願いをします。

入居契約の際には、大家さんのサインと印鑑も必要になりますので、送付をしてもらうか不動産会社に出向いて必要な署名捺印をし、契約書を大家さんと入居者で一部ずつ保管します。

すでに入居者が複数いるアパートを引き継いだ場合は、保管してある入居契約書の内容を確認し、ご自身が運営するアパートにどのような方が・何年ほど住まわれているのかなどの確認をしておきましょう。

3-1-2.連帯保証人

連帯保証人に関しては、昨今では親族や勤め先上司などを連帯保証人にする従前のスタイルと並行して、家賃保証会社を利用して契約するケースも多いので、連帯保証人の有無は昔のように「なくてはならないもの」ではなくなりました。入居案内などをお願いしている不動産会社が保証会社と契約をしていれば問題がありません。

ただし、連帯保証人は存在しているほうが、何かトラブルが起きたときにも対処がしやすいため、連帯保証人が立てられるのであれば、そのほうが良いといえます。

3-1-3.更新

入居者管理には「更新管理」も含まれます。多くの場合、委託管理契約をしていなくても、入居~契約をした不動産会社が更新日の確認をして「更新手続きをしてもよいですか」という連絡を、大家さんと入居者にしてくれます。

更新日の2か月前には不動産会社から更新手続きの確認書類が入居者に送付され、期日までに更新手続きを完了します。これらの更新手続きの期間や期日は、契約書に記載があります。更新は地域によって

  • 更新の概念がないところ
  • 退去しますと言わない限り、自動更新になるところ
  • 更新手続きはあっても更新料が発生しないところ
  • 更新手続きと更新料が発生するところ

など、さまざまです。管理する不動産がある地域の慣習に従って管理をするようにします。
【参照:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 家賃債務保証事業者協議会
【参照:一般社団法人全国賃貸保証業協会

3-2.賃料管理

賃料の入金確認と滞納への対応です。家賃は前払い制ですので、今月に振り込まれる家賃は来月分となります。大家さんとして管理すべき内容は主に以下の2つです。

3-2-1.入金・集金

期日までに振り込みがあるかを通帳への記帳などで確認します。複数の支払い形態(振込・訪問・指定期間に大家さんの家まで払いに来る)がある場合は、全室の集金が完了するまで行います。

不動産管理会社に集金代行をお願いしている場合は、当月末までに集金した金額から管理料を差し引いたものの明細が送付され、翌月の指定日に振り込まれます。管理料は不動産会社によって違いますが、相場は1室の賃料に対して5%前後です。

3-2-2.滞納と督促

期日を過ぎても振込がない場合は、家賃滞納となります。その場合は、出来るだけ早い段階で支払ってもらえるように督促作業をします。電話・メール・文書などで連絡をし、返事がない場合は直接、部屋まで徴収に行くこともあります。

不動産管理会社に集金代行をお願いしている場合は、督促作業が集金代行のプランに含まれているかを確認しておきましょう。ない場合は、別途支払いで督促業務を行ってもらうか、大家さんがご自身で督促・徴収をする必要があります。

滞納はアパート経営の収益減に直結しますので、早急な対応が必要です。入居者が家賃を支払うのは義務ですので、督促の際には「なぜ遅れているのか」を必ず確認します。転職したなどでお給料の振り込み日が変わった場合は、だいたい半月程度までの遅れで毎月の支払いができていれば、問題が大きくならない傾向があります。

目安として、延滞の最大猶予は、敷金で預かりのある月数分までです。例えば、2か月分の敷金を預かっていたら2か月までの滞納は敷金で補填できますので、滞納日から1~2か月の猶予期間を設定し、その間に状況が改善されないようでしたら、契約書の内容に従って契約解除ができます。敷金などがない場合は、次の1か月以内に支払いがなければ、契約解除をする旨を伝えても問題はありません。

このようなやり取りは大家さんの仕事の中でも気が重い作業となりますので、大家さん業が本業だとしても、督促の部分だけは不動産管理会社に委託してビジネスライクな対応にしたほうが、ストレスとトラブルが最小で抑えられます。

3-3.建物管理

大家さんはアパートが正常に使えるように維持管理する義務がありますので、建物管理はとても大切な仕事です。大家さんが管理する部分は、主に以下の4つになります。

3-3-1.建物の美化

アパートなどの建物を掃除し、入居者が気持ちよく使えるように維持管理します。建物の美化には、敷地内の清掃、ゴミなどの撤去・自転車置き場やエントランスの整理整頓なども含まれます。

敷地内にゴミ置き場がある場合は、ゴミ収集日に合わせて分別をし、ゴミ集積所まで運ぶ作業も発生します。ゴミ出しは週に数回あり、朝早く、重たいものが多いキツイ仕事です。管理会社へ委託すると管理業務の資格のあるスタッフが必要な日に派遣されます。

3-3-2.建物の躯体の部分

建物の躯体や構造に関した管理です。大家さんの責任範囲は、基本的に、入居前の状態から存在している、建物の構造と機能に対して発生します。

例えば、玄関ドアの建付が悪くて鍵が入らなくなった場合は、大家さんがドア鍵をシリンダーごと取り換えるなどの対処が必要ですが、鍵を紛失した場合は入居者が追加の合いカギの作成代金を支払います。窓の場合は、窓ガラスが割れてしまった場合は大家さん負担で窓ガラスやサッシの交換をしますが、網戸が少し破れてしまったなどは、機能がなくなったとは言えないため、入居者が個人で対応をします。

3-3-3.建物インフラの部分

水道・電気・ガスなど入居者の生活に必要なインフラに問題が起きた場合も、大家さんに管理責任が生じます。

例えば、1部屋あるうちの1部屋の照明器具がつかない場合などは、照明器具の取り換え、または電気配線工事を大家さん負担ですることになります。ただし、入居者が自分で付けた照明器具などがうまくつかないなどは、入居者責任になります。

3-3-4.建物の外構の部分

建物の外構の部分は、大家さんに管理責任があります。例えば、外灯が切れている、台風後にアパートの壁の一部が破損したなど、アパートの外側と共用部分にまつわることは大家さんが管理をします。
【参照:民法第606条

3-4.クレーム対応

入居者からのクレームには「インターホンがならなくなった」などの設備に対するものだけでなく、「上階の足音がうるさい」「ベランダにたばこの灰が飛んでくる」のような入居者間トラブルに関したものもあります。

設備に関しては即時対応を心掛けます。入居者間トラブルに関しては、まずは入居者全体への注意として張り紙などで告知をして様子を見ます。その間に、事実確認ができれば調査を続け、状況が改善されない場合は、張り紙と同様の内容を全ポストに投函して反応を見ます。どうしても状況が改善されない場合は、個別に対応します。

このようなクレーム対応も、不動産管理会社に委託してビジネスライクな対応にしたほうが、入居者・大家さんともストレスとトラブルが最小で抑えられる傾向があります。

3-5.契約違反の確認

契約内容違反の確認と注意です。契約違反は入居者によって多種多様なケースが発生しますので、出来事に合わせて、迅速で適宜な対応が求められます。例えば、

1人入居で契約をしたが、知らない間に2~3人で住んでいた。

学生や外国人入居者などでよくあるケースです。シェアOKや2人暮らしOKの物件でない場合は、口頭と書面で注意をします。状況が改善されない場合は、厳重注意をしたうえで、連帯保証人がいる場合は連絡をし、注意をしてもらいます。それでも改善されない場合は、賃上げまたは退去の提案をするなどして、対応をします。

ペット可じゃないのに、ペットを飼っている人がいる

ペットの存在を確認していなくても、鳴き声がする・動物のニオイや足音がする・毛が落ちていた、などのクレームが入る場合もあります。外からは確認のしようがないので、該当する入居者に直接、事実関係を確認して、そのケースごとに対応を考えます。(例:一定の猶予期間をもって退去、更新なしで、敷金を1か月分上乗せなど)

民泊として旅行者などに貸し出している

アパート内に見たことがない人がウロウロしている、エントランスで大きなトランクを持った外国人が待機をしていたなど、クレームによって入居者の誰かが民泊営業をしていることがわかることがあります。

仮に、民泊として積極的に活動をしていなくても、年間に複数回、有償でサブレット(また貸し)をしているようであれば、口頭と書面による注意が必要です。(外国から来た友人を泊めてあげているなどの範疇を超えているもの)頻繁に繰り返すようであれば、厳重注意をしたうえで、様子をみつつ、退去または家賃の大幅な上乗せなどの対応を考えます。

3-6.空室対応

アパート運営の理想は満室経営ですが、アパートに空室が発生することはあります。空室対策とは、「アパートに空室を作らないようにするため、大家さんがするあらゆる対策」のことです。具体的には、入居者を入れること、退去者を出さないという2パターンがあります。

3-6-1.入居者を見つける対策

退去があったときになるべく早く、次の入居者が決まるための動きをします。

不動産会社を通じて募集を開始する

不動産会社は前入居者の退去を確認後、はじめて募集ができます。募集をお願いしている不動産会社には、退去日の連絡をし、退去後はすぐに募集活動ができるように準備してもらいます。また告知などに使うアパート全体の画像や動画などは最新のものを用意しておきましょう。

室内をクリーニングし、必要な修繕をする

退去後の部屋は、前入居者の生活臭や使用跡などが残っていますので、必要な修繕(壁紙やフローリングの張替など)をし、室内をクリーニングします。専門のクリーニング会社にお願いすれば、汚れた水回りなどもピカピカに磨き上げてくれます。お部屋のクリーニング代は、退去者が負担するのが通例です。

修繕費用に関しては、原状回復のためであれば預かった敷金を充当、敷金がない場合は退去者への請求となります。経年劣化による部屋の汚れなどは、大家さん負担です。

今の需要にあった仕様にリフォーム

アパートの築年が古くなり、部屋の仕様が今の生活様式と合っていない場合は、次の入居者を早く決めるために、予算の許す範囲内でリフォームを行います。例えば、

  • 畳をフローリングに変える
  • トイレをウォシュレットタイプに変更する
  • 2DKタイプだったものを、一部屋をなくして広いリビングがある1LDKに変える

などです。あまり予算がなければ、アパート入居者だけが利用できるケーブルテレビや無料WI-FIを設置するなど、アパート全体にメリットがある設備を追加します。

3-6-2.退去者を出さない対策

一旦、入居をしてくれた入居者に、出来る限り長期間、住み続けてもらうための対策です。具体的には、

クレーム対応に迅速に対応する

賃貸のお部屋でも、入居者にとってそこは「我が家」です。長い期間、安心して住んでいられる場所であることを体感してもらうためには、入居者のちょっとしたクレームや困りごとを放置しないことです。

例えば、キッチン吊棚の扉の開閉が悪いから見に来て欲しい、などの緊急性が低いクレームにも、可能な限り丁寧で迅速な修理対応をします。このようなクレーム対応の速さと丁寧さの積み重ねは、大家さんとアパートに対する信頼となります。「こんなに親切できちんとした方が経営しているアパートなら、何かあっても大丈夫」と思ってもらえると、更新をして住み続けてくれます。

アパートをアップデートする

アパート建設当時にはなかったが、今はないと困るタイプのものを標準設備として入れて、アパートをアップデートしていきます。例えば、フリーWI-FI・宅配ボックス・録画機能付きインターホンなど、昔は必要なかったので設置しなかったけれども、今は当たり前になったものは、積極的に取り入れていきます。

代わりに、古くなったアパートの機能、例えば、使われていない自転車や車の駐車スペース・牛乳ポスト・傘置き場などは撤去・回収をしていきます。

これらの入居者・退去者対策には多少の出費が強いられますが、対策をせずに放置しておけば空室が続いて収益が減り、アパート経営の打撃となっていきますので、予算の許す範囲で対策をしていきます。

3-7.退去時の対応

入居者が退去するときの業務です。主に、次のようなものが発生します。

3-7-1.退去の立会い

退去日に立ち会い、部屋の中の状況や、敷金の清算に関わる瑕疵・汚れの状況などを目視で確認します。鍵の返却などもこの時に行います。入居契約をした不動産会社が、原状回復作業の確認のために、リフォーム業者と一緒に立ち合いに同席することもあります。また、大家さんがご自身で提携をしているリフォーム会社に、原状回復作業の確認を依頼して同伴することもあります。

3-7-2. 不具合箇所の確認

壁に穴があいている、フローリングに焼け焦げがあるなど、経年劣化以外の汚れ・不具合を確認します。汚れや破損がひどい場合は、前項のクリーニングでは対応できないため、修繕となり費用が掛かります。基本的に、原状回復費用は預かっている敷金から充当されます。

大家さんが自主管理をしている場合は、修繕にいくらかかるかなどの見積もりを取り、その内容を退去者に連絡をして敷金から差し引くことを伝えます。不動産管理会社に委託の場合は、これらの作業を管理会社が行います。

3-7-3.退去後のクリーニング

退去確認後、次の貸し出しのために、部屋全体のクリーニングをします。クリーニング代は基本、退去者が支払います。和室を洋室に変える、壁紙の張替えなどの修繕・リフォームは、このタイミングで行います。

3-7-4.清算と入居者募集

修繕費用とクリーニング費用などの清算後、退去した方へ返金をしたら、退去作業が完了します。退去確認が済んだ時点で入居者募集はかけられますが、内覧などはすべての退去作業が完了した後になります。

3-8.経営管理全般

アパート経営に関した業務全般です。経営に関した業務および金銭出納と税金に関することは、仮に運営の多くの部分を不動産管理会社に委託をしていたとしても、自分でもしっかり把握しておく必要があります。

3-8-1.一般業務

管理委託をしていても、毎月の家賃収支・必要経費などのかんたんな帳簿は、ご自身で作成をして保管しておきます。

委託している管理会社がする業務はあくまで集金代行・建物管理・クレーム対応などの「作業」の部分であり、アパート経営全体の詳細な収支と経営状態に関しては、大家さんがご自分で管理・把握することになります。

3-8-2.確定申告

アパート経営に限らず、一定規模の事業収入や副収入があれば、確定申告をして所得税と住民税を納税する義務があります。そのため、家賃収入・管理委託手数料・諸経費などの金銭出納を毎月、記録・管理をしておく必要があります。

サラリーマンの副業としてアパート大家さんをしている場合でも、アパート経営の所得が年間20万円を超えるのであれば、アパート収入の確定申告をする必要があります。
【参照:確定申告

3-8-3.固定資産税・都市計画税

毎年1月1日時点で所有している不動産の所有者に対して、不動産がある自治体から固定資産税と都市計画税が課税されます。固定資産税は毎年6~7月ごろに、税額が記載された払い込み用紙が郵送されてきます。不動産の所在地が都市部の場合は、都市計画税も含まれた金額が記載されています。
【参照:東京都主税局 固定資産税・都市計画税

3-8-4.修繕費用

アパートの築年が重なっていくうちに、あちこちに経年による修繕箇所が出てきます。入退去に合わせた個別のリフォーム以外にも、屋根や壁の防水処理・ベランダのペンキ塗り替えなど、アパート全体にかかわる大がかりな工事が必要なこともあります。これらの工事にはまとまった金額が必要なため、毎月の収入から将来の修繕費用を積み立てておく必要があります。

アパートの場合、マンション管理組合のような団体が立ち上がることはなく、修繕積立金などを別途で設定することはないため、大家さんがご自身で修繕計画を立て、アパート収入の中から用意しておく必要があります。

大家さんとしての仕事は多岐にわたっており、未経験からスタートするには少しハードルが高いと感じた方もいらっしゃるかと思います。また、サラリーマンなどの本業を持ち、副業として大家さんをする場合も、仕事量の多さから物理的に大家さんを自分でするのは無理だとお考えになった方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、大家さんの仕事の一部、または全部を、プロに委託してみることをおすすめします。

HOME4U賃貸経営

NTTデータグループが運営する「HOME4U賃貸経営」では、アパート物件の委託管理を依頼できる管理会社をまとめて見つけ、一度にプラン請求することができます。

管理をするアパートがある都道府県と物件の種類などのかんたんな質問に答えるだけで、大手企業から地元の精鋭企業までを含め、不動産管理の相談と委託までができる会社の候補を一度に複数社紹介します。ご自身でチェックを入れた会社だけからご指定の方法で、数日以内に連絡が来ます。

忙しくてアパートの管理まで十分に手が回らない、もっと上手に管理する方法を知りたい、今契約している不動産会社から乗り換えたいなど、不動産と不動産管理に関するあらゆる相談ができます。まずは、これから貸し出すお部屋や、現在貸し出し中のお部屋が適正賃料であるかなどを含め、賃貸管理全般に関した相談・査定をしてみましょう。

4.アパート大家の仕事を不動産管理会社に委託するメリット・デメリット

本章では、アパートの大家さんの仕事を、自主管理せずに不動産会社に委託した場合のメリット・デメリットをまとめました。

4-1.不動産管理会社に委託するメリット

不動産管理会社に業務委託をするメリットを3つにまとめました。

4-1-1.対応窓口ができる

不動産管理会社に委託をすると、アパート経営に関した総合窓口ができます。本記事で解説したすべての事柄は、一旦、不動産会社が受け、その内容を仕分けてから大家さんに報告・相談が必要なものだけが、担当者から大家さんにあがってくるようになります。

例えば、集金に関しては毎月の定例業務なため回収が終わった時点で集金レポートだけが上がってきますが、修理依頼などの費用が発生するケースでは、「どのリフォーム業者を使うか」「予算はいくらまで」などの確認連絡が来ます。このようにあがってきた案件に対して、大家さんは判断・指示をするだけですので、

  • サラリーマンをしながら大家さん業をする方
  • 経営などの経験がなくて不安な方
  • 管理するアパート部屋数が多い方
  • 管理するアパートが遠方にある

などの場合は、不動産管理会社に委託したほうが、ストレスのないアパート経営ができます。不動産管理会社はプラン変更・委託先変更・解除なども自由にでき、違約金などもありません。

4-1-2.プロの管理ノウハウがある

不動産管理会社は、アパートやマンションに関した管理をする専門会社ですから、ノウハウがあります。小規模な管理会社でも平均で500物件以上は管理していますので、多種多様なケースの経験則があります。

管理会社は、不動産に関したことだけではなく、不動産に関わる法律・建築・管理・開発など、アパート経営に必要な知識と経験データをもつプロフェッショナル集団です。特に、トラブル対応に関しては、管理をしているアパート・ビル・マンションなどで起きたあらゆるタイプのクレームとトラブルに対応してきており、そのケースと対応事例も豊富に持っていますので、万が一の場合でも、最も被害が小さい状態で収束させることができます。

空室対策・入居者の選び方・修繕の必要性などに関しても、蓄積されたノウハウから逐次、最適な対応をしますので、アパート経営における失敗が起きにくくなります。将来、大家さんとして自分ですべてを運営したい場合でも、一旦、このような管理委託会社にお願いすることで、アパート経営に必要なことがわかり、とても勉強になります。

4-1-3.時間ができてラクになる

不動産管理を委託すると、時間ができて大家さんがラクになります。例えば、大家さんが自主管理をしてゴミ出し担当をしていた場合、大家さんが腰痛や風邪などで動けなくなると、その時点で、ゴミ出しと清掃がストップして、建物の美観と衛生状態に問題が出ます。

また、アパートなどの敷地が大きな場合は、美化作業に半日ほど時間を取られますので、お勤めをしながらの大家さんでは、土日にしか対応ができないことになります。このような日々の作業の中、クレーム処理・入居者対応・退去者対応・一般事務作業が入ると、大家さんの仕事は意外と忙しいことがわかると思います。

さらに、管理物件が複数ある、管理物件が自転車や徒歩の距離圏にない場合は、週に複数回通わなければなりません。

不動産管理会社に委託をすれば、これらの作業はすべて管理会社がやってくれますので、必然的に、大家さんには時間ができて、ご自分の仕事に集中できます。

4-2. 不動産管理会社に委託するデメリット

不動産管理を委託した場合のデメリットです。

4-2-1.管理費などがかかる

管理委託契約をすると管理費用が発生します。管理費用は主に2通りあります。

管理物件1室に対して5%くらいの変動報酬タイプ

1室から管理委託ができるタイプです。業務内容はセレクト式が多く、大家さんの懐具合に応じた委託管理ができます。相場は賃料に対して5%前後です。規定はないので、管理会社によって違いがあります。

一棟に対しての固定報酬タイプ

ビルや一棟建てアパートなど建物全体の管理の業務委託です。建物全体の管理の中には、修繕管理計画なども含まれているケースもあります。委託内容はセレクト式なので、不要な管理内容は除外して、ご自分の持っている不動産に対して必要なことだけをトータル管理してもらえます。

管理専門の会社、不動産仲介会社と管理を兼ねている会社など、多様な運営方法があります。管理会社は複数の会社を併用して使っても問題はありませんが、水漏れなどの大きなトラブルを想定し、連絡から30分以内の駆け付けが可能な範囲に支店や営業所があることが理想です。

また、クリーニングやリフォームなどは、管理会社が提携しているリフォーム会社などに依頼したときには、中間マージンが発生することもあります。提携会社は必ず使う必要はないので、大家さんが自分で探してきて依頼しても問題ありませせん。

4-2-2.管理会社選びが大変

管理理会社・担当者によって管理の質に差が出ますので、管理会社選びを慎重にする必要があります。

良い会社であれば常に社内で情報共有がされ、担当者不在の場合でも問題なくトラブルやクレーム解決が可能ですが、そうではない会社に委託した場合は、社内で情報共有がされないことが原因で、クレーム対応が遅くなる、広告が遅くて空室率が上がるなどのトラブルへと発展することもあります。

良い管理会社を探すには、同じ大家業をしている知人友人から紹介をしてもらう方法が良いでしょう。知人友人にそのような方がいない場合は、「HOME4U 賃貸経営」などで、複数の賃貸管理プランをまとめて比較して相性の良い管理会社を見つける方法もあります。

また、管理委託には基本的に更新期限などがありませんので、委託契約をした管理会社の働きが良くない場合は、年の途中でも別の管理会社に変更もできます。

契約後、管理会社の良し悪しを判断するためには、実際に、委託をお願いしているアパートを自分でも見回ってみることです。その際、共用部分の状態をチェックします。例えば、

  • 敷地の内外にゴミが散乱している
  • 植栽が伸びっぱなしだった
  • 雑草がすごかった
  • ゴミ置き場が汚い
  • 外灯が切れていた

などを入居者の視点、これから入居を検討する人の視点で見ましょう。管理会社は常に数百の物件を抱えており、常に人手が十分なわけではありませんが、複数回の見回りでいつも同じような状態なのであれば、管理会社としての能力と働きが不十分であるといえます。このような管理状態を放っておくと、

  • 建物が傷む
  • 退去者が増える
  • 入居者が決まらない
  • 近所から苦情が出る

など、大家さんにとっていいことがありません。管理料を支払って管理してもらうのですから、管理会社の見極めはとても大切です。

まとめ

現在、大家さんをしている方は、アパートの管理をお願いできる会社を、「HOME4U 賃貸経営」から見つけることができます。賃貸管理をはじめ、これから大家さんがアパート経営で必要とするサービスを全国から一括でプラン請求し、その内容をじっくりと比較することができます。

また、これから土地活用としてアパート建築をご検討の方には、「HOME4U オーナーズ」で、お持ちの土地の収益を最大化させるプランと将来の経営と管理などを含めた、良質なアパート建築のプランを一括でプラン請求できます。

どちらもNTTデータ ・スマートソーシング(NTTデータグループ)が運営するセキュリティ性の高いサイトであり、不動産に関するお悩み解決の手助けをするサイトです。

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