昨今の不動産投資の環境は、企業の社長や地主だけではなく、様々な人が不動産投資をできるようになったため、恵まれた環境にあると言えます。
現在は、不動産投資のチャンスは誰にでもある時代です。一方で、誰もができるがゆえに、新規参入も増え、競争は激化しています。
不動産投資の魅力と言えば、何と言っても不労所得です。ところが、最近は不動産投資の競争も厳しくなっていることから、満室経営を持続するには相応の努力が求められるようになってきました。
そのため、最近では、「不動産投資はもはや不労所得ではない」という論調が投資家の中に浸透し始めています。果たして、本当に不動産投資は不労所得ではなくなってしまったのでしょうか?
不動産投資が不労所得ではないとすると、不動産投資の魅力が半減してしまいます。不動産投資は、やっぱり不労所得であって欲しいです。
結論からすると、今でもしっかりとした考えをもって望めば、不動産投資を不労所得にすることは十分に可能です。
そこでこの記事では、不動産投資をきちんと不労所得にするにはどのようにしたら良いのかについて解説します。この記事をお読みいただき、ぜひ不動産投資を快適な不労所得に変えて頂ければと思います。
1. やっぱり不動産投資は不労所得
不労所得とは、それを得るために労働する必要が無い所得のことを指します。働かずして、チャリンと家賃収入が入ってくる不動産投資はどう考えても不労所得です。
医者やスポーツ選手が高所得であっても、彼らは身を粉にして働いています。彼らの所得は、労働の対価として得ている報酬です。
また、同じ投資でも株式投資やFXのような投資によって所得を得る方法もあります。株式投資やFXは売買差益によって収入を得ることがメインです。
売買差益で得られる収益のことをキャピタルゲインと呼びます。キャピタルゲインを得るためには、常に価格を監視しておかなければなりません。デートレーダーなどは、パソコンの画面を何台も並べ、刻一刻と変動する株価を常に注視しています。
デートレーダーの域になってしまうと、もはや不労所得とは言えません。価格チェックという労働が常に発生しています。また、株式投資やFXは大きく損失を出すこともあり、精神的なストレスも多いです。
一方で、不動産投資は運用益によって収入を得ることがメインです。運用益で得られる収益のことをインカムゲインと呼びます。
インカムゲインを得るためには、常に何かを監視する必要はありません。放っておいてもチャリンと家賃が入ってきますし、その間、海外旅行やお買い物を楽しむことができます。また、株式投資のように、投資したお金が消えてなくなるわけでもないので、気楽です。
このように不動産投資は、手間や心労が少ないことから、投資の中でも不労所得の優等生と言えます。
繰り返しますが、不動産投資はやはり不労所得です。これから不動産投資を目指すのであれば、ちゃんと不労所得となる不動産投資を実践するようにしましょう。
2. 不労所得と言われなくなった5つの原因
ところが、最近は不動産投資がもはや不労所得ではなくなったと主張する人が増えてきました。その原因は一体何故なのでしょうか。
そこでこの章では不動産投資が不労所得と言われなくなった5つの原因について解説します。
2-1. 大空室時代の到来
国内の賃貸住宅は、残念ながら供給過剰の状態にあります。総務省が2013年に「住宅・土地統計調査」というものを公表していますが、そこでは全国の空き家は820万戸あり、空き家の増加が話題となりました。
この820万戸の空き家の内訳を見ると、さらに驚くべきことが分かります。実は、この空き家の総数のうち、全体の52.4%を占める429万戸が賃貸用の住宅となっています。この時点で5年前の調査と比較して賃貸用の住宅の空き家は4.0%増加しています。
近年は空き家対策特別措置法という法律も施行され、相続によって増えている空き家に関心が集中していますが、実は空き家の半分以上は賃貸用の住宅です。
さらに、2015年より相続税法が改正されました。この相続税の改正により相続税の納税義務者が増えたことから、全国でアパートやマンションの建築ラッシュが発生しました。
これを受けて、2016年12月には、金融庁や日銀がアパート等の供給過剰を懸念し、アパートローンの貸出に対する監視強化を開始し始めました。つまり、現在では金融庁や日銀も認めるほどの供給過剰状態ということができます。
また、今は建築技術も進んでいるため、アパートなら30年程度、マンションなら50年程度は十分に使用することが可能です。一度供給されてしまった賃貸物件は、すぐには減ることはありません。
それに対し、日本の人口は2010年をピークに減少が始まっています。内閣府の予想では、2060年には日本の人口は8,674万人になると予想しています。今後、人口は急速に減少することが予想されますが、近年に建築されたマンション等は、恐らく2060年にも使用できる状態のはずです。
賃貸物件は、一度世の中に提供されると、供給量を調整しにくい特徴を持っています。現在、既に供給過剰状態に入っていますが、今後はさらに大空室時代が到来することが予想されます。
2-2. 自己資金の不足
近年の投資スタイルとして、少額の自己資金で不動産投資を始めてしまう人が見受けられます。物件を供給する企業にも、広告で「自己資金ゼロからでもできる不動産投資」等々の謳い文句を出してしまっている会社もあるくらいです。
このような謳い文句は、お金が無くて不動産投資を始めたい人にとっては、とても聞き心地のよい言葉です。自己資金がゼロでも不動産投資ができるという言葉に、信じてすがってみたくなるのも分かります。
また金融庁がアパートローンの監視強化に乗り出す前は、確かに自己資金ゼロでも不動産投資をすることができる時期がありました。そのため、少額の自己資金で不動産投資を始めてしまう人が増えました。
しかしながら、自己資金が少ない状態で投資をするということは、余裕のない投資をしていることと同じです。そもそも不労所得とは余裕の象徴みたいなものなので、余裕のない投資をすること自体が不労所得を得る行為に反しています。
自己資金が多いと、返済の負担を和らげてくれるため、多少空室が発生してもバタバタと動じる必要がありません。返済も早く終わり、賃貸経営も楽にしてくれます。
たまに、築30年以上経って、空室率が80%くらいあるアパートを悠然と持っているオーナーがいます。このような人たちは、とっくの昔に返済が終わっており、特に困っていない人が多いです。
借入の返済が終わると、空室率が高くてもうろたえる必要が無くなるため、まさに不労所得を維持できます。一方で、借入の返済がきついと、ちょっとの空室でも入居者集めに奔走する必要があり、あたかも不労所得ではないような振舞いが生じます。
近年は、20~30%程度の空室で、返済が厳しくなり、銀行に対し返済条件の緩和を依頼する投資家もいます。自己資金が少なく、適切な返済比率を超えた借入をすると、賃貸経営が相当にきつくなります。
不動産投資に不労所得感が無くなっているのには、自己資金が不十分なまま不動産投資を始めてしまっているオーナーが多いことも原因になっています。
2-3. 低利回り化
少し信じがたいかもしれませんが、30年ほど前は、都内でもワンルームマンション投資は家賃から諸経費を差し引いた純収益に対する投資の実質利回りが7~8%というのが普通でした。
ところが、近年はこの利回りがとても低下しています。利回りの低下の原因は、主に土地価格と建築費の高騰にあります。利回りが低過ぎると、買入金の返済比率が高くなってしまい、ちょっと空室が発生しただけでも頑張って空室対策をしなければならなくなります。
一般的に、利回りの低さは投資の安全性を表すため、低い利回りは良い物件のような気がします。しかしながら、低過ぎる利回りは逆にリスクが高くなってしまいます。
収益力に余裕を失った不動産投資は、空室に耐えにくくなってきています。30年前の投資家なら悠然と構えられた空室も、最近ではワタワタと空室対策をする必要があり、不労所得感が消えている一つの原因にもなっています。
2-4. チャレンジする人の増加
近年の不動産投資は、地主の人だけでなく、土地を持っていない人など、様々な人が参画するようになりました。
不動産投資においては、土地を持っている地主の人と、土地から購入しなければならない人では、その余裕が圧倒的に異なります。例えば、土地を持っている人がアパート投資をするのであれば、建物投資だけで済みます。
一方で、土地を持っていない人は土地から購入する必要があり、投資に対するリターンが急激に悪くなります。不動産投資から不労所得感が消えている原因としては、地主ではない人など新たな参加者も増えたこともあります。
昔の地主の場合、アパート投資の失敗の1つや2つは、大した失敗に感じないという人が多くいました。そのため、空室が発生しても、特段慌てることがなかったのだと思われます。
現在は、特に資産を持っていないプレーヤーも多いため、失敗に対する余裕は減ってきています。色々な資産背景を持つ人が参画してきていることから、不動産投資はもはや不労所得ではないという意見も広まりつつあります。
2-5. 入居者サービスの高度化
近年は、空室に新規の入居者を獲得することが難しくなってきていることから、今の入居者にできるだけ長く入居してもらおうという考え方にシフトしつつあります。
そのため、今のオーナーは、空室だけではなく、既存の入居者へも目を向けなければなりません。既存の入居者に対し、子供の入学や車の購入などのタイミングに合わせてプレゼントを贈ったりもするオーナーもいます。
また、季節ごとに花を植え替え、クリスマスや七夕、ハロウィンなどの飾付を行い、入居者を飽きさせない工夫をするオーナーもいます。
このような活動はテナントリテンション(入居者維持活動)と呼ばれ、最近注目されています。オーナーには空室対策に加え、テナントリテンションなど新たにやらなければならないことができたことから、仕事が増えました。
入居者へのサービスは、昔と比べ明らかに高度化してきています。既存の入居者にも気を使わなければならなくなったことから、オーナーの不労所得感は薄れつつあります。
3. きちんとした不労所得とする5つの方法
では、このような時代背景の中で、不動産投資を本来の不労所得にすることは難しいのでしょうか。
そんなことはありません。今の時代でも基本に忠実な不動産投資を行えば、不労所得とすることは可能です。
そこで、この章では不動産投資をきちんとした不労所得にするための方法について解説します。
3-1. 物件をきちんと選ぶ
不動産投資は不労所得ではないと主張している人たちは、空室対策を頑張っている人たちが多いです。凄腕のオーナーの中には、空室を埋めるために毎日、不動産会社へ営業周りをしている人も存在し、そのような人たちには「不動産会社営業」という労働が発生しています。
不動産会社営業は、自分で募集チラシを作り、プロモーション用の写真撮影等まで行って、物件を不動産会社へ売り込みます。また、このような凄腕のオーナーは簡単な修繕やリフォームは会社に発注せず、自分で行ってコストを削減している人もいます。
ここまで来ると、専業でやらない限り、できません。オーナー自らが、管理会社以上の労働をすることで、満室経営を維持しています。しかしながら、このような凄腕オーナーが取組んでいる労働は、ほとんどが空室対策と言えます。
仮に空室の無い物件に投資をするのであれば、このような労働が発生することはありません。そこで不動産投資をきちんとした不労所得とするためには、空室リスクの低い物件を選ぶことが重要です。
但し、空室リスクの低い物件を選ぶのは、意外と難しいです。空室リスクの低い物件は、利回りの低い物件が多いため、個人投資家にとっては魅力がありません。
例えば、都内の優良物件を選べば、実質利回りが3%台となることも珍しくありません。それに対し、北海道の築古物件を選べば、10%台の実質利回りを得ることも可能です。
同じ不動産投資をするのであれば、どうしても多くの収入を得たくなります。そのため、個人投資家は利回りの高い物件を選びがちです。
利回りの高い物件は、空室リスクも高いため、年中空室が発生するようになります。年中発生する空室を埋めるには、それこそ労働に近い空室対策を行う必要があります。
低過ぎる利回りは借入金の返済リスクを高めますが、適正な利回りであれば、利回りの低い物件の方がリスクはありません。
安全な物件は、今も変わらず不労所得を実現してくれます。利回りは収益性とともにリスクを反映しています。リスクが高まれば、それを防ぐための労働が生まれます。
不動産投資で不労所得を目指すのであれば、空室リスクのほとんどない安全な物件を選ぶようにしましょう。
3-2. 節税を目的としない
近年の不動産投資の中で、非常に懸念がある投資行動をする人がいます。それは節税を目的とした不動産投資です。「不動産投資は節税になる」という不思議な売り文句を信じ、本当に投資してしまっている人がいます。
確かに、不動産投資で得られる不動産所得が赤字であれば、そのマイナスを給与所得と合算して節税することが可能です。これを損益通算と呼びます。
不動産所得とは以下の式で表される所得です。
不動産所得 = 収入金額 - 必要諸経費
不動産所得では収入金額よりも必要諸経費が大きければマイナスになることもあります。損益通算によって、給与所得から赤字の不動産所得をマイナスし、全体の所得を小さくすることで節税が可能になります。
損益通算は、確定申告で制度上認められているため、特に目新しい節税方法ではありません。ただ、給与所得者であるサラリーマンは、節税方法がほとんどないため、不動産投資による節税が、意外と受け入れられてしまっています。
個人の所得には、給与所得、譲渡所得、不動産所得、事業所得、山林所得、退職所得、利子所得、配当所得、一時所得、雑所得と呼ばれる10種類の所得があります。
このうち、マイナスが発生した所得を損益通算でプラスの所得にぶつけることができるのは、不動産所得と事業所得、譲渡所得、山林所得の4つの所得だけです。さらに、4つの所得の中で毎年サラリーマンが毎年それなりの赤字を出せるのは、不動産所得に限られます。
損益通算のために、わざと赤字を作る不動産投資を行う人がいます。しかしながら、この節税目的の不動産投資には、かなりのリスクがありますので、要注意です。
本来、不動産賃貸業は、利益率が高いです。経常的に発生する固定資産税や建物保険料、管理費等は、満室収入の15%程度です。年によっては修繕費や空室対策費用が発生する年もありますが、そのような年でも経費率は高々30%程度にしかならないというのが健全な不動産投資の状態です。
また、不動産所得の計算で計上される必要諸経費の中には、減価償却費が含まれます。減価償却費とは、不動産の取得原価を毎年、一定のルールの基づき、機械的に費用配分していく会計上の費用です。
この減価償却費に関しても、高くてもだいたい満室収入の50%程度となります。つまり、不動産所得で計算される利益率は、通常は20%~35%程度はあることになります。
しっかり満室となっている物件であれば、不動産所得が赤字になることは基本的にありません。もし、毎年不動所得が赤字になるようであれば、それはかなり質の悪い物件に投資しています。
このような物件を借入金で購入してしまっていると、さらに問題です。借入金の元本返済部分は必要諸経費には含まれません。もし、借入金の返済比額が減価償却費と同じ程度であれば、赤字となる不動産に投資をしていれば、毎年のキャッシュフローはマイナスです。
つまり、不動産を保有し続けるほど、お金が出ていく形となってしまい、節税どころの話ではなくなってしまいます。経常的に赤字となるような物件を、借入金で購入してしまっている人は、直ちに満室経営にもっていくか、投資物件を売却しなければなりません。
損益通算による節税のリスクを理解せずに投資を行うと、空室対策や売却といった労働に強いられることがあります。損益通算は、不動産所得が結果的に赤字となってしまった人に対する救済措置的な仕組みです。その救済措置を狙い節税目的で不動産投資を行うことは本末転倒なのです。
無駄な労働を発生させないためには、赤字にならないようなしっかりとした物件に投資することが必要です。
3-3. 自己資金を充実させる
不労所得を実現するには、自己資金を十分に確保した上で投資することが何よりも重要です。極端な例を言うと、100%自己資金で不動産投資を行えば、大きな空室が発生しても、ビクともしません。
不動産投資では、経常的に発生する固定資産税等の費用は、満室収入の15%程度です。つまり80%空室であっても、経常的な支出は賄うことができます。
ところが、これに借入金の返済が加わると、話は別です。借入金を返済するために、空室を一生懸命埋めなければなりません。不動産会社への営業周り等の空室対策のための実質的な労働が発生します。
不動産投資を不労所得とするには、投資における借入金と自己資金の割合も影響してきます。自己資金が100%であれば、返済を心配することがないため、空室を埋めるために奔走しなくても良いのです。
一般的に、機関投資家のようなプロの投資家であっても、借入金と自己資金の割合は、借入金を70%、自己資金を30%というのを目安としています。しかも機関投資家はプロですので、リスクの高い地方の高利回り物件には手を出しません。自己資金を3割も用意して、その上で、安全な物件を選び、投資を行っています。
それに対し、個人投資家の中には、借入金を90%程度用いて、郊外の高利回り物件に手を出す人がいます。プロの投資家とは全く真逆の行動を取ってしまう人もおり、とても危険な投資を行っています。
借入金の割合が高く、かつ空室リスクの高い物件に投資してしまえば、不動産投資が不労所得とはならないのは、ある意味当然です。利回りの高い物件は、空室リスクが高く埋めてもすぐに空室が発生します。借入金の割合が大きければ、少しの空室でも返済に窮することになります。
結局のところ、借入金割合の高い状態でハイリスクの物件に投資すると、常に空室対策に奔走することになります。個人投資家が安全な不動産投資を行うのであれば、自己資金割合は50%程度とすることが理想的です。
リスクの高い物件に投資しがちな個人投資家は、自己資金割合をプロの投資家よりも増やすことで、安全を確保すべきです。
個人投資家はプロの投資家と比べると、物件の検討数が少ないため、良い物件を選ぶ機会に恵まれません。そのため、良い物件に巡り合えないリスクを補うには、自己資金割合を増やす方法が得策となります。
これから不動産投資を行うのであれば、自己資金を十分に確保し、ゆったりと構えて不労所得を得るようにしましょう。
不動産投資ローンの中には、より有利な条件で借り換えができるものがあります。
審査や適用条件があり、すべての人が利用できるわけではありませんが、このようなローンに借り換えができるか、また借り換えができた場合、今のローンよりお得になるのか、検討してみることもおすすめします。
2019年6月末まで特別金利1.575%
・元本が1,000万円以上の方
・複数物件をお持ちの方
3-4. 焦って拡大しない
不労所得に興味のある人は、経済的自由人を目指している人も多いです。ところが、世の中そんなに甘くなく、簡単には経済的自由人にはさせてくれません。
不労所得を目指すには、リスクの低い物件に投資をする、または自己資金割合を増やす等の対策が必要です。しかしながら、これらの対策を行うと、結局のところ儲かりません。
例えば、収入から諸経費を引いた実質利回りが4%の物件に自己資金割合100%で不動産投資を行うことを考えてみます。このような不動産投資で年収1,000万円を得たいと思ったら、2.5億円の物件に投資しなければなりません。
そもそもサラリーマンの生涯年収が2億円と言われる中で、投資のためだけに2.5億円を貯めるというのは絶対に無理です。ですので、結論からすると、不動産投資だけでは経済的自由人になることはできません。
ところが、この難題を無理やり不動産投資で成し遂げようとする人がいます。不動産投資で収入を増やすには、利回りの高い物件に投資するか、資産を拡大するという方向性があります。
資産を拡大しようとしても、当然、自己資金だけでは続かないので、借入金をどんどん増やすことになります。不動産投資だけで経済的自由人になろうとする人は、利回りの高いハイリスク物件を、借入金を使ってどんどん購入していきます。
ハイリスクの物件を投資し続けると、銀行は「担保評価額が低過ぎる」と言う理由で融資を断り始めます。当初はメガバンクから長期の低利で借入ができた人でも、そのうち融資が下りなくなり、信用金庫等から短期で高い金利の融資を受けるようになってしまいます。
4~5物件の購入が立て続けに続くと、どの銀行も融資してくれなくなり、金策に走り回ることになります。借金も増えますが、いつの間にか、色々な銀行と融資の交渉を行う労働も増えてしまいます。
また、そもそも不動産投資は資産を急激に増やすことを得意としていません。不動産投資はインカムゲインを得意としており、資産が急激に増えるキャピタルゲインは苦手なのです。
そのため、不動産投資で資産を急激に増やすには、借入に頼らざるを得ません。焦って資産を増やそうとすると、すぐに借入過多となってしまいます。
借入過多の状態は、自己資金が薄い状態と同じです。空室が発生すると、早急に空室に対処しなければならなくなり、結局のところ、空室対策と言う労働が発生してしまいます。
不動産投資で不労所得を実現するためには、焦らないことです。急激に資産を拡大するような投資行動はくれぐれも避けるようにして下さい。
3-5. 管理しやすい物件に投資する
不動産投資を不労所得とするために、管理しやすい物件に投資するという考えがあります。管理しやすい物件とは、例えば定期借地の物件や、一棟貸の物件等です。
不動産投資でも、土地を貸すだけの借地事業であれば、基本的にほとんど手間はかかりません。投資対象としては、借地権が設定されている土地を底地と言います。
底地の場合、収入は地代となり、発生する費用は土地の固定資産税および都市計画税のみです。定期借地事業では、建物は土地を借りる人(借地人)が建てます。借地人は建物投資を行ってまで土地を借りるため、回収までに長期間土地を借りる必要があります。
定期借地事業では、借地人の徹底リスクは極めて低いです。また土地所有者は建物を所有しているわけではないため、建物修繕は借地人自信が行います。そのため、修繕費も発生しません。
底地所有者は、ほとんど何もする必要がなく、安定した地代収入だけが入ってきます。底地の投資は、まさに不労所得ということができます。
一方で、建物投資を伴う不動産事業でも、一棟貸であればほとんど手間もかかることはありません。但し、一棟貸の場合、入居者が退去してしまうと、一度に全て空室となるため、リスクは高いです。
一棟貸でもコンビニやロードサイド店舗等は退去リスクが高いです。しかしながら、一棟貸の中でも撤退リスクの低いテナントは存在します。例えば、保育園や、老人ホームといった一棟貸は、退去リスクが低いテナントです。
退去リスクの低いテナントが入る一棟貸の物件は、基本的にほとんどやることがありません。賃料は安定していますし、日常的な小修繕は、全てテナント側が行います。
テナントも1社であるため、入居率が変動することなく、空室の心配もありません。管理がとても楽で、賃料も安定している一棟貸物件は、不労所得を得たい個人投資家にとってはお勧めです。
では、アパート等の家賃保証型サブリースは良いのではないかと思いますが、一棟貸とは少し事情が異なります。
アパートのサブリースは、最初は定額の家賃を保証してくれますが、アパートの入居率が下がってくると、サブリース会社が家賃の減額を要求してきます。結局のところ、アパートの入居率が下がれば、空室対策をする必要があり手間は発生してきます。
不動産投資はアパートやマンションだけではありません。不労所得を得るという観点では、視野を広げ、底地や一棟貸のように、賃料か安定し、管理の手間がほとんどかからないような物件に投資するという発想も必要となってきます。
投資する物件そのものを変えることで、不労所得へ一歩近づくという発想も大切にしてください。
まとめ
いかがでしたか?
不動産投資を不労所得とするための方法について見てきました。近年、不動産投資の投資環境は、確かに難しくなりつつあります。
しかしながら、物件をきちんと選ぶことや、自己資金を充実させることで、安定した不動産投資はまだまだ可能です。
節税を目的とした投資や、急拡大を狙うなど、無理な投資は不労所得を崩す原因となるため避けるべきです。
また、不動産投資は必ずしもアパートやマンション等の住居系の物件だけにこだわる必要もありません。管理の手間がかからず、賃料が安定している物件を選ぶことでも不労所得は得やすくなります。
今回紹介した方法を参考に、不動産投資でぜひ不労所得を手に入れるようにしましょう。
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