「マンション相続・経営関連記事」内の「マンション建設費の推移」について解説した記事です。2023年までの推移と最新の動向をふまえ、今後の見通しについても説明しています。

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更新日
2024.01.18
カテゴリ
マンション経営, 記事

【2024年度最新版】マンション建設費の推移。今後の動向について解説

【2024年度最新版】マンション建設費の推移。今後の動向について解説

土地活用でマンション建築をお考えの土地オーナーにとって、マンション建築費の推移はとても気になります。特に、コロナ禍以降、光熱費や生活費が目に見えて上昇する中、建設費も上がっていることが予想できます。

土地活用を予定していて、建築プランをすでにお持ちの場合でも、今後の建設費の推移を知ることによって、試算を適切なものにやり直す必要もでてきます。

今回は、建設費の移り変わりと、なぜ今、建設費が高騰しているのかについてやさしく解説しています。建設費がどのような動きをしているかをつかんでおくことで、適切な土地活用時期と、資金準備をすることができます。

ご所有の土地に建てられる具体的な間取り・建築費を知りたい場合は、以下のボタンから土地の情報を入力すると、複数のメーカーから建築費を含めたマンションプランの提案を受けられます。

この記事のポイント まとめ

マンション建設費の推移と今後の見通し

2023年までの動向を踏まえると、マンション建設費は基本的に上昇傾向にあります。理由は、コロナ禍とウクライナ情勢、人件費や資材の高騰などが複雑に絡み合っています。

マンション建設費における今後の見通しとして、ポイントが4つ挙げられます。

  • 人件費が高騰する
  • ローン金利が高くなる可能性
  • マンション経営コストが高くなる
  • 家賃の値上げが難しくなる

2023年までの建設費の推移と動向については「【2023年版】マンション建設費の動向」を、今後の見通しについて詳しくは「今後の土地活用・マンション建築に関した4つの見通し」をご確認ください。

これからのマンション建築で重要視すべきこと

今後のマンション建築で重要視すべきポイントは、以下の5つです。

  • エリア条件・土地条件を重要視する
  • エリアニーズを重要視する
  • 納得感のある建物・部屋づくりを心がける
  • タイミングは完成希望時期から逆算する
  • 信頼できる不動産会社とのパートナーシップ

詳しくは「これからのマンション建築で重要視すべき5つのこと」をご確認ください。

1.【2023年版】マンション建設費の動向

本章では、マンション建設費に関した動きをまとめています。

  1. マンション建設費の推移
  2. なぜ、建設費が高騰しているのか

1-1.マンション建設費の推移

一般社団法人建築物価調査会のデータによると、マンション建設費は基本的に上昇傾向にあります。以下は、2017~2022年の建設費推移をグラフにしたものです。

2017-2022マンション建設費の推移

【参照:一般社団法人建築物価調査会建設価額建設費指数よりまとめ】

建設費の内訳には、大きく分けて、工事原価・建設費・設備費の3つがあり、どの工事も他の工事との関連性があるため、建設費が上がる時は、全体的に上がっていきます。

  • 工事原価:材料費・人件費・機械費など建設工事現場で発生した費用のすべて
  • 建設費:工事そのものにかかる費用
  • 設備費:設備機器などを導入するためにかかる費用

建設費は、新築・中古に関係なく上昇していく傾向にあります。例えば、中古マンションをリフォーム・リノベーションする場合にも、中古物件への工事だから安く済むわけではなく、資材が上昇すれば、その工事に対しての関連費用が全体的に上がることになります。

ただし、中古マンションの場合は、建物自体はすでに建築済みですので、マンション建設に関わるすべての費用が上がる新築マンションに比べれば、上昇する対象が限定されます。

1-2.なぜ、建設費が高騰しているのか

建設費だけが特に高騰しているわけではなく、日本を含む世界全体がインフレ傾向にあるため、建設費を含めた物価全体が上昇しているというのが正しい見方と言えます。

特に、現在のインフレの直接的な原因は、コロナ禍とウクライナ情勢が大きく影響しています。

まず、コロナ禍によって世界の物流が今まで通りに行かなくなったため、従前のようなペースで物資が調達できなくなり、必要なモノが少なくなることで付加価値が上がり、モノの値段が上がりました。

コロナ禍の翌年には、ロシアのウクライナ侵攻によって戦争が起き、モノだけではなく、原油などを含めたエネルギー供給にも制限がかかるようになりました。

これによって輸送費などはさらに高くなるため、もともと上がってしまっているモノの値段に、さらに燃料費などの費用を上乗せしないとならなくなりました。

さらに日本に追い打ちをかけたのが、日本の低金利です。日本は長期にわたってゼロ金利政策を続けています。

世界の投資家にとって、平常時ならば政情不安のない日本円は、金利がなくても、持っていて安心な通貨です。

しかし、コロナ・ウクライナと世界的な非常事態が続き、先の見えない状態となると、投資家たちは金利が付かない上に資源を持たない国の通貨「円」よりも、金利が高くエネルギー源をより多く購入できる「ドル」に価値があると判断しました。

その結果、一時期に大量の円が売られることになり、円安が急速に進んだため、日本は今までの倍近い値段を出さないと必要なモノが買えなくなってしまい、さらなるインフレ化が進み、ハッキリとわかるほどの物価高となっています。ここまでが、2019年後半から現在までの物価高となった理由です。

建設業界もこの影響をダイレクトに受けた結果、建築資材の高騰につながっています。前項で参考にしたデータをもとにした場合では、2022年の工事原価は、2021年度と比較して約7%上昇、コロナ前の2019年度から比較すると12%も上昇しています。

過去から比較した2022年度(直近)の工事原価値上げ率

【参照:一般社団法人建築物価調査会建設価額建設費指数 RC構造より編集部まとめ】

ただし、本データ上で最も古い2017年度から比較した場合でも17%と大きく上がっていますので、建設費の上昇という意味においては、2020年度に予定していた東京オリンピック開催も大きく関連していることがわかります。

オリンピック開催決定は2013年のことですので、2020年を目指して徐々に建設費が上がり続けたことがわかります。この影響により、工事数過多による人員不足が人件費高騰にも関わってきています。

このように、現在の建設費の高騰は、複数の要因が10年以上の時間をかけて作り出している現象であることがわかります。

ここまで大きな要因が複雑にかかわっていると、個人の力で建設費を抑えるのはかなり難しいのが現実です。しかし、土地活用は常に「今から」の資産形成ですので、昔の値段と比較をしてもあまり意味はありません。

それよりも、複数の建築プランの中から、納得のいく建設費と経営プランを見つけ出し、今から・これから、ご所有の土地から得られる利益を最大化させる方法を探し出すほうが良いと言えます。

2.マンション建設費に影響する3大要素

土地活用としてマンション建設をご検討の際、いくつかのハウスメーカーや建設会社に相談をしていくと、手元に建築プランが集まってきます。

しかし、はじめての土地活用、はじめてのマンション建設の場合には、資料を見ても、果たしてそのプラン内容が妥当なのかどうかがわからないことがあります。

本章では、建築プランを比較や交渉をする際に役立つ、マンション建設費に影響をあたえる3つの要素をまとめています。

  1. 建設費総額は延床面積×坪単価
  2. 建設費の内訳
  3. 建築時期

2-1.総額は延床面積×坪単価

土地活用を検討しているオーナーにとって、最も気になるのは「マンション建設に総額でいくらかかるのか」です。マンション建設費の予算規模がどのくらいになるのかには、坪単価が関係します。

坪単価とは、建物の骨組み構造別に1平米あたりの工事費予定額のことで、例えば、マンション建設であれば鉄筋コンクリート造、アパート建設であれば木造などの構造ごとに、以下のような相場があります。

構造 坪単価相場
木造 77~100万円
鉄骨造 80~120万円
鉄筋コンクリート造 90~120万円

この坪単価を、建設予定マンションの延床面積(坪数に直したもの)を乗じると、おおよその建設費が出てきます。今回は、5階建ての中層階マンションを想定して、シミュレーション計算をしてみます。

【例:2022年に5階建てマンション建設をするケース】

  • 鉄筋コンクリート造 坪単価92万円で計算
  • 5階建て(1フロア100平米)
  • 延べ床面積500平米=151.25坪(1坪3.3平米で計算したもの)
  • 計算式 建設費=坪単価×坪数(延床面積の広さ)
  • 坪単価92万円×延床の坪数151.25=\139,150,000
  • 平常時の建設費めやす 約1億4,000万円
  • 2021年度からの値上げ率7%  約1億5,000万円が建設費めやす

表で示したとおり、坪単価にはかなりの開きがありますので、ハウスメーカーのプラン内容や、グレードによって坪単価が変わります。実際には、土地が持つ条件によって建設できる建物の高さ・広さが変わりますので、延べ床面積も変わります。

2-2.建設費の内訳

建設費の内訳は、主に以下の3つになります。

  • 本体工事費
    本体工事費とは、マンションの建物自体を建てるための費用です。建物の躯体を作り、建物の仕上げをし、設備を設置するための費用です。
  • 付帯工事費
    敷地内に作る外構部分、屋外給排水工事・水道・電気・ガスなどの引き込み工事などは本体工事に含まれないため、付帯工事費として別途必要です。本体工事費の10~20%めやすです。
  • 諸費用
    マンション建設に関わる税金・保険料支払い・ローン手数料が諸費用として発生します。

2-3.建築時期

マンション建設の時期は、大局的に見ると、土地活用をしようと思った時がタイミングと言えます。もちろん、インフレが終わってから・疫病や戦争の不安がなくなってからなど、より安全なタイミングを図るという選択肢もあります。

しかし、今起きていること以外に新しい問題が起きれば、やはり経済情勢には混乱が起きやすくなり、そのたびに先延ばしを繰り返すと、土地活用のタイミングそのものを逃してしまうことにもなります。

そのため、建設時期そのものは、土地オーナーが始めようと思ったタイミングが、最も良い時期であると言えます。

マンションの建設工事では、基礎工事・内装工事・仕上げ工事・外構工事などの複数の工程が同時に進みます。

マンションの規模やグレードよって工期は違いますが、一般的に、1フロアには1ヶ月程度の工期がかかる傾向にあります。

例えば、5階建てのマンション建設をする場合には、5ヶ月+3~5ヶ月になりますので、工事スタート日から完成まで、最低8か月、最高で10ヶ月かかることがわかります。

このような建設時期をあらかじめ把握しておくことで、いつまでにプランを決め、いつまでに工事着工をしておくべきかなどのスケジュール感がつかめるようになります。

土地活用でマンション建設を検討しはじめたら、まずは複数の建築プランと経営プランを入手し、じっくりと比較検討をして、最適なプランを選び出すことから始めて下さい。

プラン請求には、NTTデータスマートの運営する「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご活用ください。一回の入力で最高10社までのハウスメーカーや建築会社のプラン請求が可能です。

3.今後の土地活用・マンション建築に関した4つの見通し

本章では、マンション建設を含めた今後の土地活用・建物の建築・不動産経営に関した、将来の見通しを4つにわけて解説しています。

  1. 人件費が高騰する
  2. ローン金利が高くなる可能性
  3. マンション経営経費が高くなる
  4. 家賃の値上げが難しい

3-1.人件費が高騰する

建築業界での人員不足による賃金高騰が土地活用に影響してきます。人件費が上がる理由にはさまざまなものがありますが、その1つとして、オリンピック招致が決定した2013年から続く、建設業界全体の工事需要の多さがあげられます。

人手が足りないので、より賃金の高いところに人が集まるというサイクルが出来上がるため、人件費が自然と上がっていきます。

建築業界は労働条件が過酷であることから、あまり人気のない業界となっていたため、もともとの人材不足も大きな要因となっています。

さらに、2020年には、コロナ禍によって現場労働者として低賃金で働いてくれていた外国人労働者の多くが帰国してしまったため、人不足と人件費高騰にさらに拍車がかかりました。

このように、建設業界のどのポジションにおいても人が足りないのに、建設需要だけがどんどん伸びるというバランスの悪い状態になってしまったため、良い人材をかき集めるためには、企業は高額な賃金を出さざるを得ないという状況になっています。

この影響により、マンションの建設費にも、人件費の負担がのしかかる傾向があります。

マンション完成後は、不動産管理にかかる人件費も高くなる可能性があります。働き方改革による最低賃金の引き上げ、不動産業界の人材不足などの影響で、不動産管理に関わる人件費も上がる可能性があります。

具体的には、マンション管理(入居者対応・管理点検・修理修繕など)に関した業務スタッフの人件費が上がれば、管理委託費も上がることになります。このように、マンションを建てるための人件費と、マンションを経営管理するための人件費の両方が上昇することにより、不動産オーナーのコスト負担も増える可能性があります。

対策>
建設費・管理費とも、その時代の相場があります。前もって相場を調べておくことで、見積もりなどを比較したときに、納得のいくサービスと金額もわかるようになります。

3-2.ローン金利が高くなる可能性

2022年12月に開催された金融政策決定会合で、日銀は長期金利の変動幅を±0.25%から±0.5%に拡大しています。このことを、金融機関では「実質的な利上げである」と判断し、2023年1月に固定金利の引き上げに踏み切っています。

ただし、日銀も金融機関もむやみに金利上昇をしたいわけではなく、企業のベースアップのタイミングなど、ローン債務者が無理のない支払いができる状態を想定しながら、慎重に対応をしています。

しかし、これから土地活用をする方にとっては、金融機関の審査の段階で、従前のローン金利よりも高い利率で返済していく必要があるため、ローン審査申込の際に、金融機関からの返済計画へのチェックが厳しくなる可能性はあります。

返済負担を従前のローン金利と同じようにするためには、自己資金を増やす・賃料設定を上げるなどで対応は可能ですが、自己資金は急に増やせるものではなく、賃料設定は入居者の給与ベースがあがらないと空室リスクにつながる可能性があるため、慎重な判断が必要です。

対策>
金融政策は日銀総裁の意見だけで決まるわけではなく、金利の変化は必ず段階的なプロセスを踏みます。金利はある日、突然に上昇することはなく、必ず、準備期間・経過観察期間が設けられます。

2023年においても世界的インフレやウクライナ情勢は継続中であり、あらたに中国台湾進攻の問題など、将来に向けて不安定な要因が残されたままの状態です。この背景の中で金利の動向を予測するのは、専門家でも正確な予測は困難と言えます。

これからマンション建設をご検討の方は、長期ローンの返済中に、金利が少し上がることを前提に、複数パターンのシミュレーションをしておくことで、経営開始後の健全経営につながりやすくなります。

3-3.マンション経営コストが高くなる

インフレによってマンション経営にかかるさまざまなコストも値上がります。

例えば、不動産管理会社への管理委託費、不動産経営のための情報収集をするための本・雑誌・セミナーなどの費用、交通費以外にも、マンションの共用部分の水道光熱費の上昇、マンション管理に必要な備品・雑費などの費用も値上がりします。

今後、インフレがどのくらい続くかは専門家でもはっきりとはわかりませんが、例えば、昨年度よりモノの値段が1%上昇すれば、マンション経営にかかるコストも同じくらい値上がりすることになります。

しかし、家賃をそのたびに上昇させるわけにはいきませんので、マンション経営コストとして出ていくお金が増えることになります。

対策>
マンション経営開始後にモノの値段が上がると、コスト高になり、手取り収入が減ります。ただし、経営コストがかかるということは、その分、収入から差し引く金額も増えるので、不動産所得税や住民税の節税にはなりますので、悪いことばかりでもありません。

最も良くない対策は、コスト削減のために管理費を削ることです。どのような状況であっても、不動産管理会社は質の良いところと契約し、入居者満足度を維持するように努めることで、無用な経営リスクを回避できます。

3-4.家賃の値上げが難しくなる

不動産はモノですので、本来、インフレ時には不動産価格と家賃は合わせて上昇する傾向があります。しかし、日本人の給与は約30年間横這いのままですので、インフレに合わせて家賃を上げてしまうと、結果的に空室リスクを高くする可能性があります。

これからマンション建設をする場合は、最初の家賃設定を相場家賃よりも高く設定することは可能ですが、やはり、あまりにも高い家賃は入居率を下げ、空室リスクを高めることになります。

そのため、家賃設定は将来のインフレ率も考慮に入れたうえで、相場からは大きく離れない範囲にとどめておく必要があります。

対策>
マンションの建築プランの中には、想定家賃によるローン返済シミュレーションがされています。建築プランを比較する際には、各社の家賃設定額に注目し、賃料設定の参考にしてください。

各社が提案するプランの想定家賃は、グレードの高い建材・自社おすすめの構造などを前提に作成されているケースが多いため、建築総額が高額なことがあります。これらの建材や構造は、土地オーナーがプランを精査することで、よりシンプルすることができ、建設費全体のコストカットが可能です。

建設費が下がれば、毎月の返済額も減りますので、余裕を持った家賃設定が可能です。設定に幅があれば、長期のインフレが続いた場合でも現状維持が可能であり、入居者を減らさずにインフレに耐えることができます。

4.これからのマンション建築で重要視すべき5つのこと

本章では、これからマンション建設をする土地オーナーが、土地活用として重要視すべきことを5つにまとめています。結論から言うと、土地活用で大切なことはいつの時代も同じです。

土地活用は、ご所有の土地からの収益を最大化させ、資産を拡大することが目的ですので、マンション建設をするのであれば、完成後、長期にわたってマンション経営がうまくいき、収入を生み出し続けてくれる必要があります。

建材費の高騰やインフレは個人の力では変えられませんが、土地活用にとって大切な以下の5つを大事にすることで、ご自身にとって最適のタイミングで、最善の結果を導き出すことも可能です。

  1. エリア条件・土地条件を重要視する
  2. エリアニーズを重要視する
  3. 納得感のある建物・部屋つくりを心かける
  4. タイミングは完成希望時期から逆算する
  5. 信頼できる不動産会社とのパートナーシップ

4-1.エリア条件・土地条件を重要視する

土地活用を予定している土地がマンション経営に向いているかを重要視してください。マンション経営に向いた土地とは、駅から近い、利便性の良い場所のことです。

例えば、駅から徒歩10分以内で、周辺に早朝から夜遅くまで生活に必要な買い物ができる商圏があることです。

このような土地条件であれば、少しくらい家賃設定を高くしても、通勤通学・生活の利便性を優先する入居者がつき、長期更新が期待できます。

これらの土地条件に加え、多くの人が「住んでみたい街」として人気のあるエリアである、またはそのエリアに近い場所であれば、もともと入居希望者が多いため、家賃設定を高くしても入居者に困る可能性は少なくなります。

このように、土地条件とエリア条件が良いところであれば、長期のインフレにも対応しやすく、マンション経営がしやすいと言えます。土地活用でのマンション建設をご検討の場合には、ご所有の土地の場所にこだわらず、より良い条件を持つ土地に買い替えることも、土地活用の条件として検討してください。

4-2.エリアニーズを重要視する

マンション建設・経営をする際には、そもそも、ご所有の土地エリアで賃貸住宅のニーズがあるかどうかを確認し、求められているタイプのマンションを作るようにします。

例えば、周辺にファミリー層が多いのであれば、2部屋以上ある間取り・駐車場を用意する、学生や仕事をする独身の方が多いのであれば、ワンルームや1部屋の間取りにするなど、入居者需要のあるものをつくるようにします。

また、エリアニーズがあっても、すでに賃貸マンションが供給過多なのであれば、経営をスタートしても空室が多くなるか、または家賃設定を高く出来なくなる可能性が高くなります。このように、エリアニーズには

  • エリアにどのような賃貸ニーズがあるか
  • エリアでの供給量

のふたつを同時に考慮し、上記を満たす条件をそろえる必要があります。

土地オーナーの中には「自分はこういうマンションを作りたい」という個人的な希望があるケースもありますが、土地活用・マンション経営は、入居者からの家賃があってはじめて成立しますので、エリアニーズを重要視する必要があります。

エリアニーズは地域ごとに事情も違い、千差万別です。複数の建築プランには、ハウスメーカーや建築会社が各社の市場調査データをもとに、さまざまなプランを提案しています。

複数のプランを比較検討することで、建てるべきマンション建物の傾向がつかめてきます。

4-3.納得感のある建物・部屋作りを心がける

入居者はネット検索などで、エリアや土地条件から候補となる入居先をいくつか選んだあと、その賃料に見合った納得できる物件であるかを比較しています。世代や職業には関係なく、一般的に、清潔感のある建物が好まれますので、経年した後も、外観が汚れにくい建物はリストに残ることになります。

室内に関しては、今の暮らしにあっていることが好まれます。昔は、ワンルームタイプの部屋はユニットバスという、トイレと風呂が一体化したコンパクトな設備がスタンダードでしたが、最近は、どんなに部屋が小さくてもバストイレ別が当たり前に変わっています。

コロナ禍以降は、学生・社会人ともに、テレワークなどで自宅にいる「おうち時間」が増えたため、室内でのスペース確保が重要視されています。例えば、備え付けの間仕切りで仕事スペースを作れる可変性の高い間取り、その時に使わないものはすべて収納しておける大型の収納がある部屋は、人気が出やすいと言えます。

設備に関しては、全国賃貸住宅新聞が毎年行っている調査によれば、少し家賃が高くても入居を決めるきっかけになる設備として、以下のものがランキングにあがっています。(順不同)

  • インターネット無料
  • 高速インターネット
  • 宅配ボックス
  • エントランスオートロック
  • テレビモニター付きインターホン
  • 防犯カメラ
  • 温水洗浄便座
  • お風呂の追い炊き機能
  • 独立洗面台
  • システムキッチン
  • 24時間利用可能なゴミ置き場

入居者は間取り・内装と合わせて、総合的に「うん、これなら」と個々に納得がいった物件に入居を決めることになります。

オーナーの立場からすると、予算の都合や部屋の広さの都合もありますので、求められるものすべてを揃えるのが難しいケースもあります。また、各設備にも仕様やグレードがありますので、プラン設計の段階で、選択肢は無数にあります。

大切なのは、その物件に住む方が納得して長く住み続けてくれるためには、何が必要で、何なら削っても良いのかなどを、エリアニーズ・予算と合わせて入居者目線でよく考え抜いて決めることです。

この作業は、建築プランだけではなく、ハウスメーカーや建設会社の担当者からのサポートを受けながら進めることをおすすめします。

4-4.タイミングは完成希望時期から逆算する

建設費の高騰やインフレは個人ではどうすることもできませんが、建築のタイミングを個人で調整することにより、土地活用のスタートとして最適な時期を狙うことは可能です。

2章で触れましたが、着工から全ての工事が完了するまでには、1フロア1ヶ月がめやすと言われていますので、計算方法としては「マンションの階数+3~5カ月」が工期になります。この計算を使えば、マンション経営スタートのタイミングを逆算して考えることができます。

例えば、5階建てのマンション建設をするのであれば、5ヶ月+3~5ヶ月ですので、工事スタートから竣工までには8か月~10ヶ月かかることがわかります。

マンションの竣工は、転勤や引っ越しが多い3~4月入居に間に合っているのが理想的ですので、2~3月には完成しておく必要があります。仮に3月竣工・入居を予定して逆算すると、前年度の5月頃には工事を開始しておく必要があることがわかってきます。以下のイラストのようなイメージです。

5階建てマンション・3月竣工を目指した場合のスケジュールイメージ

工事工程はハウスメーカーや建設会社によって違いがあり、よりシステマチックな工事で工期を短くするプランを持つ会社もありますので、プランをよく比較して下さい。

また、マンションの規模とは関係なく、グレードの高い内装や設備にした場合には、工期が長くなる傾向があります。

4-5.信頼できる不動産会社とのパートナーシップ

マンション建設には、必要なプランや資料をそろえ、エリアのマーケティング、間取りの相談、ライバル物件との比較、エリアの開発情報など、知っておくべき情報がたくさんあります。

ご自身で本やネットを使って調べることも可能ですが、不動産のプロフェッショナルを頼ることも必要です。

建築時期や家賃設定の方法など、社会背景が目まぐるしく変わる今のような時期だからこそ、信頼のできるデータを持つハウスメーカーや建設会社の担当者とパートナーシップを組んで土地活用をすることで、良い結果を導きだしやすくなります。

土地活用のパートナーとして信頼と実績のあるハウスメーカーや建設会社を選び出すには、複数の建築プランや経営プランを比較検討し、慎重に選び出すことが大切です。

少ない選択肢で比較をしても、違いがハッキリとはわからないことがありますので、数多くのプランを請求してください。

建築プランの請求にはNTTDデータグループが運営する「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご活用ください。一度の入力で、最大10社までのハウスメーカーや建設会社にプラン請求ができます。

気に入ったプランがあれば、現地調査に来てもらい、担当者に気になることを相談することで、パートナー選びにも役立ちます。

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