ある日突然、土地を相続することになったら、慌ててしまいますね。
相続が発生したら、なるべく早めに手続きをしておかないと、後悔することになります。
忙しい場合は専門家である司法書士に依頼することもできるので、しっかり手続きを進めて、大切な財産を有効活用しましょう。
そして、土地を相続したとき最も心配なのは、相続税の問題。
はっきり言いますと、相続税は高いです!税率はなんと、10%~55%もの水準です。
今回の記事では、3つのテーマを解説していきます。
- 土地を相続したら、どんな手続きをすればいい?
- 相続税はどれくらいかかる?
- あらかじめ考えておきたい相続税対策は?
まだ相続が発生していない人は、この記事を読んで、賢い節税対策を考えてみてくださいね。
1. 土地を相続したら「相続登記」を行う必要がある
土地を相続したら、「相続登記」をしましょう。「相続登記」は、登記簿謄本の名義変更の手続きです。
登記簿謄本は、全国の法務局に登録されている、土地の所有者や面積などの情報です。
相続した土地の登記簿謄本は、亡くなった人の名義になっているので、相続した人の名義に変更しましょう。
1-1.「相続登記」しないとデメリットがたくさん
相続登記には手続きの期限もありませんし、手続きしなかったからといって罰則もありません。
でも、早めに手続きをしておいたほうが得策です。なぜなら、次のような3つのデメリットがあるからです。
1-1-1.売却、活用できない
相続登記しないと、その土地は亡くなった人の名義になっているので、売却したり、誰かに貸したりすることもできません。
しっかり手続きを進めて、先代から引き継いだ大切な財産を有効に活用していきましょう。
1-1-2.再度相続が起こると、相続登記がさらに大変
相続登記をせずに放置しているうちに、相続人の一人が亡くなってしまうと、相続登記の手続きはかなり大変になってしまいます。
例えば、父親が亡くなった時に相続登記をしないでいるうちに、その子どもが亡くなってしまった場合、今度は孫が手続きをしなければなりません。
すると、必要書類に署名、押印したり、印鑑証明書などの書類を集めるための協力を求める人数がどんどん増えていくことになります。
あまり権利関係が複雑になると、相続登記はもはや不可能になってしまいます。
1-1-3.トラブルの可能性
相続登記によって所有者を明らかにしておかないと、他の相続人が自分のものだと偽って売却するなど、余計なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
以上のようなことにならないためにも、相続登記は早めに済ませておきましょう。
1-2.「相続登記」の方法
相続登記の流れは、次のようになります。
まずは、相続人で話し合って、相続した財産の分け方を決めましょう。分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成します。
相続登記は、下記の必要資料を管轄の法務局へ提出します。相続登記が完了するまで1~2週間ほどかかります。
- 自分で準備するもの
-
- 遺産分割協議書
- 自分で作成するか司法書士に作成してもらうもの
-
- 登記申請書
- 市役所等で取得するもの
-
- 亡くなった人の戸籍謄本(出生から亡くなるまでの全て)
- 亡くなった人の住民票の除票
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票の写し
- 土地の固定資産税評価証明書(東京都23区は都税事務所で取得)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 法務局で取得するもの
-
- 土地の全部事項証明書(登記簿謄本)
なお、遺産分割協議書と印鑑証明書は、遺言書がある場合や、法律で定められた割合(法定相続分)で相続する場合には不要です。
相続登記の手続きは、自分でもできますが、司法書士に依頼すると簡単です。
司法書士に依頼すると、登記申請書を作成してくれるだけではなく、印鑑証明書以外の書類は代理で取得してもらえます。
司法書士へ支払う報酬は、土地が1か所の場合で5万円程度です。登記に興味があるので自分でやってみたい、という人以外は、司法書士に依頼するのがおすすめです。
ちなみに、相続登記で必要になる、戸籍謄本などの書類は、銀行預金の相続手続きをするときにも必要になります。必要な書類はまとめて取得して、効率よく手続きを進めるといいですね。
1-3. 相続登記にかかる費用
相続登記にかかる費用は、次の通りです。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
登録免許税 | 固定資産税評価額の0.4% |
戸籍謄本や住民票などの取得費用 | 数千円程度 |
司法書士へ依頼する場合の報酬 | 5万円程度 |
登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。例えば、固定資産税評価額が2,000万円の場合、登録免許税は8万円です。
固定資産税評価額は、相続登記の必要書類である、「固定資産税評価証明書」を市役所等で取得すると記載されています。
毎年支払っている「固定資産税納税通知書」にも記載されているので、法務局によっては相続登記の添付書類として使うことができます。
2. 相続税はどれくらいかかるのか
次に、最も気になる、どれくらい相続税がかかるのかについてお話していきます。
2-1. 相続税がかかる人
相続税は、相続した全ての人にかかるわけではありません。現金、不動産、有価証券などの遺産すべての合計額が一定以上の場合に、相続税が発生します。
具体的には、遺産の総額が「基礎控除」を超える場合に相続税がかかります。
基礎控除=3,000万円+600万円 × 法定相続人の人数
例えば、相続人が1人なら、基礎控除は3,600万円なので、遺産総額が3,600万円を超える場合に相続税が発生します。
相続人の人数と基礎控除を一覧表にしました。
相続人の人数 | 基礎控除 | 計算 |
---|---|---|
1人 | 3,600万円 | 3,000万円+600万円×1人 |
2人 | 4,200万円 | 3,000万円+600万円×2人 |
3人 | 4,800万円 | 3,000万円+600万円×3人 |
4人 | 5,400万円 | 3,000万円+600万円×4人 |
ちなみに、税制改革によって2015年から基礎控除が大幅に減ったので、相続税が課税される人の割合が倍近くに増えました。
土地の値段が高いエリアでは、実家を相続するだけでも相続税の課税対象になる可能性があります。
今まではごく一部の資産家だけが相続税の心配をしていたイメージがありますが、これからは多くの人が相続税対策を考えていく必要があります。
2-2. 相続税の税率は、なんと10%~55%
遺産の総額が「基礎控除」を超える場合、相続税がどれくらいかかるのか見ていきましょう。
相続税の計算は、かなり複雑です。実際に受け継いだ金額に税率をかけるのではありません。
相続税は次のように計算できます。
「遺産総額-基礎控除額」を法定相続分で分けた額 × 税率
税率は、表のとおり、10%~55%です。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
出典:国税庁「相続税の税率」
- 具体例
-
遺産総額が1億円、相続人が妻と子1人の場合を見てみましょう。(様々な特例制度は考慮外とした、概算シミュレーションです)
- 基礎控除額=3,000万円+600万円 × 2人=4,200万円
- 相続人が妻と子1人なので、法定相続分は2分の1ずつ
- 「遺産総額-基礎控除額」を法定相続分で分けた額=(1億円-4,200万円)÷ 2=2,900万円
- 「相続税の速算表」を見ると、2,900万円のときの税率は15%、控除額50万円
- 結果
-
妻と子供は、それぞれ2,900万円 × 15%-50万円=385万円の相続税を支払うことになります。
相続税の総額は、385万円 × 2=770万円です!
「相続税は高い」というイメージを持っている方は多いと思いますが、やはり相続税は相当の負担になりますので、できるだけ事前に節税対策をしておきたいところです。
2-3. 土地の相続税評価額を調べる方法
「自分の場合は相続税がかかるのか?」を知るためには、遺産総額を計算しなければいけません。現金や有価証券は計算しやすいですが、土地はわかりにくいですね。
土地を相続した場合は、土地の「時価」ではなく、「相続税評価額」を計算します。
土地の相続税評価額は、概算額をあらかじめ調べることができますので、2つの方法をご紹介します。
1つ目の、「固定資産税評価額を参考にする方法」の方が簡単なのでおススメです。
2-3-1. 固定資産税評価額を参考にする方法
土地の所有者が毎年支払っている、固定資産税通知書が手元にあれば、そこに書いてある「固定資産税評価額」を見てみましょう。
固定資産税通知書が手元になければ、市役所の固定資産税係などで、「固定資産税評価証明書」を取得すればOKです。
ただし、所有者でないと評価証明書は取得できないので、所有者からの委任状や身分証明書などが必要です。
「固定資産税評価額」は、相続税評価額より低めに決められています。相続税評価額は、固定資産税評価額 × 1.14で概算できます。
ただし、固定資産税評価額を決めるのは市町村、相続税評価額を決めるのは税務署ですから、評価方法が多少違います。あくまで概算と思ってくださいね。
なぜ固定資産税評価額 × 1.14で概算できる?
土地の固定資産税評価額は、時価の70%くらいの水準になっています。そして、土地の相続税評価額は、時価の80%くらいの水準に決められています。
ですので、固定資産税評価額÷70% × 80%=固定資産税 × 1.14=相続税評価額が概算できます。
2-3-2. 相続税路線価を参考にする方法
次に、固定資産税評価額がわからなくても、相続税評価額を調べる方法です。
国税庁が定めている「相続税路線価」を参考に、計算することができます。
国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」
「東京都」→「路線価図」→「世田谷区」というように選んでいくと、地名ごとの路線価図が表示されるので、調べたい場所の図面を探しましょう。
相続税路線価は、その土地が面している道路ごとに決められています。
路線価図には、1平方メートル当たりの価格が千円単位で表示されます。数字のあとのアルファベットは借地権割合なので、ここでは無視してOKです。
例えば、相続税路線価が500Dと書いてあれば、1平方メートルあたり500,000円です。
このようにして相続税路線価がわかったら、路線価 × 土地の面積をすれば、相続税評価額が概算できます。
ただし、実際の相続税評価額は、土地の形状や奥行なども考慮するので、あくまで概算と考えてください。
なお、国税庁のホームページで路線価が表示されず、「倍率地域」と表示されるときは、相続税路線価が決められていないエリアです。先ほどの固定資産税評価額を参考にする方法を試してみてください。
3. あらかじめ知っておきたい節税対策
相続税は、あらかじめ節税対策をするかどうかで、大きな差が出ます。
相続が発生する前に、次の世代にできるだけ多くの資産をスムーズに引き継ぐ準備をしておけば安心ですね。
これから、不動産を活用した相続税対策についてご紹介します。
3-1. 現金ではなく土地で相続するだけで節税できる
まず、知っておきたいのは、現金ではなく土地で相続するだけで節税できるということです。
土地の相続税評価額は、時価の80%程度になります。ですので、時価1億円の土地であれば、相続税評価額は8,000万円程度に抑えられます。
現金を持っているよりは、例えば、土地を購入して駐車場経営をするほうが有利といえますね。
3-2. 賃貸アパートが建築してあると、さらに節税効果が大きい
更地で相続するよりも、土地の上に賃貸アパートなどが建築してあると、さらに節税効果は大きくなります。
なぜ賃貸アパートなどが建築してあると、節税になるのでしょうか?
節税の理由は、3つです。
- 賃貸アパートの土地・建物の評価額は減額されるから
- 小規模宅地等の特例があるから
- 借入額をマイナスできるから
詳しくみていきましょう。
節税の理由1
賃貸アパートの土地・建物の評価額は減額されるから
賃貸している土地建物の相続税評価額は、マイホームなどの自用の土地建物に比べて減額されます。
不動産の種類 | 相続税評価額 |
---|---|
賃貸している土地 | 自用の土地よりも約20%減額(地域によって多少異なる) |
賃貸している建物 | 自用の建物よりも30%減額 |
節税の理由2
小規模宅地等の特例があるから
しかも、賃貸アパートの敷地は、要件を満たせばさらに相続税評価額を減額してもらえる優遇制度があります。これを「小規模宅地等の特例」といいます。
「小規模宅地等の特例」を適用すると、アパートの敷地の評価額は200平米まで50%減額されます。
主な要件は、
- 相続人が不動産賃貸業を引き継いで営んでいること
- その土地を相続税の申告期限まで保有していること
となっています。
節税の理由3
借入額をマイナスできるから
さらに、アパートを建築するために銀行から借り入れがあると、借入額は相続財産からマイナスできるので、節税効果は抜群です。
例えば、土地と建物の相続税評価額が5,000万円、借入が3,000万円の場合、相続財産は5,000万円-3,000万円=2,000万円に圧縮されます。
3-3. 節税対策のためにアパートを建築する際の注意点
ここまで読んで、「今のうちにアパートを建築した方が良いのかな…?」と考え始めた方もいらっしゃるかもしれません。
地主さんが相続対策のためにアパートを建てるのは、昔からよくある、一般的な節税対策です。
ただし、相続対策のアパート建築には注意点があります。それは、安定経営ができるアパートを計画することです。
相続税が節税できたからといって、アパート経営で高収益を上げなければ、成功したとはいえません。
相続がすぐに発生しなくても安定収入になるように、そして次の世代に資産価値の高いアパートを残せるように、収益性の高いアパートを建築することが重要です。
そのためには、信頼できるハウスメーカーに相談しながら、地域の賃貸需要にピッタリ合ったアパートを提案してもらいましょう。
ベストなアパートを計画するためには、複数の企業から建築に関するプランの提案を受け、比較してから決定するのが大切です。
建築プランを比較することで、「建築費は妥当か」「地域の賃貸需要を徹底リサーチしてくれているか」「収支シミュレーションは妥当か」といった違いを見極めることができるからです。
複数の企業の建築プランを比較するなら、「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」の一括プラン請求が便利です。
建設予定地などの簡単な項目を1度入力するだけで、業界大手の最大10社に一括でプラン請求ができます。
いずれの会社も実績豊富なので、各社の営業マンとよく相談しながら、節税効果と収益性が最も高い建築プランを選んでくださいね。
まとめ
それではおさらいです。
土地を相続したら、遺産分割協議を行って、相続登記をしましょう。相続登記は司法書士に依頼すると簡単です。
相続税は、相続財産が基礎控除を超える場合に課税されます。相続税の課税対象になってしまうと、税率は10%~55%です!
できるだけ賃貸アパートなどを活用した節税対策を検討しておきましょう。
「HOME4U オーナーズ」で実績豊富な大手企業のアパート建築プランを上手に取り寄せて、賢い節税対策を始めてくださいね。
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