古い自宅や相続した実家など、空き家を解体したいと考えている人もいると思います。空き家の解体では、費用はどれくらいかかるのか、補助金があるのか等々のお金のことに関心がある人も多いのではないのでしょうか。
また、空き家を解体することで、土地の固定資産税が上がります。解体後、土地の固定資産税が6倍になると勘違いされている人もいますが、実際には6倍にはなりません。固定資産税の税金についても、しっかりとした知識を身に着けておく必要があります。
そこでこの記事では、空き家解体の費用の相場や、安く発注するコツ、補助金、解体後の土地の固定資産税等について解説いたします。
空き家解体に関し、お役に立つ情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 空き家解体費用の相場
空き家の解体費用は、建物の躯体構造によって異なります。解体費用の相場としては以下のような金額が目安です。
木造 | 鉄骨造 |
---|---|
坪4~5万円 | 坪6~7万円 |
例えば、2階建の木造住宅で1~2階合計の延床面積が30坪の建物の場合、解体工事費用としては120~150万円になります。
解体工事は、解体現場の施工条件によって金額が決まります。狭い道路を通らなければならない、敷地が狭い等の悪条件が重なると、解体費用が高くなる傾向があります。解体費用は、「大草原の小さな家」のようなイメージの建物 が一番安くなります。
また、解体については建設リサイクル法により解体で発生するゴミを分別して処分しなければいけないため、全てを重機で一気に壊すことはできません。解体の現場では、ゴミを分別するための手作業が発生します。そのため、分別作業が多く発生するような建物では、人件費がかかるため解体費用が高くなる傾向にあります。
解体費用を知るには、施工条件や分別解体の程度を現地で確認してもらい、しっかりと見積を取得する必要があります。解体費用は相場で判断するのではなく、最終的に見積をしっかりと依頼するようにしましょう。
2. 空き家解体費用を安くする発注のコツ
解体費用を安く発注するコツは、解体業者に直接発注することがポイントです。具体的には、重機をレンタルせず、自社で保有しているような末端の解体業者が一番安くなります。
解体工事は、ハウスメーカーなどの新築の請負工事業者に依頼することが良くあります。しかしながら、同じ工事でも新築工事と解体工事は異なります。
ハウスメーカーに解体工事を依頼すると、ハウスメーカーから解体工事業者へ外注されます。さらに解体工事業者の見積金額に、ハウスメーカーの現場管理費用が上乗せされるため、価格としては上がります。
ハウスメーカー等の新築工事を行う請負工事業者は、解体工事を請け負ってくれるものの、自らは解体工事を行わないため、管理費用の分だけ価格が高くなってしまうのです。
単純に解体だけを行いたい場合には、解体の専門業者を探し出し、直接発注することが費用を安くするコツになります。
尚、今の家を解体して、新たな家を新築する場合、新築の請負工事業者に解体も発注すると、発注の手間が少なく楽になるというメリットはあります。さらに、解体後の新築工事もスムーズに移行することができます。
解体費用は若干高くなりますが、建て替えを計画しているような人であれば、新築の請負工事業者に解体を依頼するのも、それなりのメリットがあります。
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3. 空き家解体とローン
ローンの中で、金利や借入期間が最も有利な条件となるものは、「住宅ローン」です。しかしながら、空き家の解体費用に関しては、住宅ローンで借りることはできません。
住宅ローンは、土地と建物を担保とする抵当権を設定してお金を貸すローンです。担保となる建物が解体されるため、住宅ローンを使って解体費用を借りることはできません。
そのため、解体費用でローンを借りたいときは、住宅ローン以外のローンを組むことになります。解体ローンは、主に地方銀行が、「解体ローン」のような名称のローンを扱っている場合もあります
大手の都市銀行であれば、「フリーローン」と呼ばれるローンで解体費用を借りることができます。
また地方銀行や信用金庫、労働金庫等が「無担保住宅ローン」と呼ばれるローンも扱っており、解体費用をローンで組むことも出来ます。
但し、いずれも無担保のローンとなるため、住宅ローンに比べると、金利は高めです。借入期間も短く、借入可能額も低いという特徴があります。
解体に関するローンは、住宅ローンのように、各銀行が横並びではありません。借りる際は、複数の銀行で内容を十分に比較検討した上で決めるようにしましょう。
4. 空き家解体の補助金状況
解体の補助金に関しては、国が統一的に行っている補助金はないです。解体の補助金は市区町村の自治体レベルで行っていますので、まずは対象となる空き家の自治体に解体の補助金があるかどうかを確認する必要があります。
例えば、2018年7月時点においては、大阪市に大阪市 防災空地活用型除却費補助制度と呼ばれる解体の補助金があります。大阪市内で指定されている重点整備エリアにおいて、以下の要件を満たす住宅であれば、解体費用の一部の補助を受けることができます。
- 補助要件
- 幅員6m未満の道路に面する敷地に存する昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を解体
- 補助内容
-
- 木造住宅の解体費用の一部補助
- 補助率:2/3
- 補助限度額:戸建住宅:100万円、集合住宅:200万円(長屋等の一部解体は100万円)
例えば、上記の補助金を使うと、解体工事費用が150万円かかる場合、100万円(2/3かつ上限100万円)まで補助を受けることができます。
昭和56年5月31日以前の建物とは、旧耐震基準に該当する建物を指します。旧耐震基準の空き家に関しては、補助を出す自治体は比較的多いです。
また、同じく2018年7月時点において、東京都荒川区に危険老朽建築物の除却費助成と呼ばれる解体の補助金もあります。
荒川区内で指定されている対象地区(木造住宅密集エリア)において、以下の要件を満たす住宅であれば、解体費用の一部の補助を受けることができます。
- 補助要件
- 補助要件以下のすべてに当てはまる危険老朽建築物を指します。
- 昭和56年5月31日以前の建物。
- 国、東京都、区等が行う他の助成金の交付を受ける建物ではないこと。
- 荒川区危険老朽建築物等除却検討委員会で危険であると判定された建物。
- 補助内容
- 危険老朽建築物及びこれに付属する工作物の除却工事並びに除却工事後の敷地の整地に要する費用の100パーセント(上限費用・1平方メートルあたり26,000円)(上限述べ面積・1000平方メートル)
1平方メートルあたり26,000円は、坪換算すると約85,950円です。坪4~5万円の範囲であれば、ほぼ全額補助を受けることができます。
このように、解体補助金は自治体によって千差万別です。補助率が2/3の自治体もあれば、1/2の自治体もあります。上限金額も自治体によって20万円~100万円等、様々に設定されています。
補助金がある場合には、要件と補助率、上限額の3つを確認することがポイントです。
また解体補助金を出す自治体は、少しずつ増えています。現在、補助金がない自治体でも、今後は補助金が出てくる可能性もあります。
毎年のように状況も変わっていますので、解体前に補助金があるかどうか必ずチェックするようにしましょう。
5. 空き家解体後の固定資産税
空き家を解体することで土地の固定資産税が上がります。そこでこの章では空き家解体後の固定資産税について解説します。
5-1. 住宅用地の特例とは
土地の上に住宅が建っていると、その「土地」の固定資産税が安くなります。これを住宅用地の特例と呼びます。
固定資産税は、課税標準額と呼ばれるものに税率を乗じて計算されます。課税標準額とは、固定資産財評価額から計算される数値です。
- 固定資産税
- = 課税標準額※ × 税率
※課税標準額は固定資産税評価額から計算されるもの
住宅用地の特例とは、固定資産財評価額から計算される課税標準額が小さくなる特例です。課税標準額が小さくなるため、固定資産税が安くなります。
住宅用地の特例が適用できる住宅用地は、小規模住宅用地と一般住宅用地の2種類に分けられます。
- 小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200平米までの部分
- 一般住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200平米を超え、家屋の床面積の10倍までの部分
小規模住宅用地と一般住宅用地では、課税標準額を決める軽減率は以下のようになります。
- 固定資産税
- 小規模住宅用地 課税標準額は固定資産税の6分の1
一般住宅用地 課税標準額は固定資産税の3分の1
- 都市計画税
- 小規模住宅用地 課税標準額は固定資産税の3分の1
一般住宅用地 課税標準額は固定資産税の3分の2
例えば、150平米の土地の上に住宅が建っていると、その土地は全て小規模住宅用地に該当します。固定資産税評価額が3,600万円だとした場合、固定資産税課税標準額は600万円(= 3,600万円 ÷ 6)となります。
固定資産税の税率は1.4%ですので、固定資産税の額は以下のように計算されます。
- 固定資産税
- =課税標準額 × 税率
=(固定資産税評価額 × 軽減税率)× 税率
=(3,600万円 × 1/6)× 1.4%
= 600万円 × 1.4%
= 8.4万円
5-2. 解体後の土地の固定資産税はいくら上がるか
建物を解体すると、土地の上に住宅がなくなるため、住宅用地の特例を受けられなくなります。住宅用地以外の土地のことを非住宅用地(または商業地等)と呼びます。
非住宅用地となると、課税標準額は固定資産税評価額の70%で計算されます。70%は負担水準と呼ばれる数値です。
例えば、固定資産税評価額が3,600万円だとした場合、負担水準70%を乗じますので、固定資産税課税標準額は2,520万円(=3,600万円×70%)となります。
解体後の土地は非住宅用地(商業地等)として計算されるため、固定資産税は以下のように計算されます。
- 固定資産税
- = 課税標準額 × 税率
=(固定資産税評価額 × 負担水準)× 税率
=(3,600万円 × 70%)× 1.4%
= 2,520万円 × 1.4%
= 35.28万円
前節の小規模住宅用地の計算例では、固定資産税は8.4万円でした。非住宅用地となると35.28万円ですので、4.2倍になったことになります。
つまり解体して更地にしても固定資産税は6倍にはなりません。非住宅用地となると、固定資産税評価額に負担水準と呼ばれる70%が乗じられるという点がポイントです。
固定資産税納税通知書の中に、土地の固定資産税評価額が記載されています。解体後の固定資産税を知りたい場合には、現在の固定資産税評価額に70%をかけ、1.4%を乗じると、固定資産税のおよその額を知ることができます。
尚、解体すると土地の固定資産税は上がりますが、建物の固定資産税は丸々なくなります。どれだけ固定資産税が上がるかについては、土地の上がる分と建物のなくなる分をトータルして考慮する必要があります。
5-3. 解体のタイミングが重要となる建物の固定資産税
次に、建物の固定資産税に関連し、注意点があります。それは解体するタイミングについて1月1日を意識するという点です。
土地も建物も、固定資産税は1月1日時点の所有者に1年分が課税されます。1月1日時点に建物があると、2月に建物を解体したとしてもその年は1年分の建物の固定資産税を払わなければいけません。
そのため、建物の解体については、前年の12月31日までに解体しておくということが重要です。1月1日を経過し、年明けから解体すると、1年分の固定資産税が無駄に課税されてしまいます。
自治体は、毎年1月1日時点において、航空写真を撮っています。そこに建物が写り込まないように意識することが重要です。
尚、例えば12月中旬に解体を着手し、年をまたいでしまいそうな場合は、あらかじめ市区町村の固定資産税課に相談に行くことをおススメします。相談に行くと、「少なくとも1月1日まで屋根までは壊してください」等のアドバイスをもらえます。
事前に、状況を伝えておき、市区町村が「これは建物ではない」と認識できるレベルまで壊しておくと、建物が一部残っていても次の年の建物固定資産税は免除してくれます。
建物の固定資産税については、1月1日を意識して解体することがポイントです。
まとめ
いかがでしたか?空き家の解体について見てきました。今回の記事のポイントは4つです。
空き家の解体費用は木造住宅なら坪4~5万円が相場です。
解体業者に直接発注すると価格が安くなります。
空き家解体は通常の住宅ローンを組むことはできませんが、解体ローンや無担保住宅ローン等であれば借りることができます。
補助金については自治体ごとによって有無や条件が異なりますので、解体前に自治体に必ず確認するようにして下さい。
空き家は解体すると住宅用地の特例がなくなり土地の固定資産税が上がります。
建物の固定資産税が残らないように、1月1日を意識して解体するようにしましょう。
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