賃貸併用住宅は人気のある賃貸経営方法ですが、ネットでは「賃貸併用住宅 危険」や「やめておけ」などの検索語を目にすることがあります。
賃貸併用住宅の経営を成功させるためには、リスクを把握し、「なにが危険といわれるのか」事前に把握しておくことが大切です。
この記事では、賃貸併用住宅が「危険」と言われる理由と、その対策・成功のコツをまとめています
なお、賃貸併用住宅の経営を成功させる第一歩は、賃貸併用住宅の建築を得意としている建築会社から見積もり・収支計画をもらうことです。
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「うちの土地にはどんな賃貸併用住宅が建つの?」「リスクを抑えて賃貸併用住宅を建てたい」という方はご活用ください。
賃貸併用住宅が「危険」だと言われる理由は?
賃貸併用住宅が「危険」と言われる主な理由は以下のとおりです。
- 普通の住宅より借入額が多くなるから
- 入居者確保が難しいことがあるから
- 普通のアパートよりは収益性が低いから
- 入居者トラブルの可能性があるから
- 売却・取り壊しがしにくいから
実際に危険かどうかは一概に言えない部分もあるため、正しくメリットとデメリットを把握する必要があります。詳しくは「賃貸併用住宅が「危険」だと言われる5つの理由」をご確認ください。
賃貸併用住宅経営を成功させるには
以下の8つのポイントが重要です。
- 賃貸需要があるかを調査する
- 賃貸部分はワンルームにしておく
- 防音対策は万全にしておく
- プライバシーを意識した設計をする
- 家賃設定は入居者目線で考える
- 無理のない返済計画を立てる
- 管理はプロにお任せする
- 建築プランは複数社を比較する
詳しくは「危険な賃貸併用住宅経営に陥らない!成功の法則」をご確認ください。
賃貸併用住宅を成功させるハウスメーカー選びのポイント
どのようなハウスメーカーを選ぶべきなのか迷ったら、以下の3つのポイントを参考にしてみてください。
- 賃貸併用住宅の実績があるハウスメーカーから選ぶ
- 賃貸経営サポート体制も一緒に比較する
- なるべく多くのハウスメーカーを比較してから決める
詳しくは「賃貸併用住宅を成功させるハウスメーカー選びの3ポイント」をご確認ください。
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詳しい解説は以下
1.賃貸併用住宅とは
賃貸併用住宅とは、戸建ての一部に賃貸部分をプラスしている建物のことです。戸建てとしての機能や居住性も含め、見た目は普通のマイホームにかなり近いという特徴があります。
しかし、普通のマイホームとは違い、賃貸部分からは賃料が発生しますので、敷地の価値を活かせば入居者からの家賃だけでマイホームを手に入れることも可能です。
とはいうものの、マイホーム建築の中では、賃貸併用住宅は少数派ですので、どんな方がどんな目的で建てているのかは気になります。賃貸併用住宅を建てようと検討する方は、以下のような傾向があります。
- 自己資金に不安がある方
-
マイホームでもアパート経営でも、ローンを組む時、多くの金融機関は総額の2割程度の自己資金(頭金)を要求します。仮に5,000万円の建物を建てるのであれば、1,000万円の自己資金が必要になります。
賃貸併用住宅の場合、住居部分には金利の低い住宅ローン、賃貸部分には事業用のアパートローンが適用されます。また、金融機関の条件をクリアすれば、一戸まるごと住宅ローン適用も可能です。
なぜ、このような優遇があるかというと、賃貸併用住宅のローンの返済原資は入居者からの家賃なので、金融機関から見ると、資金回収をしやすいローンであるためです。
そのため、土地とエリア条件などにもよりますが、入居者が付きやすいと判断した場合には、2割よりも少ない自己資金額でも、前向きに検討をしてくれる傾向があります。
- 将来、数世帯での住宅利用も考えている方
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賃貸併用住宅は一つの家の中に、ふたつ以上の住居設備がある戸建てですので、将来、二世帯住宅として暮らすなど、柔軟な使い方ができます。
建築をしてから実際に二世帯での暮らしが始まるまでの間は、賃貸部分からの収入でローン返済をしておけるので、土地と時間の両方を有効に使えます。
- 実家を相続するご予定の方
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将来、ご実家を相続する予定があるけれども、今はご実家のご家族が住んでいる場合には、早い段階でご実家を賃貸併用住宅にしておくことで、将来の相続税対策ができます。
実家としての機能も残したまま賃貸部分を作っておくことで、実家の家族はローン返済の心配をすることなく今まで通りの暮らしを続けることができます。マイホーム・賃貸住宅として投資をしてあるため、マイナスの資産が発生し、相続税の課税対象額を大きく減らすことができます。
さらに、相続をする方は、古くなった実家の建て替えと賃貸経営を同時にスタートしておくことができ、相続後は、ご自身が住むこともできます。
このように、賃貸併用住宅の持つ特徴を使って、さまざまな理由で土地活用をしています。
2.賃貸併用住宅が「危険」だと言われる5つの理由
本章では、ネットを探していると出てくる「賃貸併用住宅が危険である」と言われている理由を5つにまとめています。
- 普通の住宅より借入額が多くなるから
- 入居者確保が難しいことがあるから
- 普通のアパートよりは収益性が低いから
- 入居者トラブルの可能性があるから
- 売却・取り壊しがしにくいから
2-1.普通の住宅より借入額が多くなるから
賃貸併用住宅は、一つの戸建ての中に2つ以上の生活設備がある家です。部屋の数だけキッチン・バストイレ・玄関・ベランダなどが必要になるため、普通のマイホームを建てるよりも、費用がかかります。
その分、金融機関からの借入額も増えますので、普通のマイホームを建てるよりも、かなり大きな金額を借り入れることになります。多くの記事で、賃貸併用住宅が危険だと言われるのは、この借入額の大きさだけを見て、危ないと言っています。
【賃貸併用住宅の真実】
前述のとおり、賃貸併用住宅のローンは、マイホーム部分には金利の低い住宅ローン、賃貸部分には事業用のアパートローンが適用されます。また、条件をクリアすればすべての部分に対して住宅ローンを適用することもできます。
金融機関は、賃貸併用住宅を建てる場合のローンの返済原資には、入居者家賃を充当する前提で審査をし、返済計画を見ていきます。
そのため、普通のマイホームよりも大きな借入額になっていたとしても、金融機関は返済可能な範囲の金額までしか貸し出しをしませんので、審査が下りている時点で、返済計画と経営計画には妥当性があり、問題がないと判断されたことになります。
マイホームと賃貸部分を合わせた家であることを考えれば、普通の家よりも費用が大きくなるのは当然のことであり、その返済計画を金融機関が受け入れたのであれば、妥当な借入額であり、危険なものではありません。また、金融機関の提示する条件をクリアすれば、賃貸部分も含めて住宅ローンの適用できますので、総合的に見ると、危険な部分よりもオトクな部分の方が多いとも言えます。
2-2.入居者確保が難しいことがあるから
エリアと土地の条件によりますが、賃貸経営をしても、入居者がつきにくいこともあります。例えば、住宅街の中、駅歩のあるエリアなど、賃貸の入居者にとっての利便性が低い場所の場合は、賃貸部分を作っても入居者がないか、またその不便さから退去が続き、空室が発生する可能性もあります。
入居者の家賃はローン返済に充てられますので、空室があるとオーナーの返済負担が大きくなります。また、完済した後にも、副収入として期待していた家賃収入が途絶えがちになる可能性があります。
このように、せっかく賃貸併用住宅を建てても、イメージ通りの収入にはつながらない可能性もあり、そのことをネットでは「賃貸併用住宅は危険だ」と言っています。
【賃貸併用住宅の真実】
このような問題を回避するためには、土地活用の計画を立てる段階で、エリアに賃貸需要があるかどうかを念入りに調べておく必要があります。
賃貸併用住宅・普通のアパート経営に関わらず、賃貸住宅のニーズがある場所であれば、賃貸併用住宅による賃貸経営もうまくいく可能性が高くなります。
これらの判断は、土地オーナーご自身がするよりも、不動産経営と土地活用のプロフェッショナルである、ハウスメーカーや建築会社に確認してもらう方が良いと言えます。
エリア全体の賃貸需要・家賃相場・入居者層などを丁寧にマーケティングしたうえで、ご所有の土地での賃貸併用住宅が価値のあるものになるかどうかを、わかりやすく説明してくれます。賃貸併用住宅の経営が危ないかどうかは、これらの本格的なマーケティング結果を聞いてから判断してください。
また、ご所有の土地があまり賃貸向きではなかった場合でも、その他の土地活用方法を提案してもらえますので、ハウスメーカーへの相談は、土地オーナーに大きなメリットをもたらします。
2-3.普通のアパートよりは収益性が低いから
賃貸併用住宅は、マイホームと賃貸部分が一つの戸建ての中に共存している物件ですので、当然、全室がアパートである本格的な不動産経営と比較すれば、賃貸に出せる部屋の数が違いますので、収益性は低くなります。ネットでは、本格的な投資物件と比較した場合の収益性を指して「危険」と言っています。
【賃貸併用住宅の真実】
本格的な不動産投資方法であるアパート経営の収益性と、マイホームと賃貸部分を合わせた賃貸部分からの収益性を、金額だけで比較すること自体がナンセンスです。
収益性の高い・低いの捉え方は、土地活用を通じて土地オーナーが何を得たいかによって変わってきます。賃貸併用住宅を希望する方の多くは、マイホームのローン返済負担を軽くしたい、将来は少し副収入が増えればよいという、安全性を重視する方が選択する傾向にあります。そのような方にとっては、賃貸併用住宅の賃貸部分からの収入に対し、収益性が低いと感じることはありません。
しかし、大規模なアパート経営する方と、賃貸併用住宅を選ぶ方は、ご所有の土地からご自分が希望している利益を最大化したい、という意味ではまったく同じです。
賃貸併用住宅は、マイホームのローン返済を賃料収入でできる、非常に理にかなったリスクの低い経営方法のひとつとして、土地オーナーの希望する収益になっていれば、何ら問題がないと言えます。
2-4.入居者トラブルの可能性があるから
一つの敷地内にオーナーと賃貸人が一緒に住みますので、普通の賃貸物件と比較すると、お互いの距離が近くなります。入居者と頻繁に顔を合わせることが、プラスに出るかマイナスに出るかによってトラブル発生の可能性は変わってきます。
ネットで言われる「危険」とは、生活リズムや生活様式の違いなどにより、オーナーとの関係性が悪くなってしまったケースを指しています。
【賃貸併用住宅の真実】
賃貸併用住宅の賃貸部分に、複数の入居者がいる場合、生活様式やリズムが違う方がいると、オーナーとも、入居者同士でもトラブルは起きやすくなります。すでに経営中の賃貸併用住宅への対策としては、入居者審査の時に、職業欄などから判断して、生活リズムが似たような方を選ぶという方法があります。
さらに、入居者募集をする時点で、同じ敷地内にオーナーがいることの情報開示をしておけば、大家さんが近くにいることに、心理的な抵抗がない人物しか入居してこなくなります。
より根本的な解決方法としては、建物を設計する段階で、オーナーと入居者の入り口にあたる部分を離しておけば、接触する機会を各段に減らせ、トラブルが起きる可能性を低くすることができます。
また、管理をする部屋数が少なくても、管理は管理会社に一任しておき、オーナーと入居者とが直接やり取りしない様に配慮することで、お互いにストレスの少ない生活をすることができます。
入居者同士・入居者とオーナーのトラブルは、このようにしてあらかじめ対策をたてておけば、賃貸併用住宅経営の問題にはならないと言えます。
2-5.売却・取り壊しがしにくいから
賃貸併用住宅は、戸建でありながら一部が賃貸用であるという、特殊な一戸建てです。不動産業界全体の流通量からいえば、かなりの少数派であるため、売却をしづらいというのは事実です。
また、賃貸部分に人が住んでいる場合、オーナーがマイホームとして家を取り壊したいと思っても入居者がいる限り勝手に取り壊すことができないという不便さもあります。このようなことを、ネットでは「危険」だとしています。
【賃貸併用住宅の真実】
売りにくい・勝手に取り壊しできないという部分は事実ですので、将来、土地活用として現金化をしたい場合には、注意が必要です。土地活用を計画する段階で、これらのことを想定した計画を立てておくことで、問題を回避できます。
売却に関しては、賃貸物件を探す方にとっては収益性が低く、マイホーム購入を希望する方にとっては、賃貸部分が不要です。そのため、賃貸併用住宅は売れないということはありませんが、売れにくいのは確かです。将来、売却も視野に入れている場合は、このことを前提に、売却期間に相当の余裕を持たせて計画しておく必要があります。
取り壊しに関しては、賃貸部分に入居者がいると、オーナーの一存で家の取り壊しをすることができなくなります。退去をして欲しい場合でも、入居者に落ち度がない限り、オーナー都合での退去はできない可能性の方が高いと言えます。
対策としては、取り壊しや売却を考えている時期よりも数年前から、入居者には定期賃借などの、期間を限定した契約方法に変更しておきリスクを回避します。
また、入居している方に対しては、5~6年くらいの猶予期間を設けて、将来の売却や取り壊しの計画があることを伝えておきます。必要な場合は、引っ越し代や転居先の用意などを提案し、入居者に負担がかからないようにすれば、多くのケースで快諾してくれます。
これらの交渉は、オーナーではなく、管理委託をしている会社からビジネスライクに通達・交渉をしてもらうことで、トラブルに発展する可能性を低くすることができます。
どちらにしても、これから土地活用として賃貸併用住宅を検討している方は、これらのリスクを想定したうえで、長期の経営計画を立てておく必要があります。しかし、これらのことから賃貸併用住宅が危険だというのは、適当な表現ではないと言えます。
3.危険な賃貸併用住宅経営に陥らない!成功の法則
本章では、賃貸併用住宅のさまざまな特徴を理解した上で、問題を回避し、上手に土地活用するための8つの成功法則をまとめています。
- 賃貸需要があるかを調査する
- 賃貸部分はワンルームにしておく
- 防音対策は万全にしておく
- プライバシーを意識した設計をする
- 家賃設定は入居者目線で考える
- 無理のない返済計画を立てる
- 管理はプロにお任せする
- 建築プランは複数社を比較する
3-1.賃貸需要があるかを調査する
マイホームと賃貸経営を兼ねた賃貸併用住宅ですので、土地オーナーにとっては「マイホーム」である感覚が強いかと思います。しかし、賃貸部分はあくまで賃貸経営をするわけですので、計画の段階から入居者目線で見ておく必要があります。
特に大切なのは、賃貸需要の有無です。ご所有の土地があるエリアや土地条件などによっては、マイホームとしては問題なくても、賃貸経営には適していないことがあります。賃貸物件に入居する方の多くは、駅歩が少ない、生活利便性の高い住居を希望している傾向があります。
活用予定地が住宅地の中にある、駅からとても離れているなど、利便性があまり高くないエリアの場合は、賃貸併用住宅として賃貸経営をスタートしても、入居者が集まらない可能性もあります。
土地活用として賃貸併用住宅を検討する場合には、まずは、土地活用プランを複数社に請求し、ご所有の土地の周辺に賃貸需要があるかどうか確認をしたうえで、次に進むかどうかを判断してください。
万が一、あまり賃貸ニーズがないとわかった場合でも、もっと適した活用方法を探すことで、土地の有効利用をすることができます。
3-2.賃貸部分はワンルームにしておく
賃貸部分の部屋数や間取りは、土地面積によってほぼ確定しますので、その広さの範囲で有効に使える方法を考えるようにします。基本的には、単身者や2人暮らしくらいのコンパクトな生活に向いた間取りにします。
この時、定められた広さの中で、例えばワンルームを3室にするか、1DKなどの広めの部屋を2室にするのかは、周辺エリアの賃貸ニーズに合わせて考えるようにします。
原則的に、ファミリー層向けの間取りは除外します。理由としては、ファミリー層はマイホーム購入を念頭に置いて賃貸物件を探すことが多いため、賃貸併用住宅でつくる賃貸部分では、広さと部屋数の問題から、1室しか作れない可能性が高くなってしまいます。
賃貸経営は部屋の数だけ賃料収入が発生しますので、賃貸に出せる部屋数は多い方が、経営が安定します。最低でも2室、理想は3室以上あると、空室によって賃料収入が発生しない空室リスクを分散させることができます。
3-3.防音対策は万全にしておく
鉄筋コンクリート造などのマンションなどとは違い、木造で建築した場合、居住者の生活音に悩まされる可能性があります。生活音で問題になるのは、主に足音・話し声・テレビの音・ドアの開閉音・洗濯機などの機械音などです。
マイホームと賃貸部分を上下に分けたか、左右に分けたかによって気になる音のタイプが違ってきます。
上下で分けた場合には、床と天井部分の間に防音効果のある資材を入れることで、足音などの生活音が響かないようにすることができます。
左右で分けた場合には、自宅と賃貸部分の境目にあたる部分に防音効果のある資材を入れ、さらに、境目にあたる壁に扉のあるクローゼットなどを配置することで、話し声・生活音・テレビ音などが響かない、静かな空間を確保できます。
また、上下・左右のどちらでも、水回りを同じような場所に集中させることにより、生活排水などの音が気にならなくなるようにすることができます。これらの音の問題は、ハウスメーカーや建築会社によっても独自の対策ができる建材や壁材がありますので、複数の会社に土地活用プランを請求し、じっくりと比較してみることをおすすめします。
以下のボタンから、最大10社のハウスメーカーから賃貸併用住宅の建築プランをまとめて請求することができますので、ぜひご活用ください。
3-4.プライバシーを意識した設計をする
土地オーナーと入居者のどちらもがプライバシーを尊重できる家つくりを心がけます。設計の段階で、自宅と賃貸部分の人の動線をハッキリと分けてしまうことで、入居者とオーナー家族との接触回数をかなり減らすことができます。
具体的には、オーナーと入居者のエントランスに相当する部分を、それぞれ反対側に設けることで、不必要に顔を合わす回数を減らすことができます。
これらは、賃貸併用住宅の中でマイホーム部分をどこに作るのかによっても変わってきますので、土地活用プランを参考にしながら、ハウスメーカーや建築会社の担当者に相談をしてみてください。
3-5.家賃設定は入居者目線で考える
賃貸併用住宅は、土地オーナーにとっては「マイホーム」としての思い入れのある物件ですが、入居希望者にとっては、数ある物件の中のひとつです。そのため、家賃設定は相場感にそった、入居者にとって納得感のある賃料にしておく必要があります。
家賃設定を考える場面は2回あります。ひとつは、ローン申請の際に金融機関に提出する経営計画書の中で、賃料設定をもとに返済計画を立てるときです。建築プランには、賃料設定が入った返済プランの提案などもありますので、複数のプランを比較したのち、建築依頼をする候補の会社の担当者と相談しながら、具体的な金額を決めていきます。
次は、実際に賃貸併用住宅での賃貸経営をはじめる時です。この時には、入居者募集をしてくれる不動産会社の担当者と相談のうえで、エリアニーズなどをもとに家賃設定をしていきます。家賃設定は、返済額に支障がない範囲であれば、変更が可能です。
どのような金額設定にするかは、基本的にはオーナーの自由ですが、入居希望者にとって納得感のない値段の場合は、新築であっても空室が続く可能性もあります。入居者の目線を意識した家賃設定は、賃貸経営成功の大切なポイントになります。
3-6.無理のない返済計画を立てる
賃貸併用住宅のローンは、マイホームと賃貸部分の両方のローンを長期にわたって支払っていき、完済することが前提です。返済原資は入居者からの家賃ですが、繰り上げ返済などで完済までの期間を短くすることも可能です。
「無理のない返済計画」とは、20~30年近い経営期間に起きるさまざまなことを想定した上での返済計画のことです。例えば、以下のようなことが考えられます。
- 賃貸部分に発生するこまめな修繕費・修理費
- 原状回復のたびに発生する壁紙や設備の取り換え費用
- マイホーム部分も含めた外壁・屋根などの修理修繕費用
- 外構などの修繕・清掃費用
- ハウスメーカーによって発生する設備の取り換え費用
- 戸建て全体が経年劣化した際に発生する家賃下落リスク
- 周辺にライバル物件が発生した場合に発生する空室リスク
- 時代によって発生する必要な設備(Wi-Fi・宅配ロッカー・録画機能付きインターフォンなど)
長い期間の間に、どのような費用が発生するかは、ハウスメーカーや建築会社からもらう建築プランにも記載がありますので、土地活用を検討し始めた段階で、複数のハウスメーカーに土地活用プランと建築プランを請求して比較検討をしてみてください。
現地調査をしてもらった後に、具体的な収支プランも作成してもらうと、より安全性の高い返済計画が考えられるようになります。土地活用プランの請求には、一回の入力で最大10社までのハウスメーカーに一度にプラン請求が可能な「HOME4U オーナーズ」をご利用ください。
3-7.管理はプロにお任せする
賃貸部分が少なくても、賃貸管理は専門の会社にお任せするようにしてください。委託管理は、管理をする一部屋ごとに、家賃の数%(平均で3~5%くらい)の手数料を支払います。賃貸併用住宅の場合は、敷地の大きさである程度の部屋数が決まりますので、そう多くの委託料を支払うことにはなりません。
管理業務には、入居案内・契約業務・家賃の集金と督促・更新管理などの賃貸管理以外に、建物の清掃・美化整理・点検修理・修繕手配・住人からのクレーム対応など、目には見えない仕事も多い仕事です。
また、クレーム対応で入居者への対応を間違うと、トラブルのもとになり、最悪の場合は退去へとつながり空室リスクを高めてしまいます。ノウハウのある管理会社に委託することで、トラブルを未然に防ぎ、安定経営へとつなげることができます。
大手ハウスメーカーや建築会社に施工依頼をした場合は、グループ会社に管理会社の利用を提案されますので、他の候補と比較をしたうえで申込をしてください。適切な管理会社が見つからない場合は、管理会社への一括無料相談ができる、NTTデータグループの運営する賃貸経営HOME4Uのご利用もご検討ください。
3-8.建築プランは複数社を比較する
土地活用で賃貸併用住宅を検討する場合は、まずは複数の建築プランをもとに、どのような賃貸併用住宅が建築可能なのかを確認してください。
デザインや設備も大切ですが、マイホーム部分を1階または2階部分に作るのか、左右に分けるのかなど、設計そのものに大きくかかわる判断なども、数多くのプランを見て比較をしていくことで、イメージがしやすくなります。
複数の土地活用プラン・建築プランは、一回の入力で最大10社までのプラン請求が可能な「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求のご利用が便利です。ご所有の土地があるエリアと広さなどのカンタンな質問に答えていくだけで、わずか1分ほどで、日本全国のハウスメーカーや建築会社の中から、賃貸経営住宅の建築・経営に信頼と実績のある会社を紹介しています。
気になるプランがあれば、現地調査に来てもらうことで、より具体的な建築プランがわかります。また、賃貸併用住宅以外にも土地活用方法として提案できるものがあれば、併せて紹介してもらえますので、まだ検討中の段階であっても現地調査まではしてもらっておくほうが、より良い土地活用になります。
4.賃貸併用住宅を成功させるハウスメーカー選びの3ポイント
本章では、賃貸併用住宅を成功させるために、どのようなハウスメーカーを選ぶべきなのかを、3つのポイントに絞って解説しています。
4-1.賃貸併用住宅の実績があるハウスメーカーから選ぶ
賃貸併用住宅のマイホーム部分の充実度は、そのまま、土地オーナーの人生満足度につながります。賃貸経営がうまくいくことはもちろんですが、同時に、マイホームとしての住まいが快適でなければ、賃貸併用住宅が成功したとは言えません。
土地活用で賃貸併用住宅をご検討の場合は、まずは、確実に住み心地の良いマイホームを作れること、そして、賃貸併用住宅の取り扱い実績が多い会社を選ぶようにしてください。基本的に、大手ハウスメーカーであれば、両方の条件をクリアしていると言えます。
現地調査に来てもらった際には、担当者に、マイホームに対して望んでいることをすべて伝えられるように準備しておくようにしてください。賃貸併用住宅は、一つの敷地一つの戸建ての中にマイホームと賃貸住宅が同居している、とても特殊な一戸建てです。
そのため、設計は注文住宅と同じであり、さらに、その建物の特殊性から、後になっての大幅な設計変更ができないという特徴があります。例えば1階をマイホームにする前提である程度の設計プランを作ってしまうと、途中から「やっぱり二階の一部も自室にしたい」などの提案があっても、途中から設計を変えることは難しくなります。
ケースによっては設計をゼロからやり直しになります。マイホームは家族メンバーの数だけ夢がありますので、設計に変更が出やすく、意見がまとまらないと設計も進まなくなります。また、妥協をしてしまうと納得感の低い自宅となってしまうため、しっかりと家族で話し合っておく必要があります。
自分たちのマイホームの希望をしっかり伝えておくことで、満足度の高い建築プランが出来上がってきやすくなります。このような観点から見て、大手ハウスメーカーであれば、賃貸併用住宅の実績があり、さらに社内に設計士が複数人いるため、フレキシブルな対応ができ、ご自宅としての満足度も高い賃貸併用住宅になりやすいと言えます。
4-2.賃貸経営サポート体制も一緒に比較する
本記事でも何度か解説がありましたが、賃貸併用住宅の賃貸部分には、適切な管理会社を入れるようにすることが、賃貸経営を成功させるためのポイントになります。
賃貸経営を安心して長期間継続するためには、マイホーム部分への建物管理と同時に、賃貸部分への入居管理・建物管理にも万全のサポートがある会社に管理をしてもらう方が良いと言えます。
大手ハウスメーカーの場合は、関連会社に自社が手掛けた物件を取り扱う管理会社があり、安心して任せることができます。このような会社は、管理会社として優秀であるだけではなく、自社の建築した建物に関しての知見もある社員が多いため、建物のトラブル発見・対処に関しても信頼度が高いと言えます。
またマイホーム・賃貸部分ともに、建築後20~30年間お世話になることになりますので、出来れば、30年後にも健全経営で存在してくれている企業を選ぶほうが、安心していられます。
管理に関しては、委託管理をする以外にも、全ての管理を丸ごとお願いできるサブリース契約というスタイルもありますので、複数の管理方法・管理会社の提案の中から、慎重に選ぶようにして下さい。
4-3.なるべく多くのハウスメーカーを比較してから決める
賃貸併用住宅の依頼先は、なるべく数多くのハウスメーカーや建築会社の中から選ぶようにしてください。検討段階で一つの企業に絞ってしまうと、その企業が提案してきたプランが良いものなのかを判断するのが難しくなってしまいます。
特に賃貸併用住宅は賃貸部分とオーナーの居住部分の間取り設計が非常に重要であり、この部分は各ハウスメーカーによって提案内容が異なるので、なるべく多くの選択肢から吟味するべきといえます。
複数社からの建築プランを比較してはじめて、ご自分とご家族のマイホームの理想を発見でき、賃貸経営に何が必要なのか、さまざまなことがわかるようになります。複数の建築プランを請求する際には、NTTデータグループの運営する不動産情報サイト「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご利用ください。
ご所有の土地のエリアと広さなどのカンタンな入力だけで、日本全国の賃貸併用住宅の建築と経営に実績と信頼のあるハウスメーカーや建築会社を、最大10社までに絞り込んでご紹介しています。
はじめはなるべく数多くの会社からプランを入手し、その中から、気になる会社に現地調査に来てもらいます。そうすることで、より具体的なマイホームとしての賃貸併用住宅のプランが出来上がってきます。
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