ご所有の土地でマンション建築をするには、クリアしておくべき、さまざまなルールや条件があります。今回は土地活用におけるマンション建築と建築基準法に関して、やさしくまとめています。

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更新日
2023.09.28
カテゴリ
マンション経営, 記事

マンション建築の条件は?法律・規制の基礎知識

マンション建築の条件は?法律・規制の基礎知識

マンション建築をするときには、建築基準法で決められた様々なルールや条件に沿った建物を建てる必要があります。これから土地活用をしようかとお考えの方にとって、マンション建築に関したさまざまなルールを理解しておくと、ご所有の土地に、どんな建物が建てられるのかを、かんたんにイメージできるようになります。

今回は、はじめての土地活用でも安心して取り組めるように、マンション建築に関した条件を、建築基準法を中心にやさしくまとめています。

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この記事のポイント まとめ

建築基準法におけるマンションとは?

建築基準法の中では、マンションは、「共同住宅」で「特殊建築物」となります。特殊建築物とは、学校、体育館、病院、劇場、旅館、倉庫、共同住宅、工場などの不特定多数の人が利用する建物のことを指します。

設計の段階で、マンション建物本体に関した条件と、活用予定地エリアに関した条件の両方をすべてクリアしなければ、マンションを建てることができません。

詳しくは「マンション建築の条件とは」をご確認ください。

建築基準法におけるマンションとは?

マンション建築の条件のうち、マンション建物本体に関した建築条件は以下の5つです。

  1. 防災設備
  2. 設備に関した基準
  3. 内装・間取り
  4. 採光・通気・遮音性
  5. 定期報告義務

それぞれの条件について、詳しくは「マンション建物本体に関した建築条件」をご確認ください。

また、建築の条件のなかには、マンションが建つ土地とその周辺エリアで定められているものもあります。これらは主に、街全体の環境とそのエリア住民との調和を守るためのルールとなり、具体的には以下の5つが挙げられます。

  1. 都市計画法による用途規制
  2. 建ぺい率・容積率・高さ制限
  3. 敷地と道路
  4. 耐火建築物・準耐火建築物

それぞれの制限や規制について、詳しくは「活用予定地エリアに関した建築条件」をご確認ください。

マンションの建築条件で気になる5つのQ&A

これからマンション建築をご検討中の土地オーナーが、土地活用として気になることを5つのQ&Aでご紹介します。

Q1.建築基準法はアパートよりマンションの方が厳しいの?
A1.ルールはほとんど同じです。

Q2.アパート経営とマンション経営、土地活用にはどっちがいいの?
A2.ご所有の土地からの利益を最大化できる方法を選びましょう。

Q3.都市計画法の用途地域って自分でも調べられるの?
A3.調べられますが、プラン請求すれば無料で調査してもらえます。

Q4.建築基準法などの条件を守らなかったらどうなるの?
A4.悪質な場合は、建築中止・取り壊し・刑罰になることもあります。

Q5.建築基準法を守ってくれるハウスメーカーはどこで見つかるの?
A5.信頼性の高い不動産情報サイトで数多くのプラン請求をしてください。

それぞれの回答について、詳しい解説は「マンションの建築条件で気になる5つのQ&A」をご確認ください。

マンション建築を具体的に検討している方は、以下のボタンより建築費の目安や収益シミュレーションがわかる建築プランを取り寄せてみることをおすすめします。

1.マンション建築の条件とは

マンションを建てるときの条件には、建築基準法が関係してきます。建築基準法とは、1950年(昭和25年)5月24日に制定された、建物を建てるときに、最低限守らなければならない基本ルールを定めたもので、日本国内で建築されるすべての建造物に対して適用される法律です。

建築基準法をとてもカンタンにまとめると、そのエリアに住む・利用する人たちが、人間らしい生活や利用ができるように「どんな使用目的の建物をどのように建てるか」ということについて、お互いに最低限守るべき基準を決めたものです。

ご所有の土地にマンションやビルなどを建てる場合でも、土地の所有者だからと言って、どんな建物でも自由に建ててよいわけではなく、土地とエリアのルールの中で自由に建てられるということになります。

建物を建てる場所や目的によって、それぞれ基準が定められていて、時代に合わせて改定されてきています。この建築基準法をもとに、その他の法律を組み合わせる形で、建てられる建物の用途、高さ、大きさなどが決められていきます。

賃貸物件の建築基準法については、「アパートの建築基準法」の記事をご覧ください。

1-1.マンションは「共同住宅」で「特殊建物」

建築基準法の中では、マンションやアパートなどの複数の入居者が生活をする建物は「共同住宅」というくくりになり、共同住宅は「特殊建物」という扱いになります。

建築基準法におけるマンションは「共同住宅」

ひとつの建築物に2戸以上の住宅、階段・廊下・エントランスがあると、共同住宅になります。世間一般では、アパートやマンションのことを集合住宅という言い方をしますが、法律上は「共同住宅」であり、建築基準法の上では、アパートとマンションの明確な線引きはありません。

ただし不動産業界の中では、不動産の広告をするときの便宜上、アパートは主に木造建築3階建てまで、マンションは鉄骨または鉄筋コンクリート造で3階以上の建物、と分けられています。

建築基準法におけるマンションは「特殊建築物」

「特殊建築物」とは、不特定多数の人が利用する建物のことです。マンションやアパートなどの共同住宅は、いろいろな世帯が入居と退居をしていく建物ですので、戸建て住宅のように「この建物は〇〇さんと、その家族しか使わない場所です」とはなりません。

そのため、建築基準法では、マンションやアパートは、学校・病院・百貨店・劇場・病院・市場・ダンスホール・体育館などと同じ、「特殊建物」に分類されています。

不特定多数の人が利用しますので、建物を建てるうえでクリアしなければならない要件が増えます。具体的には、災害などが起きたときに、人が安全に避難できるようにしておく必要があります。
【参照:国土交通省 建築基準法制度概要集

上記を踏まえて、設計の段階で、マンション建物本体に関した条件と、活用予定地エリアに関した諸条件の両方をクリアしなければ、マンションを建てることができません。

土地活用でマンション建築を検討するには、まずは、ご所有の土地にどのような建物が建築可能なのかの確認が必要です。その際には、NTTデータグループが運営する「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご活用ください。

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2.マンション建物本体に関した建築条件

本章では、マンション建築に関わる条件のうち、マンション建物本体に関したことをまとめています。
主に、建物の安全を確保するための条件になります。

  1. 防災設備
  2. 設備に関した基準
  3. 内装・間取り
  4. 採光・通気・遮音性
  5. 定期報告義務

2-1.防災設備

地震や火事が起きたときに、マンション建物内での被害を大きくしないための対策です。建物の規模によって備えるべき設備が違いますが、一般的に、マンション建物は3階以上になるケースが多いため、以下の設備が必須になります。

避難施設

火災や自然災害の際、マンションのエントランスや踊り場などを開放して、避難場所として利用できる広さのエリアのことです。

消火栓

屋内消火栓という、建物内で火事が起きた時に、ホースなどをつないで消火活動に利用するものです。水源・加圧送水装置・起動装置・屋内消火栓箱・消火栓開閉弁・ホース・ノズルなどが含まれます。

スプリンクラー

消防車のはしご車が届かない11階以上の階には、スプリンクラー設置が必要です。

消火設備

消火器の設置と、警報装置の配備が必要です。

排煙設備

火災時に発生する煙を屋外に排出する、排煙窓・機械排煙設備などの設置が必要です。

非常用照明

停電時に避難経路を照らし、建物内の人が安全に避難できるように配備された照明です。

進入口

非常用進入口のことで、火事などの災害時に、外部から消防隊が進入するための開口部(主に窓)やバルコニー(足場)などのことです。

避難通路

災害に備え、設計の段階で2方向への避難経路が確保されている必要があります。避難経路には、外階段・内階段のほか、バルコニーや共用廊下も含まれています。

2-2.設備に関した基準

マンション建物の高さによって、必要となる設備があります。建物の高さが20メートルを超える場合には、建物に避雷針などの設備が必要になります。20メートルの高さは、ビルやマンションでいえば6~7階建ての建物になります。

また、建物の高さが31メートルを超える場合は、非常用昇降機(エレベーター)の設置が必要です。高さ31メートルの建物とは、ビルやマンションであれば7~10階建ての建物になります。

非常用エレベーターとは、火災が発生したときに、消防隊が消火活動と救助活動のために使う設備のことです。平常時に入居者が使うエレベーターとは違い、非常用エレベーターは災害時を想定して作られているため、救助活動(けが人などのストレッチャー搬送など)などがしやすいように大きめに作られています。

また、機械の周りは耐火壁でおおわれており、非常時でも動かせるように、予備電源・特殊操作パネルの設置、ドアが開いたままで昇降可能、排煙装置の設置など、普通のエレベーターとは全く違います。人命を守るための特殊な設備ですので、設置には莫大なコストがかかります。

マンション建築をする際には、希望するマンションの規模だけではなく、これらの特殊設備の費用も考慮したうえで建築プランを選ぶようにしてください。

2-3.内装・間取り

マンションは特殊建築物であるため、地上の特殊建築物に必要な「内装制限」という条件のもとで建築する必要があります。内装制限とは、壁や天井の仕上げを燃えにくい材料にして、火災の拡大や煙の発生を遅らせるための規制です。

具体的には、以下のような規制があります。

居室 1~2階:難燃材料
3階以上:準不燃材料
※床面から1.2メートル以下の部分は除外
通路 階段 準不燃材料

居室部分にある「床から1.2メートル」とは、火災が起きると、火も煙も上に広がりますので、1.2メートル以下の部分には特に材質に関した規制がないという意味です。ただし、居室内だけですので、共用部分には適用できません。

各部屋の間取りに関しては、外に向かった窓がない部屋は、原則として耐火構造にし、不燃材料で作らなければならないという決まりがあります。

ここでいう「窓」とは、外の光が入る・風通しという意味の窓ではなく、あくまで火災の際に、消防隊などが室内に残された人を救助するため、または室内の人が外へ避難することを目的とした「進入可能な室内の開口部」という意味での窓・ベランダなどのことです。

マンション見取り図で見かける「2LDK+S」「2LDK+納戸」などと書かれたSや納戸の部分は、実はこの窓のない部屋のことで、この部屋が「外に向かった窓がない部屋」となります。

居室の位置やマンションの構造上、複数ある部屋の中にはどうしても、このような窓のない個室を作らないと、必要な部屋数を確保できないこともあります。

部屋数は多い方が物件としては人気が出ますが、そのために不用意に窓のない個室を作ると、結果的には建築条件が厳しくなり、その条件をクリアするためのコストもかさむようになります。

マンション居室の部屋数は全室同じにそろえなければならない、というわけはありませんので、設計の段階で、このような部屋は作らず済ませることもできます。このような情報は頭に入れておき、建築プランを比較するときの材料としてください。

2-4.採光・通気・遮音性

日当たり、通気性・防音に関することで、以下のような決まりがあります。

採光

部屋の開口部(窓)の面積は、部屋の床面積に対して1/7以上が必要です。

換気

窓とその他開口部をもうけ、それらは、居室の床面積に対して1/20以上が必要です。

遮音

隣接する住居からの日常生活音によって、衛生上支障がないような遮音壁を設ける必要があります。音の問題と同時に、この壁の有無によって火災の際に延焼が起きないような機能も必要になります。
【参照:建築基準法施行令第22条の3(遮音性能に関する技術的基準)

2-5.定期報告義務

マンションには3年に一度の定期報告義務があります。この定期報告制度は、マンションを安全に維持・保全するためのもので、建築基準法第12条で定められています。

ただし「何階建ての、どのくらいの規模のマンションからなら報告が必要」などのルールは、政令が指定する報告対象の条件に加え、自治体ごとに定められた細則によって、特定建築物の条件や定期報告のルールが追加されています。そのため、建てたマンションに関する定期報告の有無は、建築プランの段階で自治体にも確認しておく必要があります。

定期報告の内容は、大きく分けて以下の4ジャンルに分かれています。

1.特定建築物

建物の敷地・地盤・建物外部・屋上と屋根・建物内部・避難設備・免震設備

2.建築設備

機械換気・機械排煙設備・非常用照明装置・給水設備・排水設備

3.防火設備

防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーン・ドレンチャー

4.昇降機等

エレベーターやエスカレーター

上記の各項目に、法的違反の有無・劣化や基本動作の確認、異常確認の調査をして、劣化や欠陥などがあれば、修正や工事が必要になります。定期報告が課せられたマンションにとって、この報告は義務であり、提出を怠れば管理者およびオーナーは、100万円以下の罰金が科せられます。

3.活用予定地エリアに関した建築条件

本章では、マンション建築に関わる条件のうち、マンションが建つ土地とその周辺エリアに関したことをまとめています。主に、街全体の環境とそのエリア住民との調和を守るためのルールです。

  1. 都市計画法による用途規制
  2. 建ぺい率・容積率・高さ制限
  3. 敷地と道路
  4. 耐火建築物・準耐火建築物

3-1.都市計画法による用途規制

マンション建築の設計や建築プランを考える前に、そもそも、ご所有の土地には、マンションが建てられるのかどうかを確認する必要があります。建てられるかどうかは、都市計画法と用途地域というものを調べる必要があります。

「都市計画法」とは、計画的に街づくりをするための法律で、どこにどのような建物なら建ててよいのかのルールを決めています。マンション建築は、都市計画区域のみが建築の対象であり、これらの指定は都道府県知事や国土交通大臣が行います。

都市計画区域は、さらに以下の3種に分けられ、マンション建築ができるところ・できないところがあります。

都市計画法の種類 マンション建築 ルールと内容
1. 市街化区域 住居・商業・工業の3 カテゴリー全13種の用途地域がある
2. 市街化調整区域 開発が規制された山林や農地。原則として住宅建築不可。
3. 非線引き区域 市街化区域や市街化調整区域などに指定されていないエリア
【徹底解説】23種類の地目・用途地域の調べ方と、対応する活用法

1の市街化区域にある「用途地域」とは、地域ごとに建物のつかいみち(建物の種類)を決めたものです。例えば、住宅地エリアには工場を建ててはいけないなどのルールのことです。住居・商業・工業の3カテゴリーを合わせ、全部で13種類の用途地域があります。

この用途地域は、各自治体(市町村)が決定します。この用途地域のルールがないと、例えば、マンションのすぐ隣に工場、その隣には居酒屋と幼稚園が並んでいるなど、エリア全体の生活秩序・安全・調和が確立しにくい街になってしまいます。

そのため、仮に、ご所有の土地が1の市街化区域であったとしても、その用途地域=土地の使い道が、住居以外に指定されている場合には、マンション建築はできません。このように、ご自分の土地であっても、土地の使い道は国や自治体によって管理されているため、マンション建築をしようとしても、出来ないケースもあります。

マンション建築を検討するなら早い段階で複数のハウスメーカーに建築プランの請求をすると、建築基準法および都市計画法に則った、土地に建てられる建物がわかります。複数の建築プランと土地活用プランの請求には、NTTデータグループの運営する日本最老舗の不動産情報サイト「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご活用ください。

3-2.建ぺい率・容積率・高さ制限

これから建てるマンション建物の、高さ、大きさなどのマンションの規模を決めるルールです。建築基準法では、これから建てるマンションの規模は、建蔽率・容積率・高さ制限という3つの基準によって決まっていきます。

建ぺい率

建ぺい率とは、エリアの中にそのマンションがあることで起きるエリア全体の風通し(通風)・日当たり(採光)の確保と防火の見地から考えた、エリア全体の空間を守るルールです。

とてもカンタンに言えば、ご所有の土地に、平屋ならどのくらいの広さまでなら建てても良い、というルールのことです。

仮に、建ぺい率による規制がないと、どの土地にも敷地一杯の建物が建ってしまうため、ギュウギュウですきまのない街が出来上がってしまいます。

ご所有の土地の面積に対して、マンション建物の面積(建築面積)と、その面積の比率(建ぺい率)をあらかじめ決めておくことで、土地に対して必ず一定割合以上の、建物が存在していない部分ができるようにしたものです。

容積率

容積率とは、土地にどれぐらいの大きさの建物を建てることができるのかわかる指標です。建物の延べ床面積(マンションの全床面積の合計)の敷地面積に対する割合を%で表しています。

カンタンに言えば、前項の建ぺい率で決めた平屋の広さを、垂直方向にどのくらいまでなら延ばしていいのかというルールです。

例えば、3階建てのマンションならば、延面積の総面積の総合計(1階+2階+3階)の、敷地面積に対する割合です。計算式でいうと、以下のようになります。

  • 計算式:容積率=(1階+2階+3階)の合計 ÷ 敷地面積(ご所有の土地)
  • 計算例:(1階+2階+3階)の合計が150平米・敷地面積が100平米の場合
    150÷100=150%の容積率

このようにして、法律で容積率を制限することによって、建物に収容できる人数なども規制できます。その結果、その建物があることで必要となる上下水道設備・交通機関のほか、公園などのエリアの防災に必要な広さを計画的に作り出すことができます。

高さ制限

高さ制限とは、その土地に建てられるマンション建物の高さの上限を制限するルールで、エリアの日照や採光、通風を確保することが目的です。
実際に、どのくらいの高さの建物にできるのかは、活用予定地の用途地域や高度地区の種別、都市計画などによって変わります。

3-3.敷地と道路

建物と道路の関係性には「接道義務」というルールがあります。防火避難の観点から、ご所有の土地と公道の関係は、幅員4メートル以上の道路に、ご所有の土地が2メートル以上接している必要があります。

接道義務の主な目的は、災害の際に、消防車・救急車・パトカーなどが、必要な場所へスムーズに侵入できるようにするためです。ご所有の土地と道路の広さの問題から、必要な接道面が足りない場合には、セットバックなどによってルールをクリアする方法はあります。

接道義務の条件を満たせない場合は、マンション建物の規模が制限される・または共同住宅の建築ができないこともあります。

3-4.耐火建築物・準耐火建築物

マンションは3階以上の建物になるケースが多いため、耐火建築物または準耐火建築物の条件をクリアする必要があります。構造や建築プランによって、必要なことが変わります。

耐火建築物

耐火建築物とは、鉄筋コンクリート造、レンガ造、コンクリートブロック造などの建物のことです。3階建て以上のマンションの多くは鉄筋コンクリート造ですので、マンション建築は耐火建築物になるケースが多くなります。

耐火建築物は、建物の主要構造部(柱・梁・床・屋根・壁・階段など)が耐火構造でできています。「耐火」とは、火災が起きた場合、これらの主要構造部分が、少なくとも建築の利用者が安全に避難するまでの間は倒壊することなどがなく、その性能を十分に維持することができ、近隣への延焼を防げることが条件です。

構造や建材にお金はかかりますが、火災が発生しても一定時間は燃え広がることがないため、万が一の場合には、被害を最小に食い止めることができます。

準耐火建築物

準耐火建築物とは、前出の耐火建築物の条件を満たしてはいないが、それに準じた耐火性能がある建築物のことです。準耐火構造は、火災が起きてから40~60分の間耐えうることができる、建物の延焼を「防止」ではなく「抑制」できる構造のことです。

建物の部位ごとに細かな規定があります。耐火も準耐火も、火災の際には火が広がりにくい構造ですが、火災が起きた際の建物へのダメージが異なります。

一定の特殊建築物や、都市計画で定められた準防火地域内の一定の建築物は、準耐火建築物でなければならない決まりがあります。

【参照:建築基準法27条よりまとめ】

これから建築するマンションが、耐火建築物・準耐火建築物になるかは、活用予定地の用途地域、建物の階数や高さ、延床面積などによって変わってきます。一般的に、人と建物の密度が高い地域や、大きな建物になるほど、耐火性能を確保するために耐火建築物にする必要が出てきます。

4.マンションの建築条件で気になる5つのQ&A

本章では、これからマンション建築をご検討中の土地オーナーが、土地活用として気になることを5つのQ&Aにまとめています。

Q1.建築基準法はアパートよりマンションの方が厳しいの?
Q2.アパート経営とマンション経営、土地活用にはどっちがいいの?
Q3.都市計画法の用途地域って自分でも調べられるの?
Q4.建築基準法などの条件を守らなかったらどうなるの?
Q5.建築基準法を守ってくれるハウスメーカーはどこで見つかるの?

4-1.Q1.建築基準法はアパートよりマンションの方が厳しいの?

A.ルールはほとんど同じです。

マンションとアパートに適用される法律は、ほとんど同じです。一般的に、コンクリート造はマンション、木造はアパートというイメージがあると思いますが、これは不動産業界が広告活動をするときの便宜上、分けているだけです。

建築基準法の中では、アパートもマンションも、2戸以上の住宅が、階段・廊下・エントランス・エレベーターを共有している「共同住宅」として扱われていますので、土地活用においては、どちらがより基準が厳しいということはありません。

ただし、建物の構造と高さの違いによって、装備すべき耐火性能・耐震性能などの安全基準のレベルや、遮音・採光・通気などの生活性能レベルが変わるため、規模の大きなものを建てるほど、建築基準でクリアすべき項目が増え、コストも上がります。

4-2.Q2.アパート経営とマンション経営、土地活用にはどっちがいいの?

A.ご所有の土地からの利益を最大化できる方法を選びましょう。

アパートとマンションは、建築基準法上では同じ「共同住宅」であり、ご所有の土地に建てられる規模のものしか建てることができません。

マンション建築ができる土地であっても、容積率や高さ制限があるエリアでは、希望した階数まで延床面積を確保することができず、マンション経営を成功させるために必要なだけの部屋数を確保できない可能性もあります。

その場合は、鉄筋コンクリート造のマンションから、鉄骨造に変更、または木造アパートに変更するなど、土地活用をする上で、よりメリットの大きい建築プランを選び直す必要もあります。

また、ご所有の土地に共同住宅を建てたいと思っても、その土地が共同住宅を建てても良いエリアでなければ、マンション建築もアパート建築もできません。そのような場合には、共同住宅以外の方法で土地活用を考える必要があります。

土地活用として大切なのは「マンションを建てたい」というオーナーの希望ではなく、土地活用を成功させることにあります。たくさんの選択肢の中から、最大の利益が得られるような土地活用方法を選択するようにしてください。

ご所有の土地にどのような土地活用が合うかを知るには、不動産のプロのサポートが必要です。プロであれば、建築基準法などの法的なことだけでなく、土地があるエリア全体のマーケティングなども含め、正確で成功率の高い土地活用を提案できます。

まずは、「HOME4U オーナーズ」を利用して複数の企業からマンションの建築プラン・土地活用プランを入手し、数多くのプランを比較検討するところからスタートしてください。数多くのプランを比較することで、よりよい土地活用方法がわかり、成功する経営に近づきます。

4-3.Q3.都市計画法の用途地域って自分でも調べられるの?

A.調べられますが、プラン請求すれば無料で調査してもらえます。

用途地域は、活用予定地の住所がわかれば、ネットでカンタンに検索することはできます。調べ方は、国土数値情報ダウンロードサービスを使うか、所有地の自治体のホームページに用途地域の掲載があれば自分で調べることができます。別の方法として、所有地の自治体に電話連絡をして担当者に調べてもらうという方法もあります。

しかし、エリアによっては、一つの地域に複数の用途がまたがっていることもあり、所有地の用途地域を、どう判断すればよいのかがわからないことがあります。また、用途地域・容積率・建ぺい率などのデータがわかっても、今度はその情報を使って、ご所有の土地にどんなマンションが建てられるのかは、不動産のプロではないので、わかりようがありません。

土地活用でマンション建築を検討するには、まずは土地活用プランや建築プランの請求ができる不動産情報サイトを活用して下さい。例えば、NTTデータグループが運営する「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求であれば、一度の入力で最大10社までのプランを入手することができます。

プラン請求の際に入力した活用予定地の情報をもとに、用途地域を含んだ、建築基準法に関したあらゆるルールを、不動産のプロフェッショナルが調査をしたうえで、無料でプラン作成してくれます。

4-4.Q4. 建築基準法などの条件を守らなかったらどうなるの?

A.悪質な場合は、建築中止・取り壊し・刑罰になることもあります。

建築基準法を守っていない建物は「違反建築」となります。マンションで建築基準法違反になりやすいのは、以下の3ケースです。

A 建ぺい率オーバー

設計の段階、建築した時点では建ぺい率の基準以内に収まっていても、後からガレージや物置などの建築物と見なされるものを敷地内に建ててしまったことで違法建築物件となることがあります。

主な原因は、建ぺい率は全国一律ではなく、自治体によって違いがあるためです。施工をしたハウスメーカーや建築会社が全国規模の対応をしている会社の場合、自治体の建ぺい率ではなく、エリア全体の建ぺい率をもとに計算をしてしまうケースがあります。

また、竣工後にオーナーが独断でガレージや物置を増設してしまった場合なども、違法建築と見なされることがあります。

B 彩光不良

設計段階で彩光基準をクリアしていても、途中でエリアに大きな建物ができる、すぐとなりの敷地との距離が近いなどの理由で、建ててみたら全然光が差し込まないことがあります。

設計の段階で問題がなかった場合は、結果的に違法建築物となってしまっても、そのまま使い続けるしかありません。

仮に、隣のマンションが採光の邪魔をしていたとしても、隣の建物の所有者に相談して建物の造形を変えてもらうことや、大きな窓に取り換えるために各部屋に大規模改築をするのは、現実的ではありません。このようなケースは、行政からのチェックは入りますが、罰則は適用されません。

C 界壁に問題がある

居室と居室の間の壁を界壁といい、防音性を高めるだけでなく、火災時に延焼を防ぐ役割があります。しかし、この界壁は取り壊しなどをしなければ見ることができない所にあるため、最悪の場合は界壁を設置していないなど、手抜き工事をしやすい部分になります。

界壁がないと防音効果が低くなるため、両隣りや上階の生活音が響くなど、何らかのきざしがあります。建築依頼をする予定の会社の工法をよく比較したうえで、オープンハウスなどを複数見学させてもらうことで、責任のある工事をする会社選びの参考にすることができます。

違法建築は発覚すると行政から勧告、指導が入ります。勧告と指導は、建築中・建築後でも発生することがあります。

多くのケースでは、勧告と指導の時点で改善対策をすることで問題をクリアします。しかし、中には、行政指導が入っても無視をするなど、悪質である場合に限り、建築中止・運営差し止め・取り壊し命令に加え、懲役・罰金などが科されることもあります。※一般的に建築責任者と設計士に課せられますが、オーナーが意図的に加担した場合には刑罰の対象となります。

建築違反に関したことは、施工関係者の内部告発以外にも、近隣住民からの報告によって明るみに出ることがあります。このような問題を回避するためには、はじめから法令を遵守してくれる、質の高い設計をしてくれるハウスメーカー探しが大切になります。

4-5.Q5.建築基準法を守ってくれるハウスメーカーはどうやって見つかるの?

A.信頼性の高い不動産情報サイトで数多くのプラン請求をしてください。

建築基準法を順守したマンションを建築してもらうために、オーナーが情報のすべてを管理・把握するのは、ほぼ不可能と言えます。土地活用でのマンション建築と経営を成功させるためには、信頼できるパートナーとなるハウスメーカーや建築会社を探し、その担当者と二人三脚で進めるのが、最も失敗を回避できる方法と言えます。

信頼できるパートナーを見つけるには、なるべく数多くのハウスメーカーや建築会社の建築プランと担当者を比較して、「ここにお願いしたい」と思える一社を慎重に選び出す必要があります。

数多くの建築プランを集める時には、NTTデータグループが運営する日本最老舗の不動産情報一括比較サイト「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご利用ください。

活用予定地のエリアと広さなど、質問に答えていくだけで、日本全国からマンション建築と土地活用に信頼と実績のあるハウスメーカーや建築会社を最大10社までに絞り込んで紹介をします。

まとめ

マンション建築の条件に関して、やさしくまとめました。ご所有の土地にマンション建築をするためには、建築基準法に則ったうえで、土地の用途や制限などのさまざまな条件に沿った建物を建てる必要があることがわかりました。

また、土地が持つ条件によっては、ご希望の土地活用方法ができない可能性もあることがわかりました。土地条件などはご自身で調べることもできますが、建築プランや土地活用プランを請求すれば、ハウスメーカーや建築会社の不動産と土地活用に関するプロフェッショナルが、正確な情報をもとにしたプランを無料で作ってくれます。

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