この記事では、木造アパートは「どのくらい音漏れをするのか」といった防音性や「どの程度の揺れに耐えられるのか」という耐震性についての評価やメリットをわかりやすく解説していきます。
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木造とは主要な支えである建物の柱や梁に木材を使用している構造のことで、木造のアパートは、主に防音性や耐久性でネックがありますが、建築時のコストや工期の面で優れています。
他の構造とその特徴を比較すると、以下の通りです。
構造種類 | コスト | 工期 | 防音性 | 耐震性 | 耐火性 | 耐久性 |
---|---|---|---|---|---|---|
1. 木造(W造) 主要な支えが木材で建築されている 構造 |
◎ | ◎ | × | 〇 | × | × |
2. 鉄骨造(S造) 建物の骨組みに鉄骨を用いられる構造 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | △ |
3. 鉄筋コンクリート造(RC造) 鉄筋とコンクリートで造られた構造 |
△ | △ | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
またメリットは以下の通りです。
- コストが安価
- リフォームがしやすい
- 工期が短い
各性能についての詳細は「1.木造アパートは防音性・耐震性で劣るがコストが安価!」を、メリットについての詳細は「2.木造アパートは初期コストが安価」をご覧ください。
木造アパートへの入居を検討する際、多くの入居予定者が下記の3点をよくチェックする様です。
- 実際の音漏れボリューム
- 日当たりの良さ
- 外観の劣化
詳細については、「3. 木造アパートへの入居を検討する人が、良くチェックするポイントは?」をご覧ください。
1.木造アパートは防音性・耐震性で劣るがコストが安価!
木造アパートはコストが抑えやすいものの、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べると防音性や耐震性などで劣る傾向にあります。
構造ごとの性能の比較は以下のとおりです。
構造種類 | コスト | 工期 | 防音性 | 耐震性 | 耐火性 | 耐久性 |
---|---|---|---|---|---|---|
1. 木造(W造) 主要な支えが木材で建築されている 構造 |
◎ | ◎ | × | 〇 | × | × |
2. 鉄骨造(S造) 建物の骨組みに鉄骨を用いられる構造 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | △ |
3. 鉄筋コンクリート造(RC造) 鉄筋とコンクリートで造られた構造 |
△ | △ | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
それぞれの性能については、以下の項目で詳しく解説します。
1-1.防音性の比較
木造建築は通気性がよい反面、防音性が低い傾向にあります。
左右だけでなく上下にも音が響きやすく、話し声・物音・足音の生活音が隣や階下の部屋に漏れてトラブルになるケースも少なくありません。
近年では防音性能のある素材が使われている新築物件も多く見られるようになっており、建築方法によっては鉄筋コンクリート造よりも防音性の高い建物も存在します。
ただし、オプション料金がかかることが多く、一般的な木造建築よりもコストが嵩んでしまいますので、コストと防音性のどちらを優先するかは考えておきましょう。
1-2.耐震性の比較
一般的に木造アパートは、新耐震基準をクリアしている物件であれば、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と大きな差はありません。
新耐震基準をクリアしている物件とは、昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認申請を通した建物が該当します。
ただし、地震や強風からの圧を和らげるために、しなる構造になっていることもあります。
そういった特性によって他の構造より揺れを感じやすい傾向はありますが、耐震性・強度面でいえば木造であっても新耐震基準をクリアしている物件は震度6、7程度でも耐えられる強度となっています。
1-3.耐火性の比較
耐火構造でない木造のアパートは、他の構造よりも耐火性が低く、防火地域や準防火地域においては建築基準法で一定の制限を受けます。
もし耐火建築物とする場合は木材そのものに不燃処理を行うとよいでしょう。
不燃処理には高いコストがかかるためコストをかけて安全性を高めるのか、もしくはその分家賃を安くして空室リスクを下げるのかを、その後の収益計画等も踏まえてよく比較検討して決めることがおすすめです。
1-4.耐久性の比較
近年は建設技術が発達しており、一概に木造でも他の構造に引けをとらない構造になっているといえます。
さらに、木造は法定耐用年数が22年に定められていますが、実際は木造アパートの平均寿命は50年近いというデータも存在しています。
ただし、メンテナンスを怠ると、雨漏り・シロアリによる蟻害・木部の腐食といった劣化が進行しやすい点に注意が必要です。
一方、鉄筋コンクリート造はコストが高いものの耐久性が高いため、台風の多い沖縄などで多く採用されています。
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2.木造アパートのメリットは「初期コストが安価」
木造アパートは性能面で不安がある反面、初期コストを安価に抑えられるなどのメリットがあります。
木造アパートの主なメリットは以下のとおりです。
- コストが安価
- リフォームがしやすい
- 工期が短い
2-1.コストが安価
木造アパートは、圧倒的に安価な初期コストで経営を始めやすい点が大きなメリットです。
国土交通省の共同住宅着工統計によると、木造アパートの1平米あたりの工事費予定額(平米単価)は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて3割ほど低いとされています。
1平米あたり工事費予定額(万円) | |
---|---|
木造 | 17万円 |
鉄筋コンクリート造 | 24万円 |
鉄骨造 | 23万円 |
【出典:国土交通省「建築着工統計調査 / 住宅着工統計(2019年調査)」より作成】
また、建築コストが安いため家賃も低く設定できるため、入居率を上げることが可能です。
ただし、デザインや内装にこだわりすぎたり、設備を必要以上にグレードアップしたりすると、かえって工事費が高くなり、家賃が高くなってしまうことには留意しましょう。
費用対効果を意識して建築プランを立てることが大切です。
2-2.リフォームがしやすい
木造アパートでは壁や水まわりを比較的容易に移動できるため、賃貸需要や流行に合わせて自由なリフォームが可能なこともメリットの1つとして挙げられます。
ただし、プレハブ工法やツーバイフォー工法のようにあらかじめ規格が決まっている工法を選択した場合、在来工法と比べて自由度は下がる点は留意しておきましょう。
また、他の構造と比べて解体費用が安く済むため、建て替えにかかるコストを軽減できます。
2-3.工期が短い
木造アパートでは他の構造と比べて工期が短い傾向があることも、メリットとして挙げられます。
木造アパートの工期が短くなる理由としては、ツーバイフォー工法という工期の短縮が可能な工法が用いられることが多いためです。
ツーバイフォー工法とは、面で建物を支えるような面構造の工法のことで、あらかじめ工場で建築部材を製造しておくため、在来工法よりも工期が短くなります。
また、ツーバイフォーでは面(壁)で建物を支えていることから柱や梁がなく、家具を自由に配置しやすいといったメリットがあります。
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3. 木造アパートへの入居を検討する人が、よくチェックするポイント
木造アパートへの入居を検討する際、多くの入居予定者が下記の3点をよくチェックする様です。
- 実際のところ音漏れはどのくらいするのか?
- 日当たりの良さ
- 外観の劣化
ここではそれぞれの具体的な内容と、アパート建築時や入居時にできる対策について解説します。
3-1.実際のところ音漏れはどのくらいするのか?
木造アパートは防音性が低いとされており、入居希望者は「実際はどの程度音が漏れるのか」という部分を気にする傾向があります。
特に水まわりの生活音は間取りの配置によって、音の大きさが変わってきます。
たとえば、以下のような例です。
- パイプシャフトが居室にあると、上階の部屋から水の流れる音が響きやすくなる
- 自室のリビングと隣室のユニットバスが隣り合う間取りになっていると、シャワーなどの音が気になりやすくなる
入居者が快適に生活するためにも、パイプシャフトの設置場所や隣り合う部屋のタイプについて十分考慮する必要があります。
また、建物全体の防音性を高めたい場合は、建築時に界壁や床に遮音材を入れる・防音性の高いサッシを利用するといった対策がおすすめです。
3-2.日当たりの良さ
木造は鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比べて通気性が高い分、冬場の冷気が侵入しやすいため、多くの入居希望者から日当たりの良さを求められる傾向にあります。
一般的には、朝や日中に室内へ日差しが入りやすい南向きと東向きが人気です。
ただし、物件によっては周囲の建物などに日差しを遮られてしまうケースもあるため、入居希望者には自分の目で直接確認してもらうことで、入居してからのトラブルを減らすことに繋がります。
3-3.外観の劣化
木造アパートは耐久性や耐震性に不安を抱かれやすく、外観にヒビや汚れなどの劣化がないかを気にしている入居希望者は多いです。
木造アパートの外壁材に用いられる素材は、一般的に石やタイルと比べて耐久性が低く、見た目が劣化しやすいといわれています。
築20年近く経つと古さが目立ち始めるため、定期的に外壁塗装などのメンテナンスを行い、きれいな状態を保てるように心がけましょう。
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