駐車場経営は少額の初期費用で始めることができ、手間もかからない、人気の土地活用です。気軽に始められるため「とりあえず駐車場にしておくか」という土地オーナーさんが多いのも事実ですが、充分な事前調査もせずに開業すると、あまり儲からなくて失敗してしまう例もあります。
この記事では、駐車場による土地活用で起こりがちな失敗例について、原因と対策を徹底的に解説します。ぜひ最後まで読んでいただき、あなたにピッタリの方法を見つけて、安心して駐車場経営をスタートしてくださいね。
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駐車場の経営とは?
駐車場の経営による土地活用とは、土地を駐車場として利用し、賃料を収入とする事業で、主に2つの方法があります。
- 月極駐車場
- コインパーキング
月極駐車場は利用者と月単位の契約を結ぶ方法で、住宅街や駅近の土地に向いています。コインパーキングは利用時間に応じて料金を徴収する方法で、駅近の土地や繁華街、商業施設の周辺などに向いています。
それぞれの違いや経営方式、駐車場経営のメリットとデメリットなど、詳しくは「駐車場の経営とは?」をご確認ください。
駐車場経営の失敗例と対策
駐車場経営の代表的な失敗例は以下のとおりです。
- 需要が少なくて儲からなかった
- 区画割を狭くしすぎて使いにくい駐車場になった
- 管理状態が悪くてクレーム
- 周辺に競合する駐車場ができた
- 自然災害に遭ってしまった
- 税金の支払いを想定していなかった
- 賃料の未納が頻発した
- 駐車場内でトラブルが起きた
失敗例の詳細と、対策は「駐車場経営の失敗例と対策」をご確認ください。
駐車場経営で失敗しないためには
駐車場経営で失敗しないために、押さえておきたいのは以下のポイントです。
- 需要と供給のバランスを考える
- 月極駐車場とコインパーキングを適切に選択する
- 収支計画は余裕を持ってつくる
- 道路幅や駐車スペースが適切か確認する
- パートナー企業を慎重に選ぶ
詳しくは「駐車場経営で失敗しないためには」をご確認ください。
1.駐車場の経営とは?
駐車場の経営による土地活用とは、土地を駐車場として利用し、賃料を収入とする事業です。まずは駐車場経営の種類やメリット・デメリットなど、基本的なところを押さえておきましょう。
1-1.駐車場経営の種類と仕組み
駐車場には一般的に「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類があります。
- 月極駐車場:利用者と月単位の契約を結び、駐車場区画を貸し出す方法
- コインパーキング:駐車場の利用時間に応じて利用料金を徴収する方法
月極駐車場に向いている土地は、駅の近くや住宅街などです。経営方法としては自分で管理することも可能ですが、利用者の募集・契約・賃料回収などの管理業務を不動産会社や専門会社に委託することもできます。また、駐車場全体を不動産会社や専門会社が固定賃料で借り上げて、利用者に貸し出す方式もあります。
コインパーキングに向いている土地は、駅の近く、商業地、オフィス街、観光地や病院の近くなどです。運営方法には、「一括借り上げ方式」と「自営方式」があります。
一括借り上げ方式はコインパーキングの運営会社に土地を貸して経営してもらう方法をいい、オーナーは一定の賃料を受け取ります。自営方式は、開業時の設備投資から開業後の管理費用まで、自己負担で運営する方法です。
1-2.駐車場経営のメリット・デメリット
土地活用と一口に言ってもさまざまな方法がありますが、駐車場経営における主なメリットは次の4つです。
- 初期投資が少ない
- 狭小地や変形地でも可能
- 短期の土地活用が可能で転用しやすい
- 経営の手間がかからない
駐車場は、建物を建てない「暫定利用」と呼ばれる土地活用の一つです。手間や初期費用がかからず、やめたくなったときに比較的すぐにやめることができる点が主なメリットです。
また、駐車場経営のデメリットは次の2つです。
- アパート経営のような固定資産税の節税効果がない
- アパート経営等に比べると収益性が低い場合がある
駐車場経営では、アパートやマンション経営のような税制優遇が受けられないので、地価の高い場所では税負担が大きくなることに注意が必要です。
特に、都心や駅の近くなど立地条件が良好な土地の場合は、建物を建てる活用方法のほうが土地を効率的に利用できます。駐車場の場合、立体駐車場にする場合を除けば土地を平面的に利用することになるので、効率的に土地を利用しにくいのが難点です。
2.駐車場経営の失敗例と対策
様々なメリットの多い駐車場経営ですが、実は思ったほど儲からなくて早期撤退を余儀なくされることもあります。
これから、いくつかの失敗例をご紹介しますので、原因と対策を把握して同じ失敗を回避しましょう。
2-1.【失敗ケ-ス1】需要が少なくて儲からなかった
Aさんは、「周辺に駐車場が多いから需要はあるだろう。とりあえず駐車場にすれば税金分くらい稼げるだろう。」と思って月極駐車場をスタートしました。
ところが、利用者があまり集まらず、結局、税金の分は赤字になってしまいました。コインパーキング運営会社に相談したところ、納得のいく固定賃料を提案され、今はコインパーキングで安定した収益を得ています。
原因は、開業前のマーケット調査不足にあります。いくら気軽に始められるとはいっても、どこでも駐車場の需要が多いとは限らず、すでに市場が飽和状態というケースもあります。
駐車場経営を始める際は、駐車場のマーケット調査をしっかり行った上で、月極かコインパーキングか検討することが大切です。
2-2.【失敗ケース2】区画割を狭くしすぎて使いにくい駐車場になった
Bさんは、たまたま見つけたコインパーキング運営会社に運営を依頼し、コインパーキング経営を始めました。区画レイアウトは運営会社にお任せしましたが、駐車区画が小さめで、やや駐車しにくい駐車場になってしまい、リピーターが定着しませんでした。
運悪く、近くにゆったりとした区画レイアウトのコインパーキングが開業し、Bさんのコインパーキングは利用率が激減しました。運営会社から固定賃料の値下げを迫られてしまいましたが、Bさんは賃料の改定の可能性があると思っていなかったので大きなショックを受けました。
駐車場経営で最大の収益を上げるためには、駐車場台数をできるだけ増やすことが基本です。とはいえ、区画を狭くしすぎて使いにくい駐車場になってしまうと利用者が集まりません。
コインパーキング経営のスタート時には、運営会社が区画レイアウトの提案をしてくれますが、実は会社によって差が出るポイントです。いくつかの会社に駐車場プラン作成を依頼し、無駄のない、最適な提案内容かどうか比較検討することをおすすめします。
また、固定賃料であっても「市場の動向によっては賃料が減額される可能性がある」という規定があるのが一般的です。契約内容をよく確認するとともに、リスクについても明確に説明してくれるコインパーキング運営会社を選びましょう。
2-3.【失敗ケース3】管理状態が悪くてクレーム
Cさんは、自営方式でコインパーキングをスタートしましたが、サービス内容をよく確認せずに、管理委託費の安いコインパーキング運営会社に管理委託しました。その結果、精算機のトラブルが起こったけれどコールセンターの対応時間外ということが続き、利用者に不便をかけてしまいました。
また、照明の電球切れや、ゴミの投棄被害があったときにも、定期巡回の頻度が少なかったため気づくのが遅くなり、駐車場が荒れた雰囲気になってしまいました。あっというまに利用者が離れ、売り上げが落ち込んで困っています。
管理を委託するときには、管理費用の安さだけで決めるのではなく、しっかり管理してくれる会社を選ぶことが大切です。その会社が管理している他の駐車場が適切に管理されているか、下見するのが理想的です。
巡回の有無と頻度、コールセンターの受付時間なども確認し、複数の会社のサービス内容を比較して決めましょう。
2-4.【失敗ケース4】周辺に競合する駐車場ができた
Dさんは自営方式でコインパーキング経営をスタートし、リピーターも徐々につき始めて順調に経営をしていました。ところが、近くに安くて新しいコインパーキングができてしまい、コインパーキングの稼働率が落ち込んでしまいました。
料金を下げることで利用状況は改善したものの、当初の収支より悪化してしまい困っています。
駐車ニーズのある土地では、周辺に競合する駐車場ができる可能性があります。競合の駐車場の料金が安い場合には料金を下げて集客する必要がありますが、単に料金を下げるだけでは収支が悪化してしまいます。
対策としては、最初から賃料の値下げも見込んだ収支計画を作っておくことが挙げられます。また、夜間の値段を上げる、最大料金を変えるなど、料金設定の工夫で収益を下げずに乗り切る方法もあります。
2-5.【失敗ケース5】自然災害に遭ってしまった
Eさんは相続した土地をコインパーキンにして経営していました。建物を建てない土地活用となるため自然災害について特に対策をとっていませんでしたが、ある年、台風による浸水被害に遭ってしまいました。
駐車場はしばらく稼働できず、また、設置していた機器も破損してしまいました。
アパートやマンションなどの建物を建てる土地活用と比較して、駐車場経営では、自然災害のリスクは少なめです。ただし、実際には地震の影響による地割れや液状化の影響を受けて使えなくなってしまうことがあります。
こうした事態を防ぐには、駐車場経営の前にハザードマップを確認し、自然災害リスクについて正しく把握しておきましょう。そのうえで、保険に入って備えるなど対策しておくのが大切です。
2-6.【失敗ケース6】税金の支払いを想定していなかった
Fさんは、相続した空き家を駐車場に変えて経営を始めました。年間の収益とかかった費用を計算して黒字かと思って安心していましたが、税金の支払い請求が来てその税額に驚いてしまいました。
Fさんの所有する土地は地価が高く、税金の負担額が大きかったため、トータルで赤字になってしまいました。
駐車場を経営するなら、初期費用やランニングコストだけではなく、必要な税金についてもあらかじめ把握しておきましょう。駐車場にかかる主な税金は固定資産税、都市計画税、所得税などが挙げられます。
また、もともと建っていた建物を取り壊して駐車場にする場合は、固定資産税が上がる可能性がありますので注意しましょう。
2-7.【失敗ケース7】賃料の未納が頻発した
Gさんは月極駐車場を経営していました。順調に経営していたところ、あるときから利用者の賃料の未納が続くようになりました。未納が頻発すると、収入が途絶えるうえに督促の手間もかかり、心理的ストレスも大きいものでした。
未納が長期化するにしたがって連絡がつきづらくなり、ついには音信不通となってしまいました。
月極駐車場では、月額料金未納のトラブルが起こる可能性があります。督促や交渉も手間がかかりますが、問題が長期化してしまうと解決が難しくなり、放置車両の撤去など強硬的な措置をとらざるをえなくなる可能性があります。
こうした料金の未納トラブルを防ぐには、料金の支払い方法を複数用意する、入金日前に事前通知をするなどの工夫が必要です。
2-8.【失敗ケース8】駐車場内でトラブルが起きた
Hさんが経営している駐車場内で利用者の車両と設備が接触し、設備が破損してしまいました。こうした場合は基本的に事故を起こした人の責任として賠償請求していたのですが、事故が起こりやすいレイアウトであるという主張でオーナーの責任を追及され、困ってしまいました。
事故に対する対策としては、まずは事故が起こりにくいレイアウトにすることを考えるとよいでしょう。各市区町村で策定される駐車場施設整備計画を参考に考えたり、不動産会社やコインパーキングの専門業者に相談したりという工夫で事故の起こりにくいレイアウトが考えられます。
また、「この駐車場で起きた事故・トラブル等に関して一切の責任は負いません」などの文言を掲げている駐車場も多くあります。このように責任範囲や使用上の注意を明記しておくことも、万が一の際、自分を守るために必要です。
3. 駐車場経営で失敗しないためには
駐車場経営は気軽に始められるとはいえ、どこでも経営が成り立つわけではありません。
最適な運営形態、最適なパートナーを選ばないとあまり儲からなくて失敗する可能性もあります。そこで、駐車場経営で失敗しないための視点と、成功のコツについてご紹介します。
3-1.需要と供給のバランスを考える
当然ですが、そもそも駐車場需要がなければ経営が成り立ちません。また、需要は多いけれど、すでに既存の駐車場が多く、供給過剰になっているという場合もあります。
「周辺に駐車場が多いから、駐車場を始めてみよう」と安易に考えてしまうのは危険です。既存の月極駐車場やコインパーキングの稼働状況までしっかり調査することが大切です。
3-2.月極とコインパーキングを適切に選択する
月極駐車場とコインパーキングどちらにするかの決め手は、やはり立地です。一般的に、月極駐車場は駅近の土地や住宅街、コインパーキングは駅近の土地や繁華街、観光施設や商業施設の近くの土地などに向いています。
駅近の立地のよい土地など両方の需要がある場合には、それぞれ開業した場合に予想される収支を試算した上で、収益性の高いものを選ぶとよいでしょう。場合によっては、月極駐車場とコインパーキング部分を併設するという選択肢もあります。
3-3.収支計画は余裕を持ってつくる
駐車場経営は比較的リスクの少ない土地活用方法ですが、以下のようなリスクも存在します。
- 自然災害で駐車場が使えなくなってしまう
- 機器トラブルが頻発して入れ替えが必要になってしまう
- 近隣に安い駐車場ができたため賃料を値下げする必要が出てしまう
このように、収支計画が思ったとおりにいかないこともあります。そのため、収支計画は余裕を持たせてつくっておくことが大切です。また、必要な経費はあらかじめ想定しておき、納めなくてはならない税金についても把握しておきましょう。
3-4.道路幅や駐車スペースが適切か確認する
リピーターを増やし、安定した経営を続けるためには、利用者目線での使いやすさも大切です。
駐車場の入り口や駐車場内での事故を防ぎ、「停めにくい」などの理由で敬遠されることを防ぐには、駐車場に面する道路幅や停めやすいレイアウトをしっかりと確認しておきましょう。
レイアウトが適切か判断するには、コインパーキング運営企業など複数の企業に相談してみることが有効です。また、近隣の駐車場をリサーチし、どのようなレイアウトか確認してみるのも一つの方法です。
3-5.パートナー企業を慎重に選ぶ
駐車場経営では、市場調査や収支計画づくりが重要です。とはいえ、駐車場の稼働状況や料金設定などをマーケット調査し、収支計算を行うことは労力がかかります。そこで近道なのが、コインパーキング運営会社などに依頼して、周辺のマーケット調査、土地への駐車場レイアウト、売り上げ予測を提示してもらう方法です。
最初から1社に絞って相談すると、賃料や初期費用が適正かどうか、提案された区画割りは最適なのかなど、判断することは難しくなってしまいます。複数の会社の提案内容を比較することによって、会社による違いがはっきりとわかり、自分にぴったりの選択肢が見えてくるはずです。
また、駐車場以外の他の活用方法と迷っている場合には、他の土地活用プランについても同時に請求するのも一つの方法です。
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