2代目大家の永谷です。
私は、10年前、サラリーマンを辞め大家業に参入しました。稼業を継いでからは、ベテラン大家の父と何年も話が上手くかみ合わないで苦労しました。このコラムでは、今現在に至るまでの通過点を成功のステップと考えて、皆様に自身の経験と成功に必要不可欠な要素をお伝えしていきます。
今回のテーマは「共通言語」です。大家業のことを話すときに数字を「共通言語」として持ちましょう、というお話です。

1.「常に満室を目指し、出費は最小限に!」
私が約10年前にサラリーマンを辞め家業を継いだ当時のウチのスタイルは、毎週必ず一回は物件に足を運び共用部、ゴミ捨て場の清掃などしていました。当時はいわゆる自主管理で、退去後のリフォームは自分たちで手配して、クロスは自分で剥がして貼っていました。
「常に満室を目指し、出費は最小限に!」これが、我が家の方針でした。
不動産仲介業者さんへの営業も自分でやっており「築20年超えてきたらリノベしないとなかなか部屋が決まらないですよ」など、言われるままにリノベの見積もりを貰っていました。ここからは会話形式でお伝えしますね。

【昔の会話】
私「お父さん修繕の見積もり出たよ。200万円だって」
父「そんな高いのか? もっと安くできないか?」
母「必要ならしょうがないじゃん。早く工事終わらせて、家賃をバーンと上げて満室にしよっ!」
私「じゃあ、いくらなら出せる?」
父「安ければ安い方がいい。けど、200万円なんて出せんぞ」
「リノベしても家賃アップで部屋が決まるとも限らんし…」
「とにかくどれだけ安くなるか聞いてみて」
私「ん~~~。(困ったな)業者さんにどう説明しよう?」
今はこんな風に変化しています。
【現在の会話】
私「お父さん修繕の見積もり出たよ。200万円だって」
父「この物件の予算は残りいくら?」
私「あんまり使ってないから修繕費は残り250万だよ。今期はあと2か月だから、150万円は使ってもいいね」
父「仮に200万円使っても、予定通りこの物件で○○万円残るからいいな」
私「150万円で工事して予算残す方法もあるよ」
父「キッチンは後でも工事できるから そうするか?」
昔と現在の会話で、全員共通しているのは、お金を少しでも多く残したいという思いです。一方で全く違っていることもあります。それは、数字を「共通言語」として使って判断をしているか否かです。
2.お小遣い帳では不十分

昔の会話では、お財布を握っている父がNoと言えば事が進みませんでした。私がいくら「空室対策としてリノベしよう!と」言っても、父の今までの経験と財布事情で判断される状況でした。
付け加えると、父も通帳残高は当然把握していますが「税金を払ったらいくら残るのか?」「年の途中でいくらの修繕費を使うのが妥当か?」などは把握できていませんでした。
数字を「共通言語」とする、とは長期の事業計画を作りそれを使って様々な判断をしていくことです。数字を「共通言語」とするには、私はプロにサポートしてもらいました。これについては、追々コラムでお伝えさせていただきます。
「入金と出金はちゃんと管理して把握してるよ」と言う人もいますが、過去の数字の動きを追ういわゆる”お小遣い帳”では不十分なのです。
年間の予測される空室率は?
退去数は?
原状回復費は?
元金をいくら返済する?
減価償却費は?
など。こういった項目を予測した事業計画に基づいて判断していくと、おのずと数字が共通言語となっていきます。
一朝一夕で実現することではないかもしれませんが、地道に家族で取り組むことで、先代の想いや、後継者の想いや意気込みも自然と話すようになり、日々のコミュニケーションもより円滑になると信じています。
3.最初は照れ臭くても家族会議を

私の場合は、毎週月曜日の朝9時から家族会議をすることを習慣化して、まずは話す機会を作りました。最初は話すことが思いつかなかったり、小恥ずかしい気持ちもあったりしましたが、今では昼になるまで会議をしていることもあります。当然、賃貸業のことも話しますが、脱線して家族のことも色々と話します。
この積み重ねが、将来の相続の時に円滑に進むことを期待していたりもします。
まとめると、大家業のことを話すときに数字を「共通言語」として持ちましょう。そして、定期的に話す機会を作りましょう!
この記事の執筆者
この記事の執筆者
永谷直也
所属 株式会社永⾕エステート代表取締役
職業 宅建士・賃貸不動産経営管理士
二代目大家。10年間異業種で働いたのち家業に携わる。住人同士が仲良く安心して子育てできることを目指した、子育て応援マンションをはじめ、資産50億を目指し、10棟約170戸(賃収約1.2億円)を運営中。
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