【2代目大家コラム】共用部とゴミ捨て場は「物件の顔」。入居直後こそ注意すべき管理の落とし穴

私が大学生の頃、家業の手伝いで複数の単身向けマンションの共用部清掃を任されていました。
その現場経験で一番印象に残っているのは、ゴミ捨て場と共用部の管理が物件の価値を大きく左右するということです。

分別されていないゴミ、エントランスに放置された家庭ゴミ、ペットボトルなど……。
「またこの銘柄だ」「たぶん同じ入居者だな」と、現場は物語っていました。
でも当時はただひたすら清掃をして、張り紙などもせずに“場”を整えることに集中していたのを覚えています。

【問題提起】共用部やゴミ捨て場が乱れると、何がまずいのか?

1. 汚れていると感覚が下がる(割れ窓効果)
1人の放置が、他の入居者にも「まあいいか」を引き起こす。
清掃を怠ると、負のスパイラルが始まります。

2. 内見時に“第一印象でアウト”を食らう
仲介担当者が物件を案内する際、共用部やゴミ捨て場の状態は、無意識に“減点材料”になります。
スリーストライク制で言えば、共用部の印象だけで1ストライクが入ってしまうことも。

【見落とされがちなリスク】入居直後の“地雷”

実は新しい入居者が入った直後こそ、ゴミ・共用部トラブルが起きやすいタイミングです。

– その土地・地域特有のゴミ出しルールを知らない
– 引っ越しゴミは“1回限りだから”と出し逃げされがち

さらに、家賃を下げて成約した部屋では、入居者属性が変わることもあり、急に共用廊下にタバコのポイ捨てが増えることもあります。

ここでも“現場”の観察力が重要。
銘柄を見れば「延べ人数」「定着性」もなんとなく分かる。
同じ銘柄が何本もあれば、「この人は日常的に吸ってるな」と判断材料になります。

【具体的な対応策】

① 入居直後は“ごみトラブル”が起きる前提で動く
– 入居セットに地域ごとの「ゴミ出しルール表」を同封する
– 初期対応として“Welcome張り紙”+“捨てやすい曜日解説”も効果あり

② 異変に気づいたら即リアクション
– ポイ捨てや違反ゴミが出たら、即日で注意喚起
– 張り紙のトーンは「ルール共有型」→「警告型」へ段階的に強める

③ 管理委託の人は“スピード感”を補う工夫を
– 管理会社が報告するまでに数日かかるのが通常。
– 「入居直後だけ巡回頻度を上げる」契約や、「即写真報告+即手配」の運用体制をあらかじめ組むのが効果的

【まとめ】

ゴミ捨て場や共用部の管理は、単なる「清掃の話」ではなく、
物件全体の空気を作り、入居者の民度を維持し、成約率にまで影響する“重要資産”です。

特に入居直後の1〜2週間は、「慣れないルール」「気が緩む時期」としてトラブルの温床になりがち。

だからこそ、先回りした仕組み・対応・気付きがオーナーには求められます。
どんなに立地が良くても、ゴミ捨て場が汚い物件には、人は長く住まない。案内しても決まらない。
共用部とゴミは、資産価値を守るための“現場の第一線”です。

この記事の執筆者

この記事の執筆者

永谷直也

所属 株式会社永⾕エステート代表取締役
職業 宅建士・賃貸不動産経営管理士

二代目大家。10年間異業種で働いたのち家業に携わる。住人同士が仲良く安心して子育てできることを目指した、子育て応援マンションをはじめ、資産50億を目指し、10棟約170戸(賃収約1.2億円)を運営中。

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