瑕疵担保責任から契約不適合責任にかわることで、どのような違いがあるか心配な方に、瑕疵担保責任との違いや売り主が注意すべきポイントなどについて解説しています。ぜひ参考にしてください。

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公開日
2020年04月23日
変更日
2020/08/03
カテゴリ
記事, 大家さん向け, これから始める人向け, 不動産の売却

【民法改正】契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いと売主の注意点

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【民法改正】契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いと売主の注意点

2020年4月1日に施行された改正民法において、これまでの「瑕疵(かし)担保責任」に変わり、新たに「契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)」が制定されました。
従来の民法における瑕疵担保責任との大きな違いは、買い主側から売主側への請求権の範囲が以前よりも広くなることです。また売主側は現状の不動産について契約書に詳細に記載する必要が出てきます。
さらに契約解除の要件緩和など買い主の救済手段が増えているため、例えば売買対象不動産に問題があった場合は、元来は難しかった買い主からの契約解除の申し立てや、それにかかわる訴訟が増えることが予測されます。売り主であるオーナー様にとっては「売買をする際に気を付けなければならないことはあるのか」など心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、契約不適合責任について知りたいと考えている方に向けて、従来の瑕疵担保責任から変更となるポイント、売買契約時の注意点などについて詳しく解説します。今後の売買においてトラブルにつながることがないよう、理解の手助けとなれば幸いです。

1.契約不適合責任とは

売主や請負人は、売買契約や請負契約の内容に適合した目的物を、買主や注文者などの相手側に引き渡す義務を負っています。「契約不適合責任」とは、これらの契約において売主や請負人が相手側に引き渡した目的物が、その種類・品質・数量にかかわらず「契約内容に適合していない」と判断された場合(債務不履行)、売主や請負人が相手側に対して負う責任を指します。

契約不適合責任は従来の瑕疵担保責任の概念を引き継ぐものですが、責任範囲などの内容については異なる部分もあり注意が必要です。次の章から詳しく説明していきます。

民法原文を見るにはこちらをクリック

(請負人の担保責任の制限)

第六百三十六条
請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

第六百三十七条
前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。


前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

引用元:「民法の一部を改正する法律案新旧対照条文(P132~133)

2.瑕疵担保責任との違い

契約不適合責任は、従来の瑕疵担保責任と比較してどのような部分が異なるのでしょうか。

<売主の瑕疵担保責任に関する見直しについて>

買主の救済方法 買主に帰責事由 双方帰責事由なし 売主に帰責事由
損害賠償 不可 不可 可能
解除 不可 可能 可能
追完請求 不可 可能 可能
代金減額 不可 可能 可能

参照元:法務省「民法(債権関係)の改正に関する説明資料-主な改正事項-」43ページより

<目的物に欠陥がある場合における担保責任の内容>

売買 請負
現行 改正法 現行 改正法
修理・代替物等の請求 × 修理については、○
損害賠償
契約解除 ○(建物等に制限あり)
代金減額 × ×

参照元:法務省「民法(債権関係)の改正に関する説明資料-主な改正事項-」62ページより

改正前の民法における瑕疵担保責任では、売買の目的物に「隠れた瑕疵」がある場合、買い主は売り主に対して損害賠償請求や契約解除を求めることができました。しかし、修理・代替物等の請求や代金減額はできませんでした。
また、売買の目的物が新築住宅である場合、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)が適用され、瑕疵部分の補修請求についてのみ可能となっていました。さらに、その瑕疵により契約した目的を達することができない場合に限り、買い主は契約の解除を認められました。

一方、改正民法における契約不適合責任では、売買の目的物が「契約の内容に適合しない」とき、買い主が売り主に対し、補修や代物請求などの追完請求をすることができます。また、もし売り主が追完を履行しないときや追完が不可能であるときは、代金減額請求も可能です。
追完請求や代金減額請求とは別途に、損害賠償請求も認められます。さらに、不適合内容が軽微であること以外の場合は、買い主が契約の解除をすることもできます。

責任を負う要因は、瑕疵担保責任が「隠れた瑕疵」であるのに対し、契約不適合責任では「契約の内容に合致しない場合」になります。買主が請求できる権利は瑕疵担保責任より増えていることがわかります。

3. 契約不適合責任での注意点

契約不適合責任が施行された後は、特に不動産オーナー(売り主)はどのようなことに注意すればよいか、2章の表や実際の条文を元に、ポイントを解説します。

3-1.買主が請求できる権利が増える

契約不適合責任では、2章ですでに見たように瑕疵担保責任と比べて買主の請求できる権利が増えています。瑕疵担保責任では、契約解除、損害賠償請求の2つにとどまっていましたが、契約不適合責任では「契約解除」「損害賠償請求」の他に、「追完請求」「代金減額請求」「無催告解除」「催告解除」が可能です。

3-1-1.追完請求(補修請求)

契約の内容に適合しないときに買い主が請求します。建物に不具合があったのに、契約内容にその旨の記載がなければ、買い主は契約後に売り主に不具合を補修請求ができるようになります。以前の瑕疵担保責任では、不具合を知っていたかどうかが争点になっていましたが、今後は契約の内容に記載がなければ、直ぐに請求できることになります。

民法原文を見るにはこちらをクリック

(買主の追完請求権)

第五百六十二条
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。


前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

引用元:「民法の一部を改正する法律案新旧対照条文(P113)

3-1-2.代金減額請求

代金減額請求とは、契約の内容に適合していないとき、追完請求を求めることができない場合に行使できるものです。そのため、はじめに追完請求を行い、無理な場合は減額請求などをするという流れです。

民法原文を見るにはこちらをクリック

(買主の代金減額請求権)

第五百六十三条
前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。


前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。


履行の追完が不能であるとき。


売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。


契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。


前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。


第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

引用元:「民法の一部を改正する法律案新旧対照条文(P113~114)

3-1-3.損害賠償請求

改正民法においては、損害倍書および契約の解除(次項)は特別の法廷責任とは位置づけられず、債務不履行の一般的な原則にのっとって履行できます。代金減額請求で処理しきれない事案の場合に選択されます。

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(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)

第五百六十四条
前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。
※第五百六十五条、五百六十六条省略

引用元:「民法の一部を改正する法律案新旧対照条文(P114)

3-1-4.無催告解除

契約の内容に適合しないことで、契約の目的を達成できないときは無催告解除ができます。こちらは、目的を達成できないときに限り行使される権利になるため、多少の不具合で補修できる場合は認められないものになります。

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第四款 契約の解除

(催告による解除)
第五百四十一条
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

引用元:「民法の一部を改正する法律案新旧対照条文(P106)

3-1-5.催告解除

追完請求をしたにもかかわらず、売り主側が応じないときに行使できる権利です。減額請求では買い主が納得できないなどのときに、契約自体をなかったものとすることができます。

民法原文を見るにはこちらをクリック

(催告によらない解除)第五百四十二条

次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。


債務の全部の履行が不能であるとき。


債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。


債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。


契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。


前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき 。


次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。


債務の一部の履行が不能であるとき。


債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

引用元:「民法の一部を改正する法律案新旧対照条文(P106~107)

 

契約の内容に適合しない場合、「追完請求(補修請求)」「無催告解除」「損害賠償請求」が認められます。さらに追完されない場合は、「代金減額請求」「催告解除」が請求できることになります。

3-2.設備に関する責任を契約書に記載が必要

不動産の売買では、設備に関するものも責任の対象になります。とはいえ、中古住宅で既存の設備をそのまま利用する場合、不具合のリスクは高くなってしまいます。
このような事態を避けるため、設備に関しては契約不適合責任を負わないことを契約書面に記載することが大切です。これは追加記載しなければならない事項となり、十分に注意が必要です。

3-3.「隠れた瑕疵」が通用しない

契約不適合責任への改正にあたり、従来の瑕疵担保責任で認識されていた「隠れた瑕疵」という概念は消失します。そのため、売買時に目的物である不動産(建物、土地)の原状を売主が細部まで把握しておくことが大切になります。

3-4.買い主が知る不備は契約書に記載が必要

今後の売買契約で重要なことは、売買の目的物の現状を把握し、その内容を契約書等にしっかり記載することです。瑕疵があったこと自体ではなく、「契約書等に記載されているか」がポイントになります。目的物になんらかの不備があったときには、どのような不備があり、その不備に対して責任は負わない旨を契約書に詳細に記載することが求められます。

3-5.契約事項を確認する

契約不適合責任では、従来の「瑕疵」に限らず「契約の内容に適合しないもの」という部分が重要になります。契約時にきちんと記載されているかが非常に重要になることを意味します。売り主は、契約書はもちろん、その他の添付資料等にもすみずみまで目を通し、売買の目的物の現況を細かく記載することが大切です。また、売買の手続きは不動産会社に任せているからと契約内容のチェックを怠らないようにしましょう。

4. 不動産の原状確認には「インスペクション」の活用を

契約不適合責任は、売り主がどれくらい現状を把握できているかが重要であることをお伝えしてきました。既存住宅は維持管理の状況や経年劣化の条件によってその品質等に差が生じるため、買主は不安を感じてしまいがちです。しかし、売主自身が物件の詳細な部分まで把握するのは難しいと考えられます。
既存住宅の床下や屋根まわりなどは容易にチェックできるものではありません。
そこでおすすめなのが「インスペクション(建物状況調査)」の活用です。

インスペクションとは、建物の柱や基礎、壁、屋根、構造体の強度や雨水の浸入が起きていないか、危険性がないかなどを第三者が判断する調査です。
国土交通省は平成29年より「既存住宅状況調査方法基準(平成29年度国土交通省告示第81号)」を公示し、積極的に既存住宅流通市場の活性化を推進しています。売主・買主ともに安心して取引できるよう、インスペクションの活用を契約書に記載することで、売買の目的物の信頼性は高まります。

参考:国土交通省「インスペクション(既存住宅の点検・調査)

インスペクションの進め方や、瑕疵担保責任から契約不適合責任へ変わることの対応などについては、どこに相談すればよいか不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。このような方には、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」の活用をおすすめします。
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まとめ

従来の瑕疵担保責任から内容が変わる「契約不適合責任」についてご紹介しました。
瑕疵担保責任と大きく違うポイントは、「隠れた瑕疵」ではなく「契約の内容に適合しないもの」が問題となることと、買い主側の請求権が増えることです。今までにはなかった、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、催告解除、無催告解除などの内容理解が大切です。

また責任範囲については、契約書に記載してあるか否かが判断する上で重要になります。売買の対象となる物件の現状については、インスペクションなどをうまく活用しながら、信頼できる不動産会社に依頼し、安心・安全な取り引きを実現させてください。

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