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お悩みQ&A
古いアパートを相続することになったけど「負動産」では?
- 2025.03.05
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かなさん
夫の実家(仙台市)では、古いアパートを一棟だけ所有しています。
それを、私たち夫婦に相続してほしいと言ってきました。
アパートは、2階建て8戸で、築45年は経っていると言っていました。
でも、アパートの部屋の半分は空室だそうで、たいしたメンテナンスもやっていない雰囲気です。
義両親とも別の仕事をしていて、ほぼ片手間でアパート経営をしていたせいか、アパートの状況を聞いてもいまいちぱっとしません。
今住んでいる入居者の方は、高齢の方ばかりと聞きました。
これからリフォームをする余裕はないですし、いきなりアパート経営と言われても、私たち夫婦もやったことがないのでわかりません。
売ることも話しましたが、やはり子供(夫)に残したいという気持ちが勝っているようで、徐々に夫は引き継ぐ気持ちに傾きつつあります。(が、私は反対です!)
今は仙台から離れた場所に住んでいるので、しょっちゅう通うことはできません。
遠方から、現地の不動産屋さん(?)に相談するのがいいのでしょうか? まったく知識がないので教えてください。
かな/埼玉県/50代
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木﨑 海洋さん
残したい理由や子供への想いに特別なものがあるのかも知れません。
ご両親はそれなりの理由でアパート経営を始めたのかも知れません。
アパートの地域性は詳しく分かりませんが、「半分も空室」と考えるか「半分も借り手がいる」と考えるかは人それぞれです。
借り手がいる、ということはそれなりに需要があると思われます。
考え方や借り手がつく工夫をしてみれば満室になる可能性はあると思います。
「片手間で半分」なら「本気なら満室」とも言えるのではないでしょうか。
今の時代は遠方のアパートであっても通信手段が整っているので、特段困ることもないと思います。
以上も含めて、地元の不動産業者などへ相談し、地域の特性や今どきのニーズなどを聞いてみてはいかがでしょうか。
回答者
木﨑 海洋さんプロフィール
同時に「こころ亭久茶」として「落語で学ぶ相続と不動産」などセミナー講師をする。
落語形式の講演は珍しく、難しい話を笑いながら学習できると評判となり全国で年間140回の講演をする。
著作物に、「家の光(農協グループ月刊誌)タイトル:こころ亭久茶の相続&マネー高座」「全国商工会議所:資金繰りは企業の生命線」がある。そのほか、新聞や雑誌のコラムも手掛ける。

後藤 謙治さん
1.まずはアパートの現状把握を
築 45 年の 2 階建て 8 戸のアパートということで、老朽化や修繕不足、空室率の改善には困難が伴うことが懸念されます。
まずは、現状の詳細な状況(修繕履歴、入居者の契約内容、賃料の支払状況、運営実績等)を把握することがまず重要です。
そのため、ご両親への聞取りや資料の整理、現地確認が必要となります。
2.相続後の選択肢とリスクの整理
ご夫婦ともにアパート経営は未経験であり、かつ遠方から運営するとなると「負動産」(負担資産)となる可能性が高そうです。具体的には、次のような懸念点が考えられます。
・管理負担の増加:遠方からの自主管理は、現地対応が困難なため、迅速な修繕やトラブル対応が難しくなる可能性があります。
・老朽化リスク:築 45 年と古い物件は、耐震性や安全性の面でも問題が生じやすく、修繕費がかさむ恐れがあります。
・収益性の低下:空室率が高い現状は、賃料収入が減少している可能性があり、修繕状況と相まって今後の収益改善が難しい場合があります。
3.専門家のサポートを十分に活用する
遠方にお住まいの場合、現地の管理会社への委託が有効かつ現実的な選択肢となります。
委託管理にすることで、修繕、入居者対応、家賃の回収など、日々の運営業務を任せられます。また、相続後の運用や売却の可能性、税務・法務の観点からのアドバイスを得るために、現地の不動産会社や専門家に相談するのが良いでしょう。
4.夫婦間の意見のすり合わせが重要です
ご夫婦で意見が分かれているとのことですが、最終的な判断は相続後の負担やリスク、将来の資産運用計画を踏まえた総合的な判断が必要となります。現在の名義人であるご両親の意向も汲みつつ、他の相続人候補者(ご兄弟など)と紛争にならないか、相続税の支払いができるだけのキャッシュが確保できるか、などについても配慮しておく必要があります。
そのため、上記の現状把握と専門家への相談結果をもとに、ご夫婦で十分な検討を重ねることが求められます。
回答者
後藤 謙治さんプロフィール
中小企業から上場企業まで、多数の企業事案を経験しており、クレーム対応にも豊富な実績がある。
相続や離婚・交通事故など一般民事にも幅広く対応可能。
弁護士向けの研修や市民向けセミナー、経営者向けの勉強会などの講師実績あり。
お問合せは下記より。
※回答内容は、すべてのケースに該当するものではありません。
より詳細な回答を求められる場合は、個別で専門家に相談することをお勧めいたします。