はじめて土地の査定を依頼するなら、土地査定の流れと仕組み、評価のポイントについて知っておくとスムーズです。
また、事前に土地の相場を調べておくと、査定価格に対する納得感や不動産会社に対する信頼感を得ることができ、「売却」など査定の次のステップへ進みやすくなりますので、自分でもある程度調べておくことをおススメします。
この記事では、「土地査定」について、査定の流れや仕組み、相場の調べ方、注意点などを徹底解説します。
この記事の手順通りに進めていただければ、どなたでも少ない手順で上手に査定を受けていただくことができますので、ぜひ最後までおつきあいください。
土地の査定額が決まる仕組み
土地査定には、取引事例比較法と呼ばれる査定方法が用いられます。
この方法は、まず査定する土地と条件が近い取引事例をいくつか収集し、平均の坪単価を算定。そこに以下のポイントで加点・減点を行い、土地の価格を求めるというものです。
- 交通の便
- 近隣の状況
- 環境
- 供給処理施設(上下水・ガス)
- 街路状況
- 画地の状況
- その他
それぞれのポイントや計算方法について、詳しくは「土地の査定額が決まる仕組み」をご確認ください。
上手な土地査定の受け方
納得できる売却活動につなげるには、上手に土地査定を受けることが重要です。
注意するポイントは以下の4点です。
- 相場や他社の結果と比較する
- 査定根拠をしっかりと確認する
- 境界確定および越境の有無を確認する
- 土地の履歴を確認する
詳しくは「上手な土地査定の受け方」の項目をご確認ください。
土地査定の種類とメリット・デメリット
土地査定の方法には、以下の2種類があります。
- 机上査定
- 訪問査定
机上査定は、現地を訪問せずにさまざまな資料を用いて行うもの。
一方で、訪問査定は不動産会社が現地を見て、また売主からヒアリングを行った上で行う査定のことをいいます。
それぞれの方法やメリット・デメリットについて、詳しくは「土地査定の種類とメリット・デメリット」の項目をご確認ください。
土地査定の流れ
この記事を書いた専門家
(株)グロープロフィット 竹内 英二不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
1.土地の査定額が決まる仕組み
まずは、土地の査定額が決まる仕組みについて理解しておきましょう。
土地査定の方法は、取引事例比較法と呼ばれる査定方法が用いられます。
取引事例比較法とは、近隣の類似の土地の取引事例から土地価格を査定する方法です。
まず、対象の土地と条件が近い近隣の制約事例をもとに坪単価を算出し、その金額をベースに、交通の便や土地の形状、前面道路の状況などの評価ポイントを点数化して査定価格を出します。
この際に考慮する評価ポイントは以下の図を参考にしてください。
それぞれの評価項目でポイントをつけ、点数化します。
例えば取引事例の評点が105、対象地の評点が100となった場合、土地価格は以下のように求められます。
(条件)
取引事例の坪単価:60万円/坪
取引事例の評点:105点
対象地の評点:110点
対象地の面積:40坪
(取引事例比較法による査定価格)
査定価格 = 取引事例の坪単価 × 対象地の評点 ÷ 取引事例の評点 × 対象地の面積
= 60万円/坪 × 110 ÷ 105 × 40坪
≒ 2,500万円
評価ポイントについては、以下で詳しく見ていきましょう。
1-1.交通の便
駅からの距離が近い土地の方が評点は高くなります。
徒歩7分の土地と徒歩15分の土地であれば、前者の加点が高くなることは理解しやすいでしょう。
ただし、駅から20分以上かかる徒歩圏外の土地の場合には、駅からの距離の差はそれほど関係がなくなることも。この場合は、近くにバス停があるか、バス路線の利便性はどうか、といった点も考慮されます。
1-2.近隣の状況
生活に必要な施設の充実度や距離も、加点・減点のポイントとなります。
例えば、スーパー等の生活便利施設が近ければ加点、遠ければ減点となります。
また、役所や学校、病院などの公共・公益施設への距離や充実度合も評価の対象となります。
1-3.環境
土地が新幹線や幹線道路に近接する場合、飛行場などに近い場合、すぐ近くに印刷所や木工所、工場がある場合は、騒音や振動が考慮され、評点は減点となります。これらは現在だけでなく、将来にわたって建設計画がないかどうかも考慮されます。
また、対象の土地の日照・採光、眺望や景観の良さといった項目も評価の対象となります。
1-4.供給処理施設(上下水・ガス)
ガスや飲用水などの供給施設や、下水など排水施設などの整備状況が加点・減点のポイントとなります。
例えば、排水施設が十分に整備されていない場合やガス施設の引き込みがされておらず通常の工事費で引き込みが難しい場合などは、評点が下がりやすくなります。
1-5.街路状況
前面道路の幅員や整備状況、周辺の街並みなども判断の基準になります。
例えば、売却する土地周辺の街路や区画がよく整備され、街並みが整っている場所では、周辺の環境が良いと判断されます。
逆に、街路が整然としていない、行き止まり道路が多いなどの場合は減点の要因となります。
1-6.画地の状況
土地の評価を決めるには、間口の広さや奥行きとのバランスも見られます。
間口は広い方が土地を活用する自由度が広がるため、土地としての評価は高くなります。
逆に、間口が狭く奥行の長い「うなぎの寝床」のような土地は、低く評価されがちであることも覚えておきましょう。
土地の形状は、正方形や長方形などの整形地から三角形の土地、いびつな形状の土地などさまざまですが、もっとも高く評価されやすいのは整形地。これは上に建てる建物を効率的に建てやすく、自由度が高くなるためです。
逆に、いびつな土地の場合は建物の向きや間取りなどが制限されるため、減点の要素となります。
1-7.その他
その他、土地の側面に傾斜地がないか(崖地)、道路から奥まったところに位置する路地上敷地(旗竿地)ではないか、といった点も考慮されます。
土地の側面に傾斜地がある場合は、その傾斜度が利用可能かどうか判定され、斜度に応じて評点が決められます。
また、路地上敷地(旗竿地)の場合は日当たりや風通しが悪くなる傾向にあること、土地の使い方の自由度が限られることから、評点は低くなる傾向にあります。
2.上手な土地査定の受け方
「土地査定はプロがやるものだから、どう受けても一緒」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、土地の正しい査定額を知り、納得できる売却をするには、上手に土地査定を受けることが必要となります。
ここでは、土地査定を受ける際の注意点について解説します。
2-1.相場や他社の結果と比較する
正確な査定額を知るためには、自分で調べた相場や他社の査定結果との比較を行うことが重要です。
比較で見るべきポイントは、特に「高過ぎないか」という点です。
高過ぎる査定価格をもとに売り出し価格をつけてしまうと、なかなか購入希望者が見つからず、売却期間が長期化してしまいます。
さらに、後で大幅な値引きの判断を迫られる可能性があります。
値引きの判断を迫られると、その値引きが「値引きし過ぎなのか」、「もう少し値引きした方が良いのか」が分からなくなってしまうこともあります。
また、査定価格は、いわゆる営業トークが価格に反映されている場合もあるので、売れる価格よりも高い価格で提示されていることもあります。
例えば、A社が4,000万円、B社が4,500万円で査定してきた場合、売主としてはB社に売却を依頼したくなるのが普通です。
本当は、適正な価格はA社の4,000万円かもしれませんが、B社が仕事を欲しいがためにわざと高く査定している可能性もあります。
このような高過ぎる査定価格を排除するには、相場を把握し、相場と比べて高いかどうかを判断できれば確実です。
土地の相場を知り、適正価格を把握するのに重要となってくるのが複数の不動産会社の査定価格の比較です。
「不動産売却 HOME4U」を使えば、最大6社の不動産会社から査定結果を得ることができますので、プロが行った査定価格を横並びにして、比較をすることができます。
また、自分で土地価格を調べることも可能です。
詳しくは「自分でできる土地価格の調べ方」の項目をご確認ください。
2-2.査定根拠を確認する
査定書を受領したときは、査定根拠をしっかりと確認することも注意点です。
査定根拠は、開示可能範囲で取引事例を見せてもらえると、査定価格の納得感を得ることができます。
取引事例は面積も異なりますので、総額ではなく、単価を教えてもらうことがポイントです。
自分が知っている近所の取引事例であれば、「あの辺が坪60万円で売れているのか、なら自分の土地は坪65万円であっても不思議ではないな」ということが感覚的に理解できます。
また、不動産会社に査定根拠を聞くと、不動産会社選びの参考にもなります。
安心できる不動産会社は、その土地がある地域の相場を良く知っており、説明も理路整然としてわかりやすいものです。
査定根拠の説明を聞けば頼れる不動産会社かどうかが分かりますので、査定書はただ受領するだけではなく、しっかりと査定根拠の説明を受けるようにしてください。
2-3.境界確定および越境の有無を確認する
査定依頼時には、土地の境界や越境の状況について必ず不動産会社から確認されますので、依頼前に境界確定および越境の有無を確認しておくとスムーズです。
境界が全て確定しているかどうかについては、まずは確定測量図を確認します。
確定測量図は全ての境界が確定しているときのみに発行される実測図なので、確定測量図があれば境界は全て確定済みであることを意味します。名称が「確定実測図」となっていることもありますが、図面名称に「確定」の2文字が入っていれば確定測量図のことになります。
確定測量図がない場合、境界は未確定である可能性が高いです。
宅地の売却では、確定測量図があることが買主からの条件とされることが多く、確定測量図は実質的に必須となります。
確定測量図は引渡時にあれば良いので、査定依頼時になくても問題ありません。
ただし、不動産会社からは確定測量図をすぐに作成するように助言されますので、速やかに測量会社に確定測量図の作成依頼をするようにしましょう。
また、越境が生じている物件もあります。
越境がある場合には、越境の覚書も作成しておくと売却しやすくなります。
越境の覚書とは、境界上に越境物がある場合において、隣地所有者との間で「越境物の所有権」や「是正方法」等について取り決めを交わした書面です。
越境の覚書も測量会社が作成してくれますので、確定測量図を依頼するときは一緒に依頼するようにしてください。
2-4.土地の履歴を確認する
査定依頼時には、過去の土地の利用方法について必ず不動産会社から確認されますので、土地の履歴を確認しておくと、精度の高い査定額が出やすくなります。
不動産会社が気にしているのは、
- 「土壌汚染の可能性がないか」
- 「地下埋設物がないか」
という2点になります。
過去に化学薬品を使っていた工場の跡地のような物件の場合、土壌汚染の可能性があります。土壌汚染の可能性がある場合には、事前に土壌汚染調査を行って汚染がないことを証明しておくと売りやすくなります。
また、過去に地下室があるような建物が建っていた場合、地下に地下室が残っていると売却しにくくなるため価値が落ちます。
これらは価格査定をする不動産会社にとって重要な情報ですので、過去の利用状況については自分の知っている範囲で回答するようにしてください。
3.土地査定の種類とメリット・デメリット
土地査定と一口に言っても、その方法はひとつではありません。
どんな種類があり、それぞれにはどんなメリット・デメリットがあるのかを知っておきましょう。
3-1.机上査定
机上査定とは、不動産会社が現地を見ずに行う査定です。
以下のような机上で入手できる資料に基づき価格の査定を行います。
【不動産会社が机上査定で用いる資料】
- 住宅地図
- 登記簿謄本
- 公図
- 地積測量図
- 周辺の取引事例
- 都市計画図
- 水道、下水、ガスの埋設図
3-1-1.机上査定のメリット
机上査定のメリットは、以下のとおりです。
- 短時間で査定ができる
- 手軽に依頼ができ、複数社からの査定書を取りやすい
机上査定は数日程度でできるため、複数の不動産会社の査定価格を比較したいときや、売却活動をする前に価格だけを下調べしておきたいといったときに利用します。
例えば、ローンの返済が残っており、土地を売却することでローンが返済できるかどうかを調べたいといったときに机上査定を行います。
3-1-2.机上査定のデメリット
机上査定のデメリットは以下のとおりです。
- 訪問査定と比較すると査定の精度が落ちる
机上査定は、不動産会社の営業担当者が作業して査定しているため、シミュレーターで機械的に査定しているものではありません。ある程度の経験者が行っているため、査定結果が実際の価格から大きく外れるようなことはありません。
しかしながら、現地調査や売主からのヒアリングを行っていないことから、机上査定の査定結果は、あくまでも参考価格の位置づけとなります。
売却することが決まったら改めて訪問査定を取りなおすことが必要です。
3-2.訪問査定
訪問査定とは、不動産会社が現地を見て、また売主からヒアリングを行った上で行う査定です。
精度は最も高くなりますので、売却する際は必ず訪問査定を依頼します。
既に売却することが決まっている人は、机上査定ではなく、いきなり訪問査定を依頼しても大丈夫です。
3-2-1.訪問査定のメリット
訪問査定のメリットは以下のとおりです。
- 精度の高い査定ができる
- 売却方法や価格の相談ができる
不動産は、実際に見てみないと分からない部分があります。
例えば、訪問査定をしないと分からないポイントは以下のとおりです。
査定項目 | 評価ポイント |
---|---|
道路との高低差 | 道路より0.5~1.0m程度高ければ排水しやすいため評価が高く、逆に道路より低い土地は排水が不便なため評価が下がる。 |
騒音・振動・汚臭 | 騒音・振動・汚臭がある場合は、評価が下がる。 |
日照の状態 | 日当たりが良ければ評価は高いが、常に日当たりが悪い土地は評価が下がる。 |
残地物の有無 | 朽廃した古家や不法投棄が残っていれば、評価が下がる。 |
敷地の上空 | 敷地上空に高圧線が通っている場合は、評価が下がる。 |
境界の状態 | 境界標の有無や越境の状態を確認する。 |
前面道路の幅員 | 特に4m未満の道路の場合は評価が下がる。 |
地下埋設物の可能性 | 消火水槽や浄化槽等の地下埋設物があれば評価が下がる。 |
視認性 | 商業地の場合、周辺からの視認性が高いと評価が上がる。 |
系統連続性 | 最寄り駅から行きやすい場所は評価が高く、川や高速道路等で分断されている場所は評価が下がる。 |
また、訪問査定は売却方法の相談や、売主の意向を反映した価格を出してもらうこともできます。
例えば、土地の上に古家があり、古家を取り壊すべきかどうかの判断について相談や急いで売りたい場合には、その意向を反映して安めに価格を出すことも可能です。
3-2-2.訪問査定のデメリット
訪問査定のメリットは以下のとおりです。
- 査定に時間がかかる
訪問査定の場合には現地での立会いや不動産会社からのヒアリングに対応する必要があるほか、査定が出るまでに1週間程度の時間がかかります。
4.土地査定の流れ
土地査定をスムーズに進めるには、土地査定の流れを把握しておくことが大切です。査定までの手順は以下のとおりです。
上記の手順をひとつずつ順番に説明していきます。
4-1.書類の準備
手順1「書類の準備」
準備する書類
- 「実測図のコピー」
実測図には、「確定測量図」や「現況測量図」、「地積測量図」等の様々な名称の測量図があります。
確定測量図は土地の境界が確定している土地にしかない図面ですので、確定測量図があればベストです。確定測量図がなく、現況測量図しかなければとりあえず現況測量図を用意しておきます。
境界が未確定の場合には、どこが未確定なのか把握しておくことが必要です。
実測図を全く持っていない場合には、不動産会社の査定を受ける際に、実測図を持っていないことを伝えるようにしてください。
4-2.査定依頼
手順2 不動産会社への「査定依頼」
査定依頼は、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」の無料一括査定サービスを使うと、大幅に時間を節約できる上、高く売れるチャンスが広がるのでおススメです。
「不動産売却 HOME4U」はNTTデータグループが運営している一括査定サービスで、実績豊富で信頼できる不動産会社が厳選されているので、安心して査定を依頼することができます。
また、同時に複数の不動産会社から査定を受けられますので、もし土地の売却を検討されている場合には、各社での査定額の違いをしっかり比べて、信頼できる不動産会社を見つけやすいメリットがあります。
売却のご予定がない場合でも、適正な査定価格を知るには複数の査定結果を比較するとわかりやすいため、査定は必ず複数の不動産会社に依頼するようにしてください。
4-3.日程調整
手順3 不動産会社との面談の「日程調整」
「不動産売却 HOME4U」を利用して査定を依頼した各社から、アポイントメントの電話やメールが来ます。
自分からわざわざ連絡する必要がないので、日程調整がとても楽にできます。
4-4.面談・ヒアリング
手順4 不動産会社との「面談・ヒアリング」
面談では、主に「境界の確定状況」と「地下埋設物の有無」、「供給処理施設の引込」、「真の所有者であるかの確認」等が行われます。
供給処理施設の引込とは、上下水道・ガス管等を引いているかどうかの確認です。
例えば、隣地の他人の土地を介して供給処理施設を引き込んでいる場合には、その旨をしっかり伝える必要があります。
真の所有者は、権利証等を持っているかどうかで確認が行われるのが通常です。
権利証(登記済証)または登記識別情報通知書(以下、「権利証等」と略)もご用意ください。
登記簿謄本や公図、地積測量図等の法務局で取得できる資料は、不動産会社が事前に取得しますので、わざわざ自分で取りに行く必要はありません。
権利証等は最終的に買主へ引き渡す重要書類ですので、不動産会社には見せるだけで留めて置き、引渡までしっかり保管しておきます。
4-5.現地調査・役所調査
手順5 不動産会社による「現地調査・役所調査」
現地調査は、必ずしも立会いは必要ではありません。
ただし、境界標が飛んでいる場合や越境がある場合等は立会いが求められることもあります。
役所調査は、市役所や法務局等で行う調査のことです。
役所調査は不動産会社が行いますので、立会いは不要となります。
4-6.査定書の受領
手順6 「査定書の受領」
査定書は、通常は1週間程度で来ますが、規制が複雑な案件等では時間がかかり、2週間くらいかかることもあります。
以上が土地査定の流れにおける6つの手順です。
この通りに進めれば問題ありませんので、ぜひ参考にしてください。
5.自分でできる土地価格の調べ方
土地査定を依頼する際は、ある程度、自分でも価格を調べておくことが必要です。調べておくことで、不動産会社が適切な査定額を出してくれているかどうか、判断しやすくなるからです。
この章では、自分でできる土地価格の調べ方について解説します。
5-1.実勢価格と公的評価額の関係
土地の価格は、公的評価額からある程度推測することもできますので、最初に実勢価格と公的評価額の関係を解説します。
不動産の価格には、
- 「実勢価格」
- 「地価公示価格」
- 「相続税路線価」
- 「固定資産税評価額」
の4つがあります。
- 「実勢価格」
-
いわゆる時価であり、市場で実際に取引されている土地の価格のことです。
- 「地価公示価格」
-
国が毎年、標準地と呼ばれる土地の価格を算定して公表している価格になります。
- 「相続税路線価」
-
相続税評価額を求めるための土地単価です。
- 「固定資産税評価額」
-
固定資産税や登録免許税、不動産取得税等の税金を計算するための根拠となる価格になります。
4つの価格の関係性を図示すると、以下の通りです。
地価公示価格、相続税路線価、固定資産税評価額の3つは公的評価額と呼ばれます。公的評価額の算出基準は、全て地価公示価格がベースとなっています。
相続税路線価は地価公示価格の80%程度であり、固定資産税評価額は地価公示価格の70%程度という関係です。
一方で、地価公示価格は、建前上、時価ということになっていますが、実際には実勢価格よりも低い価格となっています。
実勢価格と地価公示価格の差は、都市部なら実勢価格は地価公示価格の1.5倍~2.0倍程度であり、地方なら実勢価格は地価公示価格の1.0倍~1.1倍程度です。
土地価格は公的評価額からある程度推測することはできますが、実勢価格と地価公示価格とのギャップは不動産会社に聞いて見ないと分かりません。
そのため、公的評価額から推測した土地価格は、あくまでも参考程度に留めておくのが良いでしょう。
5-2.土地の実勢価格を調べる方法
土地の実勢価格は、国土交通省が開示している「土地総合情報システム」で知ることができます。
土地総合情報システムは、国土交通省が実際に売買を行った当事者にアンケートを行って得た情報を開示しているシステムです。土地総合情報システムのうち、「不動産取引価格情報検索」というメニューから、住所や最寄り駅を選択していくと、周辺の実際の取引事例が一覧表となって出てきます。
ただし、土地総合情報システムは、取引事例が極端に少ない地域もあり使いにくいというデメリットがあります。
また、場所も特定できないことから、「ぼんやりした相場」しかイメージできません。個人情報が特定できないように、情報が落とされ過ぎており、若干使いにくいシステムとなっています。
5-3.売り出し価格から実勢価格を推測する方法
土地価格は、周辺の売り出し価格から実勢価格を推測する方法もあります。
HOME4U等の不動産ポータルサイトから近くの売り物件を調べてみるのが早いです。
売却したい土地の近くに売物件があれば、そこから単価を算出し、自分の土地の面積をかければ自分の土地の価格がわかります。
ただし、ポータルサイトの価格は、あくまでも売り出し価格なので、成約価格ベース(実際の取引で決まった価格のこと)に換算することが必要です。
公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2019年)」によると、過去10年間の売り出し価格と成約価格の単価の差は以下の通りです。
グラフ中のパーセントの数値は、売り出し価格に対する成約価格の割合です。
売り出し価格に対する成約価格の割合は、過去10年間を平均すると91%になります。
よって、ポータルサイトの売り出し価格に、ざっくり90%を乗じれば成約価格ということになります。売り出し価格の1割減が、実勢価格と思っておけば良いでしょう。
6.信頼できる相談先の選び方
土地の査定を依頼する際には、査定の仕組みや流れ、注意点を正しく知って、上手に査定を受けることが大切です。
事前にしっかり準備しておけば、納得のいく売却活動にもつながりやすくなるでしょう。
また、土地の査定額は不動産会社により異なりますので、「不動産売却 HOME4U」を使って、必ず複数の不動産会社を比較するようにしてください。
複数の不動産会社の査定書を比較し、相場と照らし合わせて査定根拠を確認していくことによって、その不動産会社の実力や対応についても比較ができます。
その中から信頼できる相談先を選ぶと、売却活動の心強いパートナーとなるでしょう。
ぜひこの記事で紹介した内容を実践し、上手に土地の査定を受けて、スムーズな売却への足掛かりとしてください。
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