土地活用の方法として、老人ホームの経営を考えている方もいるかもしれません。しかし、一番気になるのは「儲かる」のかどうか、つまり収支は合うのかということでしょう。
この記事では、老人ホームは経営で「儲ける」のか、収支のシミュレーションとともに、そのメリット・デメリットをご紹介します。
なお、「HOME4U オーナーズ」では老人ホームの経営プランを、最大10社のハウスメーカーから無料で一括請求できるのでおすすめです
以下の2つがあり、それぞれ収支シミュレーションが異なります。
- 【運営・経営両方】老人ホーム運営を自分で行う
- 【土地活用のみ】運営者を委託し、家賃収入を得る
「1. 老人ホーム経営の仕方は2種類ある」と「2.老人ホーム経営の初期費用」ではそれぞれの収益構造や、初期費用、収支シミュレーションを解説しています。
以下の5種類があり、「4.老人ホームの種類と特徴」では税金優遇と対象補助金について解説しています。
- 「介護付き」有料老人ホーム
- 「住宅型」有料老人ホーム
- 「健康型」有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- グループホーム
- セーフティネット住宅(空室・空き家利用型タイプ)
目次
1. 老人ホーム経営の仕方は2種類ある
老人ホームには2種類の経営の仕方があります。一般的には、公的介護保険を使った制度でビジネス・事業を行う「介護サービス会社」に運営を委託するか、しないかの以下2種類があります。
それぞれで収益構造も異なるので、よく検討してみましょう。
経営の仕方 | 介護サービス会社 |
---|---|
【運営・経営両方】老人ホーム運営を自分で行う | 運営を委託しない |
【土地活用のみ】運営者を委託し、家賃収入を得る | 運営を委託する |
1-1.老人ホーム運営・経営を自分で行う
介護サービス会社に運営を委託せず、サービス自体も自分で行うパターンです。経営者として、老人ホームの運営にゼロから関わることができます。
1-2.運営を委託し、家賃収入を得る
介護サービス会社に運営を委託し、オーナーの土地、もしくは建築した老人ホーム施設を一棟丸ごと貸して収入を得るパターンです。したがって土地活用の老人ホーム経営の収入とは、介護サービス会社が支払う家賃収入のことです。
老人ホームの運営は介護サービス会社が担当するため、運営・経営には基本的に関わりません。
2. 老人ホーム経営の初期費用
それでは、最大入居者数を30人に設定した老人ホームの初期費用の相場について解説していきます。老人ホームの経営は、初期投資に大きな資金が必要です。老人ホーム経営の初期費用は。最低3億以上かかります。
アパートなどの賃貸経営に比べて初期投資の回収に時間がかかりますが、長期的には安定した経営が望めるメリットもあります。(「5.老人ホーム賃貸経営のメリット」参照)。
2-1. 運営・経営を自分で行う場合
老人ホーム運営を自分で行う場合、運営人材の採用費や入居者募集のための販促・広告・営業費がかかります。
費用 | 相場 | 説明 |
---|---|---|
建築費 | 約2億~4億円 | 平屋であれば、費用を抑えることも可能だが、入居者数を増やすことができない |
土地代 | 約1億円 | エリア・地域によって差がある |
会社設立費用 | 約20~30万円 | ― |
設備費用 | 約1,500万円 | ― |
採用費 | 約 200万~300万 | 入居者3人に対し1人の介護職員または看護職員を配置しなければならない |
販促・広告・営業費 | 約200万~300万 | ― |
合計 | 約3.2億〜5.2億円 | ― |
【参考:平成24年度良質な特別養護老人ホームの建設コスト低減手法に関する調査研究報告書】
2-2. 運営を委託する場合
老人ホームの運営を委託する場合は、サービス運営にかかわる求人費や人件費、販促・営業費等は費用としてかかりません。
費用 | 相場 | 説明 |
---|---|---|
建築費 | 約 2億~4億円 | 平屋であれば、費用を抑えることも可能だが、入居者数を増やすことができない |
土地代 | 約1億円 | エリア・地域によって差がある |
会社設立費用 | 約20~30万円 | ― |
設備費用 | 約1,500万円 | ― |
合計 | 約3.1億〜5.1億円 | ― |
【参考:平成24年度良質な特別養護老人ホームの建設コスト低減手法に関する調査研究報告書】
3. 老人ホーム経営の収支シミュレーション
次に、老人ホームの運営・経営の収支例をシミュレーションしてみましょう。やはり運営・経営を自分で行う場合と、運営を委託する場合に分けて解説します。
3-1. 運営・経営を自分で行う場合
老人ホームの運営・経営を自分で行う場合、収支例のシミュレーションは以下のようになります。
【施設のシミュレーション条件】
- 入居者:50人
- 月額利用料:25万円
- 一時入居金:600万円
- 管理費用:1か月の収入の20%
【1か月あたりの収入】
- 入居者×月額利用料:1,250万円
※一時入居金は退去が発生すると未償却分を返金するため、今回は対象外
【1か月あたりの支出】
- 管理費用:1,250万円 × 20% =250万円
- 建築費用の借入金の返済
- (土地の購入費用の借入金の返済)
3-2. 運営を委託する場合
土地活用のみ行う場合は、運営委託先への賃料が収入となり、賃料は賃貸契約内容により異なります。支出は運営・経営を自分で行う場合と同様、建築費用と土地費用の借入金の返済となります。
【1か月あたりの収入】
- 賃料
【1か月あたりの支出】
- 建築費用の借入金の返済
- (土地の購入費用の借入金の返済)
4.老人ホームの種類と特徴
老人ホームと一言にいっても、いくつかの種類があります。ここではその種類と特徴を解説します。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
- グループホーム
- セーフティネット住宅
4-1.介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームとは、特別養護老人ホームと同様のサービスを受けられる、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた民間施設のことです。基本的に、要介護認定を受けた方が入居します。
施設の中に、リハビリテーションやレクリエーション施設があり、入居者は施設内ですべての介護サービスを受けることができます。自治体による総量規制があるため、エリアによっては新規開設が制限されることがあります。
税制の優遇
アパートや賃貸マンションと同様に相続税と固定資産税の節税効果があります。
補助金など
「特定施設入居者生活介護」の許認可を受けていれば、老人ホームを建てるためにかかる設備準備費用などに対し、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(ハード交付金)が準備されています。
自治体によって、不定期に施設設備のための補助金を個別に設けている地域もありますので、建築前の段階で土地活用の予定地にもっとも近い包括支援センターまたは、自治体の福祉課などに確認してください。
4-2.住宅型有料老人ホーム
普段は自宅として住み、必要な時のみ生活支援サービスと、外部の介護サービスを利用できるタイプの老人ホームです。要介護認定のある方も、自立して生活できる方も入居できます。
内部サービスの内容は施設によって違いますが、サービス内容が充実しているほど、賃料設定も高額になる傾向があります。
高齢者用の賃貸住宅ですが、介護保険制度の中では「自宅」とみなされるため、介護の担当者(ケアマネジャー)を通じて、必要な居宅サービスを組み合わせて利用することができます。
住宅型の老人ホームは、自治体への運営届けだけで開業できるため、老人ホーム全体の半数以上を占めています。
施設は住居タイプですので、外観も内装も、普通のマンションと似たような印象ですが、バリアフリーなど、高齢者が暮らしやすい室内にする必要があります。
税制の優遇
アパート・マンションの賃貸経営と同様に、相続税と固定資産税の節税効果があります。
補助金など
施設建設のための補助金制度はありません。
自治体によって個別の設備に対する補助金支給があることがあります。検討する段階で土地活用の予定地にもっとも近い地域包括支援センターまたは、自治体の福祉課などに確認・相談してください。
4-3.健康型有料老人ホーム
身の回りのことを1人でできる、自立した生活ができる方が入居するタイプの老人ホームです。施設内での生活サポートと食事の提供以外にも、館内で楽しめる設備がたくさん用意されている傾向があります。
例えば、フィットネススタジオ・プール・シアタールーム、図書館・バー・露天風呂など、積極的に毎日の生活を楽しめる設備が整っています。居室や設備が充実しているほど、入所金一時金・賃料も高額になる傾向があります。中には、入所のために億のお金が必要な、ホテルのようにゴージャスなホームもあります。
自立していることが前提のため、要介護認定が下りた場合、外部サービスを依頼することになります。要介護の認定が軽度を超えた場合は、退所することになります。
税制の優遇
アパート・マンションの賃貸経営と同様に、相続税と固定資産税の節税効果があります。
補助金など
建設のための補助金制度はありません。
自治体によって個別の設備に対する補助金支給されることがあります。検討段階で活用予定地に最も近い地域包括支援センターまたは、自治体の福祉課などに確認・相談してください。
4-4.グループホーム
グループホームとは、認知症の症状がある高齢者が、家庭的な雰囲気・環境の中、地域住民と関わりながら、住み慣れた地域で生活していくことを支援する地域密着型サービスです。
グループホームで共同生活をして、食事や洗濯など、生活面で出来ることを職員と一緒に行いながら、認知症の進行をゆるやかにすることが目的の賃貸住宅で、要支援2以上の方が対象です5~9人の共同生活者(ユニット)と呼ばれる生活単位で暮らします。1つの事業所(施設)の運営できるユニットは、最大3ユニット※までとなります。入居者は基本的に個室で暮らしますので、5~27室までの範囲で施設を用意します。
グループホームのために新規に建物を建てる以外にも、経年したアパートや戸建て住宅を、グループホーム用に改装して認可が下りれば経営できます。
税制の優遇
アパート・マンションの賃貸経営と同様に、相続税と固定資産税の節税効果があります。
補助金など
グループホームの開設に関わる費用の1/2を国が補助、1/4を自治体が負担するグループホーム施設整備費補助金の利用ができます。補助金額が大きいため、申請と審査にかなりの時間がかかり、開設までは長期の計画が必要になりますが、申請が通れば建築費の3/4を補助金でカバーできます。
ただし、自治体によって予算上限が違うので、建築プランを検討する段階で、地域包括支援センターまたは自治体の福祉課などに問い合わせをしてください。
4-5.セーフティネット住宅(空室・空き家利用型タイプ)
セーフティネット住宅とは、もともとは、高齢者や低所得者、障がい者、被災者、ひとり親世帯など、住居の確保に問題を抱える方(住宅確保用配慮者)を拒まない賃貸住宅のことです。
近年、不動産所有者の高齢化や相続により、経年劣化の進んだ家や、手入れが追い付かない空き家問題を解決するため、国と自治体が、積極的に土地活用としても使えるように動き出しています。
セーフティネット住宅は登録制ですので、事業主(大家さんとなる人物)がセーフティネット住宅による賃貸経営を開始する際には、バリアフリー化・耐震化などを施して、建物を一定基準に適合させる必要があります。
そのうえで、都道府県や自治体などに登録申請をして許認可が下りると、国や自治体はセーフティネット住宅にするためにかかった費用などをサポートするという仕組みになっています。
家やアパートをセーフティネット住宅にすると、介護サービスも行える施設にすることもできます。さらに、そこに住んだ入居者に対し、家屋やアパートの管理業務(掃除・草むしり・ペンキ塗り・ゴミ出しなど)を仕事として割り振り、建物の管理人として働き手になってもらうこともできます。
セーフティネット住宅への入居者にも国や自治体から賃料補助などがありますので、空室リスク・家賃滞納リスク・家賃下落リスクが起きにくい、長期安定経営が期待できます。
税制の優遇
アパート・マンションの賃貸経営と同様に、相続税と固定資産税の節税効果があります。
補助金など
現在経営中のアパートや貸家、また空き家をセーフティネット住宅へと変更する場合には、改修・修繕のための費用、設計や調査のための費用、セーフティネット住宅にするための相談顧問料などを含め、3億円を上限としてスマートウェルネス住宅等推進事業補助金が交付されます。
どのような規模・種類の建物なら建築が可能なのかを検討するには「「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご活用ください。
土地活用を検討している土地の大きさとエリアなど、カンタンな質問に答えていくだけで、日本全国から老人ホームや介護施設の建築に信頼と実績のあるハウスメーカーや建築会社を、最大10社までに絞り込んで紹介しています。
なお、請求する際には備考欄などに「老人ホーム経営を土地活用として検討している」ことを一言添えて下さい。
5.老人ホーム賃貸経営のメリット
ここからは、人に貸すことを目的に建物を建て、その賃料が収入となる賃貸経営としての老人ホーム経営にしぼって解説します。アパート賃貸経営と比較したときに、老人ホーム賃貸経営には以下のようなメリットがあります。
【メリット】
- 経営リスクが小さい傾向にある
- 小規模でもスタートできる
- 立地を問わない
5-1.経営リスクが小さい傾向にある
アパート経営と比較した場合、老人ホームの賃貸経営はリスクが小さいというメリットがあります。所有する土地に老人ホームを建て、適切な介護事業者を探して一括借り上げで契約すれば、あとはその賃料を得るだけで済みます。
介護サービス会社の収入は、入居者からの介護保険料がメインですので、適切な運営ができる会社であれば、経営に失敗しにくい賃貸先になります。アパート賃貸経営と比較すると、周辺エリアの同業者との競争も少なく、安定した経営ができるため、介護サービス会社が倒産するリスクはかなり小さくなります。
そのため、長期安定収入が得られる可能性が高く、賃貸経営が赤字になりにくいといえます。
5-2.小規模でもスタートできる
老人ホームの賃貸経営は、施設の規模や運営事業社が小さくても、入居する高齢者には必要なサービスです。老人ホームとして健全な経営であれば、長期間の安定経営ができるというメリットがあります。
また、アパート賃貸経営のように最初から規模の大きな施設でスタートしなくても、建物を改築・増設して固定費や経費のバランスをみながら、少しずつビジネスを拡大していくこともできます。
改築や増設などにも、はじめに申請できた補助金は適用されることが多いため、同じような経営計画で資産の拡大をしていくことができます。
5-3.立地を問わない
駅から遠い土地や広すぎる土地など、一般的な賃貸経営には適していない土地条件でも、老人ホーム経営であれば、問題なく経営ができます。
老人ホームに入る方は、利便性よりも静かで落ち着いた暮らしを望む傾向にあります。そのため、施設から数分のところにバスの停留所があれば、駅から遠い立地でも問題ありません。
また、老人ホーム施設にはリクリエーション施設やリハビリ施設、広い庭や駐車場完備など、スペースを取る設備が数多くあります。土地が広ければ、老人ホームに求められる施設を完備できるので、土地が広いことは長所となります。
そのため、一般の賃貸経営で好条件とされる駅近などの条件が整っていなくても、老人ホーム経営の場合は、問題なく賃貸経営ができるというメリットがあります。
6.老人ホーム賃貸経営のデメリット
老人ホームの賃貸経営には、以下のようなデメリットもあります。
【デメリット】
- 制度による変動リスクがある
- 優良な介護事業者を見つけるのが難しい
- 土地や建物を転用しにくい
6-1.制度による変動リスクがある
老人ホームは、老人福祉法と介護保険制度が関係しているビジネスのため、制度や法律の変更によって、サービスの価格が変わるというデメリットがあります。また、それによって施設を貸し出している介護サービス会社の経営状態が変わることがあります。
ただし、老人ホーム施設の建設は、少子高齢化対策のための国策として急務でもあるため、基本的には経営が悪化するような改悪はない可能性が高いといえます。
法律や制度変更は、介護保険法の発足した2000年(平成12年)から何度もありましたが、適切な経営をしている介護サービス会社は現在でも会社として経営を続けてきています。老人ホーム経営を土地活用として検討する場合は、施設建築の問題と同時に、運営を任せる介護サービス会社もよく吟味しておく必要があります。
6-2.優良な介護事業者を見つけるのが難しい
老人ホームの運営を委託する場合、優良な介護事業者を独自に見つけることは困難です。
実際には老人ホームの建設を依頼する大手建設会社などから、介護事業者を紹介してもらうことになります。
そのため、複数の介護事業者を比較検討して、より良い事業者を選ぶ努力をしてみることも必要です。複数の建築会社から建築・経営プランを提案してもらい、過去の実績や評判などをチェックして、比較検討するのがよいでしょう。
6-3.土地や建物を転用しにくい
老人ホームなどの介護施設は、入居者に合わせたサービスができるように設計された特別な建物となります。そのため、もし老人ホームの介護事業者が経営に失敗した場合、土地や建物を他の目的に転用しにくいというデメリットがあります。
すぐに次の事業者が見つかればよいでしょうが、見つからない場合は高額なローン返済が残ります。仮に他の目的に転用する場合も、改修や解体に多くの費用が必要になります。
このように、老人ホームの経営にはさまざまなメリットとデメリットがあります。事前にリスクを回避するには、複数のハウスメーカーや建築会社から、老人ホームの建築プランや経営プランを請求し、比較検討するのがおすすめです。「HOME4U オーナーズ」では、最大10社の建築会社から無料で老人ホームの建築・経営プランを請求できます。
7.失敗しない老人ホーム経営のコツ
本章では、土地活用として老人ホーム経営を成功させるために大切な3つのコツをまとめています。
- 優良な介護サービス会社を選ぶ
- 需要のある老人ホームのタイプを選ぶ
- 信頼と実績のあるハウスメーカーを選ぶ
7-1.優良な介護サービス会社を選ぶ
建築した老人ホームの経営を成功させるには、実際に運営を任せる優良な介護サービス会社を選ぶことが大きなカギとなります。入居者に対して適切なサービスをしながら、自分たちの利益もしっかり確保できる、経営バランス感覚の良い、優秀な会社を探してください。
運営をしてくれる介護サービス会社の主たる収入は、介護保険料という公的資金です。介護サービスの価格は国が決めた公的な価格のため、介護サービス会社が勝手に操作することができません。
長期にわたって黒字経営をしている会社の多くは、入居者確保とコスト管理に優れています。適切な人員配置をしながら人件費のコントロールをして、経費を最小限に抑えながら、バランスと効率の良い経営を目指しています。
良い会社を見極めるためには、まずは、老人ホームの建設予定地がある地域包括支援センターに相談し、地元で評判の良い介護サービス会社が運営する老人ホームをいくつか見学させてもらうようにします。
その中で、ご自身が「ここなら自分の親を安心して入居させることができる」または「自分ならここに入りたい」と思えた施設の介護サービス会社に、老人ホーム施設を建設する予定だが、運営を依頼したいという打診をしてみます。
優良な介護サービス会社であれば、自社の責任と経営方針の範囲内でしか仕事を引き受けませんので、例えば「〇〇年からならお引き受け可能です」など、具体的な提案をしてくれます。
また、交渉がうまくいかなかった場合でも、他の優良な会社の紹介をしてくれることもあります。
また、老人ホームの建築プランを請求した際には、ハウスメーカーがグループ会社として運営する介護サービス会社や、過去に提携をしたことのある会社などを選択肢として提案してくれるケースもあります。どのケースでも、土地オーナーは、必ず運営の現場に足を運び、ご自分の目で確認する必要があります。
7-2.需要のある老人ホームのタイプを選ぶ
土地活用で賃貸経営ができる老人ホームには、「4.老人ホームの種類と特徴」でご紹介したタイプがが一般的です。土地のオーナーが希望するタイプを運営できますが、アパート経営と同様に、エリアマーケティングをしっかり行い、需要がある施設のタイプを選ぶようにしてください。
同じ賃貸経営でも、老人ホーム経営はアパート経営と違います。老人ホーム経営の場合、選んだ施設のタイプによっては、介護福祉施設の総量規制があるため、希望の建物や希望のタイミングで建てられないケースがあります。
そのため、建築プランの請求をするタイミングで、必ず地域包括支援センターや自治体の福祉課に確認をしておく必要があります。
経営する老人ホームのタイプを選ぶ際には、施設が公共性から離れるほど、アパート経営に近くなり、周辺エリアのライバルの出現で影響を受けやすくなる点を注意しましょう。
例えば、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)やグループホームなどの、自治体による総量規制で管理されたタイプの施設よりも、健康型や住宅型の有料老人ホームの方が、周辺に同じような施設がたくさんできる可能性は高くなります。
そのため、長期的な安定経営には施設の差別化が必要になってきます。
7-3.信頼と実績のあるハウスメーカーを選ぶ
信頼と実績のあるハウスメーカーを選ぶことによって、老人ホーム経営の成否が左右されます。
検討する段階で、複数社の建築プランを比較し、できれば老人ホームや介護福祉施設の建築経験がある会社を選びます。
老人ホームの建築には、特別に難しい構造をしたものはありません。アパートや一軒家を建築してきたハウスメーカーや建築会社であれば、どの会社でも問題なく完成させることができます。
しかし、老人ホームの経営や運用の面で補助金などの制度を利用する場合には、申請時にハウスメーカーや建築会社の作成した設計図や建築計画の提出が必要となります。万が一、その図案に問題があると補助金が下りないばかりか、その後の融資にも影響が出てくる可能性があります。
過去に老人ホームや介護福祉施設の設計から建築までを一通り手掛けた実績があれば、どの部分に気をつけるべきかなどの経験則がありますから、トラブルを回避しやすくなります。
複数の建築会社へ建築プランを請求する際には、NTTデータグループの運営する「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご利用ください。
土地活用の予定地のエリアや広さなどを入力するだけで、老人ホーム・介護福祉施設に実績のある建築会社を最大10社までに絞ってご紹介します。
この記事のカテゴリトップへ