建物の耐用年数とは法定耐用年数のことで、過ぎてしまったら「入居者を住まわせてはいけない」というわけではありません。
本記事では、マンションの耐用年数についてと経過後にやるべき事の基礎知識について解説します。
ずばり!マンションの耐用年数は、鉄筋コンクリート造の場合47年です。
法定耐用年数は建物の寿命ではなく、資産価値を決めるための年数です。
構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 19年(厚み3mm以下) 27年(厚み3mm超4mm以下) |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
詳しくは、「1.マンションの耐用年数って何年?」をご覧ください。
法定耐用年数を超えてしまったマンションのオーナーにとって以下のような3つのリスクが生じます。
- 節税効果がなくなり、納税金額が高くなる
- 金融機関からの融資が通りにくくなる
- 資産価値が落ちてしまい、売却が難しくなる
詳細は「2-2-1.「耐用年数」が超えたら生じるリスク3つ」にて解説しています。
1.マンションの耐用年数って何年?
ずばり!マンションの耐用年数は、鉄筋コンクリート造の場合47年です。
他の構造も含めた構造別の法定耐用年数を以下にまとめました。
構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 19年(厚み3mm以下) 27年(厚み3mm超4mm以下) |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
あくまでも、「法定耐用年数」は寿命ではありません。
「法定耐用年数」とは省令によって定められた
税法上「価値がなくなった」とみなされる年数
であることを知っておくとよいでしょう。
2.法定耐用年数が過ぎたら、どうなるの?
この章ではマンションの法定耐用年数が過ぎたら
- 実際に住むことができるのか?
- 儲かるのか?
といった疑問について、簡単に以下でまとめました。
2-1.法定耐用年数が過ぎても、住めるの?
耐用年数が過ぎたら「入居者を住まわせてはいけない」「入居者が住んではいけない」というわけではなく、あくまで税法上の建物の使用可能期間のことを指します。
したがって、適切なメンテナンスを行っていれば実際の「マンションの寿命」は法定耐用年数より長く、減価償却費の観点以外では気にする必要はありません。
国土交通省のデータによれば、適切なメンテナンスを行うことで、鉄筋コンクリート造のマンションは120年、外装仕上げで延命すれば150年使えると書かれています。
参考:国土交通省|期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について
2-2.法定耐用年数が過ぎても、儲かるの?
法定耐用年数を過ぎても住むことや経営をすることはできますが、節税効果がなくなったり、資産価値が落ちたりとさまざまリスクが想定されます。
以下では、耐用年数が経過した後に考えられるリスクをまとめました。
耐用年数が経過した後に検討すべきこと、やるべきことに関しては、「3.耐用年数が経過した後にやるべき方法2つ」にてそれぞれ詳しく解説しています。
2-2-1.「法定耐用年数」が超えたら生じるリスク3つ
法定耐用年数を超えてしまったマンションのオーナーにとって以下のような3つのリスクが生じます。
- 節税効果がなくなり、納税金額が高くなる
- 金融機関からの融資が通りにくくなる
- 資産価値が落ちてしまい、売却が難しくなる
以下からそれぞれ詳しく解説します。
リスク1.節税効果がなくなり、納税金額が高くなる
法定耐用年数を超えてしまうと、「納税金額が高く」なってしまいます。
減価償却費を費用計上することができなくなるため、節税効果はなくなってしまうことが要因です。
平成27年(2016年)4月1日以後に取得したマンションに関しては、定額法と呼ばれる計算方法で減価償却費を計上します。
取得価額×定額法の償却率
マンション経営ではさまざまな経費計上ができる費用がありますが、そのなかでも減価償却費は金額が大きく、節税上の効果が高い特徴があり、法定耐用年数を過ぎたマンションはその効果がなくなることが考えられます。
リスク2.金融機関からの融資が通りにくくなる
一般的に金融機関は融資の返済期限を法定耐用年数の期間内としているため、法定耐用年数を過ぎてしまった場合、融資が通りにくくなる傾向にあります。
ただし、過ぎてしまったケースでもマンションの建っている土地の担保評価が高い場合、例外的に融資を行うケースがあります。
リスク3.資産価値が落ちてしまい、売却が難しくなる
法定耐用年数超えのマンション物件を購入する際にはローンを組むことができないため、買い手の購入ハードルが高くなってしまいます。
したがって買い手が見つかりにくく、売却の難易度が高いと言えます。
3. 法定耐用年数が経過した後にやるべき方法2つ
法定耐用年数が経過した後のマンションで検討すべきことや、やるべきこととして以下の2つが挙げられます。
- 建て替える
- 売却する
3-1.建て替える
建物を解体して新築のマンションに建て替えられれば、収益性の高いマンションとして再スタートすることができます。
ただ多額の費用がかかること、そして入居率が高い時期には検討・実行しにくいのがデメリットとして挙げられるでしょう。
建て替えの方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
3-2.売却する
売却はいわゆる「出口戦略」の一環としての方法で、短期間でまとまった資金を手に入れられることがメリットとなります。
一方で、法定耐用年数を過ぎていると資産価値がないとみなされるため、売却先を探す際に買い手が見つからず、売却が難しくなることが考えられるでしょう。
マンションの売却時にかかる費用や、手数料について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
4.マンションの寿命を延ばす方法
マンションの物理的な寿命は、計画的に定期メンテナンスを行えば、法定耐用年数をあまり気にする必要がなくなります。
マンションを長持ちさせて、寿命を延ばす方法は具体的には以下の2つがあります。
- 定期的な大規模修繕工事を行う
- 日常的なメンテナンスをする
4-1.定期的な大規模修繕工事を行う
マンションの大規模修繕工事は、マンションの物理的な老朽化と陳腐化を防止できるため、計画的かつ定期的に行う必要があります。
以下は国土交通省の「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」で示された「築年数の目安」です。
回数 | 築年数の目安 |
---|---|
1回目 | 12~15年目程度 |
2回目 | 24~30年目程度 |
3回目 | 36~45年目程度 |
参考記事:国土交通省|改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル
4-2.日常的なメンテナンスをする
大規模修繕工事も大切ですが、以下のような日常的なメンテンナンスを行うことが大切です。
- 共有部分のメンテナンス
- 入居者の入れ替え時に行うメンテナンス、設備追加
以下の記事では、上記2つの方法ふくめた維持費用について解説しています。具体的に確認したい方はぜひご確認ください。
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