「【基礎から解説】建て替え・リノベの基礎知識と判断基準」内の、「古い(築古)アパートをリノベーションする」ケースを想定した事例集です。アパート経営において、収益力の落ちてきた古いアパートへの対策を考える際、一般的に検討されるであろう問題や課題を、リノベーションを通じてどのように解決可能かを想定事例を通じて分かり易く理解していただけます。ケース毎に「リノベーション前後の家賃や入居率等の比較表」「リノベーションする事で発生するメリットやデメリット」等も掲載し、リノベーション検討時に知りたい情報を取得し易く工夫しています。

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更新日
2023.06.28
カテゴリ
リフォーム

【想定事例集】「古い(築古)アパートをリノベーションする」事例5つ

【想定事例集】「古い(築古)アパートをリノベーションする」事例5つ

経営する「古い(築古)アパート」のリノベーションをめぐる想定事例集です。リノベーションのイメージが湧きやすい内容になっています。

1.経営するアパートにセキュリティー強化のリノベーションをするケース

解決したい課題

築年数が古くなってきて空室が目立ってきた。綺麗に使ってもらえる女性の入居者を増やしたい。

想定解決策

エントランス部分を近代風に。オートロックと監視カメラを設置して、セキュリティーの高さを入居者にアピール。

Before
before
After
after

<想定設定>
立地:京都府烏丸駅から徒歩8分圏内
築年数:33年

【表 リノベーション前後アパート比較】
リノベーション前 リノベーション後
構造 木造
延べ床面積 36坪
階数 2階建て
家賃 4.5万円(1K6 戸) 5万円(1K 6戸)
入居率 33% 100%
年間家賃収入(実質) 108万円 360万円

<想定費用>
リノベーション費用:約200万円
合計:約200万円

費用について詳しく知りたい方はこちら
【基礎から解説】アパートリノベーション大百科 費用・工程・工期も解説

リノベーションの業者・会社について詳しく知りたい方はこちら
【古いアパートのリノベーション】良い会社の選び方!【おすすめの会社も7社紹介】

リノベーションするメリット

  • オートロックにすることで家賃を上げることができる
  • セキュリティ重視の層の入居率を上げることができる
  • ドアをキーレスにすることで鍵交換の手間がかからなくなる

リノベーションするデメリット

  • オートロックを重視していない層にアピールできない

リノベーションするとどうなる?

築年数が古いアパートはオートロックが付いていないものが少なくありません。
今回は比較的都市部の駅から徒歩圏内の築古アパートの想定ですので、オートロックがない前提となります。

一般的に、特にセキュリティーを重視する女性の一人暮らしが多い地域では、オートロックを設置することで入居率を上げやすくなります。
プラスしてエントランス中心に外観をリノベーションして近代風にすることで、より入居者を集めやすくなる可能性があります。

加えてドアをキーレスの暗証番号タイプのものにすると、退去時の鍵交換の必要がなくなり、手間が省けるようになります。

気をつけたいのは、元々オートロックを重視していない入居者からすると家賃が上がってしまうだけであるため、ターゲットをよく考えて設置した方がいいでしょう。

2.経営するアパートの和室を洋室にリノベーションするケース

解決したい課題

アパートが全室空室になってしまった。これを機にメンテナンスが大変な和室をどうにかしたい。

想定解決策

和室を洋室にリノベーションし、家賃をあまり上げず満室を目指す。

Before
before
After
after

<想定設定>
立地:愛知県舞鶴駅から徒歩15分圏内
構造:39年

【表 リノベーション前後アパート比較】
リノベーション前 リノベーション後
構造 木造
延べ床面積 24坪
階数 2階建て
家賃 2.8万円(1K 4戸) 3万円(1K 4戸)
入居率 0% 100%
年間家賃収入(実質) 0万円 144万円

<想定費用>
立ち退き費用:約16万円
リノベーション費用:約200万円
合計:約216万円

費用について詳しく知りたい方はこちら
【基礎から解説】アパートリノベーション大百科 費用・工程・工期も解説

リノベーションの業者・会社について詳しく知りたい方はこちら
【古いアパートのリノベーション】良い会社の選び方!【おすすめの会社も7社紹介】

リノベーションするメリット

  • 和室を洋室に変えるだけで印象が変わる

リノベーションするデメリット

  • リノベーション費用がかかる
  • この先の修繕費がかからないわけではない

リノベーションするとどうなる?

学生が多くいる街にある1人暮らし用の古いアパートを想定します。

アパートは和室というだけで敬遠されることも多く、特に若い人には人気がありません。
ですから畳をフローリングに変えるリノベーションを施します。

全面リフォームではないため、家賃をあまり上げてしまうと周辺の築浅の物件に入居者が流れてしまう可能性があり、家賃の値上げ額には注意が必要です。
家賃アップが少額でも、満室になれば収益は上がります。

デメリットとしてはリノベーションにはまとまった費用が必要なことです。
また、築古になってくれば必然である修繕費は定期的にかかることを頭に入れておきましょう。

3.経営するアパートの間取りを流行りのものにリノベーションするケース

解決したい課題

間取りが古く、アパート特有の狭く使いづらいものなので、今ウケる感じにして収益を上げたい。

想定解決策

DKをLDKに変え、リモートワーク用のスペースを作りリモートワーク層をターゲットにし満室に。

Before
before
After
after

<想定設定>
立地:東京都西八王子駅からバスで10分圏内
築年数:築40年

【表 リノベーション前後アパート比較】
リノベーション前 リノベーション後
構造 木造
延べ床面積 110坪
階数 2階建て 2階建て
家賃 4.5万円(2DK 8戸) 5.5万円(1LDK 8戸)
入居率 37.5% 100%
年間家賃収入(実質) 162万円 528万円

<想定費用>
立ち退き費用:約81万円
リノベーション費用:約800万円
合計:約881万円

費用について詳しく知りたい方はこちら
【基礎から解説】アパートリノベーション大百科 費用・工程・工期も解説

リノベーションの業者・会社について詳しく知りたい方はこちら
【古いアパートのリノベーション】良い会社の選び方!【おすすめの会社も7社紹介】

リノベーションするメリット

  • 今流行りの間取りにすることで、注目度が上がる
  • 家賃を上げることができる

リノベーションするデメリット

  • 費用がそれなりにかかる
  • リノベーション費用だけでなく立ち退き費用も計算しなくてはいけない

リノベーションするとどうなる?

都心から少し離れた場所にある、少し広めのシングル〜2人暮らし向けのアパートを想定します。

近年、リモートワークのしやすさでアパートを探す人たちが増加傾向にあります。
そのため、リモートワークに特化したアパートは一定の需要が見込めるでしょう。

このケースでは、2DKと狭くなっていた空間の壁を取り払い1LDKにし、LDKの空間の中にリモートワークができるスペースを取り入れることで、アパートのウリを作ります。
このように間取りを変えることで、郊外でゆったりリモートワークがしたいという層にアピールが可能です。
さらには入居者が職場付近で住居を探さないため、幅広い地域から募集をかけることができるようになり入居率のアップが期待できます。

加えて、リノベーションをすることで家賃を上げることができるため、工事費用はかかりますが将来的な収益アップにも繋げることができると言えるでしょう。

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4.経営するアパートを大幅にリノベーションするケース

解決したい課題

古いアパートの建て替えをしたいが再建不可物件。どうにかして高い入居率に戻したい。

想定解決策

全面リノベーション。耐震工事も施し入居率を上げる。

Before
before
After
after

<想定設定>
立地:千葉県津田沼駅から徒歩10分圏内の再建不可条件のある土地
築年数:47年

【表 リノベーション前後アパート比較】
リノベーション前 リノベーション後
構造 木造
延べ床面積 60坪
階数 2階建て
家賃 4.5万円(2K 6戸) 6.3万円(1LDK 6戸)
入居率 33% 100%
年間家賃収入(実質) 108万円 453.6万円

<想定費用>
立ち退き費用:約58万円
リノベーション費用:約580万円
耐震補強工事:約297万円
合計:約935万円

費用について詳しく知りたい方はこちら
【基礎から解説】アパートリノベーション大百科 費用・工程・工期も解説

リノベーションの業者・会社について詳しく知りたい方はこちら
【古いアパートのリノベーション】良い会社の選び方!【おすすめの会社も7社紹介】

リノベーションするメリット

  • 古いアパートを蘇らせることができる
  • 耐震性をアップさせることができる

リノベーションするデメリット

  • 費用がかかる

リノベーションするとどうなる?

アパート需要はそこそこにあるけれど、ライバルとなる周辺物件も多い首都圏のアパートを想定します。

まず、築古であるために選ばれないのであれば建て替えを選択肢にいれるべきです。
その点、この想定物件は土地の形状から再建不可物件という前提にします。
再建不可物件は建て替えができません。
そのためリノベーションで内装・外装・水回りを全面的に新しいものにし、間取りも開放感のあるものに変え印象をガラッと変えます。

さらに、1981年以前に建てられた建物は新耐震基準を満たしていない可能性が高く、耐震性を不安に思う入居者から選ばれない可能性があるので注意が必要です。
この場合は補強工事を行い、耐震性能をアップさせ入居者の不安材料を取り除きましょう。

最終的に家賃を上げることができ、空室が埋まればリノベーション費用を回収できるだけでなく安定した収益を生み出すアパートになる可能性は高まります。

5.経営するアパートに古さを活かしたリノベーションをするケース

解決したい課題

古くなったアパートだが、せっかくなので雰囲気を残して収益を上げられる物件にしたい。

想定解決策

畳やふすまなどの雰囲気のあるものは残し、レトロ風アパートとして他のアパートと差別化し入居者を増やす。

Before
before
After
after

<想定設定>
立地:福岡県久留米駅から徒歩5分圏内
築年数:35年

【表 マンション詳細】
リノベーション前 リノベーション後
構造 鉄骨造
延べ床面積 108坪
階数 3階建て
家賃 3.7万円(1DK9戸) 4.2万円(1DK9戸)
入居率 30% 88.9%
年間家賃収入(実質) 133.2万円 403.2万円

<想定費用>
立ち退き費用:約133万円
リノベーション費用 :約1,000万円
合計:約1,133万円

費用について詳しく知りたい方はこちら
【基礎から解説】アパートリノベーション大百科 費用・工程・工期も解説

リノベーションの業者・会社について詳しく知りたい方はこちら
【古いアパートのリノベーション】良い会社の選び方!【おすすめの会社も7社紹介】

リノベーションするメリット

  • 新しいコンセプトを作りアピールポイントにできる
  • 入居率や家賃をアップできる

リノベーションするデメリット

  • 設備投資の金額が大きくなる
  • リノベーションだけでなく立ち退き費用がかかる

リノベーションするとどうなる?

主要駅の徒歩圏内にあるが、建物が古くなりアピールポイントが特になくなってしまい入居率も上がらなくなった和風のアパートを想定します。

畳部分をあえて残し、ふすまもおしゃれなものに変え「昭和風」アパートとしてアピールしていくと他のアパートと差別化しやすいです。

水回りや外観など、古さが目立って魅力がなくなっている箇所はリノベーションで新しくし、残すのはあくまでもレトロな雰囲気をアップできる箇所とします。
照明部分や駐車場も刷新。レトロな雰囲気を出せるように工夫します。

デメリットとして、リノベーションの費用がかかることだけでなく、大掛かりなリノベーションは入居者に立ち退いてもらわないといけないためその費用や手間を考えなくてはいけません。
十分に検討し計画を立てましょう。

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